こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
その結末は、
あなたの想像を超えている
Amaon Primeで2015年にテレビ朝日系で放映された上川隆也主演の法廷ミステリ『最後の証人』を鑑賞しました。
これにハマって、引き続き第二作から最終第五作(2020年)まで一気見です。
それほどに上川隆也演じる主人公佐方貞人が魅力的であったことと、緻密でありながら奇想天外なストーリーが心に刺さったのです。
その原作を書いたのが山形市在住のミステリ作家柚月裕子。
公判部検事からやがてヤメ検弁護士となる佐方貞人を主人公としたシリーズは、第一作『最後の証人』が2010年5月、そして2019年までに中・短編集『検事の本懐』、『検事の死命』、『検事の信義』の四作が発表され、そこから五本がドラマSP化。
TVでは見逃していた、こんな良作が視聴できたことをアマプラに感謝です。
さて、その内容は?

「このミステリーがすごい」大賞
受賞作家による衝撃の法廷サスペンス!
ドラマの冒頭、米崎市(架空の市)のホテルの一室で、地元の名士島津邦明(大杉漣)が不倫相手の浜田美津子(紺野まひる)と別れ話から口論を始める。
逆上した美津子がディナーナイフを取り上げて島津に迫ったところで画面が切り替わり、翌日、美津子はナイフで心臓を一突きされた死体で発見される。
被害者浜田美津子(紺野まひる)
監視カメラの映像から、死亡推定時刻の前後に入室したのは二人とルームサービスのウェイターのみ。部屋の指紋や浴衣の返り血など全ては島津の犯行を指し示していた。
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逮捕された島津の第一回公判が始まる前日、ヤメ検弁護士の佐方貞人(上川隆也)が弁護を依頼されて面会すると、島津は無罪を主張。
勝算は無く、犯行を認めて量刑で争うべきという新米弁護士小坂(倉科カナ)の主張を退け、佐方は「分かった。ただし絶対に嘘はつくな」と念を押して弁護を受ける。
佐方貞人(上川隆也)
事件の調査が進むと、被害者美津子は7年前に交通事故で長男を亡くし、夫である医師の高瀬(石黒賢)と離婚していた事が判明。
だが不思議なことに、7年前の事件を洗おうとすると、警察・検察とも非協力的な態度に終始し、一向に事態が見えてこない。
警察そして検察は何を隠そうとしているのか。そして今回の刺殺事件との関連は。はたまた佐方の考える”見えない真犯人”とは如何に!?
そんな進行ですが、裁判は弁護士の佐方にとって圧倒的に不利な状況。無実を訴える島津(大杉漣)の言を信じるとすれば真犯人の解明が必要だが、全く手がかりは出てこない。
原作者である作家柚月裕子が、どんなどんでん返しを用意しているのか興味をそそられます。
また、捜査を進めていくと、地元の名士である容疑者島津は本当に嫌な奴で、仮に真犯人でなくとも、そのまま死刑・無期になればいいと思わせる。
さすがの名演技!
容疑者島津(大杉漣)
しかし佐方は「事件は真っ当に裁かれなければならない」という信念の下、一つずつ隠された真実を積み上げていく・・孤立無援の中で。
裁判の転換点となるのは、7年前の交通事故の加害者が今回の被疑者津島本人であり、当時公安委員長であった彼は警察に圧力をかけて自分の信号無視を隠蔽していた事実の発覚。
佐方と弁護士小坂(倉科カナ)
ならば、津島に最も恨みを持つ者は、子供を事故で殺された上、妻と不倫された医師の高瀬(石黒賢)?
佐方は「最後の証人」として高瀬を召喚。その証人尋問で、誰もが思いもよらなかった驚愕の真相、そして真犯人が明らかにされる・・。(島津でも高瀬でもない。もちろんホテルのウェイターでもない。)
いやぁ、このラストシーンは泣けます。そして高瀬も犯人ではなかった・・この意外性。完全に作家にしてやられました。「このミステリーがすごい」大賞受賞も納得。(真犯人はあえて書きません。)
あまりの感動に「佐方シリーズ」のドラマSPを五作まで一気見したのですが、小説第二作『検事の本懐』も2013年に大藪春彦賞を受賞するなど、いずれも珠玉の作品。
柚月裕子
そこで作家柚月裕子について調べてみると、1968年釜石市出身の56歳。父の転勤に伴って山形市に移住し、結婚してそのまま山形市に定住。2016年に(映画にもなった)『虎狼の血』で日本推理作家協会賞を受賞しました。
東日本大震災で実家が流され、父と育ての親の義母を同時に失った。(切ないなぁ)
彼女の凄い所は、検察の世界や法律について徹底的にリサーチして物語を書き上げているところ。そのディテールが迫真性を訴えて来ます。
また、登場人物の人間的な背景が丁寧に描かれているので、その行動に対して共感が得られるのです。
ドラマ終盤での佐方の言葉、「誰でも過ちは犯す。しかし、一度ならば過ちだが、二度は違う。二度目に犯した過ちはその人間の生き方だ」・・胸に刺さったこの言葉も原作の力です。
こんな近くに、凄い作家がいたんですね。一度、会いに行きたいくらいだ(笑)
/// end of the “cinemaアラカルト454「最後の証人」”///

(追伸)
岸波
柚月裕子氏は、子供の頃からシャーロックホームズの大ファンで、日本の作家では横山秀夫氏を尊敬していたとのこと。
その横山氏が第一作『最後の証人』を刊行する際、本の帯にこんな推薦文を寄せました。
こんな女になら
殺されてもいい。……横山秀雄(作家)
横山氏は、めったに推薦文をよせないということで知られていたため、推薦文の掲載が決定した時は信じられず「本当ですか?」と何度も編集者に確認したといいます。
よほど嬉しかったんでしょうね。
あれぇ、コレってもしや「真犯人」についてネタバレしてる?(笑)
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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ドラマを受けた学生対象の模擬裁判にて
(C)2015 テレビ朝日・東映
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