こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
最後の迷路(メイズ)を攻略せよ!
Amazonプライムに『メイズ・ランナー/最後の迷宮』が再リリースされていたので鑑賞しました。
今から5年前、2018年公開の際にも観ているので、二度目の鑑賞となります。
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メイズ・ランナー/最期の迷宮
(C)TM and (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation.
All Rights Reserved. Not for sale or duplication.
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原作はアメリカの小説家ジェームズ・ダシュナーのヤングアダルト向けSFスリラー小説三部作。
原作に合せて、映画も『メイズ・ランナー』(2014年)、『メイズ・ランナー2/砂漠の迷宮』(2015年)、3作目『メイズ・ランナー/最期の迷宮』(2018年)の3部作となっている。
なお、原作の方は上記主要三部作のほかに前日譚などスピンアウト作品が2編ある。
では早速、完結編・最後の迷宮の内容とは?
仲間を救うのか、世界を救うのか?
映画の冒頭は荒野を疾走する貨物列車、それをオンボロジープで追いかける主人公トーマス(ディラン・オブライエン)らのチーム。
ジープから貨車へ
どうやら、前作のラストで敵組織WCKD(世界災害対策本部:ウィケッド)に捉えられた仲間たちの奪還を目指しているようだ。
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メイズ・ランナー/最期の迷宮
(C)TM and (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation.
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列車を襲撃すると護衛部隊が登場、本部にも通報して垂直離着陸の戦闘機も出動。しかし、離着陸機はオトリで逃げたグループを追いかけ、逆に罠にはまって機体を奪取されてしまう。
垂直離着陸機も飛来
一方本隊は、疾走する列車の屋根での激しい銃撃戦。連結器を爆破して仲間たちが捉えられら車両の分離に成功するが多勢に無勢。
包囲を受けて万事休す・・と思いきや、そこへ飛来した垂直離着陸機。おっと、コレは別班が奪取した機体だ!
助けに来た仲間たち
離着陸機はワイヤーを下ろして車両ごと吊り上げる。地団太踏む護衛部隊の頭上を飛び越えて空の彼方へ去って行く。
しかぁしっ!! 車両の仲間たちの中には、トーマスらの主要メンバーの一人ミンホ(キー・ホン・リー)の姿が無い。
さて、ミンホの消息や如何に? 彼らはミンホを救うために難攻不落のこの世界のWCKD(ウィケッド)本部に侵入する決意を固める。
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メイズ・ランナー/最期の迷宮
(C)TM and (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation.
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この冒頭の息もつかせぬアクションシーンはお見事。ハラハラドキドキにちょっと笑いもある。あれ、こんなに面白い映画だったか?前に観た印象と違うような??
それはさておき、前作までの流れを知らない読者には「何コレ?」だと思うので、簡単に振り返ってみましょう。
まずは、2014年公開の『メイズ・ランナー』・・
巨大な壁に囲まれた謎のエリアに運び込まれた記憶を失った青年。そこには数年前から彼と同じように運び込まれた同年代の青年たちがコミュニティを作っていた。
迷路に囲まれた世界
いったいここはどこなのか、何のためのエリアなのか知る者はいない。食糧などは月に一度、新しい仲間と共に壁外から運び込まれてくる。
