こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
生きのびろ、地上で最もピュアな魂。
・・・このキャッチコピーを見るだけで、あの興奮がよみがえって来ます。
またまた、ケイコと見てまいりました・・・「アイランド」!
「アルマゲドン」や「パールハーバー」を世に送り出したマイケル・ベイ監督の新作。
しかも、主人公のリンカーンを演じるのは、「スターウォーズ エピソード1」で、若き日のオビ・ワン・ケノビを見事に演じきったユアン・マクレガー!
だけど、不安もありました。
このベイ監督は、「アルマゲドン」のラスト・シーンで、地球人類のために自ら犠牲となった掘削人ブルース・ウィリスの娘が、父親の死に目もくれず、恋人の生還に大喜びする姿を演じさせたのです。(うっうっ・・・)
そういえば「パールハーバー」も、日本兵を徹底的な悪役に描いた勧善懲悪映画だったし、今回の「アイランド」の臓器をとるために誕生させられたクローン人間という難しい設定を描ききれるのか?
さて、この映画の「肝」と言えば、主人公たちがクローン人間であったこと。
そういう事実は、普通ならば物語の重要な伏線として隠しておくところ。
ところがベイ監督は、予告編の中でこの重要な事実を暴露しているのです。
しかも、ポスターのキャッチ・コピーまでが・・・
“そこは、生命がオーダーメイドされる場所
自分でも知らない、自分がいる!”
←(もう、バレバレ!)
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クローン人間培養機 |
大気汚染から守られた完全管理の都市空間で暮らしている人々の夢は、いつの日か、地上で唯一汚染から免れた楽園“アイランド”に行くこと。
そのパスポートは、日々行われる抽選によってしか手にすることができないのです。
ある日、主人公のリンカーンが密かに想いを寄せるジョーダンが当選。
しかし、ひょんなことから管理区域以外への抜け道を見つけたリンカーンは、“アイランド”へ向かったはずの仲間たちが殺されている現場を目にします。
“アイランド”というのは、実は架空のユートピアで、彼らは、本体の人間に健康な臓器を提供する目的で誕生させられたクローン人間だったのです。
出産を控えた妊婦たちが必ず当選するのも出産の代理母であったため。
リンカーンは、出産と同時に薬殺され、臓器を採取されているクローンの母親を目撃します。(!)
それを見た彼は、ジョーダンを連れ、命がけの脱出を決意するのです。
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脱 出 |
この脱出劇と逃避行は大迫力です・・・まさに息もつかせぬサスペンスの連続。
なるほどベイ監督は、最初から、謎解きを中心にするようなケチなことを考えていなかったのです。
あの「マトリックス」シリーズでは、世界観の謎解きそのものがテーマでしたが、結局は、辻褄の合わない哲学的な結末になってしまいました。
ところが、この「アイランド」では、世界観を最初からさらけ出しておいて、その設定の中で主人公のクローンたちがリアルに悩み、行動する様が生き生きと描かれるのです。
クローン人間たちは、不要なトラブルを避けるためにセックスに関する知識を奪われています。
だから、男女の愛し合う気持ちや仲間同士の友情が、純粋な感情として描かれます。
←(それで、“生きのびろ、地上で最もピュアな魂。”!)
彼らの追っ手には、戦闘のプロ集団が雇われることになり、その逃避行は苛烈を極めます。
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ヘリ&カー・チェイス |
僕が、この映画にのめり込めたのは、ヒロインのジョーダンが魅力的であったためです。
この女優さん(スカーレット・ヨハンソン)は、1984年ニューヨーク生まれと言いますから、まだ若干20歳そこそこ。
それにも関らず、「のら猫の日記」でインディペンデント・スピリット賞主演女優賞候補、「モンタナの風に抱かれて」でシカゴ映画批評家協会最有望女優賞候補になるほどの演技派なのです。
「スパイダーマン2」では、メリー・ジェーンがちっとも魅力的でなかったので、主人公の入れ込む気持ちが分からず、ストーリーにちっとも感情移入できませんでした。
←(やはりヒロインの人選は大事ですね。)
これほど女優さんに感情移入したのは、「6デイズ/7ナイツ」のアン・ヘイチ以来かなぁ。
そういえば、彼女ら二人はタイプが似ているかも。
←(アン・ヘイチは、実生活でレズビアンですが・・・。)
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アン・ヘイチ
(in
「6デイズ/7ナイツ」)
(←つまらないという評価が多かった映画ですが、
僕は大いに楽しめました!) |
しかし、「アイランド」で最も存在感を示しているのは、主人公の二人ではありません。
もっとも渋い役柄は、プロの追っ手のリーダー役を演じた黒人(ジャイモン・フンスー)。
彼はアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたほどの演技派です。
ストーリーでは、どんな依頼でもやってのける有能な追跡者として登場しますが、やがて、彼自身も心の葛藤を抱いていたことが明らかにされます。
ところで、主人公の二人・・・せっかく逃げおうせたというのに、今度は仲間のクローンたちを助けようと、再び闘いを決意します。
しかし、たった二人の反乱ですから、収容所のハイテク装備の前にたちまちピンチに陥ります。
彼らを追い詰めたジャイモンは・・・最後の最後で思わぬ行動に出るというワケです。
←(この前後の彼の心の動きが、何とも胸を打ちます。)
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ジャイモン・フンスー
(←何か、日本人の俳優に似た人がいるような
気がするんですけど・・・。) |
映画が終わってみれば、最初の不安材料など、全てが雲散霧消!
あっという間に引き込まれ、怒涛の大団円まで一気に突っ走りました。
それというのも、演技派で固めたキャスト陣、スピード感のある演出とカメラワーク、「ブレード・ランナー」を彷彿させる重いテーマでありながら、「マトリックス」のように難解に逃げないで、真正面から“ピュアな愛”1本で押し通したベイ監督の豪腕・・・。
実に、大満足の1本でした。
/// end of the “cinemaアラカルト18「アイランド」” ///
(追伸)
岸波
つい最近(2017年)、amazonのプレミアム会員用無料ムービーにラインナップされていたので、もう一度見直してみました。
やはり悪くない。楽しめました。
まあ、実は実写版「攻殻機動隊」で主演していたスカーレット・ヨハンソンが気になり、それで観たというのが実情ですけれども(笑)
この女優さん、本当にキレイだと思いました。
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See
you again !
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ヒロインのジョーダン
(スカーレット・ヨハンソン)
(←魅力的な女優さんです。) |
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