こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
外交官・黒田が見出した
事件の全貌とは―。
お盆中ずっと勤務だったので、16日(日)の夜に福島に帰り、ケイコと「アマルフィ
女神の報酬」を観てきました。
フジテレビ開局50周年記念作品として、日本映画史上初めてオール・イタリアロケを敢行したサスペンス娯楽超大作。
しかし、とてもオナカが減っていて・・・
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アマルフィ 女神の報酬
(C)2009 フジテレビジョン |
うーん、オナカ空いた。サキイカでも食べちゃおかな。
やめてよ、クサイでしょ!
しかし、この空腹感がどうしても・・。
しょうがない。じゃ、ワタシにもちょうだい。
ええー!
ということで、イタリアの世界遺産テンコ盛りの風光明媚なスクリーンを観ながら、サキイカをしゃぶる夫婦・・・。
他のお客さん、ごめんなさいっ!
←(周りの席には、お客さんがいませんでしたけどネ。)
織田裕二と天海祐希を主演に据えたこの映画。
フジテレビと織田裕二は、2003年の「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」で、実写の日本映画としては過去最高の興収を上げた“タイトル・ホルダー”。
そうした実績から、“フジテレビ開局50周年記念作品”の主演は織田裕二で行こうということが、既に2006年の時点で決定。
小説「ホワイトアウト」で95年の吉川英二文学新人賞を受賞している売れっ子小説家・脚本家である真保裕一に“織田裕二を中心に据えた映画脚本”を依頼し、この作品となりました。
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アマルフィ 女神の報酬
(C)2009 フジテレビジョン |
織田裕二の役柄は、駐イタリア日本大使館に新たに赴任してきた一等書記官。
折りしもクリスマス目前のローマでは、各国首脳が集まるG8の開催日程が間近に迫っています。
日本大使館は、G8に参加する川越外務大臣の訪問準備におおわらわ。
そして、実は・・・外交官黒田は単なる人事異動ではなく、秘密裏にG8テロ対策の密命をおびて派遣された“その筋の腕っこき”だったのです。
一方、娘を連れてローマにやって来た元・看護師の矢上紗江子(天海祐希)。
娘が困難な眼の手術を受けなければならず、その前に一度だけ、亡くなった夫との思い出の地イタリアを見せようとしたのでした。
その娘が誘拐され、大使館の黒田も事件に巻き込まれることに。
最初は身代金目当ての単純誘拐事件と思われたものが、次第にその大きな背景が明らかになり、やがてイタリア全土を巻き込むテロ事件へと発展するのです。
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アマルフィ 女神の報酬
(C)2009 フジテレビジョン |
映画に先立ち、NTTドコモとフジテレビは、「ドコモ動画」でプロモーション・ストーリー「アマルフィ ビギンズ」を配信しました。
テレビCMでご存知の方も多いはず。
「ビギンズ」は映画の序章という触れ込みで、6月5日からの配信。利用料は無料です。
この映画のウリは、なんと言っても、キリスト教文化とイスラム文化が融合した美しいアマルフィ海岸の都市を含む4つの世界遺産を含むロケ地。
イタリアの観光旅行をするつもりで観ればいいのよ。
~というケイコのお言葉どおり、コロッセオ、スペイン階段、サンタンジェロ城、カピトリーニ美術館、カゼルタ宮殿など、美しい背景の中で事件が進行します。
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コロッセオ
(C)2009 フジテレビジョン |
もう一つの見所は、出演陣。
天海祐希、戸田恵梨香、佐藤浩市、大塚寧々、佐野史郎
といった日本の映画やドラマ界を牽引するスターが結集していることも魅力です。
さらに、友情出演の福山雅治。
彼は、昨年の主演映画「容疑者Xの献身」を大ヒットさせましたが、この映画では外交官・黒田と旧知の仲の新聞記者として登場。
「アンタがここにいるってことは、派手なことが起こるってことだろ?」
~と、展開を予言するセリフを。
さらに、二人並んで歩いていると、後ろからイタリア美女達がやってくる。
すると、会話を中断し、二人は立ち止まって美女達の行方を眼で追う。
で、彼女らが去ると再び話の続きを始める~といったコントのようなシーンも。
←(オヌシらも男よのぅ・・)daddy
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織田と福山
(C)2009 フジテレビジョン |
また、この映画には脚本家のクレジットが表示されなかったことで物議をかもしました。
そのため、脚本家軽視の疑いがあるとして日本シナリオ作家協会が制作者側にクレームを付けるという事件が。
どうしてこのようなことになったのか?
