こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
警察官は殺人鬼。
今週は劇場に足を運んでいないので、久々にAmazonプライムの鑑賞作品からアメリカのTVシリーズ『デクスター』を取り上げます。
これまでもアメリカのTVシリーズには数々ハマっておりまして、『プリズン・ブレイク』や『24』、アメリカでのホームズとワトスンの活躍を描いた『ELEMENTARY』、そして『NCISロサンゼルス』、『メンタリスト』などを総見してきましたが、現在進行中なのがこの『デクスター』。
これまで観てきたサスペンスやアクションとは少し毛色が変わっていて、主人公が殺人者。とは言っても『古畑任三郎』のような倒叙法ではなく、”正義の殺人者”をテーマにしています。
さて、さっそく内容に行ってみましょうか。
(以降、ちょっと文体が変わります。)
『デクスター』は、2006年からアメリカのケーブルTV局SHOWTIMEで放映された人気連続ドラマ。最終第8シーズンは2013年に放映された。
Amazonプレミアムで視聴番組を選ぶ際、シーズンが5つ以上あればそれだけ長く支持された訳で、ます間違いなく面白い。
上程されている単発映画は当たりはずれも大きいが、TVドラマであれば信頼性が高いのだ。
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第1シーズンの原作はジェフ・リンジーの小説『デクスター 幼き者への挽歌』だが、第2シーズン以降、小説の続編の展開から離れ、TV番組独自のシナリオで制作されている。
ということで、先日から視聴開始したこのシリーズだが、第1シーズン第1話「正義の殺人者」を観てぶっ飛んだ(笑)
主人公デクスター・モーガン(マイケル・C・ホール)はマイアミメトロ警察の血痕飛散専門の鑑識官。
デクスター・モーガン
へぇ、アメリカには"血痕飛散専門"の鑑識という職があるんだと感心したが、実際どうなのだろう?
彼は非常に有能で鑑識だけの仕事にとどまらず、独自に犯人像をプロファイルして正体に迫っていくのだが、それには理由(ワケ)がある。
実は警察官デクスター自身が連続殺人を遂行中のシリアルキラーで、同じ殺人者として同類を見抜く洞察力に優れているのだ。
標的を殺害するデクスターのやり方は儀式めいており、相手を昏睡させて自分の秘密のラボに運び込み、全裸にして手術台に縛り付け、血痕飛散を防ぐため完全防備の手術着で臨む。
そうして標的を覚醒させ、相手が過去に犯した殺人の罪状を説明して頬にメスを入れサンプル血液を採取。それを血液サンプルホルダーに格納した後、頸動脈を切って殺害。遺体は自分の船で沖合に運び、重りを付けて沈めるのだ。
この血液コレクションこそ、デクスターの殺人記録書。本来なら一切の証拠を抹消すればいいのだが、これだけは捨てられずに自宅のエアコン裏側に隠してある。
ハイ、はっきり言ってイカレてます(笑)
ここで重要な点が一つ・・彼が殺めるのは"許されざる殺人者"。なぁんだ、これはアメリカ版『必殺シリーズ』なんだと納得。
はらせぬ恨みをはらし 許せぬ人でなしを消す
いずれも人知れず 仕掛けて仕損じなし 人呼んで仕掛人
~という訳か。・・しかし、これが大違い(大笑)
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デクスターは幼少期のトラウマから心の一部が壊れており、殺人衝動を抑えられない本物のシリアルキラー。動機は正義でもなければ金でもない。
自らの殺人衝動を満たすために、警察の捜査よりも早く極悪犯罪者を見つけ出し、秘められた殺人儀式を執り行うのだ。
それが分かって悩みました。このままシリーズを見続けるかどうか。主人公の行動に共感できない。それより必殺シリーズのような鑑賞後の爽快感がない。う~むぅ・・。
で、そこに登場するのが、これまた異常な殺人方法をとる連続殺人者"冷凍庫キラー"。こいつは標的から全身の血液を抜き取り、干からびた状態でバラバラにする。
場合によっては、標的を生かしたまま少しずつ手足を切り取り、警察をあざ笑うように公衆の場に放置する。そのために必要なのが標的の代謝を落として生かし続けるための冷凍庫ラボ。(ええ~!)
