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「夜砂霧」(音楽の卵)
by 岸波(葉羽)【配信2023.2.11】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 ついに、この時がきたぜ

 2023年1月27日(金)からPrime Videoで世界独占配信された『ルパン三世VSキャッツ・アイ』、さっそく観ました。

 今ならプライム会員は無料! 当然、観ない手はありません。

ルパン三世VSキャッツ・アイ

C)モンキー・パンチ 北条司/ルパン三世VSキャッツ・アイ製作委員会

 「ルパン三世」が50周年、「キャッツ・アイ」40周年を迎えたのを記念して制作されたコラボ作品。

 しかもオリジナル・アニメの声優たちが出演。(なつかしー!)

 ルパンのファンもキャッツのファンも、共に感涙チョチョ切れる企画ではありませんか。

 さて、その内容は?

 

 百花繚乱の戦いが幕を明ける

 物語の冒頭、隅田川に上がる花火。屋形船の中では何やら取引が行われている。

 取引されるブツは、キャッツ・アイ三姉妹(泪、瞳、愛)の父ハインツが描いた絵『花束と少女』・・であれば、行方不明の父の作品を回収している怪盗キャッツ・アイが狙わない筈がない。

 受取人は、美術品を財源として武器密売を行う闇の組織「ファーデン」のエージェント、デニス・キルヒマン。

デニス・キルヒマン

 取引が終了してキルヒマンの船が川を下って行くと、下流から別の船が。その船上にスクッと立っているのは・・キルヒマンだ!

 つまり、最初のキルヒマンは変造名人ルパンの変装。銃撃戦となるも、まんまと横取りに成功。

ルパン三世VSキャッツ・アイ

C)モンキー・パンチ 北条司/ルパン三世VSキャッツ・アイ製作委員会

 一方、都内のギャラリーで開催されている「近代・至高の肖像画展」のレセプション会場。そこにキャッツからの挑戦状が届く・・「今宵、"花束と少女"をいただきに上がります Cat's Eye」。

 そう、ハインツの『花束と少女』のもう一枚がここに展示されているのだ。もちろんキャッツ三姉妹の盗みは成功し、ハンググライダーで逃走。それを地上から追う警察隊・・。

ゲットする次女瞳

 でもそれは自動操縦のオトリで、正装のキャッツらは玄関から悠々と退出・・「さあ、花火でも見に行きましょう」(笑)

 ここでタイトル・クレジットが流れる。うん、オシャレだ。

 キャッツを取り逃がし、意気消沈していつものコーヒーハウス「Cat's Eye」でブーたれる内海刑事。

又もしてやられた内海刑事

 もちろん喫茶店の経営者は泪・瞳・愛のキャッツ三姉妹なのだが、一向にそれに気付かない内海・・これもいつものパターン。

 そこに現れたのが、むかし三姉妹の父ハインツに世話になったという画商ベルガー。

 彼は『花束と少女』は三連作で、もう一枚が某国の軍用列車で輸送されるという情報を伝える。彼は三姉妹の正体を知っているのだ。

ルパン三世VSキャッツ・アイ

C)モンキー・パンチ 北条司/ルパン三世VSキャッツ・アイ製作委員会

 早速、三枚目の絵の奪取に向かう三姉妹。しかし、ルパン・次元・五右衛門のチームも攻略に向かう。そして、国際犯罪を防ごうとする銭形警部と内海刑事の即席コンビもまた・・。

 軍用列車を警備するのはキルヒマン傘下の「ファーデン」軍事チーム。そのチームを率いているのは・・ええ~! なんと峰不二子!!?

フージコちゃん/今度は敵!?

 さて、キャッツ・アイは絵を奪還できるのか。ルパンは何故、その絵に拘っているのか。そして、フージコちゃんは敵か味方か。はたまた、三枚の『花束と少女』の運命や如何に!?

ルパン三世VSキャッツ・アイ

C)モンキー・パンチ 北条司/ルパン三世VSキャッツ・アイ製作委員会

 そうですね・・北条司が1981年から少年ジャンプで「キャッツ♥アイ」の連載を開始してから40年にもなるのですね。

 その後、「シティーハンター」や「エンジェル・ハート」と順調にヒットを飛ばして売れっ子作家に。その記念碑的連載デビュー作が「キャッツ♥アイ」。

キャッツ♥アイ

 当時のテレビアニメも大当たり、そして杏里が歌う主題歌もまた大ヒットしました。

あの頃のカラオケの十八番曲だったなぁ(遠い目)

杏里

 オリジナル・アニメの声優たちが集合と書きましたが、二作品のアニメ自体が長期に渡って放映されたため、何人かの声優が交代しながらアテレコしています。

 初代ルパンの山田康雄から栗田貫一へ、石川五右衛門は大塚周夫⇒井上真樹夫⇒浪川大輔へ。そして次元大介は長く演じてきた小林清志が先年死去したため大塚周夫の子、大塚明夫に交代。峰不二子役は増山江威子の跡を継いで沢城みゆき。

