こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
運命に導かれ、
時は来た。
先週、映画KINGDOMの第三作『キングダム 運命の炎』をケイ子と観て参りました。
邦画でいわゆる「大作映画」が作られなくなって久しくなりますが、このシリーズは超豪華キャストに海外ロケという、まさに数少ない大作路線。
ん? TVの『VIVANT』もそうか?(笑)
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キングダム 運命の炎
(C)原泰久/集英社 (C)2023映画「キングダム」製作委員会
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前作『キングダム2 遥かなる大地へ』では、秦将麃公の下、蛇甘(だかん)平原の戦いで初陣を飾り、その功で百人将となった信(山崎賢人)。
その戦場で会った伝説の秦6代将軍の最後のひとり、王騎大将軍の下で教えを乞い、更に逞しくなった信は、いよいよ「将」として大将軍への道を歩み始める。
さて、今作の内容は?
ここから始まる
紀元前224年、隣国の趙軍が10万の大軍を率いて秦国北東部に侵攻。趙国軍師の馮忌は関水を陥落させると全住民を虐殺し、更に秦都咸陽へ向けて進軍。
これを迎え討つ秦軍は主力を魏との戦場に送り出しているため、農民から急遽8万の兵を徴兵し、その総大将として丞相呂不韋(佐藤浩市)は現在の秦軍を代表する猛将蒙武を推挙する。
呂不韋は、蒙武を含めた「呂不韋四柱」を従え、秦王嬴政(吉沢亮)から権力の簒奪を画策している。
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キングダム 運命の炎
(C)原泰久/集英社 (C)2023映画「キングダム」製作委員会
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ところが秦王嬴政(えいせい:吉沢亮)の参謀昌文君(髙嶋政宏)は「蒙武は、攻に長けるが守が弱い」と反論し、戦場から遠ざかって久しい王騎大将軍(大沢たかお)を推挙する。
宮廷に招かれた王騎大将軍は、人払いを求めて秦王嬴政と対峙すると「なぜ中華統一を目指すのか」と問う。
王騎大将軍(大沢たかお)
これに対し、嬴政は「ある人と約束したからだ」と答える。そして、嬴政が子供の頃、人質として趙国に囚われていた時の物語が語られる。
さて、王騎大将軍は総大将を引き受けるのか? 強大な趙国軍との決戦の行方は? はたまた信と副将羌瘣(きょうかい)、そして飛信隊の運命や如何に!?
今回は、蛇甘(だかん)平原の戦いの後、突如侵攻してきて来た趙国軍との「馬陽の戦い」(単行本で11巻途中~)が描かれるが、映画冒頭のシーンから、単行本では8巻に描かれた「紫夏編」のエピソードが展開された事に驚愕。
嬴政が趙国から脱出する手助けをした女闇商人・紫夏を杏さんが演じることは聞いていましたが(笑)
闇商人・紫夏(杏)
嬴政は、呂不韋の手引きにより趙国から逃亡し、秦の王位を継いだ荘襄王の落とし種。
趙国において幼少期に受けた壮絶ないじめにより、痛み・悲しみなど通常の感覚を失ってしまう重要なエピソードだけれど、まさかココで再現シーンが描かれるとは。
秦王嬴政(吉沢亮)
実際これらのエピソードは闇商人・紫夏を演じた杏さんの熱演により、非常に見応えがあるものでしたが、結果として「馬陽の戦い」の緒戦までしか映画の尺に入らなかったのはどうか。
第一部、第二部で重要な「紫夏編」をスルーしたツケが回ったとも取れるし、この王騎との会見シーンに「追憶編」として挿入した方が効果的という判断だったかも。賛否両論あるのでは。
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趙軍の軍師馮忌(左:片岡愛之助)
(C)原泰久/集英社 (C)2023映画「キングダム」製作委員会
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上述の事情により、本来なら六代将軍王騎と趙国三大天龐煖(ほうけん)の大将決戦が山場になるはずの「馬陽の戦い」は先送りされ、信が敵軍師馮忌(ふうき:片岡愛之助)を倒すシーンがクライマックスとなった。
この作り方であるなら、むしろ「第三部前編・後編」の二部作と位置づけた方がよかったのではないか。
同じ大作シリーズの『ワイルド・スピード』や『ミッション・インポッシブル』がそうであったように。
今回の第三部では二人の重要人物が登場する。
