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「Freezing Conflagration」(佑樹のMusic-Room
by 岸波(葉羽)【配信2023.12.2】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 戦後、日本。
 無(む)から負(マイナス)へ。

 久方ぶりにケイ子と劇場へ足を運びました。目的はもちろんあの『ゴジラ-1.0』。

 と言うのも、タケヒコオーナーから「ゴジラー1.0良かったよ~。迫力もさることながら、今回ストーリーも良かった! ゴジラ見て・・初めて泣いたよ!」と報告があったからです。

ゴジラ-1.0

C)2023 TOHO CO.,LTD.

 なにっ、泣いたって!? 今回はそういう話なのか? 『シン・ゴジラ』では泣くようなシーンは一切出てこなかったのに? うむぅ・・。

 今回は、ゴジラ生誕70周年記念作品。監督は『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズや『永遠の0』で観客の涙を絞った山崎貴監督。

 そして主演は、神木隆之介$浜辺美波の『らんまん』名コンビ・・なるほど、そういうことか。この布陣なら胸アツ間違いなし。

 では早速、映画の内容を。

 

 生きて、抗え。

 映画の冒頭は太平洋戦争末期、1945年の小笠原諸島大戸島。特攻隊に出撃したゼロ戦パイロットの敷島(神木隆之介)は機体不良のため、同島の守備隊基地に帰還。

大戸島は架空の島。第一作『ゴジラ』(1954年)でも登場した海神「呉爾羅(ゴジラ)」伝説が伝わる島。

 しかし、整備班長の橘宗作(青木崇高)は故障個所など見当たらないことに疑念を抱く。

ゴジラ-1.0

C)2023 TOHO CO.,LTD.

 海面に多くの深海魚の死骸が浮かび上がってきたその日の夜、伝説のゴジラが基地を襲う。

 敷島は橘班長にゼロ戦での機銃掃射を命じるが、恐怖のあまり引き鉄を引くことができず、敷島と橘を残して全滅。橘は死んだ守備隊員が携えていた家族写真を敷島に託す。

 

 かくして、特攻隊から一人離脱して戦友たちを失った敷島は、ここでも仲間を犠牲に生き残り、大きなトラウマを背負うことになる。

 敗戦後、本土に戻った敷島は焦土と化した東京で、隣人の太田澄子(安藤サクラ)から、「生きて帰って来て」と手紙をよこした母親が家族もろとも死んだことを告げられる。全ての希望を失う敷島・・。

  敷島と典子(浜辺美波)

 そんな敷島の下に空襲で両親を亡くした典子(浜辺美波)が赤ん坊を連れて転がり込む。「自分にはお前たちの面倒を見れる余裕などない」という敷島に「じゃあ、パンパンにでもなれと言うのか」という典子。(※パンパンは米軍相手の売春婦)

 典子が連れた赤ん坊は典子の子ではなく、空襲で死にゆく見知らぬ母親から託されたものだった。隣人の太田澄子(安藤サクラ)は、僅かな食糧から二人に米を分け与え、敷島と典子は同居して暮らすことになる。

  隣人の太田澄子(安藤サクラ)

 やがて敷島は、残存機雷の撤去という危険だが収入の良い仕事に就き、船長の秋津(佐々木蔵之介)、元技術士官の野田(吉岡秀隆)、若手船員の水島(山田裕貴)らと掃海艇「新生丸」で海に出る。

  若手船員の水島(山田裕貴)

 そんな中、アメリカの駆逐艦ランカスターが巨大未確認生物(ゴジラ)によって沈没させられる事件が起きる。しかし、GHQのマッカーサーは、対ソ連関係の緊張が深まる中、軍事行動は起こせないとして、ゴジラ対策を日本に丸投げ。

 しかし、日本の海軍は解体されており、シンガポールで艦船修理に当たっていた巡洋艦「高尾」が寄港するまで対処する手段がない。

 新生丸」とゴジラ

 「高尾」帰還までの苦肉の策として、機雷を収集した掃海艇「新生丸」を中心に民間の力で時間稼ぎをするよう依頼される。

 そしてある日、太平洋に大量の深海魚の死骸が確認される。さて、「民間の力」はゴジラを押しとどめることができるのか? はたまた、またもゴジラに書き込まれた敷島、そして典子と赤ん坊の運命や如何に!?

