こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
運命を、
超えてゆけ。
新田真剣佑のハリウッド映画初主演の実写映画『聖闘士聖矢 The Beginning』をケイ子と共に観てまいりました。
原作は1980年代の少年ジャンプ黄金期を『SULAMDUNK』などとともに支えた車田正美による『聖闘士聖矢』。
映画『ONE PIECE FILM RED』、『THE FIRST SLAM DUNK』の大成功によって2022年に最高益を更新した東映アニメーションが、製作費6000万ドル(約82億円)を投入してハリウッドで制作した超話題作です。
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聖闘士星矢 The Beginning/ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック
(C)2023 TOEI ANIMATION CO., Ltd. All Rights Reserved
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女神アテナの化身シエナ(原作では城戸沙織)の抹殺をたくらむグラード財団の総帥ヴァンダー・グラード役に『X-MENシリーズ』のファムケ・ヤンセン。
一方、シエナを守る父親アルマンに『007 ゴールデン・アイ』のショーン・ビーンなど演技派を配した堂々たる布陣。
監督は2019年、ネットフリックスで視聴数No.1となった『ウィッチャー』の製作総指揮を務めたトメック・バギンスキー。
トメック・バギンスキー監督
さて、日本版アニメをハリウッドで実写化した作品はコケるという悪しきジンクスを打破することができるのか?
巨額を投資した東映アニメーションは『ONE PIECE FILM RED』と『THE FIRST SLAM DUNK』に引き続く三匹目のドジョウを手中にできるのか?
早速、その内容です。
伝説の「聖闘士(セイント)」誕生を描く
バトルアクションエンタテインメント
映画の冒頭、幼い頃に姉と生き別れ天涯孤独の聖矢(新田真剣佑)はアメリカのスラム街で地下格闘場で生活を凌いでいる。
聖矢の素質を見抜き、大きく育つ前に潰してしまおうと考えたストリートファイターのカシオス(ニック・スタール)は聖矢の格闘に乱入して、圧倒的な力で粉砕しようとする。
地下闘士カシオス
だが、聖矢が秘めていた小宇宙(コスモ)の力が発動し、両者互角の勝負に。
と、そこへ超人的な力を持つ謎の暗黒聖闘士の集団が襲来し、聖矢は会場に居たアルマン(ショーン・ビーン)に導かれて脱出。
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聖闘士星矢 The Beginning/ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック
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アルマンの秘密のアジトに導かれた聖矢は、女神アテナの力を宿すというアルマンの娘シエナ(マディソン・アイズマン)を紹介される。
そして聖矢は、女神アテナを守護する聖闘士(セイント)となるため生まれてきた運命なのだと。
アルマンの話に半信半疑の聖矢だが、聖闘士(セイント)になることで、生き別れの姉星華を探すことができると知り、白銀聖闘士(シルバー・セイント)マリンの元で修行を志す。
聖矢と白銀聖闘士マリン
一方、聖矢のコスモを感知して襲撃してきた暗黒聖闘士団は、ヴァンダー・グラード(ファムケ・ヤンセン)率いるグラード財団の配下であった。
彼らの目的は、制御不能なアテナのコスモが暴走して地上を壊滅させる前にシエナを捕え抹殺することだった。
なので、アテナを守る運命を背負った聖矢も打倒すべき敵と見做したのだ。
しかし、シエナを付け狙うグラードと護るアルマンは意外な関係性があった。彼らは元・夫婦でシエナは二人の娘だった。(ええ~!)
シエナを付け狙うグラード
実は、シエナが小さい頃にコスモが暴走した事があり、抱いていたグラードは両腕を失った。
彼女は、もし女神アテナが覚醒してシエナが制御できない場合、その巨大コスモは暴走して人類を滅ぼすと恐れていたのだ。
一方のアルマンは、シエナがいつかはコスモを制御できるようになると信じ、アテナを守護する聖闘士(セイント)のコスモを持った子供たちを集めていた。
そんな中、アルマンの秘密の隠れ場所が露見。グラードが配下の暗黒聖闘士団を引き連れて島を急襲する。
さて、青銅聖闘士(ブロンズ・セイント)のコスモを覚醒させた聖矢は、無事アテナ(シエナ)を守り切ることができるのか?
また、アテナのコスモを暴走させ始めたシエナ、そして人類の運命や如何に!?
