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「KIND」(Music Material)

by 岸波(葉羽)【配信2014.11.2

 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 偽りの伝説か、真の英雄か。

 映画「ヘラクレス」をケイコと観てまいりました。

 スティーブ・ムーアのグラフィックノベルを、「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」や「ラッシュアワー」のブレット・ラトナー監督が演出した戦記絵巻。

 主演は、「G.I.ジョー バック2リベンジ」にも出演した無敵のプロレスラー、ドウェイン・ジョンソンでございます。

ヘラクレス

(C)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 さて、12の難行などで知られるヘラクレス伝説は偽りの伝説か、はたまた真の英雄であったのか・・・今こそ明らかに。

 あれ? 

 スチール写真なんか見ると、怪物もいるけど、ふつーに兵隊として戦ってるみたい?

 そうそう・・・その謎こそ、この映画の核心なのでございます。ふっふっふ。

 さて、その真実とは?

 

 実は、この「ヘラクレス」については全く期待をしていなかったのです。

 というのも「るろうに剣心」以下話題作をすべてコンプリートしてしまい、せっかく時間が取れたのに、あとはコレくらいしかやっていなかったためです。

 何故、期待をしなかったか?

 同じギリシャ世界の話でも「トロイ」のように人間中心の話ではなく、神と人間の間に生まれた天下無双の英雄ヘラクレスが“12の難行”をクリアするファンタジーだと思っていたからです。

 そう・・・昔の映画なら「アルゴ探検隊の大冒険」のような。

 ところがっ! 

 実は内容は全く違うのです。

ヘラクレス

(C)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 もちろん、ネメアの巨大獅子やアマゾネス、地獄の番犬ケルベロス退治など12の難行はサワリのエピソードには出てきますが、それは伝説の回想シーンとして。

 そもそも今回のヘラクレスは、“チームで怪物退治をした”ということになっている~これにまず驚き。

 そして、このヘラクレス・チームには「伝説の語り部役」(いわゆるPR担当)も加わっており、いかに自分たちが強いかアピールして、金で戦闘を請け負う傭兵部隊なのです。(!)

 このチームというのが中々のくせ者揃い。

 槍使いの預言者アムピアラオス、弓使いの女戦士アタランテ、手裏剣使いの軍師アウトリュコス、言葉を発しない剣士テュデウスにヘラクレスの甥で語り部のイオラオス。

 得意技や武器が千差万別。敵の状況に応じて軍師が縦横無尽の戦略を立案。

 う~ん・・こりゃ、最初に考えてたのと全然違う映画だぞ。

ヘラクレス

(C)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 こういう勘違いをさせたのは、事前にリリースされた各映画紹介サイト。

 例えば、かの有名な映画.comでの解説はこう。

 ギリシャ神話の英雄ヘラクレスを描いたスティーブ・ムーアのグラフィックノベルを、「ワイルド・スピード」シリーズや「G.I.ジョー バック2リベンジ」などで活躍するドウェイン・ジョンソン主演で映画化したアクション大作。

 監督は「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」「ラッシュアワー」のブレット・ラトナー。

 全能の神ゼウスと人間アルクメネの間に生まれたヘラクレスが、自身の出自や犯した罪にさいなまれ、救いを求めて旅に出る姿や、不死身の獅子や地獄の番犬ケルベロスといった魔物たちとの戦いを通し、いかにして英雄となっていったのかを、迫力のアクション満載に描き出す。

(※映画.comの解説より引用)

 ほーらね、この解説読んだら、僕のように『見る価値なし!』って即断されるのがオチではありませんか。

 そもそもここで書いてる魔物たちとの戦い(12の難行)は、映画の導入部で語り部が言う伝説を映像化しただけのショート・ストーリー。

 そこから“チーム・ヘラクレス”の本編がスタートするのですもの。

 これほどの齟齬はいかなる理由か?

