こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
決して、屈するな。
決して、あきらめるな。
決して、戻るな。
トム・クルーズ最新作『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』をケイ子と共に観てまいりました。
2013年公開の『アウトロー』の続編ですが、前作は在米の英国人推理作家リー・チャイルドによるジェック・リーチャー・シリーズの第9作「One Shot」(2005)が原作。今回は第18作の「NEVER GO BACK」(2013)を原作としています。
映画としては三年間ぶりですが、かなり原作のストーリーを飛ばしていますので、シリーズ中、かつての恋人であるスーザン・ターナーが軍の少佐に昇進しているなど、かなり時を下った設定になっています。
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ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. |
で、前作の『アウトロー』ですが、僕が観た印象は若干アクションが加わった本格推理サスペンスといったもので、『ミッション・インポッシブル』などのトム・クルーズ像と比較するとどうしても地味な印象。
しかし、製作費6千万ドルに対し、全世界の興行収入が2億ドルとそこそこのヒット作となったことに気を良くしていたパラマウント映画社は、続編を作りたいとのトムの申し出に二つ返事でOKを出したとか。
(製作は主演のトム・クルーズ本人です。)
ただし、評論家の映画に対する評価は分かれるところとなっており、映画批評サイト”Rotten Tomatoes”での平均点は6.2/10と、必ずしも高くはありません。
支持をしているのは比較的高齢層で、やはり僕のように昔からトム・クルーズを観てきた根っからのファン層が成績を支えているようです。
それはさておき、三年ぶりの第二作、その出来栄えやいかに?
さて、そのストーリーですが、元・米軍憲兵隊捜査官で現在は流れ者のジャック・リーチャー(トム・クルーズ)は、バーで暴力事件に遭遇。
通報により駆けつけてきた警官は、ジャックを騒乱の主犯と断定して連行しようとします。
しかしここで、ジャックは不思議なことを言う。
「今から90秒以内に電話がかかってくる。そしてお前(警官)は刑務所へ行くことになる」と。(え~何それ?)
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ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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まあ、こういう進行なら絶対にそのとおりに実現するはず…。
果たして、間もなく店の電話が鳴り響き、その警官は”かつての悪行についてタレコミがあった”ということで、数台のパトカーに連行されてしまいます。
実は、そのネタを仕込んでいたのはジャックの方で、かつての恋人で現在は軍の司令官(少佐)であるスーザンにリークしてあったのでした。
首尾よく悪徳警官を捕えることに成功したジャックはスーザンにお礼の電話を入れます。ついでに昔話も。
「で、お礼に私を食事に誘ってくれるの?そして…口説く?」
とかなんとか甘い会話を。(あれぇ、ジャックってそういうキャラだっけ?)
しばらくしてスーザンの居る軍の部屋を訪ねたジャックでしたが、そこにいたのはスーザンではなく"後任”と称するモーガン大佐。
いったいスーザンはどこに? …といぶかるジャックに対し「スーザン・ターナー少佐はスパイ容疑で逮捕された」と。(ええ~!)
何かよからぬことが起こっていると察知したジャックは、かつての知己モーアクロフト大佐に調査を依頼します。
結果…スーザンは、アフガニスタンで殺害された二名の軍兵士の事件に関与した疑いをかけられたこと。そしてもう一つ、ジャックにサマンサという娘が存在しているという機密情報を伝えます。(何と!?)
むしろそちらの方に驚愕するジャック。宙をにらんで心当たりを探るものの、心当たりがあり過ぎて考えがまとまらない(笑)
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ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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真実を究明し、スーザンを救出しなければと考えるジャック。しかし、そんなジャックに見えざる敵の手が迫り、協力者のモーアクロフト大佐は殺害されます。
軍から出頭要請を受けるジャック。彼が軍司令部を訪れるとそこに居たのはまたしてもスーザンの後任であるモーガン大佐。
「君をモーガンクロフト大佐殺害容疑で逮捕する。」(ええええ~!)
その場で捉えられ、軍刑務所に連行されるジャック。しかし、その刑務官の中に、ジャックをしつこく尾行していた二人の男を発見。
何らかの陰謀により、自分とスーザンの命が狙われていると察知したジャックは、そこでひと暴れ。
収監されていたスーザンを救出すると、軍の車を奪って逃走。派手なカーチェイスと銃撃戦が繰り広げられます。
自分たちの命が狙われていることにモーガン大佐が絡んでいると睨んだジャックとスーザンは大佐の私邸に潜入。
パソコンからジャックに関する情報を逆に盗み出すと、その中には"娘”のサマンサに関する情報も加わっていました。
自分たちばかりでなくサマンサの身にも危険が及んでいると考えたジャックらはサマンサの家に向かいますが、そこは既に襲撃された後。(おーまいがっ!)
