こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
世界の命運は、
一人の忍者に託された――。
花沢健吾原作、山﨑賢人主演の『アンダーニンジャ』をケイ子と共に観てまいりました。
弟のタケヒコオーナーが、コンビニ・トレンド #381「1月から面白い映画続々」で紹介していた”一週間に映画を三本観に行った話”の三本目にこの『アンダーニンジャ』が入っていたからです。
しかあしっ!!
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アンダーニンジャ
(C)花沢健吾/講談社 (C)2025「アンダーニンジャ」製作委員会 |
これはトンデモナイ「駄作」でした。
もちろん「良かった部分」もあるのですが、なにせ監督が『銀魂』や『新解釈・三國志』を撮ったあの福田雄一氏。(悪い予感がしてたんだ・・)
お決まりの如く、佐藤二郎やムロツヨシを起用してのワンパターン・ギャグや美人女優に「変顔」を強要して笑いを取ろうとするなど、いつもの「ウケる人にはウケる」という楽屋落ち演出が満載。
cinemaアラカルトの掟の一つに「いい加減なキャッチコピーの作品はすべからく駄作である」というのがありますが『世界の命運は一人の忍者に託された』というのは大嘘で、主人公の雲隠九郎(山﨑賢人)は大した活躍もしないうちに殺されてしまいます。
岸波 おーまいがー!(ただし「その後」に繋がる伏線はある。)
ともあれ「絶対に観てはいけない映画」として、レビューを残します。

日本には今も、
忍者が居る。
映画の冒頭、アパートの部屋で主人公の雲隠九郎(山﨑賢人)は暇を持て余しながら「吹き矢」の練習をしている。
そこへ訪れて来た宅急便の配達人加藤(間宮祥太朗)は、いかにも只者ではない雰囲気をまとっており、九郎はそれが自分の所属する忍者軍団「NIN(ニン)」の者であることを確信する。そして配達人は厳かに告げる・・「指令だ」。
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アンダーニンジャ
(C)花沢健吾/講談社 (C)2025「アンダーニンジャ」製作委員会
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以下、細かいあらすじは省略し、映画.comの作品紹介から引用します。
◆『アンダーニンジャ』(2025年)のあらすじと概要 (映画.comによる)
「アイアムアヒーロー」などで知られる漫画家・花沢健吾が、現代社会に潜む忍者たちの姿を描いた人気コミック「アンダーニンジャ」を実写映画化。「銀魂」「聖☆おにいさん」など数々の話題作を手がける福田雄一が監督・脚本、「キングダム」「ゴールデンカムイ」の山﨑賢人が主演を務めた。
山﨑賢人
太平洋戦争終結後、日本へ進駐したGHQが最初に命じたのは「忍者」組織の解体だった。それにより、忍者の存在は消滅したかに見えた。しかし彼らは世界中のあらゆる機関に潜伏し、現代社会でも暗躍を続けていた。忍者組織「NIN(ニン)」の末端に所属する忍者の雲隠九郎は、暇を持て余していたある日、重大な任務を言い渡される。それは、戦後70年以上にわたり地下に潜り続けている、「アンダーニンジャ」と呼ばれる組織の動向を探るというものだったが……。
主人公の雲隠九郎を山﨑が演じ、忍者たちの戦いに巻き込まれていくヒロインの女子高校生・野口彩花役を浜辺美波が務めた。そのほか間宮祥太朗、白石麻衣、岡山天音、山本千尋、宮世琉弥、坂口涼太郎、平田満、木南晴夏、長谷川忍らに加えて、福田作品常連のムロツヨシ、佐藤二朗も変わらず参加。 |
この『アンダーニンジャ』の原作は、「週刊ヤングマガジン」において2018年から連載されている花沢健吾による漫画。単行本の累計発行部数は200万部を突破している人気作品。
一方、手塚プロダクションによってTVアニメ化され、ファースト・シーズンが2023年10月から12月までTBS系列で放映された。
そして今回の映画化に繋がる訳だが、監督が(自分の中で)あの悪名高い福田雄一氏ということで危惧していたのは上述のとおり。
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アンダーニンジャ
(C)花沢健吾/講談社 (C)2025「アンダーニンジャ」製作委員会
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アパート住まいの主人公九郎(山﨑賢人)が押入れの壁に空いた穴から隣人の部屋に忍び込み、ビールを盗み飲みしたのがバレて、隣人の大野(ムロツヨシ)と押し問答となるシーンで、早速、福田演出が炸裂。
福田雄一監督
大野は「俺のビールを飲んだろう」というのに九郎がシラを切り「え?」ととぼけたところで「え、って言う? そこでえ、って言う?」と返されると、しばらく考え込み再び「え?」と。
なんとコレを20回以上繰返し、山﨑賢人が演技を忘れて素で笑いだすまで続けるのだ。
そこで、え、って言う?
