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「チョコレート大作戦」(甘茶の音楽工房)
by 岸波(葉羽)【配信2025.2.8】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

<壮大な茶番劇>その第二章は
 天下分け目の東西対決へ――。

 このところフジTV系列の番組はACジャパンばかりのCMがウザいのでチャンネルを避けていました。

 ところが、たまたま晩飯時に『跳んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて』の全編ノーカット放映が始まり、あれよあれよと言う間に最後まで観てしまいました(笑)

翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて

(C)2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

 魔夜峰央の漫画『翔んで埼玉』を原作とした第一作は、興行収入37.5億円の大ヒットをかっ飛ばしたのはご承知のとおり。

 関東を牛耳る東京・神奈川から酷いディスりと迫害を受けていた埼玉県が麻実 麗(GACKT)率いる埼玉解放戦線の活躍により自由と平和を取り戻すストーリー。

 今回の続編は舞台を関西に移し、麻実 麗(GACKT)とその実弟桔梗 魁(杏/どう見ても女性にしか見えない男役)が協力し、都会指数が高い大阪・京都・神戸によって支配されている滋賀県の解放を目指します。

 さて、その内容は?

 

 関西の皆様
 飛び火してすんません。

 映画の冒頭、前作と同じように埼玉の田舎道を一台のワゴン車が走行中、「埼玉県の伝説第Ⅱ章」のラジオドラマが流れる。

 麻実 麗(GACKT)と壇ノ浦 百美(二階堂ふみ)の活躍で東京・神奈川の支配から解放された埼玉県だったが、県内の線路は東京から放射状に伸びていて「横の繋がり」が薄かった。

 また、県庁所在地を争う浦和市と大宮市の反目が激化しており、麻実と百美は県民の心を一つにするため、主要都市を横に結ぶ新路線の建設と、県民の悲願である「海」を越谷に作ることを提唱する。

翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて

(C)2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

 海を作るためにまずは「砂浜」ということで、南紀白浜の白砂を持ち帰るために麻実は船団を率いて和歌山を目指すが、途中大嵐に逢って船が転覆。

 独り海岸に打ち上げられた麻実は、都会指数が高い大阪・京都・神戸の植民地と化した滋賀解放戦線のリーダー、桔梗 魁(杏)と運命的な邂逅を遂げる。

  桔梗 魁と麻実 麗

 大阪府の知事嘉祥寺 晃(片岡愛之助)は、前任の知事が挫折した「大阪都構想」の復活にとどまらず大阪による全国支配を目論んでおり、そのための有力な手段が特産の「白い粉」による『粉モン』の普及だった。

 この「白い粉」を身体に入れると関西弁を喋るようになり、「なんでやねん!」というツッコミがしたくて止まらない怖ろしい「粉モン依存症」になってしまう(笑)

  粉モンの魔力

 さらに嘉祥寺知事は最終兵器として「通天閣」をミサイル化し、それを東京に打ち込んで「白い粉」をばら撒くという陰謀を巡らしていた。

 さて、麻実 麗(GACKT)と桔梗 魁(杏)は陰謀を阻止し、滋賀県の自由と平和を取り戻すことができるのか? はたまた県庁所在を争う浦和と大宮の決着や如何に!?

翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて

(C)2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

 いや~もう前作同様、観始めたら止まらない麻薬のようなハチャメチャ作品です。

 大阪は全国支配のために、各都道府県に政党支部を設置して政治面・文化面からの密かな侵略を進めており、全国は空前の「阪流ブーム」が吹き荒れて「大阪に不時着」、「心斎橋クラス」、「大阪ラブストーリー」などのTVドラマや「トラ柄」が大流行。

  大阪による文化侵略(笑)

 また、本来は兵庫県である甲子園球場を「大阪甲子園」として傘下に組み込み、その地下の特別収容所では、滋賀・和歌山・奈良から集められた奴隷によって「白い粉」の大量生成が進められている。

  "白い粉"精錬・強制収容所

 三重県は、そんな大阪の支配を逃れるために「東海地方」に逃げた・・というエピソードもあって大笑い。

そう言えば三重県は最近、「東海地方」に区分されることが多いような?