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聖闘士星矢 The Beginning/ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック
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車田正美の原作漫画シリーズは全28巻で、フェニックス一輝に奪われた黄金聖衣(ゴールドクロス)を4人の聖闘士(ペガサス聖矢、ドラゴン紫龍、キグナス氷河、アンドロメダ瞬)が奪還する『銀河戦争編』からスタートします。
その後、『白銀聖闘士編』、『黄金十二宮編』、『ポセイドン編』、『ハーデス編』までが描かれて完結。
その後、車田正美による正当な続編『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』が2006年以降、少年チャンピオンで短期集中連載を繰り返し、現在も継続中。
しかし今回の実写映画は、原作『聖闘士聖矢』を実写化したものではなく、2019年からネットフリックスで配信中の3DCGアニメ『聖闘士星矢: Knights of the Zodiac』を実写化したものでした。
3DCGアニメ版
これは副題の「ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック』が示すとおり。なお”ゾディアック”とは「黄道12星座」のことで、黄金聖闘士(ゴールド・セイント)12人に対応している。
このあたり、映画を見て「原作と違う」とクレームを入れる評者もいるようですが、ネットフリックス時点で設定が大幅に改変されており、さらにその内容を改変したのが今作なので当然のことでしょう。
むしろ僕は、原作あるいは原作TVアニメをそのまま実写化しても40年前とは時代背景が変わり、サプライズも無いので失敗するだろうと考えていました。
原作TVアニメ
この「原作と違う」クレームはもう一つあり、それが聖矢らが纏う聖衣(クロス)のデザイン。
これについては、原作の過度に尖った装飾が付いた聖衣では俳優の動きが制限されてしまうことから、制作陣が原作者車田正美に相談したところ「原作の再現が重要ではない。自分は古代ギリシャの甲冑をモデルにした」との答えを受け、西洋の実際の甲冑製作者に依頼してフォルムを固めたもの。
むしろリアルでクールなデザインになって良かったのではないかと思います。
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聖闘士星矢 The Beginning/ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック
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制作陣に関しても、全世界から『聖闘士聖矢』を心から愛する人々をスタッフに糾合したということで、制作にあたってはアツい議論が闘わされたそうです。
なので、原作のデザインに拘るべきとの意見も勿論あった。
実際の映画の中身では格闘シーンのアクションが素晴らしく、特に序盤の聖矢とカシオスの肉弾戦の迫力、そして、サイボーグ戦士という設定に変更された暗黒聖闘士の恐ろしいまでの強さが印象に残ります。
暗黒聖闘士/サイボーグ戦士
また、序盤では格闘場から聖矢を守り、終盤では肉体のままで暗黒戦士に立ち向かうアルマンの執事マイロック(マーク・ダカスコス)の存在がクール。
アルマンの護衛部隊は壊滅しますが、マイロックは最後まで生き残っており、是非、続編にも登場してほしいキャラクターでした。
今回の「The Bigginning」は、全6作を構想した第一話の位置づけで、聖矢がコスモに目覚めて青銅聖闘士となり、アテナのコスモを暴走させたシエナを正気に戻して世界の破滅を救うまでの話でした。
暴走するアテナ
このストーリーの中で議論が出ているのは、ラスボスと目されたグラードが最後には娘への愛に目覚め守る側に寝返ること。(あれ?ラスボス不在?)
そこからは、シエナが所有する黄金聖衣が狙いだったグラードの右腕聖闘士フェニックス・ネロ(原作の一輝)が正体を現し、聖夜との最終バトルとなります。
フェニックス・ネロ(一輝)
まあ、敵味方に多くの犠牲者を出した張本人のグラードが急に娘を守る側になったのは簡単すぎるという気もしますが、そもそも彼女は原作に存在しない人物。
原作における敵役はフェニックス・ネロ(一輝)率いる暗黒聖闘士だったので、原作の流れになるよう軌道修正したものです。・・ここは仕方が無いかなぁ?
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聖闘士星矢 The Beginning/ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック
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さて、僕らがイオンシネマ福島で観た時に一緒にいた観客は約10人。一方の『マリオ』が大盛況だったのに比べるととても淋しい観客数でした。
気になって全国の観客動員数を調べてみると、興行三日間の動員数は約5000人とのこと。うむむむむ・・やはり少ない。(座席占有率は5%)
スーパー・マリオ3DCG版
原作漫画の世界総売り上げは5000万部。同時期に連載された「SULAMDUNK」は1億7千万部。ちなみに「鬼滅の刃」は1億5千万部。やはり、聖矢に思い入れを持つベースのファンが少ないということか。
僕自身も原作の連載が始まった頃は既に30歳前後。少年ジャンプを毎週購入した時期は卒業していて、むしろTVアニメの『聖闘士聖矢』で胸をアツくしていました。
乙女座のシャカ
で、思ったのですが、やはり僕にとっての『聖闘士聖矢』は、あの名曲「ペガサス幻想(ファンタジー)」があってこそ。
「♪抱きしめた~ 心の小宇宙(コスモ) 熱く燃やせ~奇跡を起こせ~♪」
そして必殺技「ペガサス流星拳」!!
ペガサス流星拳
この二つが映画には登場しないのです。(流星拳らしき演出はあった。)
映画のエンディング・テーマとなった「Courage | カレッジ」も確かに素晴らしい曲ではあるのですが、日本の・・それも同時代のファンにはやはり「ペガサス幻想(ファンタジー)」でなければ心に届かないのでは、と感じました。
今回の実写映画が「誰に向けて作られたか」という問題でしょうね。
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聖闘士星矢 The Beginning/ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック
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ともあれ、映画はまだ話のプロローグ。この後、紫龍や氷河、そして瞬が登場してからが本番。
さらに教皇が登場し、主人公4人(+一輝)が黄金聖闘士と対峙する『黄金十二宮』こそが最高の盛り上がり。
全6部作という今回の構想が成功することを心から祈っています。
/// end of the “cinemaアラカルト362「聖闘士星矢 The Beginning」”///
(追伸)
岸波
うちのケイ子には、この『聖闘士星矢 The Beginning』は珍しく大好評でした。
どうやら、終盤でアテナのコスモに聖衣を吹き飛ばされて裸になった真剣佑クンの肉体美に惚れこんだ模様(笑)
さらに、この映画が全六部作の構想だと教えると、早速、ドラゴン紫龍やキグナス氷河、アンドメロダ瞬の日本人配役で自論を述べ始めたりして。(中でも吉沢亮クンは絶対に外せないとのことでした(笑))
そう言えば、聖矢を訓練する白銀聖闘士マリン(原作の魔鈴)は、てっきり聖矢の姉の星華だと思っていてケイ子にもそう教えたのですが、実は別人だそうですね。
物語の最終盤ハーデス編で星華本人や、マリンが探していた弟本人が登場するとのこと。
まあ、ハーデス編まではいいとしても、最高の盛り上がりを見せる『黄金十二宮編』までは撮って欲しいんだけどな。
東映アニメーション、頑張れ!!
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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聖闘士星矢 The Beginning/ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック
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