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「AUTUMN」(Music Material)
by 岸波(葉羽)【配信2018.8.12】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 彼の余命は、あと5日ーーー。

 これはマット・ディモンが主演した「エリジウム」のキャッチコピー。

 前回に引き続き、カリスマ彰による「今年上半期TV録画映画ベストテン」の後編をお贈りします。

エリジウム

(C)ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、コロンビア映画(USA)、
QEDインターナショナル、メディア・ライツ・キャピタル

ということで、今回のラインナップは番外も含めて以下の6本。

「エリジウム」

「岸辺の旅」

「ドライビング Missデイジー」

「いとこ同志」

「トゥモロー・ワールド」

「胸騒ぎのシチリア」

 では早速…。

 

◆『エリジウム』(2015年 ニール・ブロムカンプ監督)

 掴みとれ、自らの運命を

 最近観たTV録画映画ではベストワンかな。

 地球は工場だらけで貧民のスラムと化して、富裕層は素晴らしい環境の宇宙ステーションに住んでいる。

 作業中に放射能を浴びた工員が高度な医療を求めて、宇宙ステーションに向かうというストーリー。

エリジウム

(C)ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、コロンビア映画(USA)、
QEDインターナショナル、メディア・ライツ・キャピタル

 工員役のマット・デイモンが適役だ。

◆映画.comの解説から引用

 「第9地区」のニール・ブロムカンプ監督がマット・デイモンを主演に迎え、富裕層と貧困層に二分された世界を舞台に描くSFサスペンスアクション。2154年、人類はスペースコロニー「エリジウム」に暮らす富裕層と、荒廃した地球に取り残された貧困層とに二分されていた。地球に住む労働者で、事故により余命5日と宣告されたマックスは、エリジウムにはどんな病気でも治すことができる特殊な装置があることを知り、厳しい移民法で出入りが制限されているエリジウムへ潜入を試みる。エリジウム政府高官役でジョディ・フォスターが共演。「第9地区」のシャルト・コプリーも出演。


◆『岸辺の旅』(2015年 黒沢清・監督)

 死んだ夫と旅をするーーー。
 それは言えなかった「さようなら」を伝える旅路。
 愛する人との永遠の別れを描く、究極のラブストーリー。

 アメリカ映画「ゴースト/ニューヨークの幻」のパクリというかこういう映画が多いなあ。

 浅野忠信の人を喰った素っ頓狂な幽霊が面白い。

岸辺の旅

(C)2015「岸辺の旅」製作委員会/COMME DES CINEMAS

 深津絵里は一応サマになっているし、小松政夫や柄本明の脇役がやはり上手い。

◆映画.comの解説から引用

 湯本香樹実による同名小説を黒沢清監督が映画化し、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞。深津絵里と浅野忠信が主役となる夫婦を演じた。3年前に夫の優介が失踪した妻の瑞希は、その喪失感を経て、ようやくピアノを人に教える仕事を再開した。ある日、突然帰ってきた優介は「俺、死んだよ」と瑞希に告げる。「一緒に来ないか、きれいな場所があるんだ」との優介の言葉に瑞希は2人で旅に出る。それは優介が失踪からの3年間にお世話になった人々を訪ねていく旅だった。旅の中でお互いの深い愛を改めて感じていく2人だったが、瑞希が優介に永遠の別れを伝える時は刻一刻と近づいていた。


◆『ドライビング Missデイジー』(1989年 ブルース・ベレスフォード監督)

 ブルーのセダンにふたつの人生を乗せて
 “夢”のように飛び去った25年…

 ユダヤ人の未亡人に仕える黒人運転手(最近セクハラで話題になったモーガン・フリーマン、写真左)の半生を通してみるアメリカ南部の1940年代、50年代、60年代。

ドライビング Missデイジー

 アカデミー賞作品賞、主演女優賞(ジェシカ・ダンディ、写真右)を受賞した名作だが、やはり退屈な映画ではあった。

 よほど心と時間に余裕がないと観ない映画だが、観てしまった!

 29年前から初老の男を演じていたフリーマンに感心しきり。

◆映画.comの解説から引用

 48年、夏。長年勤めた教職を退いた未亡人のデイジー(ジェシカ・タンディ)は、ある日運転中に危うく事故を起こしかけ、母の身を案じた息子のブーリー(ダン・エイクロイド)は、彼女の専用の運転手としてホーク(モーガン・フリーマン)という初老の黒人を雇う。しかし典型的なユダヤ人で、元教師のデイジーには、運転手なんて金持ちぶっているようで気性が許さなかった。どうしても乗車拒否を続けるデイジーは、黙々と職務に励む飄々としたホークの姿に根負けし、悪態をつきながらも車に乗ることになる。こうして始まったデイジーとホークの奇妙で不思議な関係は、1台の車の中で、やがて何物にも代えがたい友情の絆を生み出してゆく。そして25年の歳月の流れの中で、初めてホークはニュージャージー州外を旅し、またデイジーはキング牧師の晩餐会に出席したりした。いつしか頭がボケ始めたデイジーは施設で暮らすようになり、長年住み馴れた家も売ることになった。しかしデイジーとホークの友情は、変わることなく続くのだった。


◆『いとこ同志』(1959年 クロード・シャブロル監督)