 また、前作でアメリカのマイアミビーチで寛ぐ少年時代の麻実 麗(GACKT)の映像が挿入され、「そうか、アメリカ育ちなんだ」と思わせましたが、実はその思い出は滋賀県のマイアミ浜(実在)であった事が明らかにされます。

  マイアミビーチの麗少年

 つまり麻実の実の父「埼玉デューク(京本政樹)」はかつて訪れた滋賀県で初代滋賀解放戦線のリーダー「滋賀のジャンヌダルク(高橋メアリージュン)」と結ばれ、麗と魁の兄弟をもうけて麗だけを埼玉に連れ帰ったのでした。

翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて

(C)2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

 滋賀県にたまたま「マイアミ浜」があったことにカコつけて、こんな見事なストーリーを追加した脚本家の才能に脱帽です。

  滋賀県マイアミ浜 

 このシリーズの面白さは、何と言ってもあのGACKTが真面目な顔をしてヘンな事をするところにあります。

  前作の「空気テイスティング」

 前作で壇ノ浦 百美(二階堂ふみ)が麗(GACKT)に恥をかかせようと「空気テイスティング」(※空気を嗅いで採取された東京の地名を当てる)させたシーンも爆笑でしたが、今回は麗が捕えられて「粉モン依存症」にさせられる迫真の演技がツボにハマります。

ツッコミしたくてたまらない衝動と闘う変顔の演技は最高。GACKTにココまでさせていいのかというレベル。

  依存症にされる麻実 麗

 また、前作にもあった「有名人対決」(※どちら出身の有名人が上か。今回は大阪・京都・神戸 VS 滋賀・和歌山・奈良)も秀逸。

 和歌山出身の明石家さんまを出されて苦境に陥った京都は何と「桓武天皇」を出すと言う掟破り(大笑)

  京都の切り札!?

 前作もそうでしたが出演俳優自体、実際の出身地に拘って選出されていて、大阪府知事役の片岡愛之助(大阪府出身)、神戸市長の藤原紀香(兵庫県出身)、京都府知事はどこかで見た顔だなと思ったら、京都出身の川﨑麻世(熱演!)でした。

翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて

(C)2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

 映画の終盤、通天閣のロケットが火を噴いて離陸し、これに対抗する麗の秘策として埼玉から迎撃ロケットを打ち上げるところがまた爆笑。

「埼玉にミサイルのような高い塔なんか無いぞ!」という登場人物たち。そこで登場したのが、埼玉の”行田田んぼアート”を俯瞰するためにつくられた「行田タワー」。

  行田田んぼアート

 これが火を噴いて打ち上げられるシーンは、腹を抱えて笑い転げました。

  迎撃ミサイルと化す行田タワー

 とにもかくにも、抱腹絶倒の「壮大な茶番劇」。苦難のフジTVもこの映画のノーカット版全編初放映で結構な視聴率を稼げたのではあるまいか。

 コンプライアンス問題はさておき、番組自体に罪はない・・と思いたいです。
 

/// end of the “cinemaアラカルト456「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」”///

 

(追伸)

岸波

 全て解決した後、埼玉には主要都市を横に繋ぐ「武蔵野線」が開通。

 「武蔵野線」

 この「武蔵野線」、その東の行く先はちゃっかりと「ネズミーランド」(※ディズニーランド)のシンデレラ城に引き込まれていて大笑い。

 また、エンディングロールを見ていたら突然画面が暗転し、「ハイどうも~!」と現れたのがお笑いコンビのミルクボーイ。

 アレアレアレと思ううち、約2分間にわたって滋賀県をイジるネタをぶちかましました。

  ミルクボーイ

 調べてみると、ミルクボーイの内海崇は兵庫県出身、駒場孝は大阪府出身ですが、二人とも大阪芸術大学卒業で、原作者の魔夜峰央の後輩だそうです。

 こんな演出も粋ですねぇ。いやぁいい映画だった(笑)

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

行田田んぼアートの『翔んで埼玉』続編公開記念コラボ

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト457” coming soon!

 

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