その一人が今回の趙国侵攻軍の総大将、武神・龐煖(吉川晃司)、そしてもう一人がキングダムのもう一人の主人公とも言える趙軍三大天の一人、李牧(小栗旬)だ。
李牧‥の後ろ姿(小栗旬)
龐煖(ほうけん)は、キングダムにおいて三国志・呂布に相当する最強の武人。李牧は、中華統一を目指す秦国の前に合従軍(六国同盟)を結成して立ちはだかる秦王嬴政にとって最大のライバル。
とは言え、二人の登場シーンはエピローグ的な最終盤のワンシーンずつという事で、いわば「顔見世」か。
武神・龐煖(吉川晃司)
キングダムの主人公・信にとっても、武の龐煖と策の李牧は長くシリーズに登場し続ける最大の敵であるため、この「顔見世」サービスはファンにとって嬉しい所に違いない。
また、李牧を演じる小栗旬の芸達者は言うまでもないが、武神龐煖に吉川晃司が当てられたことに大感激。
るろうに剣心での鵜堂刃衛役
人間離れした龐煖をあれほどカッコよく演じられるのは彼しか居まい。『るろうに剣心』でも非常に魅力的な敵役を演じていたが、もはやそれは彼自身の人間的魅力が滲み出ているとさえ思える。
そう言えば、山の死王・楊端和を演じて、すっかり僕のハートを持ってかれた長澤まさみちゃんもラストの顔見世でチラリと登場。
死王・楊端和(長澤まさみ)
上映時間は130分と決して短くはないのだが、かなりの尺を「紫夏編」に充てたため合戦シーンは序盤のみ。そこを意識してか、重要キャラ三人のサービス・ショットを最後に挿入して帳尻を合わせた感がする。
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キングダム 運命の炎
(C)原泰久/集英社 (C)2023映画「キングダム」製作委員会
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もう一つ、気になったシーンが。
飛信隊100名が隠密の決死隊となって、敵軍師馮忌(片岡愛之助)の首を直接狙いに行くが、分厚い敵親衛隊の守りに阻まれて飛信隊は逃散することになる。
決死隊の飛信隊
そこで仲間の尾平(岡山天音)が足をやられて動けなくなり、羌瘣がしんがりを引き受けて他の仲間たちを逃がすシーンがあった。
気になって原作を見直したが、これは戦い初日ではなく4日目の夜、敵将龐煖に夜襲をかけられて飛信隊が壊滅的な打撃を受け、離散する時のシークエンスだ。
羌瘣(清野菜名)
馮忌戦では逆に半数の飛信隊がしんがりとなり、羌瘣は信ら精鋭メンバーに加わって本陣に突入している。
何故、このような演出をしたのか謎だが、続編の進行はかなり改変、あるいは省略されるのかもしれない。
同じシチュエーションを繰り返すワケにもいかないし・・。
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キングダム 運命の炎
(C)原泰久/集英社 (C)2023映画「キングダム」製作委員会
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いや、それよりも何よりも、この映画『キングダム』はどこまで続けるつもりなのだろうか?
原作漫画では既に69巻まで上梓されている(李牧はまだ生きている!)が、映画で描かれたのはまだ13巻冒頭までなのだ。
激闘の山場はまだまだ残っているが、キャストが歳をとってしまうのは如何ともしがたい。それを考えると夜も眠れないのだが(笑) ←(いや、熱帯夜のせい)
/// end of the “cinemaアラカルト376「キングダム 運命の炎」”///
(追伸)
岸波
そんなワケで個人的感想としては、今回の第3部は一本の映画としては消化不良でした。(『ロード・オブ・ザ・リング』第一章のような感じ。)
それから、期待していた宇多田ヒカルによるテーマソング『Gold ~また逢う日まで~』も作品のストーリーとは無関係な愛の歌だったので、いま一つかなぁ。
他方、『君たちはどう生きるか』のテーマ、米津玄師の「地球儀」は素晴らしいマッチングだと思う。さすが米津!
とにもかくにも、映画『キングダム』シリーズがどこまで続くかという問題が・・いや、待てよ!
原作も69巻に至るのに、まだ一国も倒していないんだが大丈夫なんだろうか・・作者の死にオチだけは是非避けて欲しいと思う。心から。
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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キングダム 運命の炎
(C)原泰久/集英社 (C)2023映画「キングダム」製作委員会
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