こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
池井戸潤作品 初の映画化!
さて、2018年上半期鑑賞映画総集編のラストです。
まずは「空飛ぶタイヤ」のキャッチコピーですが…そうなんですね、映画化作品はコレが初めて。
半沢直樹シリーズをはじめ多くの作品がテレビ・ドラマ化されているので、意外な気もしましたけれど…。
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空飛ぶタイヤ
(C)2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会
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今回は、3本。
「空飛ぶタイヤ」
「パシフィック・リム:アップライジング」
「ランペイジ巨獣大乱闘」
~以上の3作品です。では早速いきましょう。
◆『空飛ぶタイヤ』
福島イオンシネマ:6月15日(金)鑑賞
事故か、事件か。
原作は2006年に刊行された池井戸潤の同名社会派小説で直木賞の候補にも挙がった有名作品。
2009年には仲村トオの主演でWOWWOWの「連続ドラマW」でドラマ化され、ATP賞テレビグランプリ2009のグランプリも受賞。
今回は、主人公の赤松運送社長赤松徳郎に長瀬智也を起用し、ディーン・フジオカ、高橋一生、深田恭子ら主演級の俳優陣で脇を固め、満を持しての映画化です。
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空飛ぶタイヤ
(C)2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会
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赤松運送を経営する赤松徳郎(長瀬智也)は、自社のトラックが脱輪事故によって死者を出したことで、警察から整備不良の疑いをかけられ、会社が倒産の危機に瀕します。
しかし、整備過程を点検してみると、十分な注意を払って実行されていたことが分かり、事故を起こした車両自体に欠陥があったのではないかと考え始めます。
犠牲者の家族から、社会から、そして銀行から厳しい誹りを受けながら、従業員と家族を信じ、巨大車メーカーに対して孤独な闘いが始まります。
…はい、このストーリーは、2002年に実際に起きた三菱自動車製大型トラックの脱輪事故やリコール隠し事件をモチーフにしています。
赤松社長(長瀬智也)
僕は、池井戸潤の痛快な作風が大好きなので全作品を読破していますが、作品に共通するテーマとして、どんな苦境に陥ろうとも決してあきらめない主人公たちが、遂には大逆転で難局をひっくり返す痛快さがあると思います。
「倍返しだ!」はその典型でしょうか。
「空飛ぶタイヤ」もこの池井戸作品の鉄板パターンを踏まえており、どんどん追い込まれていく赤松運送の運命にハラハラドキドキしながらも、「最後は絶対に勝つ」というカタルシスが用意されているという確信があり、安心して手に汗握ったものです(笑)
言い換えれば、池井戸作品は20時40分には必ず印籠が出てくる(現代の)水戸黄門。絶対に期待を裏切らない。
ワンパターンと言われればチト辛いものがありますが、それだっていいんです。水戸黄門なんですから。(きっぱり)
ホープ自動車カスタマー戦略課長:沢田悠太(ディーン・フジオカ)
さて、映画の出来はどうだったかと言いますと… アレアレ、こんな進行だったっけ、この話??
長瀬智也とディーン・フジオカ、高橋一生と来れば、絶対に悪役のはずはない。最後の大見えを切っての倍返しは、三人のうちの誰か…ってゆーか、やはり主人公の赤松徳郎(長瀬智也)だろうと思って観ていたのですが、コレが大外れだったことに愕然。
リコール隠しの黒幕はメーカーの常務取締役狩野威(岸部一徳)なのですが、最後に彼をギャフンと言わせたのは、そこまで主人公をさんざん苦しめてきた新港北署の高幡刑事(寺脇康文)でした。
なんか一番の悪役が突然正義の味方に宗旨替えして、キメ台詞をかっさらっていったという流れに茫然。
これ…(原作の知識なく)初めて映画を見た人は、きっと同じ違和感を抱いたんじゃないでしょうか。
ホープ銀行調査役(左):井崎一亮(高橋一生)
主人公の赤松徳郎(長瀬智也)以下赤松運送のメンバーに至っては、巨悪のリコール隠しが摘発されたニュースをお昼のTVで知ってびっくり。「倍返しだ!」と大見えを切る場面もありません。完全に蚊帳の外。
この脚本はどうなのか? 全然すっきりしない。カタルシス・ゼロ。
小説で読んだ時には「ヤッター!」となったんだけどな…。
映画だと配役や脚本によって感情移入の仕方が変わって来るので、もうちょっと何とかしてほしい…と観客の誰かが言っておりました(笑)
◆『パシフィック・リム:アップライジング』
福島フォーラム:4月13日(金)鑑賞
戦いは〔新世代〕へ
2013年に公開された「パシフィック・リム」の続編。
太平洋の海底にある裂け目から突如出現した怪獣と人型の巨大兵器イェーガーの激闘が終結して10年、世界は平静さを取り戻していましたが、人類はその再来に備えて新世代のイェーガーを開発し、パイロットの訓練を行っていました。
そして… やはり… 怪獣が再び姿を現します(笑)
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パシフィック・リム:アップライジング
(C)Legendary Pictures/Universal Pictures.
