こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
運命を超える旅へ。
今回のテーマは「どろろ」。
1月27日に公開され、初日から4週連続で興行記録1位。
世界各国24カ国での配給が決定しており、香港では3月15日の封切りを前に主演者たちによるプレミア・イベントが開催され、熱烈歓迎を受けました!
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百鬼丸(妻夫木聡)
(in「どろろ」)
(C)2007
映画「どろろ」製作委員会 |
そんなワケで、ここの共同執筆者であるドミニク嬢からも次のようなお便りが・・・。
ドミニク
どろろ、面白かったです♪
中井貴一が主人公の父ですが、何で矢が刺さっているのに歩けるの?みたいな。
あとはネタばれするので、やめておきますが・・・。
葉羽さんのシネマのどろろコーナー楽しみにしています。
葉羽
~というドミニクからのたっての頼みなので、書かずばなりますまい。
映画公開を目前にしたある日・・・
コンビニに立ち寄ってマンガのコーナーを見ておりましたら、手塚治虫原作「どろろ」の総集編を見つけました。
昔、一通り読んだはずなのですが、ストーリーも記憶の彼方でしたので、「映画のデキと比較するのも一興」と購入いたしました。
家に帰ってページをめくりますと・・・そうそう、大事な事を思い出しました。
このお話の主人公は「どろろ」ではないのです・・・。
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百鬼丸&どろろ
(C)2007
映画「どろろ」製作委員会 |
時は室町時代、戦国大名である醍醐影光のもとに手足も耳や眼も無い肉の塊のような赤子が生まれました。
←(映画では「賢帝歴3048年」という架空の時代になっています。)
しかしこれは、父である影光が天下を統一する強大な力を手に入れるために、48体の魔物と契って子供の48箇所の部位を与えたからでした。
母はこの子を哀れんで自ら育てようとしますが、影光は恐ろしい姿をして生まれた子供を忌み嫌い、無理やりに捨てさせます。
この百鬼丸こそ「どろろ」の真の主人公です。
タライに載せられて川に流された赤子は医師の寿海に拾われるのですが、彼は天才医師で、赤子に作り物の身体を与えて百鬼丸と名付け、我が子として成長させるのです。
・・と、賢明な読者なら既にお気づきのように、この天才医師寿海こそブラック・ジャックの原型であり、百鬼丸はピノコとして生まれ変わるのです。
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百鬼丸
(C)2007
映画「どろろ」製作委員会 |
しかし、やがて成長した百鬼丸の身辺に魔物たちが集まりだします。
隙あらば、残された身体の部位を奪おうとするのです。
そうした中で寿海は命を落とし、百鬼丸は魔物を倒すことで失われた自分の身体の部位が取り戻せることを知ります。
こうして、自分の身体を取り戻すため、百鬼丸の孤独な旅が始まりました。
旅先でめぐり合ったコソ泥どろろ(実は少女)は、切られても死なないどろろの身体と、両手に仕込まれた刀剣に興味を持って、どろろと共に旅をするようになります。
そしてここからは、百鬼丸とどろろの魔物退治の大スペクタクルが次々と・・。
果たして百鬼丸は自分の身体を取り戻すことができるのか?
また、自分を捨てた父や母との運命の邂逅やいかに・・・?
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どろろ(柴咲コウ)
(C)2007
映画「どろろ」製作委員会 |
しかし、この主人公百鬼丸を演じた妻夫木聡君のカッコいいこと・・。
トンネルズの「食わず嫌い王決定戦」で本人を見たのですが、普段はごく普通の青年です。
ところが、一旦ズラを決めて刀を持たせれば、実にりりしい青年剣士に早代わり。
映画「あずみ」で美女丸を演じたオダギリジョーもそうでしたが、時代劇に合う俳優ってほんとにいるんですね。
ところが映画後半、運命の糸に導かれるように実の父影光と出会い、彼が自分の身体をこのようにした張本人であることを知ってから、急に映画のテンポがゆっくりとなります。
うむぅ・・・このあたり、ちょっと重すぎるかなぁ。
百鬼丸が生きていては、魔物たちとの約束が果たされないと命を付けねらう影光。
帰ってきた百鬼丸を救おうとする母親。
父を倒さなければ自分が殺されると悩む百鬼丸。
加えて、自分の両親の敵である影光を殺すことを生きる目的にしながら、百鬼丸に対して“親殺し”だけはさせまいとするどろろの複雑な葛藤・・・。
←(これで、重くならないはずがありません。)
見ていても、息が重苦しくなるような心理描写が続きます。
かなり哲学的なテーマを持っているために、エンターテインメントとして見にいった方は、ここでひっかかるかもしれません。
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百鬼丸
(C)2007
映画「どろろ」製作委員会 |
また、どろろを演じた柴咲コウは大熱演をしているのですが、どう見ても百鬼丸よりも年上に見えます。
原作のどろろは、小さな少年(実は少女)の役どころで、柴咲コウのオーバーな演技を見ると、それに近い年代を表現しようとしているようですが、はっきり言ってムリがあります。
←(百鬼丸に対する恋心も出し過ぎですし・・。)
だけど、原作を知らないで見るなら、そんなに違和感が無いのかもしれません。
「ねぇ、ケイコ。どうだった、この映画?」
「いいんじゃない。すごーく!」
「最後のへん、ちょっと重くない?」
「とってもよかったわよ!」
「そっかぁ。劇場も満員だし、女性も多いし・・」
「何言ってんのよ・・・」
・・・(三秒考えて)・・・
「妻夫木君の顔見てるだけでイイのよ。」
ええー!!
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百鬼丸(妻夫木聡)
(C)2007
映画「どろろ」製作委員会 |
ということで、女性に圧倒的人気の「どろろ」。
劇場は、りりしい妻夫木君を一目見ようと詰めかけた若い女性でいっぱいでした。
実生活でも、恋人同士の妻夫木君と柴咲コウさん。
息のピッタリ合った二人の演技をご覧になってはいかがでしょうか?
/// end of the “cinemaアラカルト39「どろろ」///
(追伸)
岸波
ところで、この「どろろ」っていう名前は変だと思いませんか?
実はコレ、手塚治虫の息子が小さい時に「ドロボウ」のことを「どろろ」と呼んでいたのが由来だそうです。
←(まだ赤ちゃんの時の話です。)
あと、映画の中で笑えるシーンが二つ。
魔物に身体を乗っ取られた影光が人間の心を取り戻した時に、相変わらず“魔物のツノ”を付けたままでした。(なんか変でした)
大団円で、再びめぐり合う百鬼丸に対して、どろろがテレ隠しにキツーイ一発をお見舞いして、妻夫木君が悶絶します。(何をしたかはナイショですけど)
さらに特報!
今回の大ヒットを契機に、「どろろ2」の制作構想が発表されました!
←(むむ・・原作ではあそこで終わってるのに、どうすんだろ?!)
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See
you again !
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百鬼丸
(妻夫木聡)
Photo: Jim Spellman,
WireImage.com |
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