こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
ゴダールが発見した”最後のヌーヴェル・ヴァーグ”
――ジャン・ユスターシュ
これは、1973年公開のジャン・ユスターシュ監督『ママと娼婦』のキャッチコピー。
今週の当番は、カリスマ彰氏です。
3時間40分って現代なら二部構成になるような長大映画ですが、さて、その内容は?
◆『ママと娼婦』(1973年 ジャン・ユスターシュ監督 3時間40分)
レオス・カラックスをして
”「ママと娼婦」は狂気の映画だ”
と言わしめた3時間40分にも及ぶ強烈な青春映画。
カリスマ彰 昨年(2024年)6月にTVのザ・シネマでジャン・ユスターシュ監督の特集があって、そのときは「サンタクロースの目は青い」(1963年)、「悪い仲間」(1963年)の2本の短編と最後の長編映画「私の小さな恋人たち」(1974年)を録画して見た。(それに関してはすでに紹介した。)
実はユスターシュの最高傑作と言われる「ママと娼婦」(1973年)は録画し損ねていたのだが、再放送を録画して見ることができた。
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あらすじと概要は以下の通り。
◆『ママと娼婦』(1973年)のあらすじと概要 (allcimemaによる)
モノクロ16ミリ、撮影レンズは50ミリのみという、製作当時としても極めて時代逆行的な方法で作られた作品で3時間40分にも及ぶ。
いわゆる「ヒモ」のどうしようもない男と母性的な年上の女、娼婦のごとき若い看護師との恋愛模様が、内省的というよりもただだらだらした展開で描かれているのに、なぜこんなに面白いのだろう。それこそが、この若くして自殺したユスターシュ(1938.11.5〜1981.11.5 享年42)の不可思議さだ。
カフェで毎日を無為に送る青年アレクサンドル(ジャン=ピエール・レオ)は、ブティックを経営するマリー(ベルナデット・ラフォン)の部屋に居候している。彼はつきあっていた女にフラれるとすぐに看護師ヴェロニカ(フランソワーズ・ルブラン)に声をかけ親しくなる。そのことを報告すると、マリーは一度は嫉妬しながらもすぐに許してしまう。やがて三人の奇妙な共同生活が始まり、皆がベッドを共にすることもありながら、それぞれの孤独、諍い、恐怖が錯綜し、彼らは絶望的に疲れてゆく……。
68年の5月革命に敗れた若者たちを端的に捉えた作品と評されるが、ここに表される心象は実に普遍的なものではなかろうか。だからこそ、観る人によってはこの4時間弱が瞬く間に過ぎ去ってしまうのだ。 |
それにしても、長い。私の場合は見終わるのに2日間かかった。ゴダールとトリュフォーを足したような映画である。
そしておそらくユスターシュの自伝映画なのだろう。この映画にも、長髪で眼鏡をかけ痩せたアレクサンドルの友人として出演している。
ジャン・ユスターシュ
カフェドゥマゴ、カフェフロール、クーポールなどの画家、哲学者の溜まり場になった有名飲食店が待ち合わせ場所として登場して実に懐かしい。「サルトルがいるぜ」なんていう台詞もある。
ドキュメントと映画の境界線を描くというユスターシュの理論が実践されているようだ。マリーのモデルになった女性は試写を見た後絶望して自殺したという。
それにしても、この2人の女は怖い。特にヴェロニカの怖さは格別だ。当時ユスターシュ監督の恋人だと言われた女優だ。
なおこの2人は脱ぎっぷりもいい。この映画は「ザ・フランス映画」と言っていい。
暗さ(厭世)と死への憧れを内に秘めながら自分の存在証明をしなければ生きられない人間を描ききっているからだ。
傑作なのは分かるが、老い先短い私は2度と見ないだろう。
/// end of the “cinemaアラカルト451「確かに傑作だがとにかく長い
ユスターシュ監督の「ママと娼婦」」”///
(追伸)
岸波
うん、この破滅主義はある意味、典型的なフランス映画だね。
昔、アラン・ドロンの映画を観まくっていた頃、『栗色のマッドレー』(1970年)が同じ「男一人・女二人の生活」の破滅を描いたものだった。
コッチの方が3年早いんだな。おそらくフランスに昔からあるパターンの一つなのだろう。
共感できる部分はないし、感動もカタルシスも無いし、「イヤミス」って言葉があるがただの「イヤ映画」(見た後、嫌な気持ちになる映画)だった。
その辺りからフランス映画に対する疑問が湧いて、あまり観なくなった。
この映画については、勧められても見ないだろう。お金をくれると言うなら・・う~ん考えとく(笑)
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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