こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
狙え。
短すぎて一瞬何だか分からないかもしれませんが、これが実写版「ルパン三世」のキャッチコピー。
今回もまた封切り日に、我らが小栗旬演じる「ルパン三世」をイオン・シネマでケイコと観てまいりました。
上映開始早々驚いたのは、あの「映画泥棒」のショートCMがルパンに乗っ取られていたこと。
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ルパン三世
(C)2014 モンキー・パンチ/「ルパン三世」製作委員会
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あまり素晴らしいデキなので、この映画の上映期間だけというのは誠にもったいない。
逆に言えば、このルパン・ファミリーによる「映画泥棒」はこの期間に「ルパン三世」を観に行かなければ見ることができない。
う~ん皆さん、これを観るためだけでも映画館に足を運ばれては?(笑)
モンキー・パンチの描いた漫画「ルパン三世」については、もはや説明の必要もありますまい。
これまでテレビアニメで大ヒットし、パチンコのSR台でもシリーズ化されており、アニメ映画ではご存じ宮崎駿監督が演出した「カリオストロの城」をはじめ7作が制作されています。
(※昨年末公開された特別編「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」を加えれば全8作。)
そして今回、超豪華キャストによって『実写版』が作られましたが、実はコレ実写版『第二作』!
1974年~僕が二十歳の時に、目黒祐樹が主演した「ルパン三世 念力珍作戦」が制作されています。
なに?信じられない!? では証拠を一つ…
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「ルパン三世 念力珍作戦」
(1974年) |
次元大介は田中邦衛、峰不二子は江崎英子、銭形警部を伊東四朗がそれぞれ演じておりまして石川五エ門は登場しませんでした。
しかしあまり記憶にない。待てよ…この当時は二本くらい併映するのが普通だったはず。
~ということで調べてみると、同時上映は『ノストラダムスの大予言』。
をを~見たみた!! (でもやっぱり「ルパン」は記憶にない…。)
今回の「ルパン三世」は、ルパン=小栗旬、次元大介=玉山鉄二、前回登場しなかった石川五右衛門には綾野剛、峰不二子=黒木メイサ、銭型警部(とっつぁん)=浅野忠信という錚々たる布陣。
おまけに原作のモンキー・パンチまで密かに登場するオリジナル・ストーリー。
制作には4年以上の歳月がかけられ、タイ・香港・フィリピン・シンガポールなど海外ロケもふんだんに取り入れた超・豪華版でございます。
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ルパン三世
(C)2014 モンキー・パンチ/「ルパン三世」製作委員会
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最初のシーンはシンガポール。
ルパンやマイケル・リー、峰不二子のチームなど国際的な大泥棒たちがシンガポールの現代美術館から、古代オリンピックの「最初の金メダル」というお宝を争奪するところからスタートします。
実はコレ、彼らが属する国際的盗賊ネットワーク「ザ・ワークス」のエキシビションマッチ。
ネットワークのドンで、高齢になったドーソンが、見事お宝を仕留めたメンバーを後継者にするため企画したもの。
峰不二子チームの鼻先を掠めてお宝をゲットしたルパンでしたが、卑怯な手段でマイケル・リーに横取りされてしまいます。
ところが、ゲームの成果発表・後継者指名のパーティで「金メダル」を掲げたのは何と峰不二子。どういうこと!?
