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「Glidin'」(TAM Music Factory)
by 岸波(葉羽)【配信2022.2.12】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 間違いだらけの真実の物語。

 これは1995年公開、ウェイン・ワン監督『スモーク』のキャッチコピー。

 今週の当番カリスマ彰によれば、”今年のベストテン確実の良作”だそうです。

スモーク

(C)1995 Miramax/N.D.F./Euro Space

 ということで、今回紹介する二本の元々のブログ・タイトルは以下の通り。

1 ポール・オースター原作でブルックリンの煙草屋が舞台の映画「スモーク」

2 韓国のエリック・ロメールと呼ばれるホン・サンス監督の映画「それから」を見てみた

 ではカリスマ彰、よろしくお願いします。

岸波さま こちらはシネマアラカルト用の原稿です。よろしくお願いします。

◆「スモーク」(1995年 ウェイン・ワン監督 1時間53分)

 本当に大切なものは煙のようなもの。
 心が乾いた時に何度でも味わいたくなる。

 基本的に土曜日、日曜日は仕事をしないことにしている。

 わずかな家事手伝いをしつつ、録画していた映画、オペラ、コンサート、ドキュメンタリーなどを見て、印象的なものは記録するという感じ。

 昨日(2月5日土曜日)は、西村賢太の急死にショックを受けながら、録画していた映画「スモーク」(1995年 ウェイン・ワン監督 1時間53分)を見た。

 これが、今年のベストテン確実の良作。

スモーク

(C)1995 Miramax/N.D.F./Euro Space

 昔だったら、ビリー・ワイルダーあたりが監督したような哀愁漂うヒューマンドラマ。これが現代版では、こんな感じになるというような映画。

 原作と脚本はブルックリン在住の人気作家のポール・オースター。

 映画では、最後のエピソードになる「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」を映画用に自ら脚色した。

 なるほどねえ。こういう映画、無性に見たくなる時が確かにある。

 ブルックリンの煙草屋店主オーギー・レン役はハーヴェイ・カイテル(上掲写真右)、そこの常連客の作家ポール・ベンジャミン役(原作者のフルネームはポール・ベンジャミン・オースター)はウィリアム・ハート(上掲写真左)。

 最初は、それぞれトム・ウェイツ、ティム・ロビンスが予定されていたというが、こっちの方がベターだった。

 そのほか、フォレスト・ウィティカー、ストッカード・チャニング、アシュレイ・ジャッドなど芸達者が揃っている。

 なおこの映画の続編「ブルー・イン・ザ・フェイス」(1995年 1時間25分 )が、ポール・オースター&ウェイン・ワン監督、ハーヴェイ・カイテル主演ですぐ公開されている。

 これも是非見たいものである。

◆allcinema ONLINEの解説から引用

 アメリカを代表する作家ポール・オースターが書き下ろした『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』。これを基に、男たちの中に隠された哀しいロマンティシズムを描いた都会の物語。

 14年間毎朝同じ時刻に店の前で写真を撮り続けている煙草屋の店長オーギー、彼の馴染みの客で突然の事故により出産まもない妻を失って以来ペンを持てずにいる作家のポール、彼が車に跳ねられそうになった所を助けた黒人少年ラシードの3人を軸に、ブルックリンのとある煙草屋に集まる男達女達の日常を、過去と現在を、嘘と本当を巧みに交差させながら進んでゆく。

 深みのある脚本、巧みな演出、繊細な心理描写で、ブルックリンの下町に生きる人々の人生をより深く描いているにもかかわらず、映画は決して重くはなく、実にシンプルに展開してゆく。そしてその中には男達の哀愁と同時にあたたかさが浮かび上がってくる、良質の、味わい深い、大人のドラマ。これら作品のテーマを凝縮している、クライマックスのトム・ウェイツの名曲“Innocent When You Dream”に乗せて繰り広げられるモノクローム映像は必見! 本作撮了後に急遽作られた続編ともいうべき「ブルー・イン・ザ・フェイス」も併せて観る事をお勧めする。


◆「それから」(2017年 ホン・サンス監督 1時間31分)

