こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
奴らは生き抜くためにウソを付くーー
これは2013年公開、デイヴィッド・O・ラッセル監督『アメリカン・ハッスル』のキャッチコピー。
今週の当番カリスマ彰の紹介になる二本は、いずれも絶対に観た方が良い映画。
う~ん、久しぶりに"キター!"の週だったのでしょうか(笑)
ということで、今回紹介する作品の元々のブログ・タイトルは以下の通り。
◆ 6人の俳優の迫真の名演技に大笑いの映画「アメリカン・ハッスル」
◆ ロイ・アンダーソンの映画「散歩する惑星」「さよなら、人類」は今年最大の発見だった!
ではカリスマ彰、よろしくお願いします。
岸波さま cinemaアラカルト用の原稿です。よろしくお願いします。
◆「アメリカン・ハッスル」(2013年 デイヴィッド・O・ラッセル監督 2時間18分)
汚職政治家を捕えるため
FBI捜査官が協力を依頼したのはーー天才詐欺師!
全世界が驚いた、まさかの実話。
TV録画していた映画「アメリカン・ハッスル」(2013年 デイヴィッド・O・ラッセル監督 2時間18分)を鑑賞。
オトリ捜査ものだが、人間の描き方が素晴らしい。
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配役は、天才詐欺師にクリスチャン・ベール(上掲写真右から2人目)、その妻にジェニファー・ローレンス(右端)、その愛人にエイミー・アダム(左端)、FBI捜査官にブラッドリー・クーパー(左から2人目)、アトランティックシティ市長役にジェレミー・レナー(写真中央)、さらにマフィアの大立物にロバート・デ・ニーロという豪華にして見事なキャスティング。
話は、1970年代にニュージャージー州アトランティックシティにカジノを誘致する際に実際あった収賄事件をもとにしている。
いやあ、その1970年代のディスコやトム・ジョーンズの「デライラ」を始めとするナンバーや当時のセクシーファッションなどがふんだんに登場し、その時代を知る私のような世代には大ウケ、大笑い。
愛人(エイミー・アダムス)と正妻(ジェニファー・ローレンス)の対決は見もの
私の世代だとクリスチャン・ベールは蟹江敬三に似ていて笑えてしまう
登場時間は僅かなのにマフィアの大立物役としてちょっと恐ろし過ぎるロバート・デ・ニーロの演技。
オトリ捜査の段取りの描き方はちょっと雑でこんなもんでいいのかなと思うが、それは本筋ではないのでOKだろう。
とにかく、登場人物たちの破茶滅茶さを俳優たちのなりきった極上の演技で味わった。
そして1970年代のアメリカのバカバカしいまでの活力を感じたのだった。ちょっと玄人好みの映画かもしれない。
アカデミー賞では本命視されたが無冠に終わったが、まあ当然だろう(笑)。
◆『散歩する惑星』allcinema ONLINEの解説から引用
「ザ・ファイター」「世界にひとつのプレイブック」のデヴィッド・O・ラッセル監督が、1979年に実際にあった一大政治スキャンダルを実力派キャスト陣の豪華競演で描くクライム・コメディ。天才詐欺師がFBI捜査官と手を組み仕掛けた前代未聞の囮作戦の全貌をスリリングに描き出す。出演はクリスチャン・ベイル、エイミー・アダムス、ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ジェレミー・レナー。
太鼓腹で一九分け頭のアーヴィンは、愛人にして相棒のセクシー美女シドニーと完全犯罪を続けてきた天才詐欺師。そんな2人はある時ついに捕まってしまう。ところがイカれたFBI捜査官リッチーは、もっとデカいヤマを狙ってアーヴィンに捜査協力を迫る。こうして危険な囮捜査をするハメになったアーヴィン。やがて彼らのまいたエサに期待以上の大物が引っかかってくる。そんな中、嫉妬に狂ったアーヴィンの妻ロザリンの予測不能の行動が作戦全体を混沌へと陥れてしまい…。 |
◆「ドクトル・ジバゴ」(1965年 デヴィッド・リーン監督 3時間17分、ノーベル文学賞作家ボリス・パステルナークの同名の小説が原作)
凍てつく大雪原をはるか
動乱のちまたをくぐり
ひたむきに愛し
誠実に生きた
一つの魂がよびおこす
美しき感動の結晶ーー
時節柄、米アカデミー賞を獲った作品特集というのをTV(ムービープラス)でやっていて2本ほど録画したのだが、そのうちの1本がこの映画「ドクトル・ジバゴ」(1965年 デヴィッド・リーン監督 3時間17分)。
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私は、高校2年生のときにこの映画を故郷で見ている。この映画の日本公開は1966年だがその5年後ではないかと思う。その田舎の映画館は路地裏にあった。
路地を入って行くと正面に映画館が二つ見えてくる。左は成人映画専門館で、右が名画二番館だった。