しかも・・この連続殺人者はデクスターの性癖を見抜いている。
彼の部屋に忍び込んではサインを残し、デクスターの幼少期のトラウマにまつわる「場所」に次々と被害者の肉体の一部を放置していたのだ。
もしかすると、犯行の動機自体、デクスターに対する何らかのメッセージなのか?
ハイ、そうです(笑)
こうなると俄然、ストーリーの行方が気になってくる。まるで『デス・ノート』のキラとライトのようなシリアルキラー同士の頭脳戦だ。
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これら、主軸のストーリーを彩る脇役たちがまた多彩。
この第一シリーズでは、現在の時間軸とデクスターが子供の頃の時間軸が交互に描写されるのだが、まずは、家族を惨殺されたデクスターの養父となる担当刑事のハリー・モーガン(ジェームズ・レマー)。
養父ハリー・モーガン刑事
彼はデクスターの殺人衝動を理解しており、どうしても衝動を抑えきれなくなったら「許されざる殺人者」だけを標的にしろとか、決して犯行が露見しないための証拠隠滅の方法などを伝授する。(ええええ~!)
大人になったデクスターが、シリアルキラーだけを標的にする「掟」は、このハリーの教えに従ったものなのだ。
そして、ハリーの実の娘デボラ・モーガン(ジェニファー・カーペンター)。彼女はデクスターの妹として育てられるが、長じると父ハリーの遺志を引き継いで刑事を志しデクスターの同僚刑事となる。
デボラとデクスター
冷凍庫キラーの真の目的は、デクスターに妹デボラを殺害させることなのだが、その理由や結末は、この記事では触れない。
さらに、デクスターが殺人者ではないかと疑う同僚の敏腕刑事やひょうきんな鑑識の相棒、妻との別居を内緒にしている同僚刑事などが、色々な形で絡んでくる。非常に重層的なシナリオで飽きさせない。
ということで、結局はストーリーに惹き込まれ、現在、第3シリーズまで視聴中(笑)
しかし・・この番組を観ていて、気づいたことが一つ。デクスターや冷凍庫キラーのように"自分の殺人衝動を抑えられないタイプの"シリアルキラーというのは実在しているのではないか・・それもかなりの数。
思い返してみれば、この日本でもそうした異常な連続殺人者が何度もマスコミに取りあげられて来た。一方では、毒物や爆弾、乗用車などを用いた大量殺人者も。
ただ、大量殺人者の場合は、偏った思想信条や自己顕示欲による”目立ちたがり屋”であるのに対し、常軌を逸したシリアルキラーの場合、このデクスターのように「心の病」が原因であることも多いのではないか。
そうであるとするならば「治療」が必要なはずだが、実際はもう、後戻り出来ないケースも多いだろう。心が壊れてしまっているのだ。
彼らの心を「宿業」から解放する手段はもはや「死」しかないのかもしれない。
連続ドラマのストーリーを楽しみながら、重い真実について、つい考えを巡らせている今日この頃です。
/// end of the “cinemaアラカルト277「デクスター」”///
(追伸)
岸波
そうそう・・主人公デクスターを演じたマイケル・C・ホールとその義妹の刑事デボラ・モーガンを演じたジェニファー・カーペンターは、シリーズの途中で実際に結婚しています。
まっいいか、兄弟とは言え血のつながっていない同士・・ってか、両方とも役の上でのことですが(笑)
ドラマの中では、だんだんと心を通わせて距離が近づいて行くのですが、現実にも心が通っちゃったのですね。
ただ、その結婚生活は二年ほどで破綻します(爆)
このラストシーズンの終盤だけズル見しましたら、デボラは最後のシリアルキラーに撃たれて植物人間になり、デクスターは最愛の妹を失った悲しみから全てを清算しようと思い至ります。
最凶のシリアルキラーとの闘いに勝利を収めた後、デボラの生命維持装置を止めて、沖合に出てデボラを沈め船を爆破。
やっぱり最後は、みんな死んでしまうバッドエンドかぁ・・と思ったら、オレゴン州の炭鉱夫として新たな人生を歩み始めるシーンが本当のラスト。
うむ、コレはもしや、いずれの続編に余韻を残したのではあるまいか、と思ったら、つい先週の11月7日からケーブルテレビSHOWTIMEで続編シリーズ"Dexter: New Blood"が開始されたとのこと。
楽しみはまだ続きそうです♪
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !
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