こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
始まりも、超過激
シリーズ最新作『キングスマン:ファースト・エージェント』をケイコと共に観てまいりました。
実はシリーズの1と2を見ているものの、その内容があまりにもグロいので「このシリーズは自分たちには合わないな」と考えていました。
ところがっ!!!
|
キングスマン:ファースト・エージェント
(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
|
そんな僕らの腰が引けた状況をドドーンと押したのは、またしても『ミステリ&シネマ・パラダイス』のPie造さんによるこのエントリー。
Pie造 ミステリ&シネマ・パラダイス#990
『キングスマン:ファースト・エージェント』(The King's Man)
2021年 イギリス・アメリカ映画
監督 マシュー・ヴォーン
アクションスパイ映画。
イギリス紳士を描いているにしてはグロいなと、
1 作目は思ったけど、
今作はほんまに紳士やったな👍
冒頭の掴みで、この映画は面白いと確信した。
2作目観てないけど観たよ。
カメラワークと編集のうまさが光る。
スパイの殺しはスマートじゃなきゃね。
この監督に007撮らしてもいいのかも。
ちょっと長いけど許せる。
面白かった!👍👍👏👏 |
え・・グロ薄目? よりスマートに変貌!?
しかもPie造さんが書く「冒頭の掴み」が気になってしょうがない。
ということで、さっそく観てまいりました。
世界大戦に隠された、
最強スパイ組織の過激すぎる誕生秘話!
映画の冒頭、本作の主人公オーランド・オックスフォード公爵(レイフ・ファインズ)は、息子のコンラッド(幼年期:アレクサンダー・ショウ)と妻のエミリー、執事のショーラを引き連れ、馬車で戦争捕虜が収容された山間のキャンプ地を訪れる。
時は20世紀初頭、場所はイギリスとアフリカン・ボーア人が南アフリカの領有を巡って戦闘を繰り広げている第二次ボーア戦争下の南アフリカ。
|
キングスマン:ファースト・エージェント
(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
|
実は、元軍人のオックスフォード公は退役後、国際赤十字活動に従事しており、その医療・救援物資を届けに出向いたシーンだ。
ところがキャンプ地がゲリラの急襲を受け、エミリーは夫を銃弾から守るために身を挺して凶弾を浴びてしまう。
うむぅ・・何と言う理不尽。息も絶え絶えの中「コンラッド(息子)のことをお願い」と言い残しエミリーは絶命。号泣するオックスフォード公。母の死に呆然となるコンラッド。
なるほど、これがPie造さんが言う「掴み」のシーンか。何とも重苦しい出だしではないか。
(いつものオフザケが無い。)
そして場面は転換する・・。
|
キングスマン:ファースト・エージェント
(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
|
時は移り、12年後の1914年。コンラッドは執事ショーラの体術訓練を受け、凛々しい青年に成長している。
そして、オックスフォード公はイギリス国王ジョージ5世から相談を持ち掛けられる。
国王の従兄弟に当たるドイツ皇帝ヴィルヘルム2世とロシア皇帝ニコライ2世の関係が悪化し、両者の間に戦争が起きることが懸念されると。
オックスフォード公とコンラッド
オックスフォード公は国王の依頼を受け入れ、息子コンラッドとともにオーストリア皇太子フェルディナンドを護衛するためにサラエボへ。しかし皇太子夫妻は、二人の目の前でセルビア人青年により暗殺される。
をっと! これは第一次世界大戦の引き金となったサラエボ事件そのものではないか!?
事実、その通りに情勢は展開し、ドイツ帝国がオーストリア=ハンガリー帝国側に与して参戦。ロシア、フランス、イギリスなどが対ドイツ宣戦布告・・歴史は動き出す。
しかぁしっ!!
オックスフォード公は、サラエボ事件の犯人として捕えられたセルビア青年が不思議な指輪をしているのを発見。さらに、ロシアの甥からロシア皇帝ニコライ2世が怪僧ラスプーチンによって操られているとの情報を入手。
これはもしや、世界を巻き込む戦争の背後にうごめく闇の組織が介在しているのではあるまいか?(ハイ、そうです:笑)
その組織とは”羊飼い”と呼ばれる謎の男を首魁とする秘密結社『闇の狂団』で、彼らの戦略はイギリスを巻き込んだ後にロシアを離脱させ、まずはイギリスを壊滅させることであると突き止める。
事ここに至り、オックスフォード公は息子コンラッドをテーラー・キングスマンに誘い、そこで自分の秘密を打ち明ける。
自分は世界平和を守るための秘密ネットワークを持っており、まずは怪僧ラスプーチンを暗殺して"羊飼い"の野望を打ち砕くと。
|
キングスマン:ファースト・エージェント
(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
|
かくして、オックスフォード公、コンラッド、執事ショーラ、そして女執事ポリー(ジェマ・アータートン)の4人はロシア宮廷を目指す。
さて、4人はミッションを成功させることができるのか? はたまた世界の命運や如何に!?
