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「Star-filled Sky」(佑樹のMusic-Room)
by 岸波(葉羽)【配信2009.3.4
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 神に裁かれるのは、人間か?ウイルスか?

 1月17日の封切り日に、ケイコと観てまいりました「感染列島」。

 主演は、我らが妻夫木君と「武士の一分」で名演技を見せた檀れいです。

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 新型ウイルスによる感染爆発によって、瀕死の状態に陥る日本列島。

 なす術もなく、患者も医師も看護士も次々と命を落としてゆく中で、一向に明らかにならないウイルスの正体・・・。

 昨年のカンヌ国際映画祭で話題を集め、大きな反響をがあったこの映画、公開前の時点でハリウッドによるリメイクの話が持ち上がったほどです。

 さて、同じように夫婦でこの「感染列島」を観てきたドミニク一家、どのような感想を持ったのでしょうか。

 それではドミニク、お願いします!

 

ドミニクドミニク こんにちは~♪

 2008年、カンヌ国際映画祭。

 世界各国から集まってきた映画関係者達の注目を集めた日本映画の企画があった。

 その作品は、製作はおろかポスターすらなかった。

 あるのは、作品の企画を英訳した簡易なチラシのみ。

 そこに記されたタイトルは映画人に衝撃を与えるのに、十分だった「PANDEMIC(パンデミック)」・・・日本で2009年公開となる映画「感染列島」の英訳である。

 最近流行の漫画や小説から、映画にするのではなく、このオリジナル脚本の映画作品。

 新型ウィルス感染症については、連日、世界中のメディアが、関連情報を報道しており、世界各国が急務として取り組むべき問題だ。

 近年の映画でも、ウィルス封じ込めの映画は多々観られた。

 しかし、感染そのものを描く作品はない・・・

 ・・・と描いてあるパンフレットを劇場で貰ってから、気になってしょうがなかった作品が、この「感染列島」。

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 しばらく風邪すら寄ってこない、元気一杯、夢見る懸賞生活のドミニクです↑

 日本で、未知の伝染病が流行ったら???

 ウィルスは目には見えません。

 ゴホンと咳をしたら、インフルエンザだと2メートルは、病原菌が飛ぶと言われています。

 マスクをすれば大丈夫?

 でも、マスクにも「風邪用」と「インフルエンザ用」マスクがあるって知っていましたか?

 防ぎようが無い場合も多いですが、とりあえず外から帰ったらうがい手洗いをする。

 これだけで、だいぶ風邪の予防になります。

 ただ、この破壊的なウィルスには効果なしですが・・・。

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 それはさて置き、大好きな妻夫木君出演なので、ウキウキモードで、久しぶりに夫も連れ3人で、映画館へ行ってきました♪

 が!全然、ウキウキするような映画ではなかったです(>_<)

 帰りは、娘も「泣くの我慢したけど・・・」と。

 夫は・・「リアルすぎるし、子供に見せる内容じゃない!サンタクロースで、夢見させて、現実叩きつけるお前の教育が・・・」と、うんちくを。

 それは、軽く聞き流して~正直、子供にも観せたい強烈な作品だけど、ご飯前に吐血キツかったかも・・・。

 以下、ネタバレしますので、劇場に足を運んでから読んで下さい。

ドミニク(我が家の感染履歴)

 昔、ウチで、急性胃腸炎になった娘の嘔吐物を素手で触り、洗えば大丈夫だと思っていたら、それで菌が感染してしまいました。

 幸い触ったのが夫だったので、私は大丈夫でしたが、今回も、血を素手で触った駅員さんがうつったり、念のため、マスクをかけて、ゴム手袋で処理した方がいいと思います。

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 ワーナーマイカルでは、公開前に、別の作品の予告があるのですが、ウィルスに限らず大地震がきた場合も同様で、日本が大変なことになる様子は有り得ないことではないし、もしそうなったら、こうなるんじゃないかと久しぶりにドキドキする映画観ました。

 とはいえ、先が読めていた夫は、劇場から出てくるなり、普段口数が少ないですが、かなりのマシンガントーク。

 これは、面白かった証拠です。

 俺の思った通りだったと。それを言うなら、私も想像通りでした。

 今年は、職場でも、インフルエンザが流行っていたので、「感染列島」が他人事ではなくて、鑑賞中も、後ろの席の人の咳が「もしや、ウィルス!?」とビビってしまうような、そんな無駄にドキドキする映画でした。