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今回の主人公は、前作10年前の闘いで戦死し、人類の英雄となったスタッカーの息子ジェイク(ジョン・ボイエガ)。
ところがコイツ、破壊されたイェーガーの廃部品をかき集めて違法に転売するというアコギな商売に手を染めている。もう、オヤジの名声を汚すことこの上ない。
ある日、同じように廃部品を集めては小型のイェーガーを自作している少女アマーラ(ケイリー・スピーニー)に遭遇。女の子一人で自作するワケですから、その才能は推して知るべし。只者であるはずがなく、今回の主人公の一人だなと容易に想像が付きます(笑)
案の定、父と同じように10年前の英雄で、現在は環太平洋防衛軍(PPDC)の事務総長を務める義姉の森マコに説得され、スタッカーはイェーガー・パイロットの教官をすることになり、非凡な才能のアマーラは訓練生に。
アマーラとジェイク
一方、中国のシャオ産業は、元・PPDCの研究員ニュートンの元で無人の大型イェーガーの開発を進めており、現在の有人型イェーガーに換えてこれを導入するかどうかといういうPPDCの会議が開催される。
果たして、その会場を正体不明の黒いイェーガー(フューリー)が襲撃。ジェイクらが反撃するものの、事務総長の森マコは戦闘に巻き込まれて死亡してしまう。
こういう時、元・改造屋のアマーラの血が騒ぎ、破壊された黒いイェーガー(フューリー)の部品を調べてみると、何とこれが中国製。って、おいおい!
新田真剣佑も訓練生役で登場
しかも、人間二人が操縦するイェーガーのコックピットには、人間の代わりに怪獣の細胞がギッシリ。
おバカなPPCDの幹部らは、フューリーの襲撃に動転して、こともあろうに中国製の無人イェーガーの即時採用を決定してしまいます。あらららら・・。
そんな大混乱の中、本命である3体の巨大怪獣が出現。ジェイクとその仲間が操縦する3体のイェーガー、そしてアマーラたち訓練生のイェーガー4体も駆り出されて、富士山麓における最後の闘いに挑むのですが…。
新型イェーガー
今回の黒幕は、シャオ産業の研究員となり無人イェーガ―を開発したニュートン(チャーリー・デイ)。彼は10年前の闘いで、秘密を探るため怪獣の脳とリンクした事で逆に洗脳され、怪獣出現の手先となっていたのでした。
途中までは中国が事件の黒幕のように見えますが、実際はニュートンが独断で進めていたことで、シャオ産業の社長は、逆に無人イェーガーの暴走を止める役割を果たします。
この辺のストーリー進行を見ますと、中国を悪役にしてしまうと映画の巨大マーケットである中国でヒットしなくなる~~という計算が見え隠れ。同じ動機で、中国を悪役にするのを避けた映画が最近もあったような…。
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パシフィック・リム:アップライジング
(C)Legendary Pictures/Universal Pictures.
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ともあれ、3体の巨大怪獣と7体のイェーガーの戦闘シーンは、さすがアメリカ。手に汗握る大迫力で見ごたえ十分。
ここは、まんま「エヴァンゲリオン」なのですが、そこは許そう。
エヴァンゲリオン?
