こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
1984年、東西冷戦下の東ベルリン。
壁の向こうで、何が起こっていたのか?
ようやく明かされた”監視国家”の真実ーー。
これは2006年公開、フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督の『善き人のためのソナタ』のキャッチコピー。
今週のcinemaアラカルトは、カリスマ彰の当番です。
って、届いてないぞ! 仕方が無いので、最近のレビューから二本、僕の方でチョイス。
さて、元々のレビュータイトルは以下。
◆壁崩壊直前の東ドイツの監視社会を冷徹に描いた傑作映画「善き人のためのソナタ」
◆この巧妙な仕掛けのある脚本に必ず貴方も騙される映画「クライング・ゲーム」
ではカリスマ彰、お願いします。
岸波さま 了解。またまた連続投稿ですか(笑)。 2本要るかな?
◆『善き人のためのソナタ』
(2006年フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督 2時間17分)
この曲を
本気で聴いた者は、
悪人になれない
TV放映された映画「善き人のためのソナタ」(2006年フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督 2時間17分)を録画して見た。原題は「他人の生活」である。
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1984年の東ドイツのシュタージ(秘密警察)による有名劇作家とその恋人の女優の「監視」をテーマにしている。
ピーター・オトゥール似の監視官(ウルリッヒ・ミューレ)、女優役は名女優のマルティナ・ゲデック で劇作家役はセバスチャン・コッホという配役。
この他にも、監視官の上司、女優に横恋慕する大臣など芸達者で固めている。
1989年のベルリンの壁崩壊に至るまでの東ドイツのホーネッカー社会主義体制の腐敗ぶりを呵責なく描いているが、同時に政治学者ジョン・アクトンが言うように「絶対権力は絶対的に腐敗する」の言葉通りその萌芽をも描いている映画だ。
社会主義ばかりではない、今の日本だってある意味絶対権力に支配されている社会である。
しかし、ナチスにメチャクチャにさせられた後に、さらにこんなホーネッカー体制に牛耳られた東ドイツの人々の不幸を思うといたたまれない。そうしたことを考えさせる名作だと思う。
ホーネッカーを揶揄する笑い話を聞かれて単純作業員に降格させられた官吏だとか、監視官が売春婦を買って時間延長を頼んだら売春婦から簡単に拒否されるエピソードなどディテールが実に見事だ。
壁崩壊後に、一般に公開された監視記録を丁寧に調べ上げているのだろう。
ちょっと不満だったのは、精神状態が不安定で薬物常用者という伏線はあるが、ゲデック演じる女優がシュタージに恋人の弱みをあまりにも簡単にゲロしてしまう点だ。
◆『善き人のためのソナタ』allcinema ONLINEの解説から引用
旧東ドイツで反体制派への監視を大規模に行っていた秘密警察“シュタージ”。本作はこのシュタージ側の人間を主人公に、統一後も旧東ドイツ市民の心に深く影を落とす“監視国家”の実態を明らかにするとともに、芸術家の監視を命じられた主人公が図らずも監視対象の考え方や生き方に影響を受け、新たな人生に目覚めてしまう姿を静謐なタッチでリアルに描き出す感動のヒューマン・ドラマ。主演は自身も監視された過去を持つ東ドイツ出身のウルリッヒ・ミューエ。監督はこれが長編第1作目となる弱冠33歳の新鋭フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。
1984年、壁崩壊前の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉は国家に忠誠を誓う真面目で優秀な男。ある日彼は、反体制的疑いのある劇作家ドライマンとその同棲相手の舞台女優クリスタを監視し、反体制の証拠を掴むよう命じられる。さっそくドライマンのアパートには盗聴器が仕掛けられ、ヴィースラーは徹底した監視を開始する。しかし、音楽や文学を語り合い、深く愛し合う彼らの世界にヴィースラーは知らず知らずのうちに共鳴していくのだった。そして、ドライマンがピアノで弾いた“善き人のためのソナタ”という曲を耳にした時、ヴィースラーの心は激しく揺さぶられてしまうのだったが…。 |
◆『クライング・ゲーム』(1992年 ニール・ジョーダン監督 1時間52分)
愛が、次の手を決める。
でも切り札は秘密。
TV放映を録画した映画「クライング・ゲーム」(1992年 ニール・ジョーダン監督 1時間52分)を見る。
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クライング・ゲーム
(C)Palace (Soldier's Wife) Ltd. and Nippon Film Development & Finance Inc. 1992
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「モナリザ」(1986年)、「俺たちは天使じゃない」(1989年)のいずれもなかなかの映画だったアイルランド人のジョーダンの監督作品。
アカデミー賞脚本賞を受賞しているが、なかなかよく書けた脚本だ。しかしまあ、なかなかやってくれるものである(笑)。
IRA(アイルランド解放同盟)に誘拐された黒人イギリス兵(フォレスト・ウィティカー)とこれを見張るIRA兵士(スティーヴン・レイ)の奇妙な友情。
黒人兵士が死んだ後に恋人に遺言を伝えるためにロンドンに行くIRA兵士。
ネタバレになるので、ここからは全然書けない(笑)ので、映画を見てもらうしかない。それだけの価値はある。
役者が皆上手い。人生について大いに考えさせてくれる佳作である。それだけで十分じゃないのかな。
ところでIRAは今、何してるのかな。
ブレグジット、女王死去、44日で辞任したリズ・トラス首相などイギリスという国は大丈夫なのか。まあ、いずれ日本もああなるが。
◆『クライング・ゲーム』allcinema ONLINEの解説から引用
アイルランド、川辺りの移動遊園地。そこに出会ったばかりの男女がいた。イギリス軍黒人兵士ジョディと、ブロンドの女ジュード。遊園地を出ると女は男を誘い、2人は抱き合ってキスを交わす。と、その時、男の頭上で拳銃の撃鉄を上げる音がした。慌てて見上げるジョディ。するとそこには、銃口を向けた男が立っている。驚く間もなく彼は、数人の男に押さえつけられると顔に袋を被せられ、いずこかへ連れ去られた……。
人質となった英軍兵士とIRA闘士との束の間の友情。英軍兵士の遺言に従ってロンドンで出会った謎の美女。危険で甘美なラブ・サスペンスとしての側面と、男の友情や人間としての在り方を描いた、ニール・ジョーダン監督による秀作。映画作家であり、また小説家でもあるジョーダン監督らしく、文学的でありながら小粋で洗練された会話、そして的確な演出、多彩なストーリー展開と、卓越した手腕がいかんなく発揮され、アーティスティックでありながら極上のエンタテインメントに仕上げられている。ボーイ・ジョージの歌うこの映画のテーマ曲と、才優フォレスト・ウィテカーの魅力溢れる秀逸の演技が印象的。 |
/// end of the “cinemaアラカルト334「善き人のためのソナタ+クライング・ゲーム」”///
(追伸)
岸波
二本目の『クライング・ゲーム』はもう一つキャッチコピーがあって、それは「この映画の”秘密”だけは、誰にも話さないで下さい。」というもの。
このキャッチコピーが話題になり、「なにか秘密があるんだな」と考えて客が押し寄せたとか(笑)
だから、カリスマ彰もallcinemaの解説も、後半のストーリーをボカシて書いているんだな。
う~ん、気になってきたぞ。人間、「ダメ」と言われるとやりたくなるし、「ナイショ」と言われれば知りたくなる。
Amazonプライムにあるかな? ・・あ!「現在ご利用いただけません」になってる!?
うむぅ・・いよいよ気になってきたぞ(笑)
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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