こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
これから、アナタの記憶に、潜入する。
Amazon Primeで、2021年公開『レミニセンス』を視聴しました。
制作は、あのクリストファー・ノーランの実兄であるジョナサン・ノーラン。そして監督・脚本はSFドラマシリーズ『ウエストワールド』のリサ・ジョイです。
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レニミセンス
(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
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主演は『X-メン』の主役ウルヴァリン役で名を馳せるのヒュー・ジャックマン。
ジャックマンは、2000年の『X-MEN』から2017年の『LOGAN/ローガン』までの16年232日の最も長期でマーベルのキャラクターを演じた俳優としてギネス世界記録に認定されました。
後に『スパイダーマン』役のトビー・マクガイアに更新されている。
さて、”記憶に潜入する”レミニセンスとは如何なるものか? 早速内容です。
彼は「レミニセンス(記憶潜入エージェント)」。
水に支配された都市に今、崩壊の危機が迫る!
映画の冒頭、地球温暖化により水没した近未来のマイアミの風景が映し出される。そして、印象的なナレーションが流れる。
過去は人に取り憑く
そう言われている
過去とは ある瞬間の連続
それぞれの瞬間は純粋で――
完成している
時間というネックレスのビーズだ
過去は幽霊ではない
我々を覚えてもいない
幽霊がいるとしたら――
過去に取り憑く我々だ
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レニミセンス
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う~ん、中々のツカミ。美しくも退廃的な街の風景。『ブレードランナー』や『トータル・リコール』の猥雑な近未来風景とも被る。
主人公のニック(ヒュー・ジャックマン)は、助手のワッツ(タンディ・ニュートン)と共に”過去の夢を追体験させる”生業を営んでいる。
ニックとワッツ
そんな彼の下に、大切な鍵を失くしたというキャバレーの歌手メイ(レベッカ・ファーガソン)が訪れる。
装置の中で眠らせ、彼女の”夢”を3D投影する空間ディスプレイで観察して鍵の在り処を見つけ出すニック。
”夢”の投影を観るニック
感謝して去ったメイだが、片方のイヤリングを忘れていく。それを届けるため、彼女が出演するキャバレーに赴くと、メイが歌っている歌に郷愁を感じるニック。
「ああ・・この歌は遠い昔、母が自分に歌ってくれた歌だ」
メイとの出逢いに運命的なものを感じると同時に、その美しさのトリコとなり、二人はやがて一緒に暮らすようになる。
キャバレーの歌姫メイ
理想の女性との夢のような日々・・しかし、その幸せは長くは続かなかった。ある日突然、メイが失踪したのだ。
狂ったようにメイを探し求めるニック。それが果たせないと知ると、ニックは”夢見装置”に籠って幸せな日々の回想に浸り続ける・・身を案じるワッツのいう事も聞かずに。
ニックとメイ
そんなある日、裁判所から捜査協力を求められ、昏睡状態になってた被疑者の”夢”を観ることになる。被疑者のボスで麻薬王であるセイント・ジョーの組織情報を掴むためだ。
被疑者の”夢”にセイント・ジョーのアジトが映し出される。と、そこにメイの姿が。彼女は麻薬王の情婦だったのだ。
しかもメイは、セイント・ジョーから大量の麻薬を盗み出して失踪している。
謎の女メイ
「いったい何物なんだ?」・・ニックは改めて、メイが最後に事務所を訪れた時に対応していた助手ワッツの”夢”を検証すると、メイは、ワッツが目を離した隙に顧客の一人エルサの夢情報を盗み出していたことが判明する。
その後、メイは何物かに殺害され、その息子フレディが誘拐されていた・・。
果たしてメイの正体とは? そして、エルサの息子フレディの消息や如何に!?