 基本的に、風邪ひいている人は治ってから来て欲しい感じです。

 話しの内容は、フィリピンで、感染症が始まります。

 そこへ、WHOのエイコが、防護服で病原菌を完全封鎖したかと思いきや、どうもこのウィルスで閉鎖された島から、結婚式のお祝いで、どうも、鶏を持って船に乗った男性が居たらしいと。

 この船に乗ったおじさんは平気でくしゃみや咳をしてるし、鳥からかもしれないし、とにかくウィルスがまかれ、広まりました。

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 それから、3ヶ月後・・・・。

 救急救命医・松岡剛(妻夫木聡)の元に、1人の男性の患者が2011年1月3日に運ばれてきました。

 女性が付き添っています。

 高熱で、インフルエンザキットを試しても、インフルエンザではなく、風邪だと思ったので風邪薬を出して、帰します。

 しかし、その患者が、再度急患として運ばれて来た時、高熱。痙攣。吐血・・・。見たことも無いバッタンバッタンする症状。

 処置室で、先輩の安藤医師(佐藤浩市)とともに、処置にあたります。

「すいません・・・僕があの時、ちゃんと診断していれば」

 そのとき、先輩の顔にゴホッと血を吐いた男性患者。(わっつ!)

 その彼女も、今度は付き添いではなく一緒に運ばれてきていて、彼の名を呼びます。

 男性は、かなり、重症ですが、インフルエンザ?それとも別のものか?(何の病気なんだ???)

 そして、とうとう帰らぬ人に。彼女は、ショックで、松岡先生にあたります。

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 瞬く間に、この感染症で、人がバタバタ血を吐いて死にます。

 先輩の安藤医師も目の前で、松岡先生が、見送ります。「僕があの時ちゃんと見ていれば・・・」

 病院は、隔離した方と普通の風邪用に分離。

 大学教授・インフルエンザウィルスの権威仁志先生が「鳥インフルエンザの疑いあり」と近くの養鶏所を封鎖。

 鳥インフルエンザから、新型のインフルエンザに変化?かと、最初は、思われていて、みんなタミフルを投与されます。ですが、よくなりません。(何?インフルエンザ違うの???)

 正月休みが終わると一気に広がるから何とかしないととは思いますが、そこは、議会でどうのこのうので、なかなか進みません。

 養鶏所の神倉さんの家には、日本全国のインフルエンザをまいた原因だと言われ、自宅には、石が投げ込まれるし、いたずら電話もかかってくるし、本当に「自分のせいだ・・・」と精神的にも追い込まれます。

 その養鶏所の中学3年生の娘の机には、汚いものがバンバン置かれているし、黒板にはいたずら書きで、落ち込みます。

 松岡先生が視察にくるんですが、「・・・ごめんなさい」と肩を落として、謝ります。

 そんな時、庭に人影が。松岡先生は、追いかけます。

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 そして、捕まえたその人は、カンニングの竹山扮するフリーのウィルス研究者「鈴木」。

 「もし、先生のトコの患者のウイルスくれたら研究するから、よろしく!」と名刺をくれて、足早に逃げていきます。

「・・・すみません、逃がしました」

 と嘘をついて、松岡先生は名刺をバレないように持ち帰ります。

 引っ越したての部屋に、はらりと、松岡先生が女性と写っている写真が。(彼女?)

 そんな時、WHOから、メディカルオフィサーといわれる敏腕女性医師・小林栄子が派遣されてきます。(この女性だ、写真に写っていたのは!)

 彼女は、昔、松岡先生の医学部で、助手として、先生をしていたんです。

 初めて会った日、当時まだ学生だった松岡は一目惚れ。

 二人は付き合っていたようですが、別れ、エイコは1人WHOへ行った設定。松岡君は止めませんでした。

 同級生の彼氏とこの病原体が発覚する以前から交際していたのですが、高校が別になっちゃったから、「遊園地行こう♪」と言っていたのに、彼氏が、「ごめん、突然、新潟のおばあちゃん家に当分行くことになった」と、来てくれませんでした。