しかし、キッチンの戸袋に隠れていたサマンサを見つけ出し、今度は三人の逃避行が始まります…。
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ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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かつての恋人スーザン・ターナー少佐を演じたのは『アベンジャーズ』で秘密諜報機関のスパイ、マリア・ヒルを演じていた元モデルのカナダ人女優コビー・スマルダーズ。
元モデルだけあって、完璧な九頭身のプロポーションでショートカットが似合う素敵な女優さんです。
この映画では髪を伸ばしていますが、軍服を着た姿など、ちょっと萌え心をくすぐりますね。何というか、"男前”の女優さんなんです。
娘のサマンサの方はダニカ・ヤロシュという女優ですが、大役は初めて。まあ、当世の不良少女といった趣の役柄なのですけれども(笑)
で、肝心のトム・クルーズですが、はっきり言って、どうしてジャック・リーチャーという役にご執心なのか不思議な感じがします。
ジャックを演じる彼は、どうしても『老い』を感じさせるのです。
ストーリーにしても、『ミッション・インポッシブル』のようなド派手なシーンはありませんし、アクションの面で見劣りがしてしまう。
そしてジャックはほとんど笑わない…この辺の地味さも『老い』が目立ってしまう原因でしょうか。
我らのヒーロー、トム・クルーズも1962年生まれと言いますから今年で54歳。ワイヤー・アクションなどもしんどい年齢になって来たのでしょう。
年齢を重ねてからのアクション俳優はどのように歩めばいいのか…答えのない問題ですが、アクション少なめのアクション映画という劣化パターンは避けるべきではなかったのか? う~むぅ…。
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スーザン・ターナー少佐(コビー・スマルダーズ)
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そもそも、トム・クルーズが第一作『アウトロー』の製作に入ろうとした時、その役柄に対して賛否両論が巻き起こっています。
ジャック・リーチャーはリー・チャイルドの原作で2メートル近い身長と100キロ以上の巨躯を持つ陰のある男と設定されています。
一方、トム・クルーズは小柄な俳優として知られ、真っ白な歯を見せて笑う笑顔がチャームポイントな明るいイメージ。
映画化してキャスティングするならラッセル・クロウという希望も持っていたとされ、トム・クルーズがジャック役と聞いた時にはさぞ驚いたでしょう。
でも結局、「私が作ったキャラクターを演じるのに、史上最大の映画スターを断る理由はないね」と承諾したそうな。
さすが大人の対応ですね。(パチパチパチ!)
(クルーズ自身も「もしリー・チャイルドがOKしなければ役を引き受けなかった」と言っています。)
ただ、二作目までの結果を見ると、むしろジャック・リーチャーをトム・クルーズ色に染めるという選択肢もあったかと思うのですが、皆さんはどう考えますか?
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ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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ジャックら三人を追い詰める、その名もハンターという刺客をパトリック・ヒューシンガーという俳優さんが演じています。
これがなかなかのはまり役。
残忍でしつこくて実にタフ。素顔の写真を見るとなかなかのイケメンなため、うまく役作りをした演技派ということなのでしょう。
これまでに重要な作品への出演キャリアは無いようなので、今後、別の形でブレイクしてくるかもしれません。
追うハンターの魔の手から逃避行を繰り返すジャックらですが、不良少女のサマンサは「自分も戦える」とばかりにケンカ殺法を披露。
いやいや、そんなんじゃゼッテー無理だろ! …と観客ばかりかジャックも思ったらしく、「それなら一つだけ教える」と。
それは、後ろから羽交い絞めされた時に、合気道の要領で相手の腕の逆を取りスルリと身をかわす技。
やってみるけれども、実に筋が悪い。
積極的に仕掛けるとむしろ藪蛇の結果になることもあるので、「それは他にどうしようもない時にな」と、念を押すのを忘れない。
うん、まさかこの何気ないやり取りが、クライマックスで重要な意味を持つようになる伏線とは、僕もまだ気づいてはいませんでした(笑)
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ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
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反撃に転じたジャックたちは、軍の中に将軍を黒幕とする麻薬密売組織があることを突き止めます。
アフガニスタンで殺害された二名の軍兵士は、その事実を告発しようとしたため組織に消されたのです。
敵の本拠に乗り込み、兵站物資に隠された麻薬をあばくジャック。しかし…一人部屋に残したサマンサからSOSが。
ハンターが隠れ家を探し出し、サマンサの階下まで迫って来たのです。急いで駆けつけるジャックとスーザン。
さて、二人はハンターを撃退し、無事サマンサを救出することができるのか?
はたまた『親子関係』の真実やいかに?
終盤は、目が離せませんよ。まばたき禁止!!
/// end of the “cinemaアラカルト182 「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」”///
(追伸)
岸波
事件後、サマンサに連れられてとあるレストランに行くシーンがあります。
ここのやり取りは秀逸。
「一度寝た女の顔は憶えてるの?」
「もちろんさ。絶対に忘れない。」
「じゃあ、貴方は私のパパじゃないわ…だって……」
~全部は書きませんが、この後、グッときます。泣けます。
ここからラストシーンまでの流れは、とても素晴らしい。まるでフィリップ・マーロウの探偵小説のように、粋な言葉とストーリーが待ち受けているのです。
あれ? 映画のデキをけなそうと思ったのに結局ホメてる?
原作者のリー・チャイルドもは、トム・クルーズが演じたジャックを見て…
「クルーズにはリーチャーを印象的にする才能がある」
「原作のリーチャーの体格に比べるとクルーズは小柄だが、原作での体格は止められない強さのメタファーであり、それはクルーズが彼自身の方法で描いた」
「別の俳優が100%体格が合っていても、リーチャーとしては90%だ。トムの場合は体格が90%でもリーチャーとしては100%だ」
~と絶賛したそうです。
あれあれ?? …なんか、トム・クルーズがジャック・リーチャーでいいような気もしてきたなぁ…(笑)
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See
you again !
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