こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
なぜ、戦うのか---。
待望。僕にとっては、まさに待望の作品であります「GANTZ」!
気乗りのしないケイコを無理やり伴いまして、遂に観てまいりました。
凄いですね、日本のSF。そのユニークな世界観とストーリー・テリングは全く世界の追随を緒を許しません。
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GANTZ
(C)奥浩哉/集英社 (C)2011「GANTZ」FILMPARTNERS
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なぜこんなに熱くなるのかと言えば、我が家は熱いガンツ・フリークの家系。
僕も弟のタケヒコオーナーもサオリら子供達も、それぞれ自分専用の単行本「GANTZ」シリーズを揃えているのであります。
元々の原作は、奥浩哉が2000年7月から「週間ヤングジャンプ」に連載している超人気コミック。
先月入手した単行本第30巻が現時点の最新刊で、累計発行部数は1500万部以上。
日本ばかりでなく、アジアやアメリカでも多くの熱烈なファンに支持されているのです。
さて、衝撃の映画化作品の内容は?
映画版の主演を務めているのは「デスノート」や「デトロイト・メタル・シティ」、そして最近では「ノルウェイの森」の松山ケンイチと“嵐”の二宮和也。
原作では高校生の役どころとなっている主人公・玄野計(くろの・けい)は、やや年齢を上げて就活中の冴えない大学生(二宮和也)の設定に。
玄野が就職面接に失敗し、しょぼくれて地下鉄の駅に降りると、そこにはかつての同級生加藤勝(松山ケンイチ)の姿。
折りしも酔っ払いがホームの線路に転落するが、誰も騒ぐだけで助けに行こうとしない…。
そこで意を決して降りて行くのが加藤。何とか助け上げてホームへ戻ろうとすると、そこに懐かしい玄野の姿を発見します。
手を差し伸べる玄野。しかし、うっかり自分も線路に落ちてしまい、そこへ電車が迫り来る。
何と主人公の二人は、映画開始5分で死んでしまいます。あらららら・・。
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GANTZ
(C)奥浩哉/集英社
(C)2011「GANTZ」FILMPARTNERS |
玄野が目を開けるとそこは見たこともないマンションの一室。
部屋の中央にはなにやら黒い球体が横たわり、自分の隣には加藤の姿が。
「俺たち、今、電車に轢かれたよな?」
と、そんな意表をつく物語のスタートなのであります。(原作どおり)
部屋の中央にある黒い球体GANTZは、命を落とした人間たちを次々に召還して、「星人」と呼ばれる謎のエイリアンたちとの戦闘を強います。
何故、戦わなければならないのか?
戦いの結果どうなるのか、一切の説明はありません。
しかし、戦いの中で明らかになっていくのは、黒い球体GANTZが準備したバトル・スーツを着用すれば防御力や身体能力が大幅に向上すること。発射から着弾までタイムラグのある不思議な武器は、かなりの攻撃力があること。
そして、「星人」を倒した難易度に応じて戦闘後に『採点』が下され、累積が『100点』になれば「記憶を消されてもとの世界に解放される」か「星人との戦いで命を落とした人間を一人生き返らせられる」という事実。
原作ではもう一つの選択肢~「より強い武器を手に入れて次の戦いに進む」があるのですが、これは省略されていました。
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GANTZ
(C)奥浩哉/集英社 (C)2011「GANTZ」FILMPARTNERS
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また、原作には様々な「星人」が敵役として登場するのですが、映画では「ねぎ星人」、「田中星人」、おこりんぼう星人などの「仏像編」がピックアップされました。
「仏像編」には巨大な動く大仏などスペクタクル・シーンがあるので、クライマックスにはもってこい。
半面、一本の映画としてそこまで詰め込んだために省略されたシーンも多く、コアなGANTZファンには「もったいない!」と感じた人も多いはず。
これは一本の映画としての制約上、止むを得ないことだと思いますが、戦闘に参加したのは主人公たち4名のみ。(そのほとんどは玄野と加藤の二人)
原作では、後方支援などチームワークで戦う妙味があったのですが、その他の登場人物たちは全く存在感がありません。うーん、残念!