 人生はままならぬ。

 「韓国のエリック・ロメール」と呼ばれている映画監督ホン・サンス(1960.10.21〜)の映画「それから」をTV録画していたので、全編も短いし、深夜に見た。モノクロ映画である。なるほど、ロメール風ではあった。

それから

(C)2017 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

 サンスの映画は、不倫相手のキム・ミニ(上掲写真左)を起用後はガラリと作風が変わったと言われる。

 なお妻との離婚裁判にホン・サンスは敗訴して、離婚できないで不倫を続けているらしい。このあたりの韓国の結婚・離婚制度はかなり変わっている。

 それはともかく、極度の知的洗練をベースにしたアイロニーと常にそこにはいろいろなタイプの笑いがあるロメール作品と比較するのはどうだろうかな。

 少なくとも、この「それから」には、笑いはない。

 それと、この出版社の新入社員役のキム・ミニと、その前任の女子社員役(社長の愛人)のキム・セビョクがよく似ていて、ストーリーがこんがらがってしまう。それがサンス監督の狙いかもしれないが。

それから

第9回 日本アカデミー賞受賞(1986年)

 花一輪、ふたつの鉢には盛れません。

 ところで、昨年が没後10年だった故森田芳光監督(1950〜2011)には「それから」(原作 夏目漱石)という映画がある(写真上掲)。

 私は見ていないが、松田優作、藤谷美和子(1963.3.10生まれ)、小林薫の3人が出演し、悪くない映画らしい。

第9回日本アカデミー賞受賞

 松田優作(1949〜1989)は亡くなり、元祖プッツン女優と呼ばれた藤谷美和子は、皇居開門事件などを経て映画監督の岡村俊一と結婚後、芸能活動を休止。離婚宣言をしたりゴミ袋を持って自宅付近を徘徊する姿を見られたりしている。

 その後が知りたいタレントの第3位にリストアップされたと、Wikipediaには書かれている。生きていれば58歳である。

 話がそれたが、この韓国映画「それから」では、たった1日で退社することになった新入女子社員に、社長が夏目漱石の「それから」を渡すシーンが終わり近くにあり、それが題名の由来になっている。

 夏目漱石が韓国でこんなに読まれているというのは、ちょっと驚きだった。

◆allcinema ONLINEの解説から引用

 「3人のアンヌ」「自由が丘で」のホン・サンス監督が、ヒロインに今や監督の新たなミューズとして欠かせない存在となった「お嬢さん」のキム・ミニを迎え、女関係にだらしないダメ男と女たちとの複雑に絡まった愛憎劇をユーモラスなタッチで描いたコメディ・ドラマ。主演は「3人のアンヌ」のクォン・ヘヒョ、共演にキム・セビョク。

 評論家としても活躍する小さな出版社の社長ボンワンは、妻から浮気を疑われていた。そして実際に一人だけの社員チャンスクと不倫していた。しかしチャンスクは会社を辞めてしまい、後釜にアルムが採用される。すると初出勤早々、いきなり会社に乗り込んできたボンワンの妻に浮気相手と誤解され殴られてしまうアルムだったが…。

 

/// end of the “cinemaアラカルト291「スモーク+それから」”///

 

(追伸)

岸波

 韓国版『それから』の二人の不倫秘書は確かによく似た顔立ちだね。

イ・チャンスク(キム・セビョク)

ソン・アルム(キム・ミニ)

 また、日本版『それから』は、企画担当のサンダンス・カンパニー古澤利夫が松田優作と会った時、ロバート・デ・ニーロがニューヨークで『逢びき』のリメイク『恋におちて』を撮っているという話になり、松田優作が「あんな映画を撮ってみたい」と言ったのが切っかけだった。

 そこからストーリーを探し、原作に漱石の『それから』を持ってきたということだ。

 結果、1986年度の第31回キネ旬日本映画監督賞、第10回報知映画賞監督賞、第9回日本アカデミー賞優秀作品賞・優秀監督賞・最優秀助演男優賞(小林薫)など数多くの賞を受賞した。

 "青年・成人向け"文部省選定映画でありながら、日本PTA全国協議会の推薦作品になったのは、ちょっと笑える気がする。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

それから

第9回 日本アカデミー賞受賞(1986年)

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト292” coming soon!

 

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