こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
この恋、時価1億ドル!
Amazon primeでピアーズ・ブロスナン制作・主演の『トーマス・クラウン・アフェアー』を視聴いたしました。
トーマス・クラウン事件と言えば忘れられないのが、1968年、スティーヴ・マックィーンとフェイ・ダナウェイが主演したアクション・コメディ『華麗なる賭け』。
そう、この映画は『華麗なる賭け』のリメイク作品なのです。
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トーマス・クラウン・アフェアー
(C)1999 MGM
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トーマス・クラウンという男、ハンサムでジェントルマンで大金持ち、それなのに趣味は”泥棒”というトンデモナイ食わせ物。
そんな大泥棒が、こともあろうに事件を担当する保険調査員に本気の恋をした。
さあ、この恋の結末どうなるどうなる?・・という面白ストーリー。
さて、ピアース・ブロスナンの演技や如何に?
誰にも心を許さない男と女――
運命を賭けた駆け引きが始まった…
映画の冒頭、トーマス・クラウン(ピアース・ブロスナン)は精神科医(フェイ・ダナウェイ)のカウンセリングを受けている。
精神科医(フェイ・ダナウェイ)
「貴方は他人に心を許さない冷徹さが性格の欠点。そしてそれは何らかのトラウマに起因している。」と指摘を受ける。
ある朝の出勤途中、彼はマンハッタンのメトロポリタン美術館に足を運び、ソファーに座って持参したパンを齧りながら絵を堪能する。そう、これが投資会社を経営し大富豪である彼の日課なのだ。
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トーマス・クラウン・アフェアー
(C)1999 MGM
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と、その美術館に4人組の泥棒が侵入。彼らは捉えられるが、そのドサクサの中、モネの名画が忽然と消え失せる。 あらららら・・。
盗難事件を担当する刑事の前に表れたのが、絵にかけられた保険金の会社から派遣された美人調査員キャサリン(レネ・ルッソ)。
キャサリン(レネ・ルッソ)
彼女は4人組の泥棒は陽動で、当日美術館に居合わせたトーマス・クラウンが真犯人ではないかと推測する。
トーマス本人に会って話をする中でそれは確信に代わり、キャサリンは合鍵を作ってトーマスの家に侵入。盗まれたモネの絵を発見して持ち帰るが何とそれは贋作。まんまとしてやられたのだ。
繰り返し逢ううちに次第にトーマスを愛し始めるキャサリン。トーマスもまた「貴方は泥棒でしょう」ときっぱり言って来る大胆な彼女に心惹かれていく。
トーマスとキャサリン
二人はベッドを共にする仲になるが、ある日、トーマスが若い女性アンナ(エスター・カニャーダス)を連れ立って舞踏会に行ったことをキャッチ。
キャサリンは舞踏会に乱入して、無理やりアンナとパートナー・チェンジしてトーマスと踊る。うん、激情型なのだ。
トーマスとアンナ
事件後、キャサリンは再び「モネ盗難事件」の調査を始め、トーマスが犯人である動かぬ証拠を突き止める。
これに観念したトーマスは、「絵は美術館に返す。財産を全て処分するから二人で逃げよう。」と相談を持ちかける。(簡単やな!)
一度はその気になったキャサリンだが、その後もトーマスがアンナと密会している情報を得て逆切れ。ニューヨーク市警に通報して、トーマスが絵を返すと言ったその日、大量の私服警官が美術館に待機する事態に。
さて、この厳重な警戒の中、トーマスはどうやって絵を美術館に戻すのか? はたまた二人の運命や如何に!?
