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「Glidin'」(TAM Music Factory)
by 岸波(葉羽)【配信2025.5.24】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 サラリーマン夫婦の微妙な愛情の
 交錯を鋭く描く大東宝の文芸巨大作!

 凄い表現ですね(右下のポスターも凄いけど:笑)。これはまだ僕が生まれる前、1951年公開の成瀬巳喜男監督『めし』のキャッチコピー。

 今週の当番は、カリスマ彰氏です。

めし

(C)100MikioNAruse.com

 原作の『めし』は、林芙美子による長編小説で、1951年4月1日から約3か月間『朝日新聞』に連載された。

 当初は150回の予定だったが、同年6月28日に著者が急死したため、97回で連載が終了した未完の絶筆。

 さて、それを映画化したという当時の東宝10代スタア共演作品の感想とは?

 

◆『めし』(1951年 成瀬巳喜男監督 1時間37分)

 林芙美子の絶筆を10大スタアが
 心をこめて描く東宝美麗巨篇

カリスマ彰 NHKBSで放映された映画「めし」(1951年 成瀬巳喜男監督 1時間37分)を録画して見た。

 こういう「ちゃぶ台映画」が1950年代ではかなり作られていた。

 その中で、小津安二郎ばかりが全世界でもてはやされるのが不思議なので、違う映画監督の映画を見てみたという次第。成瀬巳喜男作品は初めての鑑賞である。

島崎雪子、上原謙、原節子@『めし』

(C)100MikioNAruse.com

 あらすじは以下の通り(Wikipediaなどによる)。

◆『めし』(1951年)のあらすじ

 原節子・上原謙(加山雄三の父)共演。巨匠・成瀬巳喜男監督(1905~1969、享年63)が、林芙美子(1903~1951、享年47)の未完となった小説(朝日新聞に連載されていた)を映画化。けん怠期を迎えた夫婦(原節子と上原謙)の日常を、きめ細やかな演出で描く名作。

 岡本初乃輔と三千代は結婚5年目、大阪のささやかな家で暮らしていたが、今では毎日の生活に疲れ、新婚の時の情熱は失われていた。そんなある日、初之輔の姪(めい)の里子(島崎雪子)が、家出したと東京からやって来る。里子の奔放な振る舞いに、夫婦の暮らしに波紋が広がってゆくが…。

 成瀬巳喜男監督の1951年の作品『めし』は、成瀬が林芙美子の原作を初めて手掛けた記念すべき作品であり、また、戦後、一時期低迷していた成瀬の復活作品でもある。この作品の興行的成功で、成瀬は『夫婦』(1953)、『妻』(1953/原作・林芙美子)という『めし』の続編的な二作を撮り、その後も林芙美子の原作を映画化した『晩菊』(1954)、『浮雲』(1955)、『放浪記』(1961)などの傑作を世に送り出すこととなった。

 黒澤明の片腕だったスクリプターの野上照代は「黒沢さんが尊敬していた映画監督は間違いなく成瀬さん」と回想しているし、フランスの代表的映画雑誌「カイエ・ドゥ・シネマ」は、「小津、溝口、黒沢に続く日本の第4の巨匠は成瀬」としている。

 まさに「ちゃぶ台映画」である。

 

  懐かしい名優たちが出演している。私が判別できたのは、早逝した二本柳寛、浦辺粂子、山村聡、進藤栄太郎、長岡輝子、風見章子、杉村春子、大泉滉、小林桂樹まで。私も古いな(笑)。

 原節子ってさして美人とも思えないんだが、小津安二郎の映画で神格化されてしまったのだろうな。ここではかなり『地』が出ている。

  原節子

 戦後の日本が、もはや戦後ではないと中野好夫が書いてこれを経済白書で引用する1956年までの日本がどんな感じだったのかを、成瀬巳喜男は林芙美子の小説の映画化で行ったと言えなくもない。

 原節子

 なお、映画「めし」の監修役として川端康成がクレジットされている。林芙美子の葬式で弔辞を述べたのが川端だった。

 全くの余談だが、林芙美子の47年の生涯をWikipediaで今回も振り返ったが、その激烈な人生にまた感嘆してしまった。

めし

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 なお題名の「めし」は、「炊き立てのふっくらとしたご飯=めしは日本を代表する食べ物。『めしの種』などいろいろな表現の中にめしという言葉は登場する。

 パンのような政治ばかりでは困る(書かれた昭和26年=1951年は米軍進駐時代)」という林芙美子の思いが込められているということだ。

 

/// end of the “cinemaアラカルト472「成瀬巳喜男監督の映画「めし」を見た」”///

 

(追伸)

岸波

 原節子って、そこそこの美女じゃないかと思うんだがどうか(笑)

 彼女は小津安二郎作品で「永遠の処女」と二つ名を貰うようになったが、この『めし』で生活に疲れた等身大の主婦を演じて新境地を開拓したそうな。

 やっぱり、いつまでも手の届かない「永遠の処女」よりも、ある程度、人間味を出すようにしないと愛されないよね。

 待てよ、その後「永遠の処女」を引き継いだのは吉永小百合さんか。

 でも、彼女は結婚模したし、『寅さん』のマドンナもやったし、上手に演技の幅を広げたね。

 かなり高齢になってからも出演し続けているけど「清潔感」は失われていない。大したもんだと思う。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

めし

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト473” coming soon!

 

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