ゴジラ-1.0

C)2023 TOHO CO.,LTD.

 いやぁコレ、タケヒコオーナーが言うとおり、何度も泣かせられました。特攻隊崩れの敷島を演じる神木隆之介クンの演技に鬼気迫るものがあって、その苦しみや葛藤がビンビン伝わって来るのです。

 転がり込んできた典子(浜辺美波)の母子の受け入れを最初拒んだのも「自分は幸せになってはいけない」という想いからのもの。その三人を陰から支えようとする隣人の肝っ玉母さん澄子(安藤サクラ)の演技もまたいい。

 そして、ゴジラの恐怖感が凄い。

  咆哮するゴジラ

 『シン・ゴジラ』では「国家vs怪獣」の図式で、人間はもっぱら会議室の中での対策立案に明け暮れる、ある意味バーチャルな対決でしたが、大戸島守備隊基地でも日本上陸後のシーンでも、圧倒的な力に蹂躙される「人々」の視点から捉えられているため、人間のリアルな恐怖感が伝わります。

 そしてそれは、ゴジラの造形にも表れている。

 『シン・ゴジラ』はミサイルなど近代兵器を全く寄せ付けない圧倒的な異世界ラスボス感がありましたが、こちらのゴジラは獰猛な獣の姿勢を取り、リアルな猛獣が今にも飛び掛かって来ようとしている・・足がすくむような恐怖感です。

熊に襲われて喰われた人たちも、同じ恐怖を味わったんだろうな、と思う。

  猛獣のようなゴジラ

 圧倒的な見所は、上陸したゴジラが逃げ惑う人々に例の放射能波を浴びせるのですが、敷島と共に逃げていた典子は、放射能波が自分たちに向けられて放たれたその刹那、敷島をビル陰に突き飛ばし、自らが犠牲となります。

 この後の敷島(神木隆之介)の慟哭は一世一代の名演技。神木はこの演技について「7割が怒り、2割が哀しみで、残りの1割がどうしようもなくなって壊れたようなイメージで演じた」と。

  ゴジラの放射能波

 この時、ゴジラに対して明確な”殺意”が生まれ、全ての手段を喪失した最終盤、飛行機(再整備したボロ戦闘機「震電」)に爆弾を抱いてゴジラの口の中へ"特攻"する決意が生まれたのでしょう。

ゴジラ-1.0

C)2023 TOHO CO.,LTD.

 しかし”玉砕”で終わらせないのが『三丁目の夕日』の山崎貴美学。最大の泣き所は、この後にやって来ます。

 いやぁ、この映画ね・・今回、劇場で観ないと「人生の損失」ですよ。

 だってば、そこのアナタ!

 

/// end of the “cinemaアラカルト392「ゴジラ−1.0」”///

 

(追伸)

岸波

 うーん、安藤サクラさん良かったな・・で、浜辺美波ちゃんも相当頑張った。あと、大戸島の生き残りで、終盤で最後の手段「特攻」のために機体整備を引き受ける橘整備兵役の青木崇高氏が良かった。

  元整備班長・橘(青木崇高)

 この人、『海猿』シリーズにも出てましたが、NHK大河の「龍馬伝」で後藤象二郎を熱演していたし、何と言っても『るろうに剣心』の喧嘩屋、相楽左之助のはまり役が忘れられない。

 今回の「ゴジラ-1.0」でも、”人の命”を最も重く見ていたのが橘整備兵で、特攻を決意した敷島の機体に”新たな機能”を追加したことが、バッドエンドの回避に繋がります。よかったなぁ・・その上、あの人も実は生きていて。(あ!)

 公開初週末3日間の興行収入ですが、10億4千万円を突破して『シン・ゴジラ』の同じ3日間と比較して122.8%の増とメガヒットを更新しています。

 SNSも「凄すぎた」「言葉にならない」などのコメントで溢れ、生誕70周年に相応しい映画となったようです。ご同慶の至り。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

ゴジラ-1.0 初日舞台挨拶

C)2023 TOHO CO.,LTD.

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト393” coming soon!

 

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