壁は一定時間開閉し中に入る事が可能だが、内部は巨大迷路(メイズ)になっており、巨大なクモなど謎のクリーチャー(怪物)が潜んでおり、脱出はことごとく失敗している。
迷路のクリーチャー
青年は数日後、自分の名前がトーマス(ディラン・オブライエン)だと思い出し、謎の迷路からの脱出を決意する。
そこにイレギュラーなタイミングで運び込まれた新たな少女テレサ(カヤ・スコデラリオ)。彼女も決死隊に加わり、チームは苦難の末脱出に成功。
しかし、そこにあった研究施設に潜入すると、どうやらWCKD(ウィケッド)のボスらしき女性の博士エヴァ・ペイジ(パトリシア・クラークソン)がモニターに登場し、真実の一端を語り始める。
エヴァ・ペイジ博士
世界は太陽活動の暴走により焼き尽くされ、残った人々も謎のフレア・ウィルスに冒されてゾンビのような姿になって発狂して行った。青年たちはフレアを発症しなかったメンバーで、WCKD(ウィケッド)はその原因を突き止めるために青年たちに迷路という負荷を与え、体内に埋め込まれたチップによって研究をしていたのだ。その必要があったのだと。
しかし、エヴァ博士はそこまで言うと銃を頭に当てて自殺。そこへ謎の軍隊が突入してトーマスらを拉致して壁の外へ連れ出しヘリで脱出。
サイトA
青年らは上空から迷路(メイズ)の巨大さを眺めて絶句。そして、そこにはこう書かれてあった「WCKD サイトA」・・外にもあるのか!? |
そして、翌2015年『メイズ・ランナー2/砂漠の迷宮』・・
トーマスらが連れていかれたのは砂漠の中にある要塞のような施設。そこの責任者と名乗るジャンソン(エイダン・ギレン)が迎える。
軍事司令官ジャンソン
そこで青年らは他のサイトから来た青年たちとも組合せてバラバラなチームにされ、テレサ(カヤ・スコデラリオ)とも引き離されてしまう。
毎晩数名が呼び出され帰って来ない・・そのことに疑念を持ったトーマスは仲間と施設内に潜入。呼び出された仲間たちは身体中に管を通されて研究室の天井からぶら下げられていた。
吊り下げられた仲間たち
また、責任者ジャンソンは、拳銃自殺したはずのエヴァ博士と密談していた。この研究施設もまたWCKDと繋がっていたのだ。
トーマスは仲間を募って脱出を画策。エヴァ博士が口にしていたレジスタンス組織「ライトアーム」との合流を図る。
折からの砂嵐に紛れて脱出した砂漠の廃墟で、今度はフレア・ウィルス罹患者クランク(ゾンビのようなもの)の大群に襲われ再度脱出。しかし噛まれた仲間の一人はフレアを発祥し自殺してしまう。
クランク(ゾンビ)
そこへジャンソンらの軍事部隊も突入、トーマスらは死闘を経てバラバラになりながらもライトアームのアジトで辿り着く。
ひとときの安堵を得てトーマスに話しかけるテレサ。彼女は何と記憶を失ってはいなかった。母親がフレアに罹患して死亡し、自分はそのワクチンを作るために全てをかけていると。
テレサの合図で急襲して来るWCKD部隊。彼女は(本人は善意とは言え)裏切り者だったのだ。
壊滅したアジト
壊滅したライトアームのアジト。大切な仲間ミンホも捉えられてしまう。隠れて難を逃れたトーマスらのメンバーはミンホを奪還し、WCKDとの対決を決意する。 |
ということで、完結編『メイズ・ランナー/最期の迷宮』の冒頭の事情がご理解いただけたでしょうか。
第一作はワクワクして胸が踊る佳作でした。いくつもの未解決の謎を残し、今後の展開を期待させる内容。何と言えっても迷路(メイズ)のビジュアルやクリーチャーとの闘いは手に汗を握るものがありました。
メイズ・ランナー
ところが第二作『砂漠の迷宮』は評判がダダ下がり。興行的にも失敗し、完結編の制作が危ぶまれるほど。
その理由の一つは「迷路(メイズ)」を無理に引っ張ったことでしょう。何せ第二作も第三作も「迷路」は登場せず、『砂漠の迷宮』はゾンビとの闘い、『最後の迷宮』はWCKD本部内での銃撃戦・格闘戦がメインでしたから。
市街地の銃撃戦
それはキャッチコピーにも表れています。
◆『砂漠の迷宮』・・本当の迷路(メイズ)は、ここから始まる。
◆『最後の迷宮』・・ファイナル・ミッション: 伝説の迷路(メイズ)に逆侵入せよ!
