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「AUTUMN」(Music Material)
by 岸波(葉羽)【配信2021.8.21】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 空をブチ抜け。

 またも劇場へ足を運び超話題作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』をケイコと観てまいりました。

 本来は2020年に公開予定でしたが、コロナ禍の影響で一年延期。6月25日の全米公開に続いて8月6日に日本封切りとなりました。

 通称「ワイ・スピ」と呼ばれるこのシリーズも第9作。

 ルーク・ホブス(ドウェイン・ジョンソン)とデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)が主演したスピン・アウト作品『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』を含めれば第10作目となります。

ワイルド・スピード/ジェットブレイク

(C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 破天荒なことが起きまくるこのシリーズ、2015年の『SKY MISSION』では飛んでいる飛行機の格納庫からいきなりスーパーカー軍団が飛び降りたり、2017年の『ICE BREAK』ではスーパーカーで潜水艦と闘うという無茶をやらかしましたが、何と今作では死んだはずの仲間まで再登場!?

 え、何でもあり? いやいやいや、ソコがいいんだよね~(笑)

 ということで、さっそく本編でございます。

 映画の冒頭、どことなくノスタルジアを感じさせるようなカーレース場。そう・・ここは1989年のストックカーレースの回想シーン。

 出場しているのは、まだ少年だったドミニク・トレット(ヴィン・ディーゼル)とジェイコブ兄弟の父ジャック。

ドミニク・トレット

 シーズン最後のレースという事で会場は盛り上がっているが、ジャックは卑劣なライバル、ケリーの走行妨害や体当たりでコースアウトし横転して大炎上。そのまま帰らぬ人となる。

 うん、コレは第1作『ワイルド・スピード』でドミニクが昔の相棒ブライアンに告白していた話。

 もしかすると今作で、あの事件にまつわる”隠された真実”が暴かれるのか??

ワイルド・スピード/ジェットブレイク

(C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 そして場面は現在のドミニクに転換。

 彼は愛妻で相棒のレティ(ミシェル・ロドリゲス)と共に、かつての恋人だったエレンとの一粒種リトルBを仲睦まじく育てています。

レティ

 そこへ"ファミリー"の仲間、ローマン(タイリース・ギブソン)、テズ(クリス・“リュダクリス”・ブリッジス)、ラムジー(ナタリー・エマニュエル)が訪れて、怪しげな動画を見せる。

 そこに写っていたのは、これまで共闘して闘ってきたアメリカ秘密工作員のリーダー、ミスター・ノーバディ(カート・ラッセル)。

 彼は軍事機密装置『アリエス』を飛行機で輸送中に襲われて墜落。救援を求める動画を発信して消息をたったのだ。

ミスター・ノーバディ

 恩義のあるノーバディのために一肌脱ごうとするメンバーたち。しかしドミニクはリトルBと二人で家に残ることを宣言。

 レティらが出発しようとした時、救援動画を見直していたドミニクは、そこに映り込んでいる見慣れた文様・・トレット家のシンボルである十字架を発見。

「もしや弟のジェイコブが関与しているのでは?」と訝しんだドミニクは、リトルBを仲間のブライアン・オコナー(ポール・ウォーカー:本作には登場せず)に託して、"ファミリー"と行動を共にすることに。

ブライアン・オコナー

 墜落現場のモンテキントは軍の支配下にあるジャングルの危険地帯。

 残骸は見つけたものの人の気配はなく、とりあえず『アリエス』らしい器材のパーツを発見したところで軍隊が襲来。

 追いつ追われつのカーチェイスは地雷原へ突入。(ええ~!)

ワイルド・スピード/ジェットブレイク

(C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 命からがらの脱出行には成功したものの、国境線で待ち伏せしていた男に『アリエス』を奪われてしまう。

「お前はジェイコブ!?」(ナンだよ、敵方かよっ!)

ドミニクとジェイコブ

 ジェイコブの車が崖から飛び出したところで、強力磁石付の大型ドローンが飛来。車ごと吸いつけると何処かへ去ってしまう。

 このドローンを操縦していた人物こそ前作『ICE BREAK』の仇敵サイバー・テロリストのサイファー(シャーリーズ・セロン)。

サイファー

 ジェイコブは某国国家元首の息子にして私設軍隊を抱える野望家オットー(トゥエ・アーステッド・ラスムッセン)と、目下彼の支配下にあるサイファーと手を組んでいたのだ。

 さて、ドミニク・ファミリーは『アリエス』を利用して世界征服をたくらむオットーの野望を打ち砕くことができるのか?

 そして、仇敵サイファーとの決着は? はたまた実弟ジェイコブとの恩讐の果てに待ち受けるものは一体!!?