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トーマス・クラウン・アフェアー
(C)1999 MGM
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いやあ、このラストの緊迫感、凄いです。「ルパン三世」や「キャッツ・アイ」なら絵を盗むだけですが、この映画では”絵を返す”というヒネリが素晴らしい。
元の作品、1968年の『華麗なる賭け』のトーマス(スティーヴ・マックィーン)は、同じ大富豪でも銀行強盗が道楽というキャラでしたが、こちらは絵画泥棒。この方が”おしゃれ泥棒”ですよね。
そして、『華麗なる賭け』はアクション・コメディですが、『トーマス・クラウン・アフェアー』は大人のロマン・サスペンス。そんな役柄にピアーズ・ブロスナンの男の色気がピッタリです。
『華麗なる賭け』
また、冒頭に女性精神科医が登場しますが、これが『華麗なる賭け』ではキャサリンを演じていたフェイ・ダナウェイというところが心憎い。
原作をリスペクトしているというブロスナンのメッセージではないでしょうか。
そして、メトロポリタン美術館。僕はアメリカに行った時、ワシントンD.C.のスミソニアン国立航空宇宙博物館に展示されているアポロ宇宙船(実物)は見に行きましたが、できれば足を伸ばして是非行きたかった場所。
スミソニアン博物館
冒頭シーンでトーマスはパンを頬張りながら正面の「干し草」を鑑賞していますが、実はその右壁に架けられていたのが盗まれたモネの「黄昏、ヴェネツィア」です。
「黄昏、ヴェネツィア」モネ
なお、映画の中では正面の絵を「干し草」と呼んでいますが、あれはゴッホの「昼、休息」でしたね。
そういう”愛称”があるのかもしれませんが。
「昼、休息」ゴッホ
それにしても、よく分からないのが保険調査員キャサリン。美人で大胆で直情型でよくキレる(笑)
初登場の時はクールで頭脳明晰な女性でしたが、トーマスに恋してからはもうメロメロ。嫉妬に狂う女になって性格も表情も一変。
そもそも彼が庇護下に置いているアンナは恋人などではなく、投獄された裏仕事仲間の贋作画家の娘を親代わりで預かったもの。
アンナ
ところが血は争えず、このアンナは父親以上の画才があったので、トーマスは彼女に贋作を描かせ、盗み出した名画の代わりに彼女の描いた贋作を架けて来るというのが、泥棒道楽の真骨頂。
そりゃあ自分のことはゲロっても、アンナの事は言えないですね。親友の娘に累が及んでしまいますからネ。
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トーマス・クラウン・アフェアー
(C)1999 MGM
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でも終盤、キャサリンはニューヨーク市警に通報した後でアンナの事実を知ることになります。深く後悔の念に苛まれるキャサリン。
もはやトーマスに捕まって欲しくないと思いながら、警察は既に鉄壁の防御体制。この辺りも終盤のサスペンス盛り上げに一役買っています。
そして、椅子から転げ落ちるほどビックリしたのが、トーマスがモネを返したトリック。これは流石に考えつかなかった。いくらネタバレ解説でもそこだけは書けません(笑)
鉄壁の警備体制
最後に一つだけ。こんなに面白い映画にいま一つ感情移入できなかった理由。
あんのかい!
それは、キャサリン役レネ・ルッソにあまり魅力を感じなかったこと。
こちらはクール・キャサリン
マーベル映画の『マイティ・ソー』の実母フリッガなどを演じている売れっ子女優ですが、今回の映画で嫉妬に狂う女になってからのキャサリンはあまりにも醜い。(それも演技と言ってしまえばそれまでですが。)
なので、そんな彼女を愛し続けるトーマスの気が知れない(笑)
この損な役柄を『華麗なる賭け』のフェイ・ダナウェイはどう演じていたのかなぁ・・もう忘れましたが。
『華麗なる賭け』
で、興味を持って調べましたら、レネ・ルッソはそもそも幼少期から双極性障害を患っていたのだそうです。昔で言う躁鬱症でしょうか。
だから、激情に駆られた姿があんなに痛々しいのか・・と、同情を感じた次第。
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トーマス・クラウン・アフェアー
(C)1999 MGM
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映画のラストシーン。キャサリンは逃避行のためトーマスから貰っていた搭乗券を手に空港へ。(やっぱり思い直したんだ・・)
しかし、指定された座席にトーマスの姿はなく泣き崩れるキャサリン。
そんな彼女に後ろの席からハンカチが差し出され「お嬢さん、そんな泣くことはないですよ」と・・。
う~ん、じつにオシャレな映画でした!!
/// end of the “cinemaアラカルト394「トーマス・クラウン・アフェアー」”///
(追伸)
岸波
うーん、これはピアーズ・ブロスナンの”男の色気”爆発の映画でしたね。
彼は1953年生まれだから・・ええ~ 僕のいっこ上!? 同世代かよ!
それでもって、この映画出演が今から24年前だから当時40代半ばか・・。
24年前の僕にこんな色気があったかな?うむむむむ。←(張り合うのがムリ!)
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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トーマス・クラウン・アフェアー
(C)1999 MGM
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