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「光の囁き」(TAM Music Factory)
by 岸波(葉羽)【配信2008.11.9
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 信じる心、残っているか。

 「M:I-2」のジョン・ウー監督が、制作費100億円をかけて三国志の名場面“赤壁の戦い”を映画化した「レッドクリフpart1」。

 またもケイコと一緒に見てこようと思っていた・・・・・のですがっ!!

レッドクリフ part1

レッドクリフ part1

(C)Bai Xiaoyan

週末は温泉に行って来るからね。

岸波 ええー! 誰と?

キワちゃんたちと着物のパーティに・・・お泊りね。

岸波 ええー! ケイコと映画に行こうと思ってたのに。(うっうっ・・)

じゃあ、フォーラムの無料招待券あげるから、泣かないのね。

岸波 わーい、わーい!

(ホントに御しやすいわね・・)

 ~という、ケイコの暖かな配慮によりまして、一人で行くことになりました「レッドクリフ part1」。

 さて、映画の内容は?

 

 さて、映画のテーマとなります“赤壁の戦い”といえば、三国志前半のクライマックス。

 後に劉備の軍師となる法統が“連環の計”によって、圧倒的優位にあった曹操の船団を火計で焼き払い、劉備・孫権連合軍を勝利に導く海戦であります。

 しかし、今回は「part1」とあるように、映画の前半部分でありますから、そこに至るまでのエピソードや登場人物の紹介がメインとなります。

 ところで、三国志と言えば、わが国でも吉川英治、柴田錬三郎、陳舜臣、北方謙三、宮城谷昌光などキラ星の作家たちが書いているほか、横山光輝「三国志」や王欣太「蒼天航路」などの劇画でも有名。

 しかし、さすがに日本の若い年代には馴染みが薄い・・・ということで、この「レッドクリフ」の日本版には、中国・台湾版には入っていない三国時代の解説を冒頭に加えるなど、至れり尽くせりであります。

孫権

孫権

(C)Bai Xiaoyan

 西暦2世紀末の後漢末期、紅巾の乱によって千々に乱れた国内は群雄が割拠し、その抗争の覇者となったのが曹操。

 残る有力者は、肥沃な江南の地に割拠する孫権、そして、前漢皇帝の末裔である劉備玄徳のみ。

 皇室の血を引く劉備は、曹操の傘下に入ることを潔しとせず、義兄弟の豪傑関羽と張飛、槍の名手趙雲、名軍師諸葛孔明らとともに、新たな国を興して“天下三分の計”を目指します。

 こうして、曹操の魏・孫権の呉・劉備の蜀が争覇する三国時代へと突入するのです。

 さて、映画の方は、この三国時代に入る少し前、劉備・孫権を打倒して天下統一を目指す曹操が、都の南方、新野に陣取る劉備を大軍をもって追撃するところから始まります。

趙雲

趙雲

(C)Bai Xiaoyan

 追撃する曹操の軍は80万。追われる劉備の軍はわずか2千。

 しかも劉備は、彼を慕って付いて来る新野の民衆2万人を見捨てることができず、民衆を守りながらの逃避行。

 うーん、どう考えたって勝てるわけがありません。

 案の定、民衆の後陣が曹操の騎馬軍団に追いつかれ、曹操の情け容赦のない虐殺が始まります。

 その中に、何と逃げ遅れた劉備の妻子がいた!!

 その知らせを聞いた槍の名手趙雲は、民衆の護衛を張飛に託し、妻子を救済するために単騎で敵中に飛び込んで行くのです。

 いやー、三国志ファンなら知らぬ者無いこのシーンは、胸がカーッと熱くなるところです・・。

趙雲と阿斗

趙雲と阿斗

(C)Bai Xiaoyan

 敵中に突入した趙雲は、八面六臂の大活躍。

 ようやく、劉備の糜夫人と赤ん坊の阿斗を発見しますが、なにせ多勢に無勢、二人を守りながらの闘いで趙雲自身も深手を負います。

 それを見た糜夫人は、赤ん坊を趙雲に託すと、自分が足手まといとならないよう、井戸に身を投げて自殺するのでした。

 婦人の死に、趙雲は天を仰いで咆哮。

 最後の力を振り絞ると、赤ん坊を身体に結わえて、数十騎の敵を倒しながら見事生還。

 泣けますよー、ここ。

 この後、「三国志演義」では、シンガリを務める豪傑張飛が、僅か20騎を従えて狭い長坂橋に立ちはだかり、曹軍80万を釘付けにするという見せ場があるのですが、「レッドクリフ」では、もう一人の豪傑関羽が登場。

 テレビゲームの「三国無双」よろしく、何十人の敵を一発で吹っ飛ばす・・・いやー痛快の極みです。

立ちはだかる関羽

立ちはだかる関羽

(C)Bai Xiaoyan

 「レッドクリフ」では、こんなふうに、主要な登場人物の一人ひとりを見せ場たっぷりに紹介して行きます。

 うーん、こういう手法・・・「南総里見八犬伝」、中国で言えば「水滸伝」の入り方に似ています。

 一人ひとりを劇的に登場させて、その後、全員を巻き込む大きなストーリーが展開する・・・あ!

 今、パチンコでも有名な黒澤明監督の「七人の侍」がまさにそうでした。

 かくして、辛くも逃げ延びた劉備一行、この後「三国志」のエピソードをいくつかふっ飛ばし、江南に拠る孫権と同盟を結ぶべく、諸葛孔明が使者として旅立ちます。

 孔明は、どのようにして孫権を説得するのか?

 はたまた、曹軍80万に対峙する劉・孫同盟軍4万の運命やいかに・・・??