 ヌーヴェル・ヴァーグを代表する青春映画の傑作!
 性格が正反対の2人の青年の姿をデカダンに描き出す。

 トリュフォーやゴダールの作品が有名だが、いわゆるフランス・ヌーヴェルバーグ(新しい波)映画の嚆矢とされる歴史的な作品。

 嚆矢なのに評価が低いのは、やはりちょっと古めかしい表現が垣間見られるためか。

いとこ同士

 地方からパリの大学に出てきたいとこを、不良大学生のいとこが社会教育するというよくある話。

◆映画.comの解説から引用

 田舎から受験のために上京した純情な青年と、都会育ちの青年を主人公に、恋愛をめぐって傷つきやすい青年期の心理を描いたドラマ。脚本・監督ともにフランス映画界の新進クロード・シャブロル。撮影は「恋人たち」のアンリ・ドカエ、音楽はポール・ミスラキが担当。出演は「殺意の瞬間(1956)」のジェラール・ブラン、新人ジャン・クロード・ブリアリ、映画初出演のジュリエット・メニエル、クロード・セルヴァル、ミシェル・メリッツ等。製作クロード・シャブロル。


◆『トゥモロー・ワールド』(2006年 アルフォンソ・キュアロン監督)

 2027年ーー子供が誕生しない未来。

 この映画もいわゆるディストピア(悲観的未来)ものだ。

 人類に子供が産まれなくなったらというストーリー。

 こういう映画がやはり多くなっているなあ。

トゥモロー・ワールド

 監督は「ゼロ・グラビティ」のキュアロン。

 プログレ・ロックのファンなら上の一場面は、ピンク・フロイドの「アニマルズ」のパロディなのがわかるだろう。

 この場面の前には、キング・クリムゾンの「宮殿」が流れていた。

◆映画.comの解説から引用

 英ミステリ界の女王P・D・ジェイムズのベストセラー「人類の子供たち」を「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」「天国の口、終りの楽園。」のアルフォンソ・キュアロン監督が映画化。人類に子供が生まれなくなった西暦2027年。何の目的もなく働いていた国家官僚のセオが、ある日突然、何者かによって拉致される。セオを拉致したのはセオの元妻ジュリアンが率いる反政府組織で、世界がひっくり返るような秘密を掴んでいた……。


◆番外『胸騒ぎのシチリア』(2015年 ルカ・グァダーニ監督)

 太陽が眩しすぎて、愛の行方が見えない

 シチリアにバカンスに来た中年女性歌手が偶然にも前の亭主にバッタリ会って、巻き起こる騒動。

 この映画も主演女優(ティルダ・スウィントン)のファンかよほど心と時間に余裕がないと見通すのは難しいB級映画だが、なんと見通してしまいました!

胸騒ぎのシチリア

(C)2015 FRENESY FILM COMPANY. ALL RIGHTS RESERVED

 全て「ディオール」を身に纏ったスウィントンは確かにエレガントの極みではありましたが。

◆映画.comの解説から引用

 「ミラノ、愛に生きる」のルカ・グァダニーノ監督が同作に続き、ティルダ・スウィントンとタッグを組んだ人間ドラマ。1968年製作のアラン・ドロン主演、ジャック・ドレー監督によるフランス映画「太陽が知っている」をリメイクした。世界的ロックスターのマリアンは、痛めた声帯を癒すため、年下の恋人のポールとシチリアのパンテッレリーア島で静かな時間を過ごしていた。しかし、マリアンの元彼でカリスマ音楽プロデューサーのハリーが、セクシーな娘ペンを連れて、マリアンのもとへ押しかけてくる。ハリーは、マリアンとの復縁を目論み、一方のペンはポールへの好奇心を募らせる。さらに、バカンスが台無しになったマリアンの身に思いもよらない事件が待ち受けていた。主人公マリアン役をスウィントンが演じ、レイフ・ファインズ、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」のダコタ・ジョンソン、「君と歩く世界」のマティアス・スーナールツが共演。

 

/// end of the “cinemaアラカルト210「エリジウム+5”///

 

(追伸)

岸波

 さて、今回のラインナップの中には、僕の観た映画が一本だけ入っておりました。それがテーマ作の「エリジウム」。

 マット・ディモンのはまり役というところは全面的に同意。

 社会の支配層・富裕層だけが住む、汚染されていない宇宙空間の巨大ステーションがまず美しい。

 遠心力によって居住者にとっての「重力」を生み出しているので、街や森はぐるぐる回る円盤の内側にあり、上を見ると逆さまに建っている街が見えます。

 また、素晴らしいのは、どんな病気でも直してしまうAI手術コンポーネントが存在すること。

 主人公が不法にステーションへ乗り込もうとするのも、これを求めてのことです。

 ということで、ストーリーがまず面白く、映像はイマジネーションを刺激し、マット・ディモンの演技もアツイのですから言うことなし。

 アメリカのSF映画も、お子ちゃまなヒーロー物やロボット大戦とかでなく、こういったシチュエーションSFを撮らせると結構スグレモノがあります。

 惜しむらくは、お子ちゃまモノばかり量産されること。

 もう少し何とかなりませんかね…。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

エリジウム

(C)ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、コロンビア映画(USA)、
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To be continued⇒  “cinemaアラカルト211” coming soon!

 

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