実際のシナリオ原案は、小説版も担当する真保裕一が書いたわけですが、映画が撮影される過程で監督の西谷弘が大幅に改変したのです。
もちろんこれは両者合意の上なので、正式には二人の共同シナリオということになるのですが、二人ともが「一人で書き上げたわけではない」と表示を辞退したので、クレジットが入らなかったのです。
しかし、映画の全編を観た後で、この問題を考えると、どうも別の理由があったような気がしてなりません。
なぜ、そう思えるのか?
それは、映画のストーリーの中で、どうしても納得できない部分が二箇所あるからです。
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アマルフィ 女神の報酬
(C)2009 フジテレビジョン |
天海祐希の娘の誘拐事件が発生して、大使館員である黒田と大使館研修生の戸田恵梨香が事情を調査するうち犯人から電話が入り、イタリア語の分からない天海に代わって電話を受けたのが黒田(織田)。
黒田は、大使館がこの誘拐事件に関与していることを知られるのはまずいと、とっさの判断で自分は“父親”だと名乗ってしまうのです。
そのことから、抜き差しなら無い状況となって、以後、二人は夫婦のように振舞うことを余儀なくされます。
イタリアでは、身代金要求に応じること自体が違法であるため、警察は表立って協力することができず、黒田の依頼を通じて陰からバックアップすることに。
犯人からの身代金受け渡しの場所は、電話を通じて次々と変更され、黒田と天海(夫婦)は現金入りのカバンを抱えたままイタリアの名所を走り回ることに。
しかし、すんでのところで、イタリア警察がバックアップしていることが犯人側に露見し、「取引は中止する」との冷徹な通告が。
気が動転した天海は、黒田への信頼を無くし半狂乱に。
そこへやって来た、天海の旧知の友人の商社マン藤井(佐藤浩市)。
藤井の力づけで、ようやく、我を取り戻す天海。
そうした中で、黒田は、誘拐場面を写した監視カメラの映像が何者かによって改ざんされていることに気づくのです。
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商社マン藤井(佐藤浩一)
(C)2009 フジテレビジョン |
監視カメラのデータを検証するため、警備会社のミネルヴァのデータ・センターへ向かう二人とイタリア警察。
このミネルヴァと言う会社は、イタリア全土の監視カメラを統括する巨大企業で、日本で言えばセコムみたいなところ。
←(なお、ミネルヴァというのがタイトルにもある“女神”の名前です。)daddy
セキュリティが最高レベルのサーバ・ルームに、イタリア警部と二人が入って映像を確認すると、たしかにそこには改ざんの証拠が。
しかあしっ!
ここで、いきなりバッグから拳銃を取り出したのが天海祐希!(ええー!)
イタリア語で書いたメモを突きつけて、サーバの電源を落とせと脅すのです。(何でまたー!)
実は、誘拐犯は商社マンの藤井その人。
天海は、藤井に脅されて、ミネルヴァのサーバの電源を一旦落とすように指示されていたのでした。
止むを得ず電源を落として再起動させるミネルヴァの監視員。
すると、さあ大変。
イタリア全土を覆う監視システムのメイン・サーバが落ちたために、全ての監視システムや信号機まで停止して国中は大混乱に。
この隙を狙って、システムへのハッキングをかける誘拐犯一味。
おりしも開催されていたG8の警備体制もズタズタに。
犯人一味の真の狙いはコレだったのか!!
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アマルフィ 女神の報酬
(C)2009 フジテレビジョン |
・・・ということなんですが、理解できないことの一つ目がその後。
サーバ・ルームに銃を構えながらなだれ込んできた警官たちによって、“犯人天海”の命は風前の灯火と。
そこで、銃を奪い、警部の首に突きつけたのは、なんと外交官・黒田!(ええー!)
なにこのトンデモナイ進行は?!