 がっかりして自宅に戻ると、不自然に物置らしき場所の戸が開いていて、入ってみると父が首吊り自殺。

「おとうさ~ん・・・おとうさ~ん」

 病院で、死亡が確認された瞬間、TVに発表で、「鶏の鳥インフルエンザではなかった模様です」と。あまりに、タイミングの悪さに、涙が止まりません・・・。

「お父さん~~~!」と、養鶏所の娘が泣きます。でも、帰ってきません。

 しっかりしてよ、仁志先生!!人の命が失われちゃったじゃないのっ。

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 それからも、バタバタ人は死んでいきました。

 この病院を封鎖しますか?との話しも出ますが、国民が混乱するし、上の判断が・・・と、後手後手に廻ります。結果的に、この判断が悪かったと思います・・・。

 患者が、どんどん、バスや電車等の交通機関で広がって行った気がします。

 戦場となった病院で、WHOの小林栄子が、スタッフを人選する予定でしたが、「みんなを信じてあげて下さい」という松岡医師が昨夜言っていたので、挙手で自薦にします。

 ですが、結構な数の医師や看護師が集まってくれました。もちろん松岡医師も挙手しました。

 もし、このような謎のウィルスが、国内で流行ってしまったら、交通網も乱れるし、食べ物を求めて、スーパーも大混雑。人々は、パニックに陥ってしまうでしょう。

 爆笑問題の田中も、可愛い女の子を連れて、スーパーに行ったら、必死な大人が沢山群がって、居て。子供に「大丈夫だよ~」と心配させないように。

「よ~し、ママに魔法のお手紙書こう」とメール。

 携帯のメールを魔法のお手紙というあたり、乙女チック。

 そのメールは、看護師携帯に。(この人と夫婦なんだ・・)

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 謎の研究者「鈴木」にウィルスを託し、自らも、仁志先生と女性の父が働いていた場所へフライト。

 この作品には、隠し味(笑)で、携帯電話のソフトバンクのCMで、話題の黒人のお兄ちゃんが出演しています!

 英語も話し、クールで知的なWHO職員を熱演。なんか、別人かも・・・?

 WHOも、そこは管轄の範囲外だからうえにあげて・・・と後手後手。

 僕たちは、WHOの職員ではないから、GO!GO!と。エビ養殖の国へ船で。

「ウィルスは、人間をむしばんだら、一緒に死ぬのになんで一緒に生きれないんでしょうね。実は僕ガンと一緒に生きていまして」と仁志先生の告白。

 そこでは、ゾンビのように、この病原菌に侵された人間が、床に転がっていました。

 そこで、最初にウィルスを持ち帰った先生の手帳(手記)が。

 中を読んで、あぜん。(やっぱり・・・。)

「僕が、この島に残りますよ。大丈夫・・・」

 そこで、二人は別れ、残った仁志先生はコウモリが大量に死んでいる洞窟を発見。

 これが病原体を媒介した生き物でした。捕まえて・・・まさしく「とったど~!」

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

「仁志先生が亡くなられたそうよ」エイコから聞きます。

「泣いてもいいわよ」とエイコ。

「でも、僕は泣きません。先生に失礼になるから」と松岡医師。

 少しずつ判明していくウィルス。

 鈴木も、ウィルスの正体を暴きましたが、個人が発見したのにそういった形ではなく、発表され「オレが見つけたのに~!」

 そして、抗体の研究には半年かかるという事に。

「それじゃ~」とエイコは、感染が拡大している別の土地へ。

「必ず迎えに行くから!」と松岡医師。

 「前はそんなこと言ってくれなかったじゃない・・・」再会を夢見て、二人は別れ。

 毎日、病気の患者と向き合う松岡。

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 一方、遊園地。

 神倉さんと彼氏は、長い間空白期間があったが、会えた。しかし、彼女もウィルスが!

 病院に、運ばれてきてから、容態急変。なすすべはないのか!?

