こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
仮面ライダー生誕50周年記念プロジェクト
そろそろ『シン・仮面ライダー』でも見に劇場に行きたいところなのですが、先日、庭仕事でギックリ腰をやってしまったので動けません。
仕方が無いので寝ころんだまま、PCのAmazonプライムを無料視聴する日々ですが、こんなものを見つけてしまいました。
それが『仮面ライダーBLACK SUN』・・何とこちらも新作ではありませんか!
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仮面ライダーBLACK SUN
(C)石森プロ・東映(C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT.ALL RIGHTS RESERVED.
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もう2日も、トイレに行く以外は起き上がれませんから、時間はたっぷりあるワケです・・3月末で退職しましたし。
で、ラインナップを確認しますと、これはAmazonオリジナルで制作された新作で全10話。それぞれ小一時間かかりますので、結構なボリューム。でも見ちゃいましたよ、時間はあるので(笑)
さて、その内容は・・あれ?もしかして久々の”絶対に観てはいけない”シリーズだったかも!(大笑)
悪とは、何だ?
悪とは、誰だ?
Amazonプライムのラインナップをザッピングしていて『仮面ライダーBLACK SUN』が目に留まった。
主人公である仮面ライダーが二人いて、それらを演じるのが西島秀俊と中村倫也だと言う。
あの『ドライブ・マイ・カー』まで演じた西島秀俊が今さら仮面ライダー!?という驚きと先日、日テレの水卜麻美アナと結婚した中村倫也が主演ということに興味を惹かれて、ついつい全10話(各編40~50分)を見てしまった。
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仮面ライダーBLACK SUN
(C)石森プロ・東映(C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT.ALL RIGHTS RESERVED.
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見始めてすぐ思ったのが「一体これは何なんだ?これが仮面ライダー!?」という驚愕。
政治的メッセージ満載・残虐シーン満載で絶対に子供には見せられない作品だった。
改めて出自を調べてみると、1971年4月にNET(現:テレ朝)系列で最初の「仮面ライダー」の放映が始まって50周年を記念する「仮面ライダー生誕50周年記念プロジェクト」で制作されたものだという。
生誕50周年記念プロジェクト
元ネタは1987年~88年にかけてTBS系列で放映された『仮面ライダーBLACK』で、『虎狼の血』(2018年)などを手掛けた白石和彌監督によりリブートされた。
白石和彌監督
僕は最初の『仮面ライダー』が放映開始された頃は高校生で、その後の『仮面ライダー1号・2号』、『仮面ラーイダーV3』辺りまでは記憶に残るが、『仮面ライダーBLACK』となると全く観ていない。
そこで調べてみると、『仮面ライダーBLACK』は昭和仮面ライダーの第3期とされるシリーズの一作目で“仮面ライダー0号”を掲げてシリーズの原点回帰を目指したとされる。
実際は第1期の視聴率が下降線をたどって打ち切られた後、しばらくして立ち上がった第2期『仮面ライダー』も「原点回帰」をうたっていた。
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仮面ライダーBLACK
(C)石森プロ・東映.ALL RIGHTS RESERVED.
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ところが、実際に作られた『BLACK』は、初期のライダーのマフラーや手袋などを排して新たな造形にされ、ショッカーには居た戦闘員が敵組織に居なくなるなど大幅に構造が改変された。
最も異なるのは、敵組織にSHADOW MOONというBLACKと同格の仮面ライダーが居ることで、これが後の「仮面ライダー対仮面ライダー」の対決構図の先駆けとなっている。
BLACK vs SHADOW MOON
TVドラマ『仮面ライダーBLACK』の大まかな粗筋だが、主人公の南光太郎は19歳の皆既日食の日に親友の秋月信彦と共に暗黒結社ゴルゴムに拉致され怪人への生体改造手術を施される。
闘う生体兵器として人間の意識を奪われようとする刹那、父親が助けに入りアジトから逃走。
光太郎は仮面ライダーBLACKとしてゴルゴム壊滅と信彦救出のため戦い続けるが、信彦は悪の仮面ライダー“SHADOW MOON”としてゴルゴムに君臨しており、互いの生死をかけて対決することになる。
このシリーズは好評を博し、続編『仮面ライダーBLACK RX』が制作された。
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仮面ライダーBLACK SUN
(C)石森プロ・東映(C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT.ALL RIGHTS RESERVED.
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さて、それをリブートしたという今回の『BLACK SUN』、大筋の親友対決の構図はそのままだが、開始早々「怪人にも人権を!」というデモ行進と、それに対抗する「反怪人」のヘイト集団の抗争が展開される。
ゴルゴムの生体改造を受けて世に溢れる怪人たちは、人間から差別され虐げられているという設定だ。
ほかに創生王、世紀王、三神官、キングストーンなどの重要ガジェットが登場するが説明省略。
そして「人間も怪人も命の重さは地球以上、1gだって違いはない」と主張する若き女性人権活動家和泉 葵(平澤宏々路)が、まるでスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリのように国連で演説を打つ。
活動家和泉 葵(平澤宏々路)
一方、総理大臣堂波真一(ルー大柴)は、裏でゴルゴムと結んで私腹を肥やしており、他の政治家もみな腐敗政治家として描かれる。
総理大臣堂波真一(ルー大柴)
このように、「国家権力は絶対悪」、「世の中は差別で満ちている」、「抑圧されている自分たちは権力と闘わねばならない」・・という紋切型の左翼イデオロギー満載なシナリオなのだ。
他にも、まるでカルト集団のように、ゴルゴムのメンバーの忠誠心を確かめるため、一人ずつ裏切り者に剣を突き立てさせるなど見るに堪えないシーンが。
エンディングに至っては、政府転覆に失敗した人権活動家らが子供たちを集めて戦闘訓練したり、テロ行為を伝授したりと開いた口が塞がらないものだ。
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仮面ライダーBLACK SUN
(C)石森プロ・東映(C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT.ALL RIGHTS RESERVED.
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これでは原作のリブートというより、原作『BLACK』の設定を借りただけの政治宣伝ドラマ。原作の制作陣はどんな思いでこれを観ただろう。
そういえば、シーンに登場する色々な小物にやたらハングル文字が目に付く。まさか、そっちの方の人たちなのか?
それにもかかわらず・・である。
今回、出演した西島秀俊や中村倫也、悪役の一人ではあるがルー大柴らの演技は素晴らしかった。
余計な思想の夾雑物がなければ、演技賞を得られるほどの出来だと感じる。
という訳で、久々にムナクソが悪くなる“絶対に観てはいけない映画”でした。
『シン・仮面ライダー』をまだ観に行ってないのに、なんか行く気がそがれたなぁ・・まいいか、ギックリが治ってないし(笑)
/// end of the “cinemaアラカルト357「仮面ライダーBLACK SUN」”///
(追伸)
岸波
よけい憂鬱になったのは、ネットを観たら早速「この映画を観たものはマイノリティへの差別に目覚めて立ち上がらなければならない」とか、的外れに飛びつく意見が散見されたこと。
映画は、色々な国でプロパガンダに使われてきた歴史があり、批判的精神が十分育ってない持たない若者などがすぐ染められる危険性があるんですよね。
シリーズの中でも中興の名作とされる『仮面ライダーBLACK』をこんなふうに使われたことに怒りさえ感じます。
『悪とは、何だ? 悪とは、誰だ?』・・制作者にこのキャッチフレーズをそのままお返ししたいと思います。
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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仮面ライダーBLACK SUN
(C)石森プロ・東映(C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT.ALL RIGHTS RESERVED.
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