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「Glidin'」(TAM Music Factory)
by 岸波(葉羽)【配信2022.2.26】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 忘れられない旋律、忘れられない物語

 これは・・をを~遂に出ましたか、わが青春のメモリアル『卒業』!!

 そう、これこそまさに僕が一生涯映画と付き合う契機となった記念碑的な作品なのであります。

 今週の当番はカリスマ彰。ダスティン・ホフマンの出世作二連発をご覧あれ。

卒業

(C)1967 STUDIOCANAL. All Rights reserved.

 ということで、今回紹介する二本の元々のブログ・タイトルは以下の通り。

1 映画「卒業」のダスティン・ホフマンのトッチャン坊や役はまさにドハマリ

2 ダスティン・ホフマンの過剰演技がウザかった映画「真夜中のカーボーイ」

 ではカリスマ彰、よろしくお願いします。

岸波さま 映画アラカルトは、ダスティン・ホフマンの2連発です。「卒業」と「真夜中のカーボーイ」です。

◆「卒業」(1967年 マイク・ニコルズ監督 1時間47分)

「ベン!」と叫ぶ
 ラストの彼女
 あの感動を
 あなたの青春に
 捧げます

 バレンタインデー特集「さまざまな愛のかたち」という企画での中で放映されていた映画「卒業」(1967年 マイク・ニコルズ監督 1時間47分)を録画していたので見た。

卒業

(C)1967 STUDIOCANAL. All Rights reserved.

 最近はあまり語られることのない名作映画だが、今見てもあまり古びていなくて、上手く作られた映画だと思う。

 そして、1960年代前半の映画とはやはり一線を画する新しい感覚が盛り込まれた「ニューシネマ」だというのがはっきり分かる。

アン・バンクロフト(左)

 私は、日本封切り(1968年)を田舎の映画館で見ているから、実に54年ぶりということになる。しかも、私はなんと中学生1年生か2年生!だった。

 学校に映画雑誌「スクリーン」とギターを常時持って来ていたクラスの映画好きのKが「これは見なきゃダメだよ」と強く推していたので見に行った。

はいすいません、僕の事です(笑)

 クラスでは、ミセズ・ロビンソン(アン・バンクロフト)とその娘エレーン(キャサリン・ロス)のどっちが好きか?などというのが話題になっていたなあ(笑)。

キャサリン・ロス(左)

 今から見ると、ラストの部分はいくらなんでも端折りすぎだと思うなあ。

 それに逢引にあんな普通のホテルを使うのか?

 ラブホ的モーテルは当時ないのか?

 ベトナム戦争のベの字も出てこないのはいくらなんでも平和ボケだろう、とかいろいろアラはあるのだが、1967年の映画としては画期的な存在だろう。

サイモン&ガーファンクル

 そして、サントラが大ヒットしたサイモン&ガーファンクルの名曲!「俺たちの同時代の音楽っていうのは、ビートルズじゃなくてサイモン&ガーファンクルだよな」と私と同じ歳の人間が言っていたが、同感である。アイツも「卒業」の封切りを見ていたのかな。

 最近見た映画「真夜中のカーボーイ」(1969年)では肺病病みの足の悪いニューヨークのホームレス役での過剰演技がかなりウザかったダスティン・ホフマン(1937.8.8生まれ、身長167cm、ユダヤ系)だが、ここでの東部エリート大学卒の童貞トッチャン坊やぶりはまさにハマリ役だったと思う。

ダスティン・ホフマン

 でも、コメディっぽい小芝居が気になるという映画通もいるだろうなあ。実際のところ、この映画はよく出来たコメディだと私は思うが。

 しかし、大塚博堂(1944〜1981)の名曲「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」に代表されるように、日本のポップミュージックにこれほど取り上げられた映画はないだろう。そうした意味でも「卒業」はきわめて重要な映画だった。

 なおこの日本語タイトル「卒業」は、「真夜中のカーボーイ」同様、当時ユナイテッド・アーティストの日本法人宣伝部長で後に映画評論家になった故水野晴郎によるものだ。

 ま、誰でも「卒業」以外には考えられないが(笑)。

◆allcinema ONLINEの解説から引用

 大学を卒業し前途洋々のベンジャミン。彼は、祝賀パーティの席で誘惑をかけてきた中年女性ロビンソン夫人と逢瀬を重ねることに。だが彼女の娘エレインが現れた事で、その関係は崩れていく。親の勧めで不承不承エレインと付き合うことになるベンジャミンは、彼女に惹かれていったのだ。一方、そんな若い2人に嫉妬するロビンソン夫人。やがて、彼女とベンジャミンの関係がエレインの知るところとなるのだが……。

 ニューシネマ全盛の時代だからか、妙にリアルな肌触りを持った青春映画で、その生々しさはストーリーだけでなく、各キャラクターにも及んでいる。ホフマン、ロスの若い二人も好演だが、中でも、有閑マダムのロビンソン夫人に扮したA・バンクロフトの存在感は強烈。『サウンド・オブ・サイレンス』、『ミセス・ロビンソン』などサイモン&ガーファンクルの唄うメロディもいい雰囲気で、60年代後半に青春を過ごした人間にはバイブルのような作品でもある。


◆「真夜中のカーボーイ」(1969年 ジョン・シュレジンジャー監督 1時間53分)

 史上最高の
 絶賛をあびて
 遂に日本公開
 が決定した、
 感動の名作!

