<Back | Next>
「Glidin'」(TAM Music Factory)
by 岸波(葉羽)【配信2022.11.12】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 ドキドキさせて。

 これは1993年公開のスぺイン映画、ペドロ・アルモドバル監督の『キカ』のキャッチコピー。

 今週のcinemaアラカルトは、カリスマ彰の当番です。

キカ

 さて、元々のレビュータイトルは以下。

◆アルモドバルの「人間讃歌」に笑い転げた映画「キカ」

◆アルモドバルの自伝的映画「ペイン・アンド・グローリー」のどっしりとした手応えに感動

 ではカリスマ彰、お願いします。

岸波さま 次は私の番かな? アルモドバル映画が2本感想が2本あるので これを繋いで下さい。まず1本目「キカ」です。適当に文章もカットしたりしていいですよ。よろしくお願いします。

 

◆『キカ』(1993年 ペドロ・アルモドバル監督 1時間54分)

 倒錯的嗜好をエンタテインメントに昇華させた、
 鬼才アルモドバルの集大成的異色作

 3連休中は、土曜日は新国立劇場でオペラ、日曜日は故郷福島へ日帰り墓参り、月曜日は仕事と競馬TV観戦あって映画鑑賞は1本だけ。

 その1本はもしかしたら今年のベストワンかも。その映画は「キカ」(1993年 ペドロ・アルモドバル監督 1時間54分)。

キカ

 とにかく登場人物たちの底抜けの生命力と奇怪さに笑ってしまった。そしてエロスの氾濫、さらにそのエロスとタナトスの自然なせめぎ合い。凄まじい色彩の洪水。まさに、映画でしかなし得ない醍醐味が味わえる。

 大袈裟に言えば、フェリーニやブニュエルが映画でやったことを、もっと下品で猥雑でファッショナブルに面白くやっている奇跡のような映画なのだ。

 ポルノ映画ではないかと怒り出す人もいるかもしれないし、さらに近親相姦、獣姦(レズの女中がキカとの会話の中で弟の異常性欲に関して話す内容)、強姦、レズ、ホモなんでもありはいくらなんでも酷過ぎないかの声もありそうだ。

 しかし、それが人間の営みとしてごくごく自然に描かれて笑いを誘う。俗な言い方だが、ラテンの「人間讃歌」ということなのだろう。

 ストーリーはwikipediaなどを参考にしてほしいが、ゴルチエが衣裳を担当して、ヴェルサーチェも衣裳協力者にクレジットされている。ファッション関係者は必見だ。まさに1993年の映画。

 カメラをヘルメットに被りキテレツな装いのTVキャスター。まさにゴルチエの衣裳だ。

 ファッションを見ているだけで十分楽しい レズビアンの女中を演じるロッシ・デ・パルマ(女優です!念のため)とキカ役のベロニカ・フォルケ(下右↓) 女中の弟はポルノ男優で性欲異常者。

 刑務所から脱走し姉を頼りキカの家に押し入りキカを強姦 先月は、アルモドバル監督(1949.9.25〜)の自伝映画「ペイン・アンド・グローリー」(2019年)を見たばかりだが、同傾向ではあるが、やはり25年の年季が感じられて、こっちの方は光彩陸離たるケバサはなくなっていた。それはそれでまた実に味わい深いのだが。

 今頃アルモドバルの凄さに気づくのもお恥ずかしいが、彼の1980年代後半から1990年代の前半の「神経衰弱ぎりぎりの女たち」(1987年)や「アタメ」(1990年)「ハイヒール」(1991年)などの映画は是非見たいものだ。

◆『キカ』allcinema ONLINEの解説から引用

 ジャン=ポール・ゴルチェによる奇天烈な衣装が何より目を引く、アルモドバルの例のごとくの“スタイリッシュな愛の世界”。マヌカン受けするようになってからの彼の映画は正直しんどい。ファッショナブルな表層の下に人間洞察の確かさが僅かに垣間見えるから、頭ごなしに否定もできないし……。