~という史実をなぞったキングスマン活躍の物語なのですが、この秘密結社『闇の狂団』のメンバーが凄い。
執事ショーラ(ジャイモン・フンスー)
正体不明の”羊飼い”の下に集結しているのは、怪僧ラスプーチンをはじめ、女スパイ:マタ・ハリ、ロシアの革命家レーニン、ドイツの偽預言者エリック・ヤン・ハヌッセンなどなど、実際に歴史に登場してくるクセ者ばかり。
後に、もっと凄いメンバーも登場します(笑)
前半の山場になるのが4人とラスプーチンの闘いですが、このラスプーチン、改めて人となりを調べてみると、恐るべき怪人だったことが分かります。
怪僧ラスプーチン(リス・エヴァンス)
グリゴリー・エフィモヴィチ・ラスプーチンは、祈祷によって難病を治癒する能力を持っていたとされますが、血友病に苦しむロシア皇太子アレクセイを一夜にして快癒させたことで、皇帝ニコライ2世と皇后アレクサンドラから厚い信任を受け、後に政治に口を出すようになる。
研究によれば、祈祷治療の正体は当時流通し始めたアスピリン投与による鎮痛治療だったと言われます。
ラスプーチンと皇帝夫妻
また、人間離れした巨根と精力の持ち主だったと言われ、宮廷の多くの婦人と乱れた関係にありました。
サンクトペテルブルクの博物館には、暗殺者に切り取られた「ラスプーチンの男根」とされる約33センチの巨大な男性器のアルコール漬標本が保存されている。
極めつけは彼の不死身伝説で、史実の暗殺者ユスポフが青酸カリを入れた食事と紅茶を供したところ、ラスプーチンは全て平らげても平然としていたとのこと。
さらに、泥酔させて背後から銃で心臓と肺を貫通させて倒した後、起き上がって来たことに驚愕し、階段を駆け上がって逃げるとラスプーチンが追いかけてきて、仲間がさらに銃弾4発を浴びせ右腎静脈から背骨を貫通して倒したところ、再び起き上がって来たので、最後は額に撃ち込んで絶命させたとのことです。
いやコレ、Wikiに載っているんですけれど、まさに怪物ですね。
|
キングスマン:ファースト・エージェント
(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
|
そんなラスプーチンですから、映画の方でもオックスフォード公・コンラッド・ショーラの三人がかりで戦いますが歯が立たずに次々と倒されて行く。
三人にトドメを射しに来たところで登場した女執事ポリーが額に銃弾を撃ち込んでようやく倒すのですが、そっからまた立ち上がって来る。(ええ~!)
ここ怖いです。史実超えの不死身です(笑)
実際のラスプーチン@Wikipedeia
結局、史実通りラスプーチンは暗殺されるのですが、ロシア帝政も崩壊して戦線離脱し、イギリスの危機は高まります。
そして、次のフェイズに入ったところでサプライズが。
それはコンラッドの死。(ええええ~!)
コンラッド(ハリス・ディキンソン)
ポスターやスチール写真でも大きく扱われているし、てっきりキングスマンの次の世代を率いていくヒーローになるかと思いきや、アッサリと裏切られます。
うむぅ・・確かに「1」から「2」に移る時にも、「1」の主要人物が次々に暗殺されてストーリーが展開したので、”主人公の人命が軽く扱われる”のはシリーズのお約束でしたが、これはさすがに酷い。
負傷兵を連れ帰るコンラッド
ドイツ軍に潜入していたスパイが重大機密を持ち帰り、それを引き継いで帰還したところを、逆にドイツのスパイと見誤られ、味方兵に脳天を撃ちぬかれる。
一番ショックを受けたのは、当のコンラッドを亡妻エミリーに託されていたオックスフォード公。彼は腑抜けのようになり、"世界平和"も何のその、酒に溺れる生活に・・。
と、まあ、なかなか一直線には進まないストーリーですが、全編を通してキラリ輝くのは女執事のポリー・ワトキンズ(ジェマ・アータートン)。
女執事ポリー
100発100中のスナイパーであったり、エニグマも解読する暗号解読の専門家であったりしますが、実はオックスフォード公の”世界平和ネットワーク”も彼女が中心になってまとめ上げたもの・・いわく「使用人ネットワーク」(笑)
『スパイが重要機密のドアの外に辿り着いた時、使用人はすでに部屋の中に居る』というのがウリで、ホワイトハウスを始め世界の至る所に仲間を作っているのです。
|
キングスマン:ファースト・エージェント
(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
|
くだんのラスプーチン戦でも三人がヘロヘロになった最後に登場し、敵の眉間に一発。「ホントに男の人達ったら!」と吐き捨てる・・実にカッコいい!!
