こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
汚れた手でつかんだ、美しき人生。
人生を賭けてつかんだ、美しき正義。
デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウのアカデミー賞二大スターの競演が話題の「アメリカン・ギャングスター」、これもケイコと見てまいりました。
実際にあった話をモチーフにしているということで、その辺りも興味深々でした。
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フランク・ルーカス
(デンゼル・ワシントン)
(C)2007
Universal Studios.
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通常、アメリカのギャングモノといえば、イタリア系のマフィアが主人公。毛色の変わったところでは、チャイニーズ・マフィアを扱った作品もありました。
ところが、この話の主人公は黒人ギャング。
卓越したビジネス・センスを武器に、お抱え運転手として長年仕えた黒人ギャングの死後、そのシマを受け継いで大物マフィを出し抜き、麻薬王となったフランク・ルーカスがその人。
しかし、この麻薬王を演じるのが、どう見ても悪人には見えないデンゼル・ワシントンというのですから、どのような演技を見せてくれるのか楽しみ。
ところで、我が相棒のドミニクもこの「アメリカン・ギャングスター」を見た模様。
ということで、まずはドミニクからお願いしましょうか。
ドミニク こんにちは~♪ 夢見る懸賞生活のドミニクです。
さて、アメリカン・ギャングスター。
簡単に言えば、刑事→リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)VSギャング→フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)の対決です。
時代は1960~1970年辺りで、ニューヨークのハーレムを仕切るギャングのボスに15年間仕えてきた運転手・フランク(デンゼル・ワシントン)が、ボス亡き後、誰かに使われる人生から抜け出すことを誓い、一匹狼として生きることを決意したところから始まります。
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アメリカン・ギャングスター
(C)2007
Universal Studios.
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リドリー・スコットの大人の演出というしかない大作で、麻薬工場の女性が全員「裸でお仕事」という、ありえない設定です。
セクシーなシーンやちょっとだけエロいなぁ・・・と目を背けたくなるような(やっぱり子供には見せられない)作品でした。
下ネタ大好きロバートさん向けです!
(↑ロバートさんに会ったことないですが…笑)
私の観た映画至上、ヌードになった人の数は、一番多かったかも…。
最初から銃撃やギャングの虐殺が続き、テンポよく進められていきます。
映画自体2時間37分と超大作ですが、見飽きません。
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アメリカン・ギャングスター
(C)2007
Universal Studios.
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実在の人物をモデルにしたそうです。
面白かった所は、刑事の私生活が浮気だらけで、女性にだらしなく、ギャングの私生活は、日曜といえば教会に妻と母と出向くと真逆でした。
むしろ、ギャングの方が規則正しいというか。
だから、なかなかギャングの足は、警察は捕まえられないんです。
フランクは、純度100%の麻薬(ヘロイン)をゴールデン・トライアングルから産地直送で戦死した兵士の棺にしのばせて持ち込み、人気ブランド「ブルー・マジック」として他のマフィアより安く売りさばいて、瞬く間に巨万の富を築きのし上がっていきました。
やがてマフィアにも一目置かれるような存在に。
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アメリカン・ギャングスター
(C)2007
Universal Studios.
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販売も、家族や親戚など、団結して行っていたので、なかなか口を割らなかったんです。
同族経営の食品偽装みたいですね。
クリーニング屋から自動車整備工まで色々な分野で、ついでに麻薬も「売っておく?」販売みたいな事をしてました。
当時はギャングと警官の境目がないほど警官も腐敗していたが(警官が、お金を揺すったりしている)、その中の異端児がリッチー。
大金を見付け警察に届けるんです。
その時代なら大金は警察さえも「ネコババ」があたりまえ。
だから特別捜査官に任命されます。
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ネコババする警官
(アメリカン・ギャングスター)
(C)2007
Universal Studios.
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目立たない行動がモットーで、なかなか捜査網に浮かんでこなかったフランクがリッチーの目に止まったのは女房が贈ってくれた派手なオーバーコート。
ふたりの時間は重なり合いませんでしたが、顔の見えない敵であったフランクをジリジリと追い詰めていきます…。
ふたりの接点が終盤になっていきます。
終盤が一番面白かったです。
警察もお金さえあれば、どうとでもなる時代だったので、賄賂で動くんです。
観ていてありえないような事が次々と。
結局、フランクは逮捕され70年の刑に。
でも、腐敗した刑事を次々挙げ、減刑され15年の服役になります。
母は、昔の家に戻り。妻も故郷へ帰っています。
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逮捕を待ち構えるリッチー
(アメリカン・ギャングスター)
(C)2007
Universal Studios.
