こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
それは、「観る」を超えた
映像体験
富山への出張もあって、年末のギリギリになってしまいましたが、ようやく今週『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』をケイコと観てまいりました。
前作は、押しも押されぬ歴代世界興収第一位のモンスター映画。
続編では、どのような感動を僕たちに与えてくれるのか?
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アバター ウェイ・オブ・ウォーター
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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前作の公開から13年。この間、CG技術もさらに飛躍的に進化しているはず。
そして、ジェームズ・キャメロン監督をはじめ、前作の主要なスタッフ・キャストが再集結。期待はいやがうえにも高まります。
さて、その結果は?
奪われるのは
目か、心か。
映画の冒頭、舞台は第一作から10年後の地球から5光年離れた衛星パンドラ。
原住民ナヴィと同化することを選んだ元海兵隊のジェイク(サム・ワーシントン)は、意識を不可逆的にアバターに移し、ナヴィのオマティカヤ族の妻ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と結ばれる。
女戦士ネイティリ
二人の間には二人の息子ネテヤムとロアク、娘のトゥクが生まれ、前作で亡くなったグレース博士(シガニー・ウィーバー)のアバターから生まれた養女のキリ、そして撤退したスカイピープル(地球人)から置き去りにされたクオリッチ大佐の息子スパイダーと一家を構え平和な日々が続いていた。
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アバター ウェイ・オブ・ウォーター
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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しかし、天空から再びスカイピープルが襲来し、オマティカヤ族が暮らす森をミサイルで焼き払う。
戻って来たのは、前作でジェイクとネイティリに敗北して死亡し、その意識をナヴィの肉体にクローン再生したクオリッチ大佐(スティーヴン・ラング)と部下たち。
復讐に燃える彼らの魔手により、養子のスパイダー(ジャック・チャンピオン)は捉えられ、更なる攻撃が計画される。
海の民メトカイナ族
ジェイク一家はオマティカヤ族を守るため、一族を抜けて放浪の旅に出ることとし、多くの島々に分散して暮らしている海の民メトカイナ族を頼る。
さて、ジェイクの一家は無事逃げおおせることが出来るのか? また、スカイピープルとナヴィの戦いの行方は?
はたまた、実子でありながらクローン・クオリッチ大佐に捉えられてしまったスパイダーの運命や如何に?
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アバター ウェイ・オブ・ウォーター
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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前作の公開から13年の時を経て作られた続編ですが、さすがに映像技術はトンデモナイところまで進化したことを痛感させられました。
その秘密は、エモーション・キャプチャーという技術で、細やかな表情まで精緻に再現しているのです。
エモーション・キャプチャー
そして今回の主な舞台は海。水中シーンのアバターの動きは、俳優らが実際に海の中で演技しCG化する手法をとりました。
そのため、出演俳優たちは飛躍的に水泳が上達したと言います(笑)
さらに驚くべきは、こうした「技術」ばかりでなく、キャッチコピーにもある圧倒的な映像美。
造形にしても、光と影の使い方にしても、撮影の仕方にしても、それは最早「アート」。よほど美的感性に優れたスタッフが介在していることでしょう。
キリ
また、既に70歳を超えているシガニー・ウィーバーが10歳の少女キリを演じることも大きな話題となりました。
前作で彼女が演じたグレース博士は、主人公のジェイク同様、資源開発企業RDA社の強引なやり方に叛旗を翻し、ナヴィ側に立って闘いますが最後には死んでしまいます。
そのグレース博士のアバターが意識の無いまま出産したのがキリ。ならばその父親は誰だったのか・・ということが、今回の続編の中でも大きな謎とされます。
キリとグレース博士
結局、続編の中でも明らかにされないので、いろんな説が唱えられていますが、僕の考えでは、ナヴィとして再生したグレース博士のクローン。
実際、父親の可能性があるのはジェイクだけですが、そんな設定にしたら妻ネイティリとの関係がぐちゃぐちゃになるし、"自分のクローンを出産する"パターンは『ジュラシックワールド』でも出て来ました。
それより何より、シガニー・ウィーバーが自ら演じたということで、一番スッキリする解答ではないでしょうか。
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アバター ウェイ・オブ・ウォーター
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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さて、ストーリーや脚本についてはどうだったか? 実はこの続編が作られると聞いた時に、期待と共に一抹の不安を感じていました。
スカイピープルとナヴィの戦いは前作できっちりと決着がつき、ジェイクが地球人の肉体を捨ててナヴィとして生きる決意をしたことで、話としては完結しているからです。
末娘のトゥク
その先の話を作るにしても、単なるリベンジ・マッチでは、スケールを大きくしたり映像を進化させたりは出来るでしょうが、はっきり言って”二番煎じ”です。
この点は・・残念ながら僕の危惧の通りになってしまいました。
このパターン、『ターミネーター』がまさにそうで、何回やっても同じ結論。多少のヒネリを加えても、ストーリーが焼き直しでしかないのでサプライズはありません。
ターミネーター
特に今回の『アバター2』脚本でまずい所は、家族の誰かが捕虜になる→それを救出に行って別の誰かが捕虜になる・・これが延々と繰り返されます。
「学習能力は無いのか!」と、思わずスクリーンを指差したくらい(笑)
192分という三時間を超える上映時間も、このしょーもない繰り返しが大きな原因になっていて、なんだかな・です。
正確に勘定していませんが、この「ミイラ取りがミイラ」パターンは少なくとも4回はあったはず。これを避けて二時間くらいに収めれば、もっとピリッとした作品になったはず。
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アバター ウェイ・オブ・ウォーター
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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全体の筋立てにしても、場面を森から海に変えただけで、スケールアップした同じメンバー同士のリベンジマッチじゃなくて、例えば『第三の敵』を出して、ジェイクらとクオリッチ大佐らが恩讐を乗り越えてタッグを組むようにすれば、もっと面白くなったかも。
そうすれば、本来親子であるクオリッチ大佐とスパイダーの確執も、上手に着地できたのではないかと思う。
映画では、またも敗れたクオリッチ大佐の命をスパイダーが救う進行ですが、「一緒に行かないか」の誘いに対しアッカンベー状態で喧嘩別れする。(浅いな・・)
スパイダー
結論として「抑えておかなくてはならない作品」だとは思いますが、感動は少ないのです。
なので『奪われるのは 目か、心か。』と問われれば、きっぱりと『目だ』と答えましょう。
/// end of the “cinemaアラカルト343「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」”///
(追伸)
岸波
そんな辛口で評するつもりは無かったんですが、結果"勢い"でダメだししてしまいました。
上映10日間の世界興行収入を見ると8億5500万ドルになっており、この数字は本年では『トップガン マーヴェリック』や『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』と肩を並べます。
前作は最終的に、世界歴代一位となる29億7000万ドルを稼ぎ出していますので、その線まで行くのかどうか。
ただ、世界的なコロナ禍やロシアで上映されないなどの逆風があるので、微妙なところでしょうか。
ちょっと今、他の人の記事も眺めてみたのですが、概ね「映像」を評価する内容が多いように見えます。
確かにそこは認めるけれども、僕はやはり「心」に訴えるのが良い映画だと思うんだけどな。
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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アバター ウェイ・オブ・ウォーター
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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