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ルパン三世
(C)2014 モンキー・パンチ/「ルパン三世」製作委員会
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一方、「ザ・ワークス」のメンバーが集結していることを察知したインターポールの銭型警部は、パーティ会場のドーソン邸を密かに包囲。
ところがそこへ大型ランドクルーザーが乱入。
警官隊と派手な銃撃戦(ロケット砲まで!)を繰り広げた謎の侵入者たちは屋敷内まで踏み込んでボスのドーソンを射殺。
マイケル・リーは彼らと合流し、アントニウスがクレオパトラに贈ったというジュエリー「クリムゾン・ハート」を奪って逃走するのです。
陰で糸を引いていたのは、アジア裏社会のボス、プラムック。
ルパンは次元や五右衛門らのメンバーを呼び集め、プラムックと裏切り者マイケル・リーへの復讐を誓うのでした。
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ルパン三世
(C)2014 モンキー・パンチ/「ルパン三世」製作委員会
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…というストーリーなのですが、見終わった後、いくつか納得のいかない点が。
主要キャストは、それぞれ演技派で実力のある俳優さんで、演技もアクションも申し分ないのですけれど、石川五右衛門…。
そう、僕が大いに買っている若手の成長株綾野剛クンだけは、原作のイメージと違和感があるなぁ…。
第一目が小さい。面長でなく小顔だし。
小栗旬君など外のメンバーが、とても原作イメージに近いだけに残念。
「またつまらぬものを切ってしまった」のキメ台詞さえ、下手なモノマネ芸人が「オレは村田だー」とマネした相手の名前を言うみたいで痛々しい。
本人は自ら五ェ門役をスタッフに志願し、役作りのため10キロ増量するなど努力したそうですが「顔」が違います。
彼のことは大好きなだけに、このミスマッチは重ね重ね残念。
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ルパン三世
(C)2014 モンキー・パンチ/「ルパン三世」製作委員会
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もう一つはBGM。
各シーンにマッチしたいい曲だけれども全般的に曲調が渋すぎる。
確かに「ルパン」に似合わずシリアスなシーンが多いので難しかったろうと。
ルパンはどんな苦境に陥っても「ひゃっほ~い」と痛快に乗り越える明るいキャラが持ち味なので、「渋さ」いらない。
テーマソングは布袋寅泰さんが制作したそうですが、これもあまり記憶に残らない。
むしろ誰もが聴きなれたアニメ版のテーマをそのまま使えばよかったのに~と言ったのがケイコ。うむぅ・・確かに。
これも調べてみると、当初は大野雄二氏が作ったアニメ版のメインテーマ「ルパン三世のテーマ」を使用する予定だったそうですが、大野氏が多忙で断念したそうです。
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ルパン三世
(C)2014 モンキー・パンチ/「ルパン三世」製作委員会
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そうそう…もっとも不本意なのは、映画が暗すぎるということ。
(※そういう意味ではBGMの失敗ではない。)
ドーソン家襲撃事件にしても、「ライバルを出し抜く」のでなく「殺害」するというのは、ルパンでは考えられない設定。
ルパンの祖父ルパン一世とも親交があったというドーソンが殺されるという事件や裏切りが全編に影を落としてしまい、まるでギャングの復讐劇のようだ。
(※宮崎駿の「カリオストロの城」と対極にあると言えば分かり易いか。)
この「ルパン」を初めて演出した北村龍平監督は、ハリウッドを拠点にしている人物で、『VERSUS』という作品で世に知られるようになった人。
Wikiによれば「ハンドヘルド撮影(手持ちカメラ)を極端に嫌い、得意とするアクション・シーンではフィックス撮影、ドーリー撮影を多用する」とあり、確かに第三者から見る動きの少ない視点で撮影されています。
端正な映像ではあるけれど動きが少ない~という印象でしょうか。
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ルパンと銭型警部
(C)2014 モンキー・パンチ/「ルパン三世」製作委員会
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当初、脚本が完成した時点で確認した原作者のモンキー・パンチさんから「ルパンらしい"明るさ"が足りない」「もっと痛快に作って欲しい」という指摘があったそうです。
このため大幅な手直しも行われたということですが、「完成版」をみてもクライ話という印象がぬぐえなかったので、最初はどんだけクライ話だったことか。
やはり、復讐や怨念、裏切りといったハードボイルドは「ルパン」には無用だったのではないかな?
アクション俳優業を廃業すると言ったジャッキー・チェンあたりに作ってもらえば、もっと別の…我々の見たい「実写版ルパン三世」になっていたかも。
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ルパン三世
(C)2014 モンキー・パンチ/「ルパン三世」製作委員会
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ちょっと残念なルパンだったね。旬ちゃん頑張ってたのに。
でも、ちょっとお得感あったよ。
どの辺が?
最初の『映画泥棒』のとこ。
本編じゃないのかよっ!?
/// end of the “cinemaアラカルト157「ルパン三世」”///
(追伸)
岸波
事件のカギを握るルパンのライバル泥棒マイケル・リーには、台湾のアイドルグループ「F4」のジェリー・イェンが起用されました。
また、クライマックスの敵アジトへの突入シーンには、タイ王国軍とタイ王国国家警察庁からも多数のエキストラ出演がありました。
まさに国際的なプロジェクトだったことが伺えますね。
それと・・・
旬君の奥さんの山田優さんも旅客機のキャビン・アテンダント役でチョイ出演しています。お見逃しなく!!
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See
you again !
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峰不二子の入浴シーン♪
(C)2014 モンキー・パンチ/「ルパン三世」製作委員会
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