もちろん黒田は、真犯人から脅されただけの天海の命を救うためにとった行動ですが、どう控えめに考えてもありえない。
事情を説明して天海を一旦警察に引き渡し、協力して事件の解決を図れば済むこと。
いくらフィクションと言っても、これはあまりにやり過ぎであります。
そして、もう一つのトンデモ進行。
犯人たちの狙いは、きっとイタリア首相の命・・・と陽動し、実は日本の外務大臣川越。
川越が資金援助したとある東欧国家が独裁政権で、その独裁政権による国内弾圧の巻き添えを食って殲滅された村の生き残りたちが企てたのが今回のテロだったのです。
商社マン藤井は、たまたまボランティアで村にいた妻を巻き添えで殺され、テロ・グループの首領になったのでした。
うむむむむ・・・?
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商社マン藤井(佐藤浩一)
(C)2009 フジテレビジョン |
これだけ大掛かりな事件を演出して、狙いは日本大使館にいる川越大臣。
ならば、どうして日本で事を起こさないのか?
いやいや、つっこみどころはそんな部分ではありません。
イタリア全土のセキュリティ・システムを停止させ、国中を大混乱に陥れて、一味が日本大使館に忍び込んだ手段、それは・・・
はしご。
はい、壁をよじのぼるためのはしご。
はしごです。 ←(くどい)
そもそも日本人なら、日本大使館には簡単に入れるはず。
でも、壁をよじ登るはしご。 ←(くどい)
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アマルフィ 女神の報酬
(C)2009 フジテレビジョン |
こんなおかしなことになったのは、理由があったようです。
真保裕一が書いた小説版「アマルフィ」では、東欧の独裁政権に援助したのはイギリスとなっています。
援助の対象国はチェチェン、そしてテロの目的地はバチカン、ターゲットはイギリス首相です。
うーん、確かにいくらスケールが大きいと言っても、そんな設定で映画を撮影するのはフジテレビではムリでしょう。
だから、主犯を日本人にして、テロ現場は日本大使館に。
それは止むを得ない変更だと理解しましょう。
でも、そのせいで、犯行現場の必然性などストーリーの流れはかなりハチャメチャなものになってしまったのではないでしょうか。
小説では、サーバ・ルームでシステムをダウンさせるのは侵入していた一味の仕業だったのに、何故か日本のお母さんや外交官が拳銃振り回してやってしまうのですから。
まして、チェチェンはイスラム教徒の国、ヴァチカンはキリスト教徒の聖地、二つの文化が融合したアマルフィという主舞台の設定も、それでこそ意味があったのではないでしょうか。
うーん・・・・これでは、真保裕一がクレジットを辞退するのもうなずけます。
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アマルフィ 女神の報酬
(C)2009 フジテレビジョン |
ともあれ、そんなツッコミをしなければ、全編、非常に楽しめる映画。
何といっても、ケイコの言うとおり「イタリアの観光旅行をするつもり」で観れば、美しい風景が満載です。
観客動員数も封切り2週間で150万人を突破、サラ・ブライトンの歌う主題歌「アマルフィ
女神の報酬」も大ヒット街道をばく進中。
子供向けのラインナップが多い、この夏のスクリーン・ムービーの中では、大人の貴重なデート・ムービーとしてオススメでございます。
/// end of the “cinemaアラカルト97「アマルフィ 女神の報酬」”///
(追伸)
岸波
事件解決後、日本の外務省本省に戻ると思われた外交官・黒田は、急遽南米へ行くことに。
どうやら南米でも新たな事件発生の予感が・・・。
ということは、もしかしてこれって、シリーズ化されるのではないでしょうか?
また、「アマルフィ
女神の報酬」のタイトルは、当初「アマルフィ 女神の50秒」という題でプロモートされていました。
この「50秒」というのは、ミネルヴァ(女神)のサーバが落ちて復旧されるまでの空白の時間。
だからこそ意味があったのですが、007になぞらえたような「報酬」の言葉に変わったために意味不明。
まあ、もともとこの「50秒」は、フジテレビ開局50周年になぞらえていたものだったのですが、そのへんもウヤムヤになった嫌いがあります。
さらに、ドコモのプロモーション・ムービー「アマルフィビギンズ」との連携で話題になった本作ですが、誘拐事件発生後、犯人からの連絡を黒田が受けた携帯・・・ドコモ社の製品だそうです。
ドコモ携帯は、ヨーロッパでも受信可能なので、さりげないピーアールなのかも。
実に芸が細かいと思いませんか?
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !
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Amalfi
サラ・ブライトマン |
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To
be continued⇒ “cinemaアラカルト98” coming
soon!
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