こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
ニューヨークに奇跡が起こる!
"Welcome to America!"
スピルバーグが製作総指揮を勤めた『ニューヨーク東8番街の奇跡』をAmazonプライムで鑑賞しました。
見終わった後、ジンワリと心に感動が広がるハートフル・コメディ。こういうの、久しぶりです。
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ニューヨーク東8番街の奇跡
引用:IMDb.com
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初公開は1987年。つまり35年も前。
だからCGとか少しアレな部分もありますが、見るべきところはそんなところじゃない。ということで、カリスマ彰のように長いタイトルを付けるとすれば・・
そう、コレだ!「細かい突っ込みはナシで、とにかく感動に浸るんだ『東8番街の奇跡』!」
・・どうやら、今回は失敗したようです(笑)
さて、どんな感動が待っていたのか、さっそくその内容です。
イーストサイドの下町を突然訪れた
可愛くて、ひょうきんな奴らたち。
一体、何をしでかすか!?
全く事前の情報なしに、Amazonプライムで評価が★4以上の作品を探していてこの映画を観た。
冒頭の「UNIVERSAL AN MCA COMPANY」のロゴやタイトルバックがいやに古めかしい。そして短い。
それに続く、古いニューヨークの画面で流れ出すオールド・スタイルのジャズ。そして「STEVEN SPIELBERG PRESENTS」の文字。
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ニューヨーク東8番街の奇跡
引用:IMDb.com
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驚いた。これはスピルバーグの作品?・・まったく知らなかった。
スピルバーグは「製作総指揮」でしたが。
そして、次々と映し出される古き良きニューヨークの風景写真。すべてはセピア色。あれ?と思う。
かなり初期の作品なのか。昭和60年代くらいのテイストが感じられる。不思議に思ってWikiを確認すると1987年作品とある。
なんだ、敢えて昔のフィルムのように作ってあるのか。
映画冒頭の映像
その頃の僕は33歳。仕事が激務で映画から遠ざかっていた時期。知らなくても当然か。
ちょっと気になって、1987年公開作品のリストを調べてみた。
『ゴーストバスターズ』・・これは観ている。
そして『スタートレックIV 故郷への長い道』、『スタンド・バイ・ミー』、『リーサル・ウェポン』、『プレデター』、『007 リビング・デイ・ライツ』など。
007 リビング・デイ・ライツ
邦画では『マルサの女』や『スケバン刑事』。有名作品だがリアルタイムでは殆ど観ていない。
一方、1975年の『激突!』で頭角を現したスピルバーグだが、この『ニューヨーク東8番街の奇跡』の10年前、1977年に公開されたのが『未知との遭遇』、5年前が『E.T.』だ。
やはり、敢えて古めかしい造りにしてあるのか?
監督を務めたマシュー・ロビンズの趣味かもしれないが。
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ニューヨーク東8番街の奇跡
引用:IMDb.com
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本編に入ると、サングラスをかけて派手な赤い服を着こんだ老女フェイ・ライリー(ジェシカ・タンディ)が登場。
荒れた廃墟のような市街地をカラッポのキャリーを引きずって歩いている。
街は凄まじい荒廃ぶり・・まるで爆撃されたウクライナの市街地のようだ。だけどコレはニューヨークの話だよな・・もしかしてSF!?
とどのつまりSFではあったのだけれど(笑)
種明かしをすれば、ここはニューヨークの再開発が始まった1980年代の東8番街。
再開発中の東8番街
老女フェイは亭主のフランク・ライリー(ヒューム・クローニン)と、この古いビルの一階でダイナーを経営しており、地上げ屋から立ち退きを迫られたが拒んでいるのだ。
この夫婦と同様に、同じ廃墟アパートに住み続けているメンバーがいる。
ハリー(フランク・マクレー)は元ボクサーでこのビルの管理人。本当はべらぼうに強い・・でも優し過ぎる(笑)
管理人のハリー
マリア(エリザベス・ペーニャ)は帰らぬミュージシャンの恋人を待ち続ける妊婦。
妊婦のマリア
メイソン(デニス・ボウトシカリス)は恋人に愛想を尽かされた売れない画家で金もない。同じアパートに一人で暮らすマリアが気になっている。
売れない画家メイソン
そして、彼らを追い出してビルを取り壊そうとしているのが再開発業者のトップであるレイシー(マイケル・グリーン)。
その手先となって、住人に嫌がらせをしているチンピラがプエルトリコ系(多分)のカルロス(マイケル・カーマイン)だ。
チンピラのカルロス
このカルロスは本当に悪い奴で、少額の金を掴ませて立ち退きを迫るが、言うことを聞かないとみるや、バットを持って1階にある老夫婦のダイナーをぐちゃぐちゃに破壊する。
あまりの仕業に絶望する夫のフランク。実は妻のフェイは認知症を発症しており、まともな話が通用しなくなっていたのだ。
フランクとフェイ
ところがその夜、奇跡が起こる。
一晩明けたあくる朝、フランクのダイナーは壊れた椅子やカウンター、破壊された思い出の額縁まできれいに元通りになっていたのだ。
いったい誰が?いや、何が起こった!?
