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「AUTUMN」(Music Material)
by 岸波(葉羽)【配信2024.6.15】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 ようこそ、地上600mの絶望へ

 昨年2月、コロナ禍の中で劇場行きを断念していた『FALL フォール』をアマプラで鑑賞しました。

 高所恐怖症の人は絶対見てはいけない映画。かく言う僕は、極端な高所恐怖症なのに怖いトコが大好きというこじらせ性格なのであります。

 いやぁ、映画を思い出しただけで、腿から下にゾワゾワと悪寒が駆け抜けます。

FALL フォール

(C)2022 FALL MOVIE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 メガホンをとったのは、『ファイナルスコア』でサッカー場版ダイ・ハードと呼ばれる心臓ヒリヒリの映画を撮ったスコット・マン。

 舞台は地上600mの鉄塔上。そこで孤立した通信方法無し・食糧無し・水無しの女性クライマー2名。

 え?これで映画が成立するの・・とお思いでしょうがご安心召され。107分全編、目が釘付けにされることウケアイ。

 ということで、さっそく内容です。

 

 高所恐怖症の方は要注意
 シンプルな設定が怖い縦落ち系サバイバル・サスペンス

 映画の冒頭、男性一人・女性二人のフリークライマーが目もくらむような高山の崖登りに挑戦中。

 ここはもう"お約束"と言わんばかりにトラブルが発生。男性が落下し、スクリーンの中も観客も大悲鳴。

FALL フォール

(C)2022 FALL MOVIE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 事故で夫を失ったベッキー(グレイス・キャロライン・カリー)は一年が過ぎても夫ダンのことが忘れられず酒浸りの毎日。

 荒れた娘を気遣って父親のジェームズ(ジェフリー・ディーン・モーガン)は、過去を忘れて前向きに生きろと諭すが、ベッキーは聞く耳を持たない。

 そんなある日、一事故に遭遇して以来、音信を断っていた親友のハンター(ヴァージニア・ガードナー)が新たな提案を持ってベッキーを訪れる。

  ホントに登るの?

 老朽化して解体間近の地上600m、超高層鉄塔「B67テレビ塔」に二人でクライミングし、頂上からダンの遺灰を撒こうと言うのだ。

 ハンターは音信を断って以来、デンジャラス系ユーチューバーとしてフォロワー6万人7のインフルエンサーになっていた。一部始終を動画投稿し、視聴数を稼ごうと言う思惑も持っていた。

  録画中のハンター

 二人は荒野にそびえる「B67テレビ塔」に到着。「危険!立ち入り禁止」の看板も何のその。そこを乗り越えて上空を見上げると、まさに天を衝く威容。

 酒に溺れた生活を送っていたベッキーは躊躇し止めようと提案するが、ハンターに引きずられて上空を目指す。

 しかし、頂上の直径1mの足場に到達して危険なポーズを収録、いざ降りようとした刹那、老朽化した梯子が崩落して二人は地上600mに取り残される。

  あ~れ~!!

 地上では繋がっていたスマホも電波が入らず、水も携帯ドローンも20m下のアンテナに落下して孤立無援に。

 さて、誰にも連絡していない、通信手段もない二人の運命や如何に!?

FALL フォール

(C)2022 FALL MOVIE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 と、そんなストーリーなのですが、オープニングのクライミング事故も含めて、手に汗握りっぱなし。

 最初は寝転がって軽い気持ちで観始めたのですが、むくッと起き上がり、目を皿のようにして見続けました。

 考えてみれば、二人の行動はあまりに無鉄砲。そもそも行く先を誰にも連絡していなかったり、タンクトップに短パン、水筒一つという無装備でクライミング。

 

「そんなの、自業自得だ」という考えがよぎりますが、進行する圧倒的な恐怖の前に、そんな細かいことは全て吹っ飛んでしまう。

 手持ちの15mのロープを使っても、ドローンの入ったリュックがある20m下のアンテナまでは届かない。

 

 決死の覚悟で飛び降りるが、今度は上まで戻れない。リュックにあった自撮り棒を使って何とか上まで戻るが、今度はバッテリーの電池切れで飛ばせない。そこにハゲワシも襲ってくる。

 果ては、ハンターがベッキーの夫ダンと不倫していたことまで露見し、直径1mの上で二人の仲が険悪に・・もう、気の休まる暇がありません。

  上の突端から電源を得ようと‥

 こんな凄い映像・・でもきっとCGだよねと思ったらさに非ず。もちろん600mの鉄塔そのものではありませんが、モハベ砂漠にある断崖の端っこに高さ30mの鉄塔上部を構築して撮影したとのこと。

 えええ~ 上空から見た遥かな地上は本物なんだ!!と驚愕した次第。

FALL フォール

(C)2022 FALL MOVIE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 映画のシーンを思い出すと震えが止まりません。それにしてもこの女優二人、よくもあんな危険な演技ができたものだ(汗)

 600mと言えば、エッフェル塔や東京タワーの倍近くの高さ。そう・・あのスカイツリー(634m)に匹敵する高度。

スカイツリーを634mにしたのは、この地域がかつて「武蔵(ムサシ)の国」だったため。

  スカイツリー

 こんなバカな事、実際にはありえないよな・・と思っていましたが、こちらもさに非ず。

 今回の「B67テレビ塔」のモデルになったカリフォルニア州の「サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワー」(625m)には命知らずの侵入者が後をたたず、彼らは頂上からジャンプスーツ一つで飛び降りて帰って来るとのこと。

  サクラメント・J・V・タワー

 つまり「絵空事」ではなく、アメリカにはこういう危険な行為を平気でする者たちが実際にいるのです。

FALL フォール

(C)2022 FALL MOVIE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 そしてその制作費ですが、主な登場人物が二人だけ、舞台は主に半径1mの足場上というワン・シチュエーション・スリラーであるため、格安の300万ドル。

 これで、全世界興行収入1700万ドルを稼ぎだしたというのですから驚きです。

 

 シチュエーション設定の旨さもさることながら、二人の女優の緊迫の演技が功を奏したと言っても過言ではありますまい。

 映画の終盤、恐ろしい暗転が待ち受けています。ここは映画の”肝”なので書きませんが、身の毛がよだつこと間違いなし。

 さて、二人を待ち受ける運命は?

 今ならアマプラで、無料視聴が可能です。

 

/// end of the “cinemaアラカルト421「FALL フォール」”///

 

(追伸)

岸波

 高さのスリラーと言えば、1974年8月、当時のワールド・トレード・センターの双子ビルの上空を綱渡りで渡った実話を映画化した『ザ・ウォーク』(2016年公開/123分)が思い出されます。

 高所恐怖症なのに怖いトコ大好きな僕にとっては垂涎の作品ですが、現在は有料配信になっているので、まだ観ていません。

 それと、僕と同じようなこじらせ趣味をお持ちの方には、葉羽のコーヒーブレイクその77「長空桟道」で、目もくらむようなエア・ウォーク(参拝?)をしている人達を採り上げていますので、是非ご覧くださいませ。

 ※葉羽のコーヒーブレイクその77「長空桟道」>>

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

FALL フォール

(C)2022 FALL MOVIE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト422” coming soon!

 

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