 そこへ、エイコから。

「私、ウィルスにかかっちゃった・・・それでね、医学的には証明されていないんだけど、治った人の血を輸血して、8人のウチ5人助かったっていう事例があったのよ」

「・・・急いで、この子に合う血液型の回復者を!」

 そこで、一番初めに病院に付き添ってきた女性が、回復して自宅に帰っていたので、この人に頼んで、献血を。

「神倉!!!」彼氏は、死にそうな彼女に付き添います。

 一方大丈夫だと見届けて、エイコの元に向かう、松岡医師。

「この顔が好きだった・・・」と弱々しいエイコ。

「エイコ!」

 防護服を脱ごうとする松岡。

「脱いだら、ゆるさないわよ!」

「エイコ・・・・」

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 松岡先生の、1本の木を見ての回想シーンで、「先生は、なぜ、医者になろうって思ったのですか?」と大学の講義で、今日から、助手の先生に問いかけるシーン。

 小林助手が、「『弟が、明日、死ぬことが分かっていてもリンゴの木を植える・・・おねえちゃんは、医者になって、みんなの病気を治してね~』と言って死んでいった弟の意思を継いで、医者になった」と。

 意外な答えに感動し、「変な質問してごめんなさい。」と謝りに行ったら、先生が寝ていて、思わず自分の携帯で、「パチっ」て撮ります。

 桜の下で、眠る小林先生と勝手にツーショット(笑)なんか、青春感じます。それが、冒頭の写真でした。

 最終的には、一番初めに病院に付き添ってきた女性の父が、外国から持ち込んだ、「コウモリの菌」が原因でした。

 もし、あの時、外国から来た父が、具合悪いからって早く帰国するのではなく、娘の婚約者に会うのを初めから延期していたら?

 もし、あの時・・・エイコ達が鳥を持って船に乗った男を阻止出来ていたら・・・。もし・・・。

 そう、“もしも、あの時”と思う事が多かったです。

 娘も、「私は海外の渡航経験はないですが、こないだ来た父が・・・」と早急に話していれば、もう少し少人数の犠牲で食い止められたかもしれないし、物語が、もう少し違ったかたちで進展したと思います。

 何はともあれ、目に見えないものって脅威ですね。防ぎようがないですから。

 特効薬を作るのに、半年かかり、その後、無事この病気は、おさまりました。

感染列島

感染列島

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

 恋人役から始まり、夫役、妻役、子供。次々バタバタ居なくなっていきます。

「身近な人に置き換えて、あらゆる世代を泣かそうかって魂胆か!?俺は泣かない」と夫。

「誰も、そんなこと考えてないってば!」と突っ込む私。

 ただ、佐藤浩市さんと妻夫木君は、マジックアワーコンビとはいえ、また別の役を演じきっているので、上手だな~と感動しました。

 佐藤浩市さんが友情出演になっていたから、マジックアワーつながり?と。誰の友情だかわかりませんけどね~。

 わざとらしくない演技っていいですよね~♪ドンドン画面も移り変わって話しも進むし、本当にドキドキさせられっぱなし。

 最後に残った人たちが、普通の暮らしに戻って、END。

 ハッピーエンドではなかったけれど、心に響くものがありました。

 こんな、ひどい感染が起こらないように、人々は注意が必要だと思います。

 この映画を観たら、菌に立ち向かうというと大げさですが、感覚が変わると思います。

 

/// end of the “cinemaアラカルト87「感染列島」”///

 

(追伸)

岸波

 いかにも“泣かせる”ために作られたようなこの映画。

 しかし、ドミニク夫婦の感想にもあったように、次に誰が死ぬのかストーリーが先読みでき、“泣かせ”の効果は、いま一つではなかったかと思います。

 それと、映画後半で、ウイルスの感染源を求めて二人の医師が南の島へ行くシーンや松岡(妻夫木)と小林(壇れい)が出会う回想シーンはやや冗長で、映画の流れが途切れてしまう感じも。

 そんな中でも印象に残ったシーンは、南の島で仁志先生が自分は癌に侵されていると告白するところ・・。

「癌もウイルスも宿主を殺してしまったら自分も死ぬ。こんな愚かな事はない。だから、もしかすると人間と癌は共存できるのかもしれないと希望を持っている」

 実に、含蓄のある言葉だと思いました。

 また、いろいろな登場人物が命を落としてゆく中で、一番感動できたのは、爆笑問題・田中が自分と娘を残して犠牲になった看護士の妻を思って泣くシーン。

 この人、意外といい役者になれるかもしれません。

 

 では、また次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

熱演した爆笑問題・田中

熱演した爆笑問題・田中

(in 「感染列島」)

(C)2009 映画『感染列島』製作委員会

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト88” coming soon!

 

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