 主人公キカはメイクアップ・アーティスト。気だてよく行動的で、年下のハンサムで少し変わり者のカメラマン、ラモンが恋人だ。彼の自殺した母親の夫(つまり義父)の放浪作家(「赤い航路」と同じような役柄のP・コヨーテ)が彼女らの前に現われる。この男、どうも自分の行動したようにしか書けない女たらしのアプレゲール野郎だが、キカは魅かれてしまう。また、更に二人につきまとうのが“今日の最悪事件”なる報道番組を持つTVレポーターのアンドレア(このターミネーターのようなTVアンドロイドぶりが醜悪)。彼女はかつてラモンの分析医で恋人だった。その他、ピカソの絵から抜け出てきたような顔のレズのメイド、その弟の、童貞でポルノ男優になった巨根の青年等いろいろ入り乱れての原色の群像絵巻。

 物語の核の部分--ラモンの母の自殺の真偽--がなかなか興味深いだけに、エキセントリックにすぎる脇の描写がうるさく感じられる。“先端業界人”に憧れる専門学校生か下請けプロで働くミーハーの感性に合わせたようなキッチュ作。


◆『ペイン・アンド・グローリー』
(2019年 ペドロ・アルモドバル監督 1時間53分)

 それは、人生のはじまり

 TV放映を録画して最近見た映画「ペイン・アンド・グローリー」(2019年 ペドロ・アルモドバル監督 1時間53分)について書く。

 さすがアルモドバル(1949.9.25〜)という味わい深い映画。

ペイン・アンド・グローリー

(C)El Deseo.

 夏の頃は暑さに負けて「軽い」映画ばかり見て来たが、こういう本格的映画を久しぶりに見ると、やはりずっしりとした手応えがある。

 この映画は、アルモドバルの自伝的要素を盛り込んでいるというが、ゲイ、薬物などとの関係が赤裸々に語られている。

 脊髄の痛みに悩まされてなかなか映画が撮れない映画監督役のアントニオ・バンデラス、その母親役(若い頃)のペネロペ・クルスは、アルモドバル映画の常連だが、相変わらず素晴らしい演技だ。

 無名だが、年老いてからの母親役も好演。

 アルモドバルも自伝的映画を撮るようになったかと思うと実に感慨深い。

◆『ペイン・アンド・グローリー』allcinema ONLINEの解説から引用

 「オール・アバウト・マイ・マザー」「ボルベール <帰郷>」のスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督による自伝的要素の強い人生ドラマ。監督の分身ともいえる主人公を演じるのはこれで8作目のアルモドバル作品出演となるアントニオ・バンデラス。本作の演技でカンヌ国際映画祭主演男優賞授賞やアカデミー賞主演男優賞ノミネートをはじめ数々の映画賞に輝いた。共演にペネロペ・クルス、アシエル・エチェアンディア、レオナルド・スバラーリャ。また、アルモドバル監督初期の常連で、久々のアルモドバル作品登場となるフリエタ・セラーノは、アントニオ・バンデラスの母親役を演じるのは今回で3度目となる。

 世界的映画監督のサルバドールは肉体的な痛みに苦しめられ、いまや精神的にも気力を失い引退同然の生活を送っていた。そんなある日、自身の昔の作品が再上映されることに。しかし、それは彼の苦い記憶を呼び起こす。当時、ヘロインを使用していた主演俳優のアルベルトと激しい口論になり、以来2人は絶縁状態になってしまっていた。和解を願い、アルベルトと30数年ぶりの再会を果たすサルバドールだったが…。

 

/// end of the “cinemaアラカルト336「キカ+ペイン・アンド・グローリー」”///

 

(追伸)

岸波

 この監督の映画は観たことが無いが、『キカ』の乳出し(に見える)ファッションにはぶっ飛んだ。

 よくこんなデザインを思い付くもんだな。

 アントニオ・バンデラスは、ハリウッド俳優で『デスペラード』や『暗殺者』などサスペンス・アクションのイメージが強いが、デビューはスペインで、そこで10年ほど俳優をやっていたんだな。

 そして2019年になってから、再びアルモドバル監督の『ペイン・アンド・グローリー』に出演して、初のアカデミー主演男優賞にノミネートされた訳だ。

 この映画のバンデラスは、枯れたいい顔になっているね。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

ペイン・アンド・グローリー

(C)El Deseo.

eメールはこちらへ   または habane8@yahoo.co.jp まで!
Give the author your feedback, your comments + thoughts are always greatly appreciated.

 

To be continued⇒  “cinemaアラカルト337” coming soon!

 

<Back | Next>

 

PAGE TOP


bannerCopyright(C) Habane. All Rights Reserved.