なぜこの映画を見に行ったのか?たぶん映画雑誌でこの主演女優ジュリー・クリスティをみて一目惚れしたのではないかと思う(笑)。
女優だから美人なのは当たり前なのだが、これほど「女優」面の女優はそうそういないのではないだろうか。目力がハンパないのだ。
映画では17歳の学生も演じている。
製作はイタリア人の大プロデューサーのカルロ・ポンティ。
ポンティは、出資者が出資の条件に挙げた「アラビアのロレンス」(1962年)の名監督デヴィッド・リーンのところに出向き監督を依頼。さらに自分の妻だったソフィア・ローレンを主役のラーラに推した。
リーンは監督は引き受けたのだが、ソフィア・ローレン起用案は一蹴。そりゃそうだよ(笑)。「主役のラーラは17歳の処女を演じなきゃならないし、長身のソフィアはダメ」がその理由。
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とにかく素晴らしい演技なのだ。リーンの演出力の凄さが分かる。
ジュリー・クリスティは前作の映画「ダーリング」(1965年 ジョン・シュレシンジャー監督 2時間8分)でアカデミー賞主演女優賞を受賞しているが、芳紀25歳、すでにキャリアの絶頂期を迎えていたようだ。
その他ドクトル・ジバゴ役のオマー・シャリフ、その妻役のジェラルディン・チャップリン、ドクトル・ジバゴの兄役のアレック・ギネス、ラーラの夫役のトム・コートネイ、ラーラの処女を奪う中年金満弁護士役にロッド・スタイガーなど名優が勢揃い。
さらにカメラがフレディ・ヤング&ニコラス・ローグの映画「アラビアのロレンス」の撮影コンビなのだ。さらに音楽もやはり「アラビアのロレンス」のモーリス・ベジャール。その「ラーラのテーマ」は映画音楽でも屈指の名曲だろう。リーン監督にとってはキャリアの二大傑作と言える存在なのだろう。
しかし、難点がある。19世紀末から第二次世界大戦後までのロシア&ソ連の半世紀を描いているから、当然のことながら尺が長い(3時間17分)。
上掲のように「二度と見たくない傑作」に挙げられたりしている(笑)。この気持ちはよく分かる。今回私も2日がかりで鑑賞。飲酒後に見て30分ほど寝てしまって巻き戻しをしたこともあった。
そして、50年前に見たと書いたが、ラストシーンとジュリー・クリスティの御尊顔以外はほぼ忘れていた。なかなか高校生には、ボリシェビキと白軍とドイツ軍の構図の理解が難しかったかもしれない。
映画中、第一次世界大戦でのドイツ軍とのウクライナ戦線が重要な舞台になっている。ドクトル・ジバゴとラーラが偶然再開を果たすのだ。ロシアとウクライナの複雑な関係に思いが至る今日この頃である。
それはともかく、「ドクトル・ジバゴ」を見つけたら是非見ていただきたい。欧米の文芸大作映画の良い面が存分に発揮されている。
あのスピルバーグは、映画を撮る前には、リーン監督の「戦場にかける橋」「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」を必ず見ているということからも作品の価値がわかるだろう。
◆『ドクトル・ジバゴ』allcinema ONLINEの解説から引用
ロシアの文豪ボリス・パステルナークの同名小説を映画化した長編大作。時はロシア革命前後の動乱期。純真な心を持つ詩人でもある医者ジバゴを主人公に、ラーラとトーニャという2人の女性への愛を通して波瀾に満ちた生涯を描いてゆく。人生の軌跡を、多彩な登場人物を交えながら時代のうねりと共に描く壮大な一大叙事詩。M・ジャールによる美しい“ラーラのテーマ”も忘れがたい。 |
/// end of the “cinemaアラカルト299「アメリカン・ハッスル+ドクトル・ジバゴ」”///
(追伸)
岸波
「ドクトル・ジバゴ」は名作の評価が定着してるけど、今まで見る機会はなかったなぁ、古い映画だし。
一方の「アメリカン・ハッスル」は是非、観たくなった。早速、Amazonで探してみよう。
しかし、そんな事よりも、”高校2年の時に路地裏の映画館で観た映画”というところで思い出しました。いやぁ懐かしいなぁ!
二軒並んでたのは「国際パール」と「名画座」だよね。
でも、僕らの高校の頃の名画座と言えば、既に成人映画専門映画館だったよね。だから、国際パールにいい映画が来て観に行こうと思っても、あの怪しげな路地に入らなくてはならない。
知人に観られて(特にガールフレンドなんかに・・)誤解されては大変と、辺りをキョロキョロ見まわして入るもんだから、余計怪しくなっちゃう(笑)
え?ホントは名画座の方にも入ったんだろうって!?
それは・・ 国家的機密です(笑)
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !
eメールはこちらへ または habane8@ybb.ne.jp まで!
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