ワイルド・スピード/ジェットブレイク

(C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 さて、"破天荒なことが起きまくる"のがシリーズの特徴ですが、今回も地雷原を車でぶっ飛ばすという荒業をやってのけます。

「地雷を踏んでから爆発に巻き込まれないためには、時速何キロで走ればいい?」

・・って、発想からしてブッ飛んでいます。

 果ては、国境にある筈だった橋が実は人間しか渡れない吊り橋で、しかもそれさえ爆破されたのに、なおも突っ込んだり(笑)

←もはや"綱"しかない!?

 極めつけは、『アリエズ』で制御を乗っ取られた軍事衛星を破壊するため、ファミリーのローマンとテズがスーパーカーに乗ったまま宇宙に打ち上げられ、車で体当たりする作戦など。

 このローマン(タイリース・ギブソン)には"不死身伝説"なるモノがあり、どんな絶体絶命な危機を凌いでも「ホラ、傷一つ付いてない!」が決め言葉。

 今回は相棒のテズ(クリス・“リュダクリス”・ブリッジス)が「今回はお前の不死身に賭けるしかない!」と、こんな無茶をやらかす。

←ロケットエンジンの車で!

 いやぁもう突っ込みどころ満載なワケですが、何でネットのうるさ方は『竜とそばかすの姫』の些細な辻褄には突っ込むのに、こっちには突っ込まないのか不思議でなりません(大笑い)

 しかも、この二人が来ているのは宇宙服じゃなく潜水服ですよ、ホラ↓

ワイルド・スピード/ジェットブレイク

(C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 もう一つ・・"死んだはずの人間がまた出てくる"というのもワイ・スピの特徴。

 ドミニクの妻で最強の相棒であるレティ(ミシェル・ロドリゲス)自体、第4作の『MAX』で車ごと爆殺されたのに、第6作『EURO MISSION』で”実は命を取り留め記憶を失っていた”という設定で、いけしゃあしゃあと復活した経歴の持ち主(笑)

 で、今回復活するのは、第3作『TOKYO DRIFT』においてクラッシュした車の中で絶命したハン・ルー(サン・カン)。

ハン・ルー

 実は彼は第4作から第6作まで登場している"ファミリー"の常連なのですが、「第3作の話は第6作の後日談だった」というとんでもないウルトラCを繰り出して、辻褄を合せたのです。

 したがって第7作『SKY MISSION』、第8作『ICE BREAK』には登場しなかったのですが、今回の映画でカム・バック。

 『TOKYO DRIFT』の事故は、実はその後仇敵となるデッカード・ショー(ジェイソン・ステイサム)に仕組まれたもので、第7作『SKY MISSION』で"初めて"登場したミスター・ノーバディによって救出されていたのだという凄い後付け・・もはや何でもアリですな。

ちゃんと焼け死んでいくシーンがあったのですけれどもね(笑)

 で、生かされた理由と言うのが、全ての軍事衛星をハッキングして地上を攻撃させることができるデジタル兵器『アリエス』は二つのパーツに分けられており、二つを合せて起動するためのキーとなるのが開発に携わった科学者の娘エル(澤井杏奈)の生体認証なので、彼女をハンに守らせるために死を偽装したというもの。

エル(澤井杏奈)

 なんだ、ハンの命を狙ったデッカードもノーバディの掌の上だったのか。(出来すぎ:笑)

 まあ、そんな事よりも、東京でハンが食べていたのが亀田製菓の「柿の種」だったのが、僕にはウケましたけれど。

 ハンの復活に関しては、第8作『ICE BREAK』で"ファミリー"入りするデッカード・ショー(ジェイソン・ステイサム)とドミニクが握手をするシーンがあり、ハンを殺した仇敵なのに許せないと激怒したファンたちがSNS上で『ハンに正義を』というハンの復活を求める運動に発展しました。

 彼の復活は、そんなファンたちの熱い要望が一因となったのかもしれません。

ワイルド・スピード/ジェットブレイク

(C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 それから、映画序盤で出てきたドミニクの元カノとの間に生まれたリトルBって、気になりません?

 いやリトルB本人じゃなく、”元カノ”エレナ(エルサ・パタキー)の方。

エレナ

 だって、このシリーズでは第1作から幼馴染のレティ(ミシェル・ロドリゲス)とラブラブで後には結婚し、そもそもドミニクに運転技術を教えたのが彼女。

 ああそれなのにそれなのに「いつの間に他の女と子供作ってんだよ!」と、きっとレティなら言いたくなるでしょう(笑)

 実はこのエレナ・・第5作『MEGA MAX』から第8作まで4回も登場している。でも存在感が無い! ・・それには「理由」があったのです。

 順を追って見ていくと第5作『MEGA MAX』ではリオ警察の新人警察官として登場。夫を亡くした過去があり、前作『MAX』でレティを亡くした(と思い込んでいる)ドミニクと、なんかいい感じに。

 続く第6作『EURO MISSION』では早速波乱が。死んだはずのレティが生存しているらしいという情報を得てドミニクはレティを探索に出向く。はい、エレナは置いてけぼり。