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レニミセンス
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ニックを演じたヒュー・ジャックマンは「ウルヴァリン」だけでなく、超絶サスペンス(僕とカリスマ彰が共に絶賛した)『プレステージ』(2006年/クリストファー・ノーラン監督)の主人公アンジャーも演じています。
オーストラリア出身の俳優で、同郷の作曲家ピーター・アレンの生涯を描いたミュージカル『ザ・ボーイ・フロム・オズ』でトニー賞主演男優賞(ミュージカル部門)を受賞。
2008年の『ピープル』誌で「最もセクシーな男」に選出され、2012年の『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャン役でゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞という演技派。
ヒュー・ジャックマン/2006年
そんな彼が、とんねるずの「食わず嫌い王決定戦」に出場した時、正直な性格ゆえ一発で敗退したというエピソードが笑えます。
そう・・彼は本質的に「正直者」で「ピュア」。
本作のニックもメイへの恋心に捉われ、自分を見失っていくのですが、その狂おしいまでにピュアな恋慕の姿に、遠い日の熱い感情を呼び覚まされたのは僕だけではないでしょう。
それもそう。だってメイは、あのレベッカ・ファーガソンなのですもの(笑)
レベッカ・ファーガソン(イルサ)
彼女はトム・クルーズの『ミッション・インポッシブル』シリーズでMI6のエージェント、イルサ・ファウスト役を演じて来ましたが、最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』で死んでしまった時は、チョーがっかり。
容姿端麗でアクションも凄いし、何と言ってもあの”眼差し”が男をトリコにせずにはいません。
そういう意味で、今回のメイはハマリ役か?
また、この映画の”狂おしい恋心”は、ニックのものだけはありません。
助手のワッツ
相棒となっているワッツ(タンディ・ニュートン)は、生い立ちの事情で身の周りのもの全て・・愛する娘までも生き別れとなってニックに救われた女性。
ボスのニックに対する恋心を自分の胸に封印しつつ、彼の身を心から案じている。ニックが危機に陥ると、身を挺して彼を助けに行く。
ニックの危機に身を挺して‥
しかしニックの心はメイに捉われたまま・・彼女の心情を考えると胸が絞めつけられます。
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恋心を隠してニックの身を案じる、この眼が切ない。
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最終的に、エルサ殺害の真相は暴かれますが、それは大富豪の遺産相続を巡る血縁者の陰謀によるもので、メイはある男に弱みを握られてエルサ殺害の片棒を勝がされたものの土壇場で改心し、自分の身を犠牲にしてエルサの息子フレディを救ったことが分かります。
事件の全貌が解明され、関係者はそれぞれ処罰されますが、あれほど探し求めたメイは既に亡くなっていたのです。
ニックはワッツに、過去のいきさつは全て水に流して行方不明の娘を探すよう助言すると、自分は”夢装置”に入り、死ぬまでメイとの幸せだった日々を繰り返して見ることを選びます。
ニックとメイ
ニックとメイの会話が繰り返されます。
「今、君の全てが見える。君の闇も光も。
輝いている。街が最も美しくなる夕暮れ時のように」
「物語を聞かせて」
「どんな話だ?」
「ハッピーエンドがいい」
「そんなものはない。
幸せな物語は必ず悲しい結末になる」
「じゃ幸せの最中に終わる話を・・」
このシーンは、本当に胸が締め付けられる・・。
アオハルの悲しい物語を久々に思い出しました。(あったっけ、そんなの?)
/// end of the “cinemaアラカルト384「レニミセンス」”///
(追伸)
岸波
上記のシーンは、本当のラストではありません。
装置に入ったまま年老いて、まだ生きているニック。その傍らには、同じく年老いて白髪になったワッツと孫娘の姿が。
ワッツは生き別れの娘(と孫娘)を探し出し、一生涯、夢見たままのニックの面倒を見る道を選んだのです。
「おばあちゃん、この人を失って寂しいのね?」
「寂しさは世界の一部よ
悲しみがなければ
幸せも味わえない
昔 私たちは結末を選んだ
彼は過去へ
私は未来へ
どちらも正しかったと思いたい」
ここで、涙腺崩壊。(うっうっ・・)
SFサスペンス・ミステリーと思っていたのが、実は至高の恋愛ドラマでした。
リサ・ジョイ(監督・脚本)
この脚本を書いたリサ・ジョイの才能に脱帽!
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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