周瑜と孔明

周瑜と孔明

(C)Bai Xiaoyan

 映画のエンディング・ロールを観ていましたら、キャストの最初に出てきたのが周瑜役のトニー・レオン。

 part1で見る限り、この呉軍の総司令を務める周瑜が一番の主人公のように思えましたので、名簿順にも納得。

 いい男ですよね、このトニー・レオンって。

 頭脳明晰、百戦錬磨の武人でありながら自ら琴を弾いたり風雅な麺も持ち合わせている周瑜の役を見事に演じきっています。

 この人の顔、どっかで見たような気がすると思ったら、モックンと中井貴一を足して二で割ったような顔。あはは、似てるー!

 (違いますか。そうですか・・)

 そして、その周瑜には、大変美しい妻“小喬”がいます。

 この小喬には大喬という姉が居まして、姉の方が亡くなった孫権の兄・孫策の妻。

 大喬・小喬姉妹は、当代きっての美女で、そもそも曹操が江南を攻めたのは、この二人の美女を我が物にするための野望。(と、映画の中でも語られています。)

 まさに、傾城の美女姉妹であります。

 この“小喬”を演じたのが林志玲(リン・チーリン)・・・とてもキレイな女優さんです。

小喬

小喬

林志玲(リン・チーリン)

(C)Bai Xiaoyan

 こちらも、どこかで見たような・・・仲間由紀恵さんと亡くなった夏目雅子さんを足して二で割ったような顔。

 写真でなく動いているスクリーンの中で見ると、僕の言うことがよく分かると思います。

 (分かりませんか。そうですか・・)

 一方、諸葛孔明役の金城武の演技も見事。

 終始、微笑を絶やさず、優雅でありながら緻密で大胆な難しい役柄を“この人しかいない”と思わせるほどに演じきっています。

 呉の周瑜と蜀の孔明は、ともに国を背負う名軍師。

 三国志では、丁々発止の頭脳戦で火花を散らし、現実にも三度戦っている二人ですが、この映画の中では、お互いを“友”と呼んで信頼しあう関係に描かれています。

 この点、あれあれ・・と思っていたのですが、観劇後、周瑜役のトニー・レオンのインタビューを読んで謎が解けました。

(トニー・レオン談)
『レッドクリフ Part I』では互いを認め合うスタイルになっています。

 ジョン・ウー監督はこれまでも男同士の理解、助け合いを描いてきましたから、まさしく監督らしい描き方だと思います。

 うーむ、なるほど。ジョン・ウー監督ならではの脚色だったのですね。

周瑜

周瑜

(トニー・レオン)

(C)Bai Xiaoyan

 もう一つ、この映画唯一のラブシーンについて、ご紹介しましょう。

 それは、劉備とともに命を賭けて曹操と戦うことを決意した周瑜が、その夜、妻の小喬と繰り広げる交歓シーン・・・とても美しいです。

 このシーンについて、トニー・レオンはインタビューで・・・

(トニー・レオン談)
この場面はストーリーの展開において、どうしても必要な場面なんです。

後編をご覧になれば、その意味がわかると思います。

それと監督は映画の中に美しいシーンを入れたかったんだと思いますよ。

 そうですか。何となく予想がつきましたが、後編を楽しみにいたしましょう。

 で、そんなに重要なラブシーンですが、実はジョン・ウー監督はこういうのが苦手だったようで・・・

(トニー・レオン談)
ジョン・ウー監督は「トニー、僕はラブシーンをどう撮ればいいのか、正直わからないんだ」って言ったんです!

で、「監督ならできなくちゃ、だめですよ」と返しました。

だって監督に「わからない」と言われたら、俳優は演じ方がわからない。かといって僕に指揮はできない。

なぜならリン・チーリンさんは、初めての演技ですし、僕とは以前からの知り合いでもないですし、現場でのコミュニケーションも十分ではない段階だったんです。

もしもその場で、僕が指示していたら「トニー・レオンはスケベ野郎だ」ってうわさになってしまいます(笑)。

結局、すべてジョン・ウー監督の指示です。

諸葛孔明

諸葛孔明

(金城武)

(C)Bai Xiaoyan

 この「レッドクリフ」は、中国本土で7月10日から先行上映されていましたが、これまで中国本土で公開された中国映画の興収記録を塗り替え、歴代トップに輝きました。

 最終的には、「タイタニック」の持つ歴代最高記録の3億6000万元(約57億円)を超え、外国映画も含めた歴代最高記録を樹立するだろうと言われています。

 そして、完結編となる「レッドクリフ part2」は、日本で2009年4月公開が決定。

 part1を上回る大スペクタクル・シーンが期待できます。

 “この秋、最高のデート・ムービー”と呼ばれる「レッドクリフ」・・・決して見逃すことなかれ!!

 

/// end of the “cinemaアラカルト79「レッドクリフ part1」”///

 

 

(追伸)

岸波

 「レッドクリフ」の周瑜役は、当初、周潤発(チョウ・ユンファ)が演じる予定でしたが、トニー・レオンに変更されました。

 で、そのトニー・レオンはもともと諸葛孔明を演じる予定だったのです。

 つまり、金城武は、チョウ・ユンファの降板によって間接的に諸葛孔明の大役を射止めたと言うわけです。

 結局は、これでベスト・キャスティングになったと思いますけどね。

 また、映画館で、こんなものを売っていました。(↓)

 周瑜と孔明のキャラクター・キューピーちゃん。

 うーん、らぶりぃ!

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

周瑜ピー&孔明ピー

周瑜ピー&孔明ピー

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト80” coming soon!

 

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