こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
ヒコーキ、飛ばします。
公開初日、ケイコと見てまいりました綾瀬はるかちゃんの新作「ハッピーフライト」。
いやー、前評判も上々でしたが、まさかこれほどまで面白い映画だったとは!
それもこれも綾瀬はるか・・・いえいえ、彼女が可愛いのはもちろんですが、何と言っても「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」の矢口史晴監督の才能が遺憾なく発揮されているからです。
|
ハッピーフライト
(C)2008 FUJI TELEVISION,
altAMIRA
PICTURES, TOHO, DENTSU |
監督の今回のテーマは“ヒコーキ”。
一機のフライトが無事に遂行できるまでに、どれだけのスタッフが陰で支えているか、笑いと涙で存分に表現してくれました。
10数年前までこの世界に関わっていた僕としては、矢口監督の偉業に惜しみない拍手を贈ります。
この11月上旬には、全国公開に先駆けて、羽田空港発、関西空港行きの特別便機内で、世界初の試みとなる機上試写を実施されたこの映画。
さて、そのストーリーは?
華やかそうに見えて、実は人知れぬ苦労の多いキャビン・アテンダント(CA)。
我らが綾瀬はるかちゃんは、国際線初搭乗で緊張しまくりの新人CA、斎藤悦子の役。
機長の笑えないジョークをマジ受けして一人浮いてしまったり、サービスの合間の短い食事時間に食べ損なったり、あげくにはオーダーを取り違えて、子供にアルコールを配ってしまって大パニック。
慌てて回収しようとして飲み物を機内にぶちまけ、鬼のチーフ・パーサーに大目玉をくらいます。
|
ハッピーフライト
(C)2008 FUJI TELEVISION,
altAMIRA
PICTURES, TOHO, DENTSU |
また、この機のパイロットは、機長昇格への最終訓練として実機に乗り込んだ鈴木和博副操縦士(田辺誠一)で、試験官でもある原田機長(時任三郎)の横で戦々恐々。
しかも、搭乗前にシミュレーターで行ったバーチャル訓練では、見事に墜落させて自信を喪失したばかり。
一方、グランド・スタッフの木村と吉田コンビは、ダブル・ブッキングの処理にテンテコ舞いで、これはと目を付けた温厚そうなサラリーマンに席替えの了解をとって一安心。
・・・と思いきや、実はこの紳士、ちょっとしたことで豹変してしまう恐ろしいクレーマー。
大きすぎる手荷物を機内に持ち込もうとしてCAに見咎められるや、キレまくって大暴れでございます。(あらららら)
しまいには、CAとグランド・スタッフが口角泡を飛ばす鞘当てへとエスカレートし、“これで本当に飛べるのか”状態に。
|
グランド・スタッフのコンビ
(C)2008 FUJI TELEVISION,
altAMIRA
PICTURES, TOHO, DENTSU |
ほかにも、離陸時刻が迫って上司に叱られながら必死にエンジンのメンテナンスを行う若手整備士、過激な自然保護団体に絡まれながら離陸進路にいる鳥を追い払うバード・パトロールなど、いろいろなエピソードが盛り込まれます。
そんなトラブルを随所に抱えながらも、何とか機材は定刻に離陸。
あとは順調に目的地ホノルルまで飛行するだけ・・・
で、終わるはずはありません。(あはははは!)
いろいろなシーンで繰り広げられた、ほんの小さなミス。
その一つ一つは小さいけれど、それらが複雑に絡み合って、大事件に発展するのです。
さあ、エンジンが不調、コンピュータが静止、乗客は大パニック、引き返した先に待ち受ける超大型台風。
果たして飛行機は、無事に着陸できるのでありましょうか!?
|
必死の若手整備士
(C)2008 FUJI TELEVISION,
altAMIRA
PICTURES, TOHO, DENTSU |
こうしたストーリー進行から窺えるように、矢口監督は、当初この映画を“航空パニックもの”として企画したそうです。
しかし、丹念な取材を進めるうちに、飛行機が墜落する可能性というのは非常に低いことを知り、同時に、取材で入手した面白いエピソードを活かすために、コメディ路線へと変更したのです。
そうして盛り込まれたエピソードが、バード・パトロールという役割の人たちであったり、CAとグランドスタッフが飛行機の内側と外側で熾烈なつばぜり合いをする話でした。
また、この映画を撮影するために、全日空所有のボーイング747-400が15日間無料でレンタルされ、撮影現場での立ち会いや社員によるエキストラ参加、ANAのロゴ使用など全面的な協力をしています。
このため、映画のロケも、東京国際空港第2ターミナルや全日空の機体整備工場など、実際の現場を用いられ、臨場感溢れるものとなりました。
|
機長と副操縦士
(C)2008 FUJI TELEVISION,
altAMIRA
PICTURES, TOHO, DENTSU |
記憶に残ったシーンがいくつか・・・
その一つが、エンジン不調、コンピュータ停止で新米副操縦士がパニックになった時、突如、大笑いを始める機長(時任三郎)。
「キャプテン、どうして笑うんですか!」と詰め寄る副操縦士(田辺誠一)に・・
「こういう時は、まず笑えと教えられている。お前も笑ってみろ」と。
しかたなく笑顔を作ってみる副操縦士。
その情けない顔と言ったら・・・(あはははは!)