このアニメ・メンバーが今回の「vs」でも声優を務めた。

声優らがモンキーパンチを追悼

 一方のキャッツ・アイチームの声優は、TVアニメで長女泪をアテていた藤田淑子が亡くなったため、次女瞳の声優だった戸田恵子が担当。瞳の後継は初登場の深見梨加。三女愛はアニメと同じ坂本千夏。

ルパン三世VSキャッツ・アイ

C)モンキー・パンチ 北条司/ルパン三世VSキャッツ・アイ製作委員会

 しかし・・アニメ放映から何十年もたっているというのに、この女性声優陣の声の若さはさすがというしかない。そして色っぽい。

戸田恵子(瞳⇒泪)

 北条司の描く女性キャラの顔はみな似ていることから、2000年にインタビューで質問されたことがありました。

 北条、答えて曰く・・「読者の求める「北条美人」から外れない様に、敢えてそういった手法を採っている」と。なるほど。

北条司(どことなく似てる‥)

 でも今回、一番色っぽい長女泪(戸田恵子)のキャラが原作と離れてより一層色っぽくなっていました。

一番の美女はフージコちゃんだろ、という異論はさて置いて(笑)

泪姉さん

 そして映画の作法ですが、TVアニメ時代のセル画ではなく、さりとて流行りの3DCGでもなく、3DCGをセル画アニメーションのように表現する『セルルックCG』という新基軸で制作されました。

 これで実写の背景の中をセル画(のように見える)キャラが動く効果を実現。これは良かったんじゃないかな。

 3DCGは当世の流行ですが、やはり昭和・平成初期のキャラは「昔ながら」が似つかわしい。

ルパン三世VSキャッツ・アイ

C)モンキー・パンチ 北条司/ルパン三世VSキャッツ・アイ製作委員会

 さて、ストーリーの方ですが、フージコちゃんが敵と思わせて味方になり、また最後にルパンを出し抜くというのはお決まりのコースとして、よく出来た緻密な設定が施されています。

 キャッツ三姉妹は、行方不明の父ハインツの消息に迫るため父の作品だけを狙う怪盗を続けているワケですが、ルパンは駆け出しのころそのハインツと組んでナチスに簒奪された美術品の回収に当たっていた・・という設定なのです。

 ハインツは、その回収活動の中で所有者に栄光をもたらすとされる「フォルトゥナの石」という三つの宝石を入手し、悪の組織に渡らないよう次作の三連作『花束と少女』の中に隠しました。

 以前、それを手にしていたのは「ファーデン」の大幹部キルヒマンの父親。そう、彼の父はナチスの後継者を自認する男で武器密売組織「ファーデン」の創設者。

 キルヒマンの父親はルパンに「フォルトナの石」を奪われる過程で命を落とし、キルヒマンは組織の目的とは別にルパンに私怨を抱いている。

 また、ハインツに恩義を感じているルパンは、「フォルトナの石」にまつわる陰謀にハインツの娘たち三姉妹を巻き込まないために、影になり日向になり守っていたのでした。

ルパン三世VSキャッツ・アイ

C)モンキー・パンチ 北条司/ルパン三世VSキャッツ・アイ製作委員会

 さらにサプライズは現在のキルヒマンのボス、「ファーデン」を継いだ謎の男。この男こそ「フォルトナの石」騒動に紛れて前のボスを暗殺した張本人。しかもその男は最初から目の前に居た!

 ・・いやぁ、血沸き肉躍るストーリーですね。

 しかも、ルパンは三姉妹を守る戦いで大怪我を負って末娘の愛と共に捉えられ、「お前が持っているフォルトナの石を渡さなければ、この娘を拷問する」と。

風前の灯

 泪と瞳、次元と五右衛門は敵の猛攻で動けず、二人の命はまさに風前の灯。

 この絶体絶命の危機を救うヒーローはいないのか!?

 そこに殴り込んできたのは・・・・まさかの銭形警部!ええええ~!!!

 ほぅらね、観たくなったでしょう?

 プライム会員(月500円)なら、無料で観れますよ。何度でも(笑)

 

/// end of the “cinemaアラカルト349「ルパン三世VSキャッツ・アイ」”///

 

(追伸)

岸波

 このストーリーにはまだ大きな謎が残されています。

 『花束と少女』の一枚目には長女泪が、二枚目には次女瞳が描かれていました。三枚目を目にする三女愛が期待したのは、当然、自分を描いた絵。

 ところが・・・

 三枚目の絵には、見たこともない別の女性が花束を持って立っていたのです。意気消沈し、疑念さえ湧き上がって悩む愛。

ボクじゃない・・。

 この謎がラストシーン、ルパンが回収した三枚の『花束と少女』に付けたメッセージで明らかにされます。

 それは・・「父の想いは家族の下へ、花束は愛へと変わる」。

 そう、花束の陰には女性の大きなお腹が。この女性こそ三姉妹の母親で、愛はまたそのお腹の中にいたのです。こみ上げましたよ・・不意を突かれて。

 うん、実によく出来たいいストーリーだった。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

「ルパン三世VSキャッツ・アイ」ジャパンプレミアイベント/2023.1.24

C)モンキー・パンチ 北条司/ルパン三世VSキャッツ・アイ製作委員会

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト350” coming soon!

 

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