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「Takeoff」(佑樹のMusic-Room)
by 岸波(葉羽)【配信2024.6.29】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 B級以上名作以下、だけど忘れられない映画

 このキャッチコピー、イケてるでしょう? 僕がまだ20代後半の頃、劇場で観て大感激した『カリフォルニア・ドールズ』をアマプラで再見しました。

 で、上の惹句は公式のものではなく、アマプラのビューワーの一人が書き込んでいた感想記事のタイトル。

 まさにこの映画の魅力をズバリと言い表しています。

カリフォルニア・ドールズ

(C) 1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved

 ドサ廻りを続ける女子プロレスのタッグチーム「カリフォルニア・ドールズ」の二人と決して夢を諦めない老マネージャーの物語。

 老マネージャーに扮するのは、刑事コロンボのTVシリーズが終了した直後の名優ピーター・フォーク。

 監督は”駄作が一本もない”と言われる名匠ロバート・アルドリッチ。ということで、さっそく内容です。

 

 愛と怒りと涙と笑い、
 この人生の全てをかけて彼女たちはリングに立つ!

 映画の冒頭、地方の女子プロレス興行にゲストで参加しているカリフォルニア・ドールズの試合風景。

 ラフな闘いを制したのはドールズ。しかし・・・

カリフォルニア・ドールズ

(C) 1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved

 マネージャーのハリー(ピーター・フォーク)がファイトマネーを貰いに行くと、プロモーターは240ドルだと。

「彼女たちに取って10ドルは大金なんだ」と約束どおりの250ドルをかけ合うハリーだが相手にされず。

 各地を転戦してわずかなファイトマネーを稼ぐ彼らだが、いつかチャンピオンになって大金を稼ぐ夢だけは失っていない。

  ポンコツ車がエンスト

 ある興行でイカサマの負けを命じられた彼女らは、あまりのラフプレーにぶち切れてチャンピオンをノックアウトしてしまう。(ノンタイトル戦)

 チャンピオンの黒人チーム、トレド・タイガースは退くに引けず、レフェリーを買収した再選で汚く勝利し、以後、両チームは宿敵の間柄となる。

  試合でのドールズ

 やがて雌雄を決するチャンピオンシップ・マッチが組まれるが、悪徳プロモーターはまたもレフェリーを抱き込み、必ずトレド・タイガースを勝たせるように指示。

 絶対に勝てない試合に臨むカリフォルニア・ドールズ。さて、彼女らの運命は?

カリフォルニア・ドールズ

(C) 1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved

 いや~懐かしい。そして初見の感動が蘇りました。

 1981年公開なので既に40年以上も前。対戦を求めて巡業するロードサイドや街中は、古き良きアメリカの風景に満ちています。古めかしいBGMもまた良し。

 ピーター・フォーク演じるハリーは、一生懸命だけれど運がないダメダメなマネージャー。彼とドールズのけなし合いが腹を抱えるほど面白く、脚本(メル・フローマン)は文句なし。

 そしてカメラワークですが、下の写真をご覧ください。(↓)

 

 ハリーが悪徳プロモーターにファイトマネーを値切られて抗議しているシーンですが、よく見ると鏡の中に不安そうに見つめる二人のドールズが写り込んでいる。心憎い!

 監督のロバート・アルドリッチは、元々こういう分野が得意で、ボクシングの八百長試合を描いたロバート・ライアンの「罠」、カーク・ダグラスの「チャンピオン」など佳作揃い。

  ロバート・アルドリッチ

 この映画はアメリカ本国ではコケましたが、日本やヨーロッパなど海外では大ウケで、トータルではかなりの興行収入を叩き出し、アルドリッチは第二作の日本遠征編を計画しましたが急逝し、結果「遺作」となりました。

本作中にも日本プロレスラー、ミミ萩原&ジャンボ堀とのタッグマッチが盛り込まれています。日本びいきだったんですね。

 で、なんと言っても主人公ドールズの二人、アイリス(ヴィッキー・フレデリック)とモリ―(ローレン・ランドン)が美しく、そしてアグレッシブ。

カリフォルニア・ドールズ

(C) 1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved

 画面をよく見ましたが、吹き替えをしているフシはなく、生身で空中殺法やブレーンバスターなどの大技をこなしています。

 中でも圧巻は、ラストシーンの残り時間数秒で二人揃って決めたローリング・クラッチ・ホールド。

  ロープ外からの回転海老固め

 昭和のプロレス中継で、火の玉小僧と呼ばれた吉村道明が茶の間を魅了した決め技「回転海老固め」、あの大技ですよ。

  中央が吉村道明

 もうスクリーンの中の観衆も総立ち、スクリーンのコッチ側の観客も皆「おーー!」と叫んで拳を振り上げたものです。(初見時)

カリフォルニア・ドールズ

(C) 1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved

 なにせ、そこに至るまでの宿敵トレド・タイガースのラフプレーが常軌を逸している・・目つぶし攻撃や首絞め(チョーク)攻撃、挙句は髪の毛を掴んで振り回したり、ニ対一の反則攻撃まで。

 しかもレフェリーは見て見ぬ振りでタイガースがフォールされてもカウントを取らずによそ見する。コリャ酷い!!

  カウントしないレフェリー

 ・・と書いてきて気づきましたが、昔のプロレス中継ってこうでしたよね。まあ、全てはショーの出来試合だったのかもしれませんが。

 当時健在だったウチの婆ちゃんは、口角泡を飛ばしてTVに喰ってかかってましたっけ(笑)

 そう・・まさにあの興奮。同じ年代の御同輩は皆さん、経験がおありでしょう。

 そんなワケで、『B級以上名作以下、だけど忘れられない映画』とタイトリングした感想記事に大きく頷いた僕なのでした(笑)

 

/// end of the “cinemaアラカルト423「カリフォルニア・ドールズ」”///

 

(追伸)

岸波

 思い出深いシーンが外にもありましたね。ドールズとタイガースの試合のアレンジ権を持つ悪徳プロモーターは、タイトルマッチを組む見返りにアイリスとのデートを求めるのです。

 朝帰りのアイリスを問い詰めて激怒し、殴ってしまうハリー。「私たちみんなの夢のためよ!」と泣きながらシャワーを浴びるアイリス・・グッときました。

 あ、そうそう・・上でも触れたミミ萩原&ジャンボ堀の登場シーンがコチラ。

  ミミ萩原&ジャンボ堀コンビ

 笑ってしまうのが彼女らタッグのリング・ネーム・・なんと「ゲイシャ」なのです。

 やはりアルドリッチ監督、日本びいきですよね(笑)

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

カリフォルニア・ドールズ

(C) 1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト424” coming soon!

 

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