「正義は必ず勝つ」というアメリカ映画の黄金パターンも健在で、まあ、こういう映画の場合はいいんじゃないでしょうか。素直に。(深みは無いけれど)
それにしても・・・
イェーガーは「二人で乗り込まなくてはならない」という設定が、「エヴァンゲリオン」より工夫を加えたところで、「片方がやられた、さあ大変」というサスペンスを盛り上げるのですが、コクピットで二人そろって駆け足しないとイェーガーも駆け足しないというアナログ感覚がとても笑えます。
とてもハイテク兵器とは思えないあたりが僕は大好きです(笑)
◆『ランペイジ巨獣大乱闘』
福島イオンシネマ:5月19日(土)鑑賞
巨大化が、止まらない。
20年ほど前(1986年)アメリカでリリースされたアーケードゲーム「ランペイジ」をもとにドウェイン・ジョンソン(主演・製作総指揮)が映画化した作品。
映画の冒頭、宇宙空間でDNA操作の実験を行っていた最中、凶暴化したネズミが宇宙船を破壊し、降り注いだDNAサンプルが地上の動物に影響を与えて巨大化させます。
主人公である霊長類学者のデイビス(ドウェイン・ジョンソン)の親友であるアルビノ・ゴリラのジョージもその影響を受けた一体。ほかにはワニ(リジ―と呼ばれる)と狼(ラルフ)が。
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ランペイジ 巨獣大乱闘(アルビノ・ゴリラのジョージ)
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
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DNA操作実験を行っていたエナジー社の幹部、ワイデン姉弟は、巨額投資した実験成果が失われるのを恐れ、それら三体の巨獣を捕えようと民間軍事会社を派遣するものの失敗。
デイビス(ドウェイン・ジョンソン)
元・エナジー社の研究者であったケイト・コールドウェル博士(ナオミ・ハリス)はデイビス(ドウェイン・ジョンソン)と協力し、ジョージを救う解毒剤を入手するためエナジー社に向かいます。
一方、捕獲作戦に失敗したワイデン姉弟は、巨獣をおびき寄せるため特殊な電磁波をエナジー社から放ち、三体は社のあるシカゴへと終結してくる。
巨獣ラルフ(狼)
巨獣らを仕留めようと、遂には軍も出動するがことごとく返り討ちに。巨獣らはシカゴの街を破壊しまくるのでした。さて、デイビスとケイトの作戦は成功するのか?そしてジョージの運命やいかに!?
凶暴化した巨獣たちに人間の武器は全く通用しないので、元々デイビスの親友だったジョージが人間側に付いて他の二体と闘う進行は容易に予想がつきます。だってタイトルが巨獣大乱闘だし(笑)
この映画で強調されるのは、商業論理によるDNA操作でいともた易く人災が引き起こされてしまうこと。そして、生み出された「結果」に対していかに人間が無力なことか。
…この辺り、フクイチの原子力災害の悪夢が脳裏をよぎります。
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ランペイジ 巨獣大乱闘(ラスボスのリジー:大ワニ)
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
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そしてこの映画でも、本来は責任を取るべき企業幹部(ワイデン姉弟)がおバカな対応で、事態をどんどん悪い方に誘導してしまうこと。
上の「パシフィック・リム:アップライジング」でも触れましたが、アメリカン・パニック映画の鉄板ストーリーでございます(笑)
まあ、そんな難しい事を考えなくても、巨獣たちが闘うパニック・アクションそのものは中々に楽しめる。正義と悪が戦えば必ず正義が勝利する黄金パターンも健在。
さらに笑かしてくれるのが、ラスボスの大ワニ(リジー)との絶望的な闘いで倒されたアルビノ・ゴリラのジョージの死にデイビス(ドウェイン・ジョンソン)が号泣していると、その様子を片目を開けて覗うジョージのお茶目さ。
←(生きてんじゃねーか!)
実にアメリカらしいパニック・アクション映画でございました。
/// end of the “cinemaアラカルト208「空飛ぶタイヤ+2」”///
(追伸)
岸波
パタパタと2018年上半期映画の拾遺編を連続アップして参りましたが、読み返してみて気づいたのは、僕の論評にしては珍しく誉め言葉より苦言が多かったこと。
でも考えてみれば当たり前でしょうか、どこか足りないところを感じたので記事の即アップが無かったのですから。
そういう意味では、(上半期ではなく)7月に入ってから観に行った『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』も、多分記事にしないのでここに書いておきますが、期待したほどではありませんでした。
10年間続いた人気TV番組のケジメの映画化作品ということで、過去の登場人物を(回想で)再登場させたり、事故をスケール・アップしたりとサービス精神満載なのですが、僕的にはどうもいけない。何故なんだろうと考えていましたら、その疑問が心にストンと落ちる論評に出会いました。
それがココ⇒ kansou First song 「山Pの親だけが観ろ、映画『コード・ブルー』ネタバレなし感想」
この記事にもある通り、僕は一度もTVのコード・ブルーを観ていない視聴者。だから感情移入できなかったんですね。
一言でいえば「内輪の内輪による内輪のための映画」。(で、いいのかな?)
ついでに言うと、僕が「もったいない育て方をされている中堅俳優」と感じる一人がこの山P君。
敢えて名前を出しませんが、このままでは、どんな役を演じても同じキャラになってしまう先輩俳優と同じ運命を辿る気がする。
そのあたり、本人にも早く気付いてほしいと願います。
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !
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劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命
(C)2018「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」製作委員会
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be continued⇒ “cinemaアラカルト209” coming
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