 制作側が本当のストーリーを明らかにしていなかったか、知っていて敢えて隠したか。

 いずれにしても、この見当違いな「解説」で、相当数の観客を失ったのではと心配でなりません。

 だってこの映画、本当に面白いんですから。うむむむむ・・。

ヘラクレス

(C)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 で、実際のストーリーですが、人間である戦士ヘラクレスは「ある事件」により自分の妻や子を殺した極悪人として国を追われ、流れ者の傭兵として各地を転戦。

 そうした中で、命を救った、あるいは敵であった者たちと意気投合してチームを作ります。

 ある日、彼らをトラキアの王女が訪れ、国王である自分の父親と反乱軍との戦いに力を貸してほしいと懇願されるのです。

 「体重と同じ重さの金塊」という巨額の報酬に目がくらみ、一も二もなく誘いに応じ、反乱軍を撃破していくチーム・ヘラクレスでしたが、この依頼の裏には恐ろしい陰謀が仕組まれていたのです。

 ・・・と、まあ、この「陰謀」が表面化してからが、本当のチーム・ヘラクレスの戦い。

 彼らは、圧倒的な戦力差の中、見事、正義を実現することができるのか?

 そしてまた、ヘラクレスを流浪の身に追い込んだ最初の「事件」の真相とは?

ヘラクレス

(C)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 このヘラクレスを演じたドウェイン・ジョンソンは、ザ・ロックのリングネームで知られたアメリカの元プロレスラー。

 2002年のレッスルマニアX8で行われたハルク・ホーガンとの「ICON vs ICON」対決は、歴史的な名勝負とされています。

 どこかで見た顔だと思っていましたら、「ハムナプトラ2」でリックとエヴリンの敵役スコーピオン・キングを演じていた俳優さんでした。

 スコーピオン・キング以降は作品に恵まれず、B級映画に出演していましたが、ようやく今回の「ヘラクレス」で頭角を現してきた感があります。

 そういえば、あのシュワちゃんも筋肉モリモリの神話の英雄「コナン」を演じてから、どんどんビッグになって行ったっけ。

 果たして、ドウェイン・ジョンソンもこの映画を契機にビッグスターへの道を歩むことになるのか?

 スーパー・アクションスターが不在のこの時期、彼の動向は要チェックですね。

ヘラクレス

(C)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 また、「ヘラクレスの12の難行」についてですが、ギリシャ神話のゼウスと言えば、手当たり次第の女好きとして有名。

 ペルセウスの孫娘に当たるアルクメネを見初めたゼウスが生ませたのが、英雄ヘラクレス。

 それを勘弁できないのが、ゼウスの正妻であるヘラ。

 ヘラはヘラクレスを錯乱状態にさせ、ヘラクレスの子供たちを自分で惨殺するよう仕向けます。

 その策略にはまったヘラクレスは、自分の罪を償うにはどうすればいいかと神であるヘラに問い、12の難行を課せられることになるのです。

 そう・・・ヘラとしては、ヘラクレスが怪物たちとの戦いで命を落とすことを狙ったのは言うまでもありません。

ヘラクレス

(C)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 この「難行」のエピソードが序盤の語り部の回想シーンで出てくることは最初に書きましたが、実は、エンディングのロール・バックで再度登場するのです。

 ここのシーンこそ必見!(映画本編は終わってますけれど・・。)

 12の難行は、ただの「お話」ではなく、本当に戦っていたのです(!?)

 でも、そこに見事なオチがある。

 いえいえ大丈夫。決して脱力ネタではありません。

 ここんとこ大事ですから、決してお見逃しないよう。(ふっふっふ・・)

ヘラクレス

(C)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

この映画、拾いモノだったね、ケイコ?

面白かったし、かなりお得な映画だったね。

やはり期待しなかった分だけ、お得感も大きいか・・。

そこじゃなく、エンディングの種明かしのとこ。

そっちかよっ!

 

/// end of the “cinemaアラカルト158「ヘラクレス」”///

 

(追伸)

岸波

 それにしても、今回のヘラクレスほど、「豪快なアクション」とか「12の難行」とか的外れな解説が多いのはどうした訳でしょうか?

 実際問題、ほとんどの戦いは軍と軍の戦いなワケで、いかに精鋭とはいえチーム・ヘラクレスだけで戦況を左右できるはずもなく、部分的にクローズアップされる程度。

 ヘラクレス伝説を旨い事利用して、金稼ぎをやっていたメンバーが、大きな陰謀に気づいて、勝てるはずのない戦いに挑むというところが本来の見どころです。

 この「勝てるはずのない戦い」をどうひっくり返すか?

 まさに“ひっくり返す”のですけれどね・・・あ!! 言っちゃった!?

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

ヘラクレス

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト159” coming soon!

 

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