 TV放映を録画していた映画「真夜中のカーボーイ」(1969年 ジョン・シュレジンジャー監督 1時間53分)を見る。

「イージー☆ライダー」(1969年)と並ぶいわゆるアメリカン・ニューシネマの初期の代表作だ。

真夜中のカーボーイ

(C)1969 JEROME HELLMAN PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 田舎(テキサス)から男娼になって金を稼ぎたいとニューヨークに出て来たカウボーイスタイルの男(ジョン・ボイト)とニューヨークのホームレス(ダスティン・ホフマン)の友情を描いている。

 かなり前に一度見てはいる映画だが、もう一度見てみた。んーん、今から見てみると微妙な作品ではある。

 50年以上も前に、男娼やホームレスを主人公にした映画を作ったという先駆性は評価できるが、煙草ばかり吸って咳ばかりしている肺病病みの足の悪い小柄なラッツォを演じるダスティン・ホフマンが過剰演技でちょっとウザい。

 さらにラストシーンもあまり悲愴感はない。もう少しラッツォのバックボーンを深彫りしておくべきだったのではないか。

 しかし、サイケデリックパーティやベトナム戦争なども、時節柄扱われ、その後のアメリカ映画の分岐点だったことが分かる。

 それと、当時ユナイテッド・アーティスト日本法人の宣伝部長で後に映画評論家に転じる故水野晴郎の発案で、邦題がカウボーイをカーボーイにした(より都会的な響き)という逸話があるが、早晩もとに戻すべきだろう。

◆allcinema ONLINEの解説から引用

 金持ち女の相手をして金を稼ごうと、テキサスの片田舎からニューヨークへやって来たジョー(ヴォイト)。だが現実の壁は厳しく、カウボーイを気取る彼の夢は遠のいていくばかり。そんなジョーが知り合ったのがラッツォと呼ばれる一人の男。始終咳き込み足を引きずって歩くその小男と、ジョー。大都会のはみだし者同士、次第に友情を深めていく二人だが、ラッツォの病状は日増しに悪くなっていた。ジョーは、フロリダへ行くというラッツォの夢を叶えようとするのだが……。

 ふんだんに取り入れられた60年代末のアメリカの風俗描写の中、夢はあれどもそれをどう実現していくかが判らないまま、日々に押し流されていく孤独な男たちを、イギリスからやって来たJ・シュレシンジャーが活写したアメリカン・ニュー・シネマの傑作。そしてジョー、ラッツォそのものといったヴォイト、ホフマンの存在感の凄さ(オスカーは逃したものの、二人そろってアカデミー主演男優賞にノミネートされている)。その題材と描写から、成人映画扱いのXレイトとなるが、アカデミー賞(作品・監督・脚色)を受けた後、レイティングは撤回された。ニルソンの主題歌『噂の男』と、J・バリーの切ないメイン・テーマも秀逸。公開25周年を記念して製作された「特別版」(アメリカでは限定公開もされた)には、50分に及ぶメイキングやインタヴュー、それにヴォイトのスクリーン・テストのフィルムなども収録されており興味深い。

 

/// end of the “cinemaアラカルト293「卒業+真夜中のカーボーイ」”///

 

(追伸)

岸波

 いやぁ彰、本当に懐かしいよ。僕の勧めによって観てくれたんだね、あの時。

 この映画にたどり着く前は『007』などのスパイ映画や『荒野の用心棒』などマカロニ・ウエスタン、そして、東映時代劇やクレイジー・キャッツ、若大将、怪獣映画ばかり見ていたから衝撃だったんだよ。

 ロマンスを描く洋画も観たけど、オードリー・ヘプバーンの『ローマの休日』とか夢物語の話で、同時代の若者の恋愛や不倫(正確には違う)などを生々しく描いた作品など皆無だったからね。

 そしてサイモン&ガーファンクルには影響を受けまくったね~。

 キヨタカとムラジュンとで歌ってたよ『ミセス・ロビンソン』や『サウンド・オブ・サイレンス』、そして忘れもしない『スカーボロー・フェア』。(今でもカラオケする。)

 まさに僕の青春は、この映画と共にあったんだよ。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

卒業

(C)1967 STUDIOCANAL. All Rights reserved.

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト294” coming soon!

 

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