こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
(キャッチコピー無し)
今回は1960年公開、名匠フランソワ・トリュフォー監督作品『ピアニストを撃て』。古い映画につき、キャッチコピーはありません。
今週のcinemaアラカルトは、カリスマ彰の当番です。
記事の原題は以下の通り。
◆映画「トリュフォー監督の長編映画第2作「ピアニストを撃て」は習作レベル?」
ではカリスマ彰、お願いします。
カリスマ彰 岸波さま、cinemaアラカルト原稿です。よろしくお願いします。
◆『ピアニストを撃て』(1960年 フランソワ・トリュフォー監督 1時間24分)
フランソワ・トリュフォー監督(1932.2.6〜1984.10.21 52歳没)の初期監督映画「ピアニストを撃て」(1960年 1時間24分)が、TV(ザ・シネマ)で放映されていた。未見でもあり録画し期待して見た。
まず不思議なタイトル。西部劇で酒場の中での撃ち合いがあった時に、店が雇っているピアニストは貴重な存在なので「ピアニストを撃つな」という貼り紙があったという。その否定なのはシャレのようだ。
主役の歌手・作曲家のシャルル・アズナブールというのがミスキャストの典型。小柄でいわゆる美男でもない。
穿っていえば、ウッディ・アレンみたいなキャラの主役で、サスペンス・コメディを狙ったフシがあるのだ。
ストーリーは以下。
◆『ピアニストを撃て』映画.comの解説から引用
人生に諦めを抱いているシャルリー(シャルル・アズナヴール)はパリのカフェ「マミイ」でピアノ弾きをしながら幼い弟フィードを養っている。彼にはあと二人身持の悪い弟がいた。或る冬の夜、その弟シコ(アルベール・レミ)が助けを求めて来たことから、またしても不幸は襲った。ギャングをまいて逃げてきたシコにかかわりあうのが腹立たしかったシャルリーも、店に現れたギャングを見てやむを得ず協力した。支配人プリーヌは大いに興味を抱いた。店の給仕女レナ(マリー・デュボア)はそんなシャルリーに思いを寄せ、彼の心の扉を開かせたいと願っていた。
ある日、壁の古いピアノ・リサイタルのポスターを見た彼は、レナに過去を語り始めた。彼は本名をエドゥアル・サロヤンといい、国際的に有名なアルメニア出身のピアニストだった。彼はピアノ教師、妻のテレーザ(ニコール・ベルジェ)はレストランで給仕をしていた。彼女が店で知合った興行主ラルス・シュメールによって彼は認められその才能ゆえに瞬く間に名声を得た。リサイタルの終った夜、周囲はその成功を讃え沸いていた。
そんな幸せな彼に、テレーザは「今の幸福は一つの恥辱の上に築かれているのです」といい出した。興行主シュメールはエドゥアルの出世と引換えにテレーザの体を求めたのだった。いつかは許してもらえると信じているものの、彼女はこの秘密をいつまでも自分の胸に隠しておくことが堪えられなかった。彼はそんな彼女を許そうとしたが、このショックにすぐには自分の気持を言い表せなかった。夫のそんな様子に絶望したテレーザは彼の眼の前で窓から投身自殺をしてしまったのだ……。
シャルリーの過去を知ったレナは、圧えきれぬ愛しさと同情を感じ、愛をうちあけた。シャルリーもそんな彼女に強くひかれた。レナは彼にもう一度エドゥアル・サロヤンに戻るよう誓わせた。そこで二人はつれだって「マミイ」に行き、やめたいと申し出た。レナに横恋慕していたプリーヌとそこで喧嘩になりレナを庇おうとしたシャルリーは誤ってプリーヌを殺してしまった。シコを追っていた二人のギャングはフィードを人質に、シコとリシャールをおびきよせようと国境近い山小屋に逃げていた。それを知ったシャルリーとレナは、フィードをとり返そうとかけつけた。やがてピストルの射合いになり、その一弾を胸にうけたレナはシャルリーに見守られながら白雪を鮮血に染めて息たえた。エドゥアル・サロヤンの夢もレナと共に眠ってしまった。 |
冒頭は、この主役の兄が追われるシーン。強盗団の一人で仲間割れして盗んだ金を持ち逃げしたので、仲間から追われているのだ。
この兄がドジで電柱にぶつかり気絶。通行人に助けられ時の会話が間伸びしている。
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「結婚っていいよ」という通行人の人生論が、緊迫感を台無しにしてしまっているのだ。
ことほど左様に、なんか狙いの分からない変な映画だった。尺が1時間24分というのが救いではあった。
この「ピアニストを撃て」の前作1959年公開の監督作品「大人は判ってくれない」はトリュフォーの初長編映画でありヌーヴェルバーグの幕を切って落とした。
さらにこの「ピアニストを撃て」のすぐ後の1962年公開の「突然炎のごとく」があり、トリュフォーの代表作のひとつだ。
だとするとこの2作品に挟まれた「ピアニストを撃て」は拍子抜けするほど、「奇妙な駄作」に思えるのだが、何か狙いがあるのだろうか。
「大人は判ってくれない」
ものの本ではアメリカ流のフィルムノワールを作りたかったということだが、なんか切迫感がなくて、もうちょっと真剣に作らんかいと思ってしまうのだ。
かと思えば、興行師に体を与えて、主人公のピアニストとしての成功の犠牲になる女なんていうのが投身自殺したりするかつてのエピソードがはさまれたりする。簡単に言って、習作ということでいいのではないかな。
フランソワ・トリュフォー
しかし、トリュフォーという映画監督は、早逝したこともあり、また女優たちと浮名を流しまくったカッコいい人生と重ね合わせて、かなり過大評価されているのではないか?という私の疑念は今回またまた深まってしまった。
ただし、撮影のラウール・クタールのカメラワークは実に素晴らしい。
/// end of the “cinemaアラカルト371「ピアニストを撃て」”///
(追伸)
岸波
今回のあらすじ解説は詳しいので結末までよく分かるが、やはり典型的なフランス的悲恋映画だね。
悲しい映画は・・もういいかな。リアルな人生に、いくらでも悲しい話が転がっていたしね。
笑って死ねる人生、それさえあればいい(笑)
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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