さて、ボロアパートの住人たちの運命は?そして、この奇跡の正体や如何に!?
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ニューヨーク東8番街の奇跡
引用:IMDb.com
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見終わった結論から言えば、これは本当に見てよかったという思いが強い。
一番、心を打たれたのが、極悪チンピラのカルロスが、住民たちの心根に触れる中で改心し、彼らの味方になること。
こういう進行って胸が熱くなりますよね。
改心したカルロス
そして、ダイナーを経営する老夫婦、フランクとフェイは実際の夫婦だそうで、事故で亡くした息子が生きていると信じ、時に頓珍漢な行動に出る認知症の妻を労わる姿に胸が打たれます。
実生活でも夫婦
フェイを演じたジェシカ・タンディは元々イギリスの舞台俳優で、1947年にテネシー・ウィリアムズの『欲望と言う名の電車』の舞台に立ち、トニー賞を受賞。
その後も2度、トニー賞を受賞。
映画ではヒッチコックの『鳥』(1963年)やロン・ハワードの『コクーン』(1985年)に出演、1989年『ドライビング Miss デイジー』では80歳という最高齢でアカデミー主演女優賞を受賞した演技派。
若き日のジェシカ・タンディ
今回の『東8番街の奇跡』では78歳でフェイ役を演じていますが、若い頃はさぞ美しかったんだろうと見惚れてしまいました。
そのフェイが、(認知症のゆえ)チンピラのカルロスを死んだ息子が帰って来たと思い込んで喜ぶシーンなどは涙が零れました。
本当に名優ですね。そして品がある。
カルロスとフェイ
さて「奇跡」の正体ですが、コレが何とUFOの宇宙人。はい、UFOに乗った宇宙人ではなく、UFOが宇宙人(機械生命?)なのです!しかも夫婦者(笑)
彼らは、出産(!)のため、この廃アパートの屋上に“巣作り”しようと飛来したのでした。それを最初に目撃したのもフェイ。
UFO宇宙人とフェイ
認知症のフェイは、あまり深い事を考えませんから、素直にその現実を受け入れて巣作りの手伝いをする。
破壊されたダイナーを元通りにしたのは、そのお礼だった訳です。
で、このUFO宇宙人の造形が何ともチープ・・と言うか可愛い♪(笑)
結局、三兄弟を産み落とすのですが、このチビちゃんたちも輪をかけて可愛い。
UFO三兄弟フィギュア
その動きも、いかにもピアノ線で吊ってますよと言わんばかりの鉄板動作(大笑い)
『未知との遭遇』と『スター・ウォーズ』の第一作が共に十年前の作品。
その気になれば、もう少しマシな映像が作れそうだけど、何故しなかったのかなぁ・・。
さて、UFO宇宙人の一家が去って行ったボロアパート。
追い出しの実効を上げられないチンピラ・カルロスは、雇い主のレイシー(マイケル・グリーン)から、明日朝までに追い出しが完了しなければ解雇と言い渡される。
明日朝までに・・
思い余ったカルロスは、住人たちが留守の隙にアパートに火をつけて燃やしてしまおうと画策。
今なら誰も居ないと仲間に確認したカルロスは着火。だがその直後、ビルの窓から「ボビー(死んだ息子の名)、やっぱり帰ってきたのね。早くおあがり」と呼ぶフェイの姿が。
動転するカルロス。彼は炎の中に飛び込んで、必死にフェイを救おうとする。いやぁ胸アツだわ、このシーン。
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ニューヨーク東8番街の奇跡
引用:IMDb.com
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ガスに引火してビルが大爆発する中、辛くもフェイは助け出される。
しかし、焼け落ちた廃墟を見上げて茫然自失する住人達。明日は取り壊せるとほくそ笑む開発業者。深い後悔に苛まれるカルロス。
だがその夜、再び奇跡が訪れる。
何と、「彼ら」の仲間が空一面を埋め尽くす・・もう、お分かりですよね♪
ああ、たまにこういう映画も見なくちゃだめだな。心が洗われていく気がする。
/// end of the “cinemaアラカルト330「ニューヨーク東8番街の奇跡」”///
(追伸)
岸波
本当に心温まる良い映画でした。久々に見たな、こんなの。
フェイらの最大のピンチに、UFO家族が再び仲間たちを引き連れて、夜空を覆いつくすシーンは圧巻。
『エイリアン2』で、エイリアン・クイーンに屋上まで追い詰められたリプリーの絶体絶命の危機に、上半身だけとなったアンドロイドが宇宙船に乗って助けに来るシーンと同じくらい感動しました。
結局、再開発はどうなったのか? はい、こうなりました。
あれぇ、コレって『インセプション』の最下層で出てきたシーンとそっくりだ!
もしかしたら、ディカプリオも住んでる?(笑)
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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ニューヨーク東8番街の奇跡
引用:IMDb.com
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