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ルーカスは1991年に出所したそうですが、私は小学生だったので記憶にないです。
ラストシーンで、刑務所のドアから出てくるシーンが印象的でした。
ギャングもの(ピストル)系が好きな方は是非、見てみて下さい。
面白いというより、スリル溢れた作品でした。
私より映画を沢山観ている、お友達のじゅんじゅんさんもピストル怖かった~とメールをくれました。
みんな感じることは一緒です。
ドミニク
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原作
(アメリカン・ギャングスター) |
岸波
この映画の一つのポイントは、ベトナム戦争が泥沼化した1970年前後の社会情勢が背景にあることでしょう。
フランク・ルーカスは、ベトナムに入った米軍兵士を仲間に引き入れ、ヘロイン輸入の片棒を担がせるばかりでなく、米軍の輸送機そのものをカバン代わりにして麻薬を持ち込んでいたのです。
まさに国家を巻き込んだ犯罪です。
そんなルーカスは、母親や兄弟達を守るためにと割り切って麻薬には手を染めますが、家族との食事や礼儀や子供の教育を大切にし、教会の礼拝を欠かさないという変り種。
また、当時のアメリカ国内では、ベトナムの厭戦気分で全てが沈滞化し、警官の汚職もはびこっていて、麻薬捜査チームの何と2/3以上が、ギャングの上前をはねていたのです。
リッチーは、そんな中での馬鹿正直なはみだし警官で、愛人を持ったりと素行は最悪だが職務上の不正は決してしないという、これも変り種。
こんな正反対な性格の二人が対峙する物語・・・単なるピカレスク映画の範疇には収まりきれない作品で、演技の見せ場も盛りだくさんでした。
ねえ、どうだった、ケイコ?
やはり、家族を守るためとは言っても手段を誤ってはダメよ。
そうだけど、映画としては面白かったんじゃない?
どうせアレでしょう。
アレって何だよ?
ヘロイン工場の女の人が全員素っ裸で出てきたシーン。
オイオイ! (ちょっとだけね・・)
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ルーカスとリッチー
(アメリカン・ギャングスター)
(C)2007
Universal Studios.
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さて、気骨のある二人の男が互いの知力の限りを尽くして闘う、まさに男の映画。
かなり長尺の映画ですが、時間を忘れて引き込まれること請け合い。
そして、とても大切なことが一つ・・・。
この映画は、ラストのクレジットが出ても、決して席を立ってはいけません。
最後の最後で、事実は小説より奇なりという文字通りのドンデン結末が待っています!
/// end of the “cinemaアラカルト54「アメリカン・ギャングスター」”///
(追伸)
岸波
この映画を見に行こうと考えている方は、この後を読んではいけません。
(大ネタバレです。)
二人の演技の最大の見せ場は、リッチーに逮捕されて追い詰められたルーカスが、取調べの直接対決の場で、リッチーに巨額の賄賂を申し出るシーンでしょう。
その説得力に、ハラハラドキドキの展開となります。
しかし、リッチーは動ずることが無かったため、断念したルーカスは司法取引に応じて、汚職警官の名前を一人残らずゲロするのです。
その結果、市警の麻薬捜査官の2/3が逮捕される大スキャンダルに発展するというのは、本編で述べたとおり。
しかし、問題はその後です・・・。
一通り事件のけじめを付けたリッチーは、突如として警察官を辞職し、弁護士へと転進するのです。
彼が弁護したい相手・・・それはもちろんリッチー。
かくして、敵味方の男の友情が実を結んで、ルーカスは大幅に減刑が認められ出所することになる・・これがクレジット後の驚異の実話ストーリーです。
最後に、こんなにすがすがしい気分になれるとは、考えても見ませんでした。
さすがに、リドリー・スコットの演出は見事です。
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See
you again !
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サウンド・トラック
(アメリカン・ギャングスター) |
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