そして、もう一つは、映画のクライマックスでCAが「緊急着陸に備えて、ガラスや尖ったものを身体から外して衝撃対応姿勢をとってください」と告げて廻るシーン。
おばあちゃんが、「これも外した方がいいですか?」と入れ歯を指差す。
「外してください」との指示に、入れ歯を取り出すおばあちゃん。
ところが、何も聞いてないのにCAから「それは外さなくていいです。」と一方的に言われ、思わず、カツラを押さえて「何でだ?」と言う顔をする紳士。
(実はフライトの冒頭で、うたた寝している紳士のカツラのずれをCAが直してあげていた。あはははは!)
|
立ち食い中・・
(C)2008 FUJI TELEVISION,
altAMIRA
PICTURES, TOHO, DENTSU |
意外とかっこいい役をもらったのが岸部一徳。
彼が演ずるオペレーション・ディレクターというのは、運行体系全体を監視し、機のトラブルや気候状況を総合判断して最適なフライト・プランを支持する大切な役目。
しかし、部下から見た彼は完璧な窓際族。
いつも喫煙室に篭って、孫の手で背中を掻いているだけのやる気のない男。
ところがっ!
この未曾有の危機に際して、突然、的確な陣頭指揮を執り始めるのです。
この役どころ・・・必殺仕事人で言えば、昼あんどんの中村主水。
それは“世をはばかる仮の姿”で、実は剣の達人、頭も切れるというおいしい役なんですね。
オペレーション室にカミナリが落ちて、こちらのコンピュータも使い物にならなくなった時、ベテラン岸部一徳が見せる指示の冴え・・・うーん、しびれます。
|
岸部一徳
(C)2008 FUJI TELEVISION,
altAMIRA
PICTURES, TOHO, DENTSU |
綾瀬はるかちゃんを見にデ見たはずなのに、気が付いて見れば矢口ワールドにどっぷりハマってしまっていた「ハッピーフライト」、素晴らしい映画でした。
そうそう、そう言えば・・・
この映画のキャストは、矢口監督の他の作品と同様、全員、オーディションで決まったそうです。
ということは、あれ程、新人CAにハマリ役だった綾瀬はるかちゃんもオーディションを勝ち抜いた結果の出演ということ。
矢口監督に限っては、実は出演者があらかじめ決まっている名ばかりのオーディションをするはずもありませんから、大いに自信を持っていいでしょう。
いやー、よかったはるかちゃん、名演技だったよ。
(でも、一番は岸部一徳かな・・)
|
ハッピーフライト
(C)2008 FUJI TELEVISION,
altAMIRA
PICTURES, TOHO, DENTSU |
映画のラスト・シーンでは、フランク・シナトラが歌う名曲「カム・フライ・ウィズ・ミー」が流れました。
いやー、憎いくらいにピッタリの演出です。
さらに、心憎い演出がもう一つ。
序盤、黄色いカバンの取り違えに、身体を張って取り戻してくれたグランド・スタッフ木村に対し、持ち主のイケメン君が、仕事後、お礼に食事を奢りたいと。
しかし、故障機パニックのため行くことが叶わず、ようやく落着した後にラウンジへ行ってみたものの、誰も待っいてはくれなかった・・・。
落胆する悲しげな表情の木村スタッフ。
その背後にボヤーっと見えて来たのは・・・??
ここのとこ、かなり感動しますので、是非、あなたの目でスクリーンをご確認下さいませ!!
/// end of the “cinemaアラカルト80「ハッピーフライト」”///
(追伸)
岸波
矢口監督が舞台挨拶で明かしたところによりますと、この映画の登場人物には「モデルがいる」のだそうです。
いったい誰の役なんでしょう。気になりますね。
そしてこの「ハッピーフライト」、実はこの2008年中、全日空の国際線で上映されているのです。
この冬の海外渡航は是非、全日空で。
え? フライト中に「飛行機の墜落モノ」なんて見たくないって?
あはははは!
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !
|
ハッピーフライト
(墜落しないわよ)
(C)2008 FUJI TELEVISION,
altAMIRA
PICTURES, TOHO, DENTSU |
eメールはこちらへ または habane8@ybb.ne.jp まで!
Give
the author your feedback, your comments + thoughts are always greatly appreciated.
To
be continued⇒ “cinemaアラカルト81” coming
soon!
<Back | Next>
|