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「行楽日和」(TAM Music Factory)

by 岸波(葉羽)【配信2014.5.2

 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 世紀のSF(すごい風呂)超大作。

 お待ちかね、阿部寛の「テルマエ・ロマエⅡ」をケイコと共に観てまいりました。

 2012年4月28日に公開された前作は、興行収入59億4000万円のメガ・ヒットを飛ばし、主演の阿部寛は日本アカデミー賞の主演男優賞を獲得するなど話題満載。

 撮影の現場となったイタリアでは、ローマをはじめ全土でも50館以上で封切られ、「おくりびと」の40館を抜いて過去最大規模の興行。

 今回はその期待の続編でございます。

テルマエ・ロマエⅡ

(C)2014「テルマエ・ロマエll」製作委員会

 お風呂でタイムスリップしてしまうという不思議な“体質”を持った帝政ローマ時代の“お風呂専門”建築技師のルシウス(阿部寛)は、現代日本の温泉や銭湯にタイムスリップして、そこに住む“平たい顔族”の先進的なお風呂技術に感動。

 タイムスリップでローマと現代日本を行き来し、見聞してきたお風呂をローマに再現して時代の寵児となり、遂には皇帝ハドリアヌスお抱えの浴場設計技師に出世します。

 前作のラストでは、互いに惹かれ合った現代日本の漫画家志望の山越真実(上戸彩)と時代を隔てて別れ別れになるものの、またもやタイムスリップしてきたルシウスが出現して終幕。

 さて、今回はどのようなストーリーが待ち受けているのでしょうか?

 

 今回、ルシウスに与えられたミッションは、ローマのコロッセオで命がけで格闘する戦闘奴隷グラディエイターを癒すための入浴施設。

 皇帝ハドリアヌス(市村正親)は、争っていた国々に一部領土を割譲するなど融和政策を進めていたのですが、あくまでも武力による世界征服をあきらめない元老院と対立。

 一方、(元老院が後ろで糸を引いている)グラディエイターの公開殺し合いショーが市民の歓心を買う中で、強権による禁止まで踏み切れないハドリアヌス帝は、せめてもの配慮として、傷ついたグラディエイターたちの療養施設づくりをルシウスに命じたのでした。

テルマエ・ロマエⅡ

(C)2014「テルマエ・ロマエll」製作委員会

 そんなルシウスがタイムスリップしてきた場所は、力士たちが入浴している温泉施設。

 ここで、阿部寛が撮影のために取り組んできた肉体改造の成果が初めて披露されます。

 …ってか、凄いよこの筋肉!

 アメリカでも、ロバート・デ・ニーロが「レイジング・ブル」のために27キロ増量したり、クリスチャン・ベールが「マシニスト」で約28キロ減量して撮影に臨んだりしていますが、“筋肉をつける”というのは並大抵の事ではないはず。

 でも確かになぁ…この映画では全裸で歩き回るシーンが多いからね(笑)

 (閑話休題)

 ルシウスは、力士らに勧められたマッサージ・チェアに掛けて、その快適さにビックリ。

 早速それを手本にして、奴隷による「人力マッサージ・チェア」を考案したのは、ちょっとやり過ぎの感も。

テルマエ・ロマエⅡ

(C)2014「テルマエ・ロマエll」製作委員会

 その後も、子供たちのための温泉スライダーを造ったり、極寒の辺境で異民族討伐に明け暮れる次期皇帝候補ケイオニウス(北村一輝)のために樽風呂を造ったりと大活躍。

 あ、そうそう…ルシウスが現代日本にタイムスリップするたびに、恋人の山越真実(上戸彩)と絡むのは“お約束”ってことで。

 ところがローマに戻ると、そこに居るはずのないケイオニウス(偽物)が現れ、コロッセオで武闘派路線バリバリの大演説を打っています。

 もちろんこれは、ハドリアヌス帝の平和路線をよしとしない元老院が仕立てたたものであることはご高察の通り。

 彼は偽物だと糾弾するルシウスと真実でしたが、真美が携えていた現代の学術書「ローマ帝国の繁栄と滅亡」を見咎められ、“人心を惑わす魔女”として逆に投獄されてしまいます。あらららら…。

 窮地に立ったルシウスの真美の運命やいかに?

 そして、二人の愛の行方は?!

ケイオニウス(北村一輝)

(C)2014「テルマエ・ロマエll」製作委員会

 現代日本と帝政ローマを行ったり来たりで名を上げていくパターンは前作で十分に笑わせて貰いましたので、今回は何か別の骨太ストーリーが必要なところ。

 そこで持ってきたのが、平和路線のハドリアヌス帝と強権路線の元老院(そのシンボルとなるのが偽ケイオニウス)の暗闘というところでしょう。

 そしてもう一つは、女たらしでタカビーなケイオニウスの真実の姿が明らかにされること。

 原作漫画でも、そのエピソードには泣かされましたけれども、本物と偽物を登場させることによって、一層効果的に演出されていると感じました。

 まあ、一作目では実に嫌なヤツだったケイオニウス(北村一輝)ですが、その好感度が急上昇することは間違いありません。(うむっ)

ケイオニウス(北村一輝)

