こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
セシルは17歳--
リビエラの爽やかな風と
恋の悲しみに微笑みをかわす
フランソワーズ・サガンのベストセラー
完璧の映画化!
これは1958年公開、フランソワーズ・サガンの原作、オットー・プレミンジャー監督による『悲しみよこんにちは』のキャッチコピー。
さて今週は、カリスマ彰の当番です。
今回のコンセプトは”イマイチの映画”二本。元々のレビュータイトルは以下。
◆『映画史的な価値はともかく映画「悲しみよこんにちは」はあまり面白くなかった』
◆『少年院での性虐待に復讐する男たちの友情を描いている映画なのだが....』
ではカリスマ彰、お願いします。
岸波さま cinemaアラカルトです。 ちょっと短かいかな。もう1本も送ります。イマイチの映画2本です。右の背景画像は、グラフィックデザイン界の大御所ソール・バスによる有名な映画ポスター『悲しみよこんにちは』。
◆『悲しみよこんにちは』(1958年 オットー・プレミンジャー監督 1時間34分)
連休は在宅で過ごすことになった。録画していた映画などを消化することになりそう。録画スペースが無くなって、余裕が無いのだ。
その第1作に選んだのが、映画「悲しみよこんにちは」(1958年 オットー・プレミンジャー監督 1時間34分)だ。
フランソワーズ・サガン(1935〜2004)の18歳の時の処女作の映画化だ。さらに主演のジーン・セバーグ(1938〜1979)を一気に有名にした映画だ。
ゴダールは、ヌーヴェルバーグ初期の代表作「勝手にしやがれ」(1959)で、このジーン・セバーグをベルモンドの相手役に選んだ。
セシール役のジーン・セバーグのショートカットがセシールカットとして大流行した。
|
|
ただし、処女作の成功で大金を手にしたサガンは薬と酒とギャンブルに溺れ悲惨な晩年を過ごしたし、ジーン・セバーグはこの成功を超える作品に恵まれず、40歳で自殺してしまう。
ある意味で2人の女を不幸にした罪な映画とも言えるのだ。
ジーン・セバーグととデボラ・カー
さまざまな話題に恵まれ、映画史的にも重要な映画なのだが、今見てみると、正直言ってあまり面白くない映画だ。
プレイボーイの父(デヴィッド・二ーヴン)と結婚することになった女性(デボラ・カー)へ、娘のセシールが嫌がらせを仕掛けるのだが、これがちょっと理解できない仕掛け。
ジーン・セバーグとミレーヌ・ドモンジョ
父の愛人(ミレーヌ・ドモンジョ)と父を復縁させて、これを結婚相手に見せたら、この結婚相手は 家を出て行くだろうという単純な発想なのだが、こんなに簡単にいくものだろうか。
この仕掛けの他にも17歳の娘と父親のベタベタした関係など日本人にはちょっと理解し難く、ジーン・セバーグの演技もちょっと生硬な感じがするのだ。
期待ハズレだった。
◆『悲しみよこんにちは』allcinema ONLINEの解説から引用
ソウル・バスによるタイトルデザインがとりわけスマートなO・プレミンジャー作品。わずか18歳で書いたこの原作でフランスだけでなく、一躍世界の売れっ子作家になったF・サガン。そのスノビズムがニーヴンやカーといったシックさを体現する役者たちの登用で、かなり上手く消化されている。そして、言わずもがな、セシール・カットの流行を生んだセバーグのボーイッシュな魅力。
17歳のブルジョアの少女が父レイモンに新たに出来た恋人アンヌ(カー)が母となる現実を受容できず、それまでの若い愛人エルザ(ドモンジョ)と共謀して、父と彼女との仲をアンヌに見せつけて別れさせようとする。ところが絶望に車を駆って去るアンヌは運転を誤って崖から落ちて死んでしまう。一年前の出来事だった。今は陽光明るい夏のリヴィエラにいても、少女の世界は晴れることなどないと思われる惨めな悲しみに満ちていた。
灰色の現在は白黒、過去は眩いテクニカラーで描かれる。G・オーリックの音楽、グレコの主題歌とたっぷりフレンチ・ムードに浸れるハリウッド(米英合作)映画だ。 |
◆『スリーパーズ』(バリー・レヴィンソン監督 1996年 2時間27分)
この街の掟には、
誰もさからえない。
ベストセラー小説を豪華キャストで映画化した名作というので、TV放映(ザ・シネマ)を録画して映画「スリーパーズ」(バリー・レヴィンソン監督 1996年 2時間27分)を見てみた。
|
|
犯罪というのかどうか微妙な悪戯で少年院に入れられた4人の少年が、看守による性虐待・暴行で人生を捻じ曲げられる。
その後、大分経ってからその復讐を果たす。さらにその後の裁判を描いた映画。
豪華キャストだが、尺が長い。
豪華キャストとは、4人の少年のうちのひとりで検事になっているのがブラッド・ピット、新聞記者になっているのがジェイソン・パトリック、街のゴロツキになって復讐を果たした2人を弁護するダメ弁護士がダスティン・ホフマン、看守の一人がケビン・ベーコン、4人が少年時代を過ごした街の神父がロバート・デ・ニーロ。
悪者に復讐するので、一種の爽快感はあるのだがどうも後味がよくない。ネタバレになるので書けないが。
しかし、最後に4人のその後を説明する映像が流されてなるほどと納得する。
人生の難しさを考えさせる終結になっている。
また原作が事実に基づいているかどうかについても、争いがあったようで、エンドロールで触れられている。
なお「スリーパー」というウッディ・アレンが監督・主演した1973年のSFコメディ映画があるので注意してほしい。
◆『スリーパーズ』allcinema ONLINEの解説から引用
1967年、マンハッタン。仲良しだった四人組は、いたずらをきっかけに少年院に送られてしまった。そこで看守から受ける、想像を越えた虐待の数々。そして、出所してから十年後。四人のうちのジョンとトミーは、偶然出会った看守のノークスを銃殺した……。
四人の男たちの復讐と友情の物語。神父役のデ・ニーロと、酔っ払い弁護士役のホフマンは何と初共演。その豪華な顔ぶれだけでも一見の価値あり。 |
/// end of the “cinemaアラカルト309「悲しみよこんにちは+スリーパーズ」”///
(追伸)
岸波
『悲しみよこんにちは』だが、この後、2009年に「エディット・ピアフ/愛の賛歌」のシルビー・テステューが自由奔放なサガンを演じた『サガン 悲しみよこんにちは』が映画化されている。
こちらは、サガンが『悲しみよこんにちは』で成功してからどんどん自滅していくサマを描いた伝記的映画。
若くして社会的成功を手にし、自由奔放で贅沢な暮らしを謳歌するが、恋愛は失敗続き。やがて酒と浪費に溺れていく・・う~ん、こういうパターンって、映画界ではよく聞く話だが、どんな世界でも同じなんだな。
それにしてもフランス映画ってのは、バッドエンド作品が多い気がする。
もう、この歳になると、わざわざ時間と金をかけて悲しい映画を観るのは”人生の無駄使い”と思えるよ。人生は美しい事だけ覚えてればいい。
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
eメールはこちらへ または habane8@yahoo.co.jp まで!
Give
the author your feedback, your comments + thoughts are always greatly appreciated.
To
be continued⇒ “cinemaアラカルト310” coming
soon!
<Back | Next>
|