このギャグは『銀魂』でも使われたが、初見ではたしかに面白い。だが『銀魂』でもそうだったように、全編にわたってこの「素で台詞を棒読みするまでの笑い」が繰り返されると、フザケてんのかとなるだろう。←(もちろんフザケている)
岸波 もちろん原作にこんなシークエンスは無い。
もう一人の福田ファミリー、佐藤二郎の使われ方もワンパターンだ。
風に飛ばされた女性のブラジャーを拾って自分で身に着けている変態親父が、盗みを追及されると、訳の分からない早口で弁解して煙に巻く。
何でかなー 何でかなー?
また、美人女優を起用した時に「変顔」させるのもいつものパターン。『銀魂』で神楽を演じた橋本環奈の扱いは酷かった。
橋本環奈の変顔@『銀魂』
そして今回、福田雄一演出の毒牙にかかったのが、当代を代表する二人の美人女優、浜辺美波と山本千尋だ。
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アンダーニンジャ
(C)花沢健吾/講談社 (C)2025「アンダーニンジャ」製作委員会
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さすがにネットには今回の酷すぎる「変顔」の画像は見つからなかったが、山本千尋は「NIN」に対抗する「UK(アンダーニンジャ)」の忍者山田美月として登場する。
山田美月(演:山本千尋)
山田美月は、今回の「NIN vs UN」対決の舞台となる講談高校の女子高生として潜入しているのだが、何とその美月(山本千尋)に『銀魂』の橋本環奈と同じ「鼻くそほじり」をやらせるのだ。
岸波 これは原作にもあるシーンだが、ストーリー上必要とは思えない。
山本千尋と言えば、あの『KINGDOM』で剣士キョウカイの姉羌象(キョウショウ)を演じた美女だ。
羌象@『KINGDOM』
こうした下品なシーンを挟み込むのは、もはや福田雄一監督の趣味としか思えない。
こんな悪ふざけが過ぎるので、ストーリーがさっぱり頭に入って来ないのだ。
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アンダーニンジャ
(C)花沢健吾/講談社 (C)2025「アンダーニンジャ」製作委員会
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この映画を観て、自分の映画鑑賞の「黒歴史」となった実写版『進撃の巨人ATTACK ON TITAN』を思い出した。
こちらもまた(自分の中で)悪名高い樋口真嗣監督の作品であるが、原作とかけ離れた世界観で作られて閉口した記憶がある。
実写版『進撃の巨人』
ストーリー改変自体は、原作者である諫山創氏の要望もあったためということで容認できるが、主人公であるエレン(演:三浦春馬)とミカサ(演:水原希子)の関係性を破壊して「敵対関係」に再設定した。
しかも、原作で支持者が多い兵団長リヴァイの代わりにシキシマ(長谷川博己)という架空の人物を登場させ、あろうことかミカサのセフレに設定した。原作ファンが激怒するのは当たり前である。
実写版『進撃の巨人』
しかも演出が酷く、巨人に襲われて瓦礫と化した街を彷徨うエレンの歩き方は絶望者ではなく単なるヤク中のよう。おそらく演技者三浦春馬の中でも黒歴史だったろう。
映画監督というのは、演技者の魅力を引き出してこそ価値がある。また、原作モノをいかに改変しようと、そこには全体のストーリーと感動を統合できる「作家性」がなければならないと思う。
そうした意味で、この二人の監督、福田雄一氏と樋口真嗣氏は全く評価できない。
・・とまあ、非常に辛口になってしまったが、彼らがどこかで真のアーティストとして目覚める日を期待する。
/// end of the “cinemaアラカルト460「アンダーニンジャ」”///

(追伸)
岸波
「良い所もあった」と言いながら、言及するのを忘れていました(笑)
その一つは、何と言っても主演の山﨑賢人クンの演技力を再確認したこと。『KINGDOM』の信とは全く違うキャラを演じ、そして見事に演じ切っていました。やはり只者ではありませんね。
そして、脇役の忍者で登場した間宮祥太朗、宮世琉弥、岡山天音らの演技もまた素晴らしい。
NINの蜂谷(宮世琉弥)
特に、『KINGDOM』で信の幼馴染尾平を演じていた岡山天音クンは「抜け忍」という全く別のミステリアスな役を見事に演じてくれました。
抜け忍猿田(岡山天音)
そうそう・・主人公の九郎(山﨑賢人)は今回のラストであっさりUNの山田美月(演:山本千尋)に成敗されてしまうのですが、この後、雲隠十郎・・そして十一郎、十二郎という「同じ顔」の兄弟が原作に登場します。
その雲隠十郎として登場するシーンがエンディング・クレジット中に挿入されていました。
まだ「続き」を撮る気が満々かよ!・・でも、監督は替えた方がいいような気がしますけど。(笑)
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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『アンダーニンジャ』初日上映挨拶にて
(C)花沢健吾/講談社 (C)2025「アンダーニンジャ」製作委員会
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eメールはこちらへ または habane8@yahoo.co.jp まで!
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