(C)2014「テルマエ・ロマエll」製作委員会

 今回、もう一つの「裏ストーリー」と呼べるのが、ルシウスがタイムスリップする際にお約束のように現れて主題歌「誰も寝てはならぬ」を朗々と歌い上げるラッセル・ワトソンの「家族事情」(笑)

 あ、そうそう…「誰も寝てはならぬ」は、プッチーニの歌劇「トゥーランドット」内で歌われるアリア。

 ま、日本では、荒川静香さんのレイバック・イナバウアーと共に有名なアレでございますね。

 で、ラッセル・ワトソンの方は、ルシウスのタイムスリップが始まると、何をさておき立ち上がって歌い始める(奥さんが歌う場合もある)のですが、夫婦仲を悪くした事情でもあるらしく、この太っちょの奥さん…年端もゆかぬ男の子を引き連れて旦那の元を去ってしまうのです。

 さあ、この家族の運命や如何に!? …まいっか、そんなことは(笑)

 このテルマエ・ロマエが改めて認識させてくれるのは、日本の温泉文化の豊かさですね。

 今回も、草津温泉で熱過ぎる湯を冷ますために長い距離を渡した木の樋が並べられた風景が映されますが、これぞまさしく温泉情緒。温泉街の美しい風景を形作っていると感じました。

 そして“湯揉み”。

 温泉の中居さんたちが大きな木のヘラ(でいいのかな?)を用いて、お湯をかき混ぜるワケですが、これも“ショー”として成立しているところが凄い。

 かき混ぜて冷ますという“作業”にとどめず“見世物”とし、温泉情緒の一つに昇華させる日本人の叡智には改めて脱帽です。

湯揉み

(草津温泉)

 今回のⅡの撮影は、ブルガリアのオープン・セットの ヌ・ボヤナ・フィルム・スタジオでも行われ、そのために大相撲でブルガリア出身の琴欧洲も出演していました。

 その役名が「コトオウシュヌス」…もう笑うしかありません。

 かと思えば曙太郎も、二人を救う最強グラディエイター「アケボニウス」役で登場…いいのか、そんな安易なネーミングで(笑)

 さらに笑かしてくれるのが北島三郎の「与作」。

 木桶風呂に入浴しながら「ヘイヘイホ~」と口ずさむお爺ちゃんを見て、ルシウスは『確かにこの歌を口ずさみながら湯に入ると癒される』と勘違い(?)し、これがローマの銭湯で大流行になるのです!

 これには夫婦で大笑い。会場の迷惑も顧みず、爆笑が止まらなくて困りました。(まっいいか、皆んなそうだったし。)

 そして遂には最後に本人登場(!?)で、またもぶり返し。

 いやぁ、困った映画だよ、ホントに。

ルシウスと真美

(C)2014「テルマエ・ロマエll」製作委員会

 原作コミック「テルマエ・ロマエ」を最初に読んだのは、会津若松で博物館に勤務していた頃。

 「書店員の選ぶマンガ大賞2010」を受賞したり、「第14回手塚治虫文化賞短編賞」、「このマンガがすごい!」2011年版オトコ編の第2位になるなど、そうそうたる賞を総なめにしているヘンなマンガだということで迷わず購入(笑)

 あまりの大人気に、イタリアの新聞では「ローマ帝国、遂に日本の漫画界を征服」という記事が書かれました。(ホントかよ!?)

 作者のヤマザキマリさんは北海道出身で、10代から20代にかけてイタリアのフィレンツェ・アカデミア美術学院で過ごし、後にイタリアの文学者と結婚。現在はアメリカのシカゴ在住です。

 作品をあらわしたきっかけは、「イタリアに住んでいる時、ヨーロッパにはお風呂も銭湯もない(シャワーだけ)。だから、お湯に浸かりたくとも浸かれない。ローマ時代にはそこら中に浴場があったのに何故今は無いのか。きっと昔のローマ人なら日本の風呂の良さを分かってくれるはず」と思ったこと。

 ほぅ…そうなんだ。

 もしかすると、アニメやコスプレ、和食ばかじゃなく、日本のお風呂文化も“クール・ジャパン”の有力な選択肢なのではあるまいか?

テルマエ・ロマエⅡ

(C)2014「テルマエ・ロマエll」製作委員会

 現代日本に帰還し、ローマでの出来事を題材にお風呂漫画を描いた真美は、これが大ヒット。

 コミックが出版され、やがて映画化されることになって、ロケ地に再現されたコロッセオを見学に行くと、原作者にルシウス役の男優を紹介してくれると言う。

 もしや…と思い会いに行くと、これが残念ながらイタリア人。おーまいがっ!

 と、その時……

 突如、井戸から出現した男が、「そいつは偽物だ!」と絶叫。

 え? ええええ~!??

 あるのか、Ⅲがっ!?

 

/// end of the “cinemaアラカルト155 「テルマエ・ロマエⅡ」”///

 

(追伸)

岸波

 いや~ホントに久しぶりにcinemaアラカルトの新作を書きました。

 二週に一本くらいは見続けているんですけどね。

 何せほら、サイト自体の移転整備で大わらわで…。

 第一、前回ので「2013年鑑賞映画を振り返る~1」なんて書いちゃったままだし(笑)

 後で、そぉーっと「1」を消しておこう(ボソッ)

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

テルマエ・ロマエⅡ

(C)2014「テルマエ・ロマエll」製作委員会

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト156” coming soon!

 

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