迷路など登場しないのに、第一作の”栄光”にすがったコピーが痛々しい。むしろ単品の「ゾンビ映画」、「市街戦映画」として観た方が良いくらい。
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メイズ・ランナー/最期の迷宮
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それと、原作は読んでいないので分かりませんが、脚本や演出は非常に脇が甘い。あまりにもご都合主義な展開や ”ココは泣くとこ!”とばかりの無言の長廻し‥。
例を上げれば、『最後の迷宮』でレジスタンスのいいようにやられて激怒したジャンゾンが逆切れして上司のエヴァ博士を射殺してしまったり(何故だ!?)。
そのジャンソンは、トーマスの血液こそ人類がフレア・ウィルスに打ち克つ唯一の手段ということが分かっているのに、殴り負けた悔しさにトーマスを殺そうとしたり。
ニュートとトーマスとテレサ
最もダメダメなのは『最後の迷宮』のラストシーンで、命をかけて仲間を守った盟友ニュート(トーマス・ブロディ=サングスター)の書置きに感動させた後、トーマスが死んだ仲間たちの墓碑銘に刻んだ名前が、好きだった女の子「テレサ」だったこと。
思わずコレは椅子からズッコケました(笑)
死んだ仲間の名を刻むトーマス
考えてみると、同じ”壁の中の人類”を描いた『進撃の巨人』も同じようなところがあったかな?
主人公エレンたちが”外側の世界”の海を知ったところが一番カタルシスがあったけれど、その後、海の向こうの人類との闘いに入った辺りで読まなくなりました。
本来は完結でいいのに、人気のために「続き」を描かせられているような?
実際にはアニメで最終回まで観て、作者の遠大な構想力に感銘を受けたのですが。
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メイズ・ランナー/最期の迷宮
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しかし、原作書籍『メイズ・ランナー』が発行されたのが2009年、『進撃の巨人』の連載が開始されたのが同じ2009年。
タイミングから見て、どちらかの作者が多方を見てインスパイアされた可能性は低く(双方とも翻訳さえされていない)、太平洋の両側で「壁の中」をテーマにしたヒット作が同時に制作開始されたことに不思議な想いがします。
結果、三部作の興行収入は公開初週末2日間で、第一作が3251万ドル、第二作が3031万ドル、第三作が2416万ドルと”ジリ貧”の成績。
まあ、本来”続編シリーズ”というのは、こういうパターンが多いのです。残念!
/// end of the “cinemaアラカルト390「メイズ・ランナー/最後の迷宮」”///
(追伸)
岸波
それでも第一作を観た時の感激は忘れられません。
あれが日本で作られたなら、きっと「異世界」設定の”ダンジョンもの”となっていたのではないでしょうか。それならば、そこに送り込まれた理由(わけ)を説明する必要がないですから。
リアル世界にダンジョンが作られ、命がけの冒険を強いられる設定ですから、どうしても”理由”が必要となる。
ダンジョンを疾走する二人
ただ、その”理由”が弱かった。フレア抗体を発見するため極限状況を観察する必要がある・・これではポカーンです。抗体を持った者の協力を得て血液生理学・免疫学的な研究を行うのが当然ですから。
それとストーリー上、むやみに人を殺し過ぎる。『最後の迷宮』のラスト近く、盟友のニュートと準主役だったテレサが命を落としますが、その必然性が感じられない。
考えられるのは「ここで泣かせたかった」という動機。あからさまなのです。
進撃の巨人・最終回
闇落ちした主人公のエレンがラスボスとなり、共に闘い続けた仲間であり恋人であるミカサが愛ゆえに彼を倒さなけらばならなかった・・という『進撃の巨人』のエンディングの重さとは比べ物になりません。
う~ん、日本の勝ち(笑)
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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メイズ・ランナー/最期の迷宮
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