こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
a film by Wim Wnders
これは、そのまんまヴィム・ヴェンダース監督作品『都会のアリス』のキャッチコピー。
今週のcinemaアラカルトは、カリスマ彰の当番です。
今回は、特集放映中のヴィム・ヴェンダース監督作品集から、カリスマ彰が未見だった三作品を観て論評するもの。対象は以下の三つ。
◆『都会のアリス』(1973年 1時間50分)
◆『まわり道』(1975年 1時間41分)
◆『さすらい』(1976年 2時間56分)
ではカリスマ彰、お願いします。
岸波さま ザ・シネマがヴィム・ヴェンダースの特集を3カ月にわたって特集する。その第1弾として3月は5作を放映した。
そのうちには、私が未視聴のロード・ムービー3部作が含まれていた。喜び勇んで録画して視聴した。主役は3作ともリュディガー・フォーグラー。
◆『都会のアリス』(1973年 1時間50分)
不思議な少女アリスとの出会い
さすらいの旅に
詩情とやさしさがきらめく
<ロード・ムービー>の誕生
ヴェンダースの傑作!
身勝手な母親に9歳の娘をアメリカの空港で預けられたなかなか書けないドイツ人作家のニューヨーク、アムステルダム、ブッパタール(ドイツ)と続く二人旅。
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都会のアリス
(C)Wim Wenders Stiftung 2014
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世評の高さが全く分からない。
似たような映画「ペーパームーン」(1974年 ピーター・ボグダノヴィッチ監督 1時間43分)の足元にも及ばない。
苛々させられる駄作。
◆『都会のアリス』allcinema ONLINEの解説から引用
「パリ、テキサス」や「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ヴェンダースが73年に製作したロード・ムービーで、この作品を始まりとして、主演リュディガー・フォグラーによる「まわり道」、「さすらい」と続く三部作を撮ることとなる。
旅行記の執筆のためアメリカを放浪していたドイツ人作家フィリップが、帰国のため立ち寄った空港で幼い少女アリスとその母に出会う。ひょんな事から少女をアムステルダムまで連れて行くこととなったフィリップ。しかし待ち合わせたアムステルダムに母の姿はなく、彼は少女の記憶を頼りに祖母の家を探す旅に出ることとなる……。 |
◆『まわり道』(1975年 1時間41分)
北のエルベ川から南の高峰ツークシュピッツェ山へ
青年ヴィルヘルムが縦断するロマンとドイツ現代史の旅
「都会のアリス」から「さすらい」に至る
<ロード・ムービー三部作>の野心的な傑作!
母親に促されて旅に出る作家志望の青年にまとわりつく元ナチの老人とその唖者の孫娘(ナスターシャ・キンスキー)。そして放浪詩人、女優(ハンナ・シグラ)が絡んでくる。
いずれも中途半端な存在感。
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まわり道
(C)Wim Wenders Stiftung 2015
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一番興味深かかった存在は「作家になるなら不安と憂鬱は大切。店を畳んで作ったお金をあげるから書けるようになるために旅に出なさい」と主人公の背中を押した母親だった。
本作はナスターシャ・キンスキーのデビュー作にしてヌード披露以外に見どころはなかった。
脚本は後にノーベル文学賞受賞のペーター・ハントケ。
3部作の中では唯一のカラー作品。
◆『まわり道』allcinema ONLINEの解説から引用
ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』を叩き台に、「ゴールキーパーの不安」の原作などでヴェンダースとは縁の深い作家P・ハントケがその脚色をした、現代ドイツにおける孤独を紡ぎ出す内省的な作品。すべての作品がロード・ムービーのヴェンダースだが、これと前作「都会のアリス」、次作「さすらい」を特にその三部作と呼んでいる。
荒涼としたドイツを一人の青年が歩いている。作家を目指しながら何も書けない焦燥にあった彼に、母が旅することを勧めたのだ。青年ヴィルヘルムは、元ナチスの老芸人とその孫娘、女優や自称“詩人”の青年などと出会い、道中を共にする。辿り着いたのは、ライン河畔の丘陵地帯にある金持ちの大邸宅。そこで過ごす内に彼らは、心のすれ違いの中で幾つかの悲劇をみる……。描かれる風景の寂寥感が何より印象に残るだろう映画だ。 |
◆『さすらい』(1976年 2時間56分)
ヴィム・ヴェンダースが
ロードムービーの頂点を極めた
自由奔放
抒情あふれる傑作!
リュディガー・フォーグラーだけではもたないということか、もう一人の主人公をハンス・ツィッシュラーが演じるのでほぼ3時間の長尺。
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さすらい
(C)Wim Wenders Stiftung 2014
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だいぶ深化してきて映画としてはサマにはなっているが人生を漂い彷徨う2人の40男という3部作の青臭い結論編ではある。
それはともかく、ロビー・ミュラーのカメラが素晴らしい。これだけはいくら褒めても褒め過ぎることはない。夜間撮影の見事さはリマスター効果なのだろうか。
アメリカンロードムービーと日本のトラック野郎(シリーズ第1作鈴木則文監督「トラック野郎 御意見無用」は1975年8月封切り)の合作みたいな作品だが、やはりそこにはドイツ人特有のセンチメンタリズムが見てとれる。
分かり易くいうとシューベルトの「冬の旅」みたいなものである。これが強すぎて嫌になるシーンが多い。
◆『さすらい』allcinema ONLINEの解説から引用
ヴェンダースの“ロード・ムービー三部作”の最終作(といっても、彼の映画はその後もみなロード・ムービーだが)。とにかく長いが、たゆたうような時間は快い。なにしろ、本作で描かれるのはまさに“映画の旅”。映画作りの旅でなく(それは「ことの次第」で描かれている)、映画“運び”の旅。
物語の担い手は、映画館を巡回して映写機を修理して廻り、観客のもとに映画を運び届ける男。その彼に不思議とつきまとうかつての恋人と、逃れようとする男のロード・ムービーである。実際に旅する中で物語を形作っていく即興演出の妙は、ジャック・リヴェットの映画とも相通ずるが、ヴェンダースの旅は、幾度となくさまよいながらも向かう先はあらかじめ定められている旅、という気がする。その最終地点は、彼の敬愛する小津的に言えば“無”ということになるのかもしれない。 |
なお、リュディガー・フォーグラーとともに、このロードムービー3部作に皆勤しているのはリザ・クロイツァーだ。
「都会のアリスでは冒頭のみ登場の身勝手な母親役。「まわり道」ではやはり冒頭のみ暗闇に登場する主人公の恋人役。そして「さすらい」では、主人公の一夜限りの情事の相手をする映画館の女主人役。
このクロイツァーは、1974年〜1978年にヴェンダース監督と結婚していた。
1977年公開のヴェンダース監督「アメリカの友人」にも出演しているが、この作品から、ヴェンダース映画は俄然面白くなってくるのだ。
今回ロードムービー3部作を見てそのことが分かった。
/// end of the “cinemaアラカルト356「ヴェンダース監督のロードムービー3部作をまとめて見たが期待ハズレだった」”///
(追伸)
岸波
なるほどね、ヴェンダース監督は、実際に旅する中で即興演出で物語を作っていくのか・・面白いやり方だね。
コメディならこの手のストーリーも観たいと思うが、そうじゃない方の話のようだな。
う~ん、僕には向かないタイプの映画だね。コメント不可(笑)
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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さすらい
(C)Wim Wenders Stiftung 2014
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