 結果、記憶喪失状態だったレティを発見し、再び”ファミリー”に迎え入れることになったので、エレナは自ら身を引きDSS(アメリカ外交保安部)のホブス(ドウェイン・ジョンソン)の元で働くことになりました。

"都合のいい女"みたいな扱いで、ちょっと同情しちゃうなぁ・・。

ホブス

 そんな経過もあり、第7作『SKY MISSION』ではドミニクと共に闘うホブスの部下として再登場しますが、会話は極めてビジネスライク。まるで二人の過去など無かったような感じ。まあ、登場シーン自体少ないんですが。

 そして最後の第8作『ICE BREAK』ではドミニクの赤ん坊を抱いたエレナがいきなり登場・・しかも人質として。(ええええ~ いつの間に!?)

 脈絡としては全く納得は行かないけれど、ドミニク自身は"身に覚え"があったらしい・・すんなりその状況を受け入れる。

 どうやら第5作で”なんかいい感じ”になった時にやらかしていたようなのです。(そんなシーンは無かった気がするが。)

 しかしこのエレナ、悪のサイバー・テロリストサイファー(シャーリーズ・セロン)の手にかかってアッサリと殺されてしまう。

 うわぁ、なんて薄幸のキャラクター!!  ・・てゆーか、ポジションもブレブレ、ストーリー進行の都合に合せていいように扱われて来た人物なのですね。

ワイルド・スピード/ジェットブレイク

(C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 結局、ドミニクは殺されたエレナの子を引き取って今作の『リトルB』となりますが、この『B』とはブライアンの『B』・・『ICE BREAK』の大団円、恒例BBQの席で名付けられたファーストネームなのです。

 そう・・ブライアンと言えば、第1作『ワイルド・スピード』以来のドミニクの相棒、ブライアン・オコナ―(ポール・ウォーカー)の名前ですね。

 このブライアンを演じたポール・ウォーカーは、第7作『SKY MISSION』の撮影途中、不慮の交通事故に遭って亡くなりました。

 その後のシーンはCGを使ったり、彼に似た風貌の弟を代役にしたりして何とかクランク・アウト。

 作品のラストには「ポール・ウォーカーに捧ぐ」という献辞が添えられました。

 彼はこのシリーズにおいて、それほど重きをなしたキャラクターだったのです。

第2作『ワイルド・スピードX2』では、ドミニク抜きで単独主演している。

ポール・ウォーカー

 だから、エレナとの子が"ブライアン"と名付けられたのは、映画の関係者全員によるポール・ウォーカーへの想いがあったのだと思うのです。

 ポールをリスペクトするシーンは今作のラストにもありました。

 それはエンディング恒例のBBQシーン・・"ファミリー"が集った場面で席が一つだけ空いているのです。

「そこは誰が座るんだ」との問いに「あいつに決まっているだろう」とドミニク。

ワイルド・スピード/ジェットブレイク

(C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 そうそう、この作品でブライアン・オコナ―は死んだことになっていなくて、ドミニクがミスター・ノーバディの探索に出かけた時にリトルBを託されて守っているという設定でした。

 そんなブライアンの愛車は"青のスカイラインGTーR"。

 庭に車が入って来る音が聞こえ、全員がそちらを振りむくと、やって来たのは正に青のスカイラインGTーR・・。

 むろん、ブライアンの姿はスクリーンに登場しませんが、彼の到来を示唆して映画はエンディングとなります。

 う~ん、粋な計らいですよね!


/// end of the “cinemaアラカルト265「ワイルド・スピード/ジェットブレイク”///

 

(追伸)

岸波

 途中、シリーズ全体のシークエンスの話になったため、弟ジェイコブとの確執の行方には触れませんでしたが、もちろん彼らは恩讐を乗り越えて、最後には共に闘うことになります。

 だってこのシリーズのテーマは”ファミリーの物語”ですからね!

 もう一つ・・冒頭の回想シーンで幼き日のドミニクを演じている俳優ヴィンセント・シンクレアは、ヴィン・ディーゼルの実の息子です。

 ああ、やっぱり"ファミリーの物語"だねぇ。 ←いや、ソコは違っ!

 この『ワイルド・スピード』は、この後11作まで制作することが決まっており、そこでシリーズ完結となる予定です。

 まあ、俳優の年齢的なものもありますので、この激しいシリーズには、それで仕方がないのかと思います。

 なお、これも映画の恒例で、エンディング・クレジットの途中で画面が切り替わり、今作には登場しなかったデッカード・ショーの訓練場に(彼に殺された事になっている)ハンが訪れるというシーンが挿入されています。

 ということは、間違いなくこの二人は次回作で登場するということ。

 また、敵側に寝返ったりしないんだろうな。うむむむむ・・。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

デッカード・ショー(ジェイソン・ステイサム)in ICE BREAK

(C)2017 Universal Studios. All Rights Reserved.

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト266” coming soon!

 

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