まあ、生き返ってきますけれど(笑)
どこかで見た顔だと思いましたら、『007 慰めの報酬』で1500人の中からボンドガールのストロベリー・フィールズ役に選ばれた俳優さんでした。
余談ですが、彼女は生まれながらの多指症で、両手の指が6本ずつあったのを手術で切断したそうです。
コンラッドの死によって腑抜けになったオックスフォード公に「このままなら私はお暇をいただきます」と迫り、立ち直らせるのも彼女。
オックスフォード公はコンラッドの死を乗り越え、執事のショーラとポリーと共に"羊飼い"の野望を打ち砕くために再び立ち上がる。
女執事ポリー(ジェマ・アータートン)
しかし事態は更に悪化の一途。ロシアが戦線離脱して、ドイツがイギリス本国に狙いを定める中、頼みとするアメリカは参戦を躊躇している。
それにはワケがあり、『闇の狂団』の一員であるマタ・ハリがアメリカ大統領にハニートラップを仕掛けたフィルムが敵の手中にあり、参戦すれば公にすると脅されていたのだ。
ということで、キングスマン(オックスフォード公チーム)の次なるミッションは敵本拠地"羊飼い"の手中にあるフィルムの奪還と廃棄。
三人は敵地に乗り込み、そこから怒涛のクライマックスへと突入です。
「1」「2」と比べてギャグ的な戦闘方法や度の過ぎるグロが無くなった反面、世界を股にかけるスケール感や肉弾戦の迫力は格段にアップ。
そして何と言っても第一次世界大戦という史実の中にキングスマンの働きを折り込んだ臨場感がたまりません。
最後の正体を現した"羊飼い"との戦闘は、目も眩むような断崖絶壁上のアジトで行われる事もあり、高所恐怖症の僕など、何度悲鳴を上げそうになったことか(笑)
|
キングスマン:ファースト・エージェント
(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
|
主人公オックスフォード公を演じるレイフ・ファインズは、もともと舞台俳優でシェイクスピア劇などで主演を務めた名優でした。
映画に転進してからは、スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』でアカデミー賞助演男優賞にノミネート、『イングリッシュ・ペイジェント』で主演男優賞ノミネートなどキャリアを重ね、近年では『007 スカイフォール』以降、ジュディ・リンチに変わって「M」を演じてきました。
また『ハリーポッター』シリーズの闇の魔法使いヴォルデモート役で彼を知る人も多いでしょう。
オックスフォード公(レイフ・ファインズ)
1962年生まれということですから今年で還暦のはず。それなのに「キングスマン」で激しいアクションをこなす姿には感動さえ覚えます。
”羊飼い”の意外な正体については、ここでは触れませんが、最終的に闘いに勝利したオックスフォード公は、世界平和を守るための民間スパイ組織を設立します。
その本拠地こそ、英国紳士のスタイルを作り上げたテーラー・キングスマン。以降、彼らは『Kingsman』と呼ばれるようになるのです。
そうそう・・ いつもならここで『是非、劇場に!』という所ですが、この作品は間もなく定額動画配信サービス「Disney+」で無料配信されるそうです。
そちらをご利用の方は是非ご覧ください。決して損はありませんよ。(無料だし。笑)
/// end of the “cinemaアラカルト290「キングスマン:ファースト・エージェント」”///
(追伸)
岸波
本作のラストで"羊飼い"は倒されますが、『闇の狂団』自体は偽預言者エリック・ヤン・ハヌッセンに引き継がれます。
そして、新たな"羊飼い"となったハヌッセンに呼ばれたメンバーの一人革命家レーニンは「世界の(混沌の)ためには圧倒的な左派と右派が必要だ」として、ある男を紹介されます。
その男は自分を「アドルフ・ヒトラー」と名乗るのです。(えええ~!)
今回の作品の成功を受けて、既に次回作の制作が発表されました。
その作品は「1」「2」を受けて現代に戻るのではなく、今回の「ファースト・エージェント」に繋がる時系列になるとのこと。
ということは、次回の舞台は第二次世界大戦になるのでしょうかね?
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !
|
キングスマン:ファースト・エージェント
(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
|
eメールはこちらへ または habane8@ybb.ne.jp まで!
Give
the author your feedback, your comments + thoughts are always greatly appreciated.
To
be continued⇒ “cinemaアラカルト291” coming
soon!
<Back | Next>
|