主人公たち二人以外で存在感を発揮するのは、岸本と西。
ヒロインの岸本(夏菜:かなり原作のイメージに近い)は、入浴中に手首を切って自殺したところを召還されたため、最初のGANTZマンションのシーンで、全裸のまま空中から登場。
その正面にいた松ケン・二宮は思わずオトコの眼になってしまう・・・あ、いや、そういう演技だと思います。(多分ですが)
実は、この全裸登場シーンは、映画の初日の撮影シーンでした。
そのシーンは男性キャスト7人に囲まれて実写収録され、岸本(夏菜)の真正面を陣取ったのが、主演の二宮と松山の二人だったのです。
佐藤プロデューサーは『GANTZ』公式ツイッターで、「真正面のニノ松(二宮と松山の略称)も照れくさかったでしょうが、夏菜を気遣いごく自然に振舞ってましたね。ガン見もあくまで芝居のはずです(笑)」と。
うん、やっぱり演技だったんだ。 …実にリアルな演技でした。
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ガン見された岸本
(夏菜)
(C)奥浩哉/集英社
(C)2011「GANTZ」FILMPARTNERS |
もう一方の西(本郷奏多)は、かなりのクセモノ。
というのも、彼だけは初めての召還ではなく、何度も修羅場を潜り抜けてきたリピーターだったのです。
しかも、その生き残り策というのが、仲間を囮にして安全なところから狙い打つという卑怯ワザ。
本郷奏多という役者は、この憎たらしい西の役を見事に演じています。
今後の注目株かも知れません。
なお、これまでの出演作は2006年の「テニスの王子様」、2008年の「K-20 怪人二重面相・伝」など。
お隣りの宮城県出身、1990年生まれの新進気鋭でございます。
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GANTZ
(C)奥浩哉/集英社 (C)2011「GANTZ」FILMPARTNERS
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さて、この主要メンバーの中で、松ケンが演じる加藤は演じるのがとても難しい役どころです。
彼は平和主義者…というか臆病者で、最初の「ネギ星人」との戦いも恐怖で身体が動きません。
加藤は小さな時にいじめられっ子で、いつも親友である玄野に守られていたのです。
かつて、突然に同級生たちの前から姿を消した加藤は、実は、DV親父の暴力から幼い弟を守るために誤って父を殺してしまい、少年院に入っていたのです。
少年院から出所後は、廃品回収の仕事をしながら弟を学校へ行かせる学費を稼ぐ生活。
そう…彼は弟のために、是が非でも無事に生還しなければならないのです。
できるだけ星人との戦いを避けようとする加藤。
一方の玄野は、加藤をかばっていた昔の立場を思い出し、次第に星人との戦闘にのめりこんでいきます。
そんな玄野が「仏像編」の阿修羅との戦いで再起不能に。
そこでようやく臆病者の加藤が、残されたメンバーを守るために勇気を奮い起こし、壮絶な戦いを始めるのです。
熱くなりますよ~ココ!
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GANTZ
(C)奥浩哉/集英社 (C)2011「GANTZ」FILMPARTNERS
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また、もう一人の重要人物が小島多恵(吉高百里子)。
原作では高校の同級生として途中から登場し、主人公玄野の恋人となる重要な役どころですが、設定の変更によって漫画家を目指す女子大生になっています。
うむぅ・・・・しかし・・・・
2008年の「蛇にピアス」で日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞した演技派の彼女でありますが、原作とのイメージが違いすぎるようです。
原作の多恵ちゃんは、同級生から「目立たないブス」と揶揄される控えめで清純な女の子。
決して美人ではないけれど、その純情で一途な性格に共感し、次第にファンが増えていったキャラクターなのであります。
一生懸命演じているけれど・・・違うなあ。
喩えて言えば、地味な“大和撫子”~『時をかける少女』に出た頃の原田知世のイメージ。
居ないんですか、現代の原田知世は! (いない?・・そうですか)
今回の「GANTZ」は二部作の第一章。
え~聞いてないよ、そんなこと! ←(実はウレシ怒り)
そりゃあ、この後も数々の強力星人が登場するGANTZですもの、一作だけではもったいな過ぎます。
それに、一着50万円もするというクールなガンツ・スーツをもっと活用せねば。ネ!
ということで、今回の「GANTZ」と「GANTZ(後編)」は同時に収録されました。後編の公開は4月23日。
あっという間の後編公開ですが、これまで「のだめカンタービレ」の2部作が記録していた邦画最短間隔での後編上映だそうでございます。
ま、過去には4時間を越す長編映画が、間に小休憩を入れて上映されたこともありますので、「記録」というほどのことではないかもしれませんが。
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GANTZ
(C)奥浩哉/集英社 (C)2011「GANTZ」FILMPARTNERS
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さて、超・強力な仏像星人「阿修羅」に岸本、加藤が次々に再起不能にされ、満身創痍の玄野が最後の力を振り絞って立ち上がります。
壮絶な死闘の末、倒したかと思ったその瞬間、阿修羅の掌から零れ落ちた小さな大仏像がぐんぐん巨大化し、屋根を突き破ってまさに天を突くような巨体に!
果たしてこの巨大な敵を倒すことができるのか?
はたまた、息も絶え絶えの岸本・加藤の運命やいかに?
最後に一言・・・
この映画は、終了クレジットが出ても決して幕が下りるまで席を立ってはいけません。
あはははは!
/// end of the “cinemaアラカルト122「GANTZ」”///
(追伸)
岸波
2月7日に興行通信社が発表した観客動員ランキングでは、「GANTZ」が二週連続の一位。
興行収入も14億6千万円を突破したということです。
コアなファンからは、コアなゆえの不満も聞かれるところですが、全編ノー・スタントマンで演じた出演者たちの力演と「YAMATO」に引き続く日本SFX技術の見事な到達点を観るだけでも有り余る価値がある映画です。
それにしても・・・
クレジットの後で再開された後編の予告には、死んだはずのあの人やこの人が出ているし、松ケンと二宮が敵同士のようににらみ合うシーンがあったし、いったいどうなっちゃうのでしょう?
どうやら「和泉編」や「小島多恵編」あたりのストーリーも垣間見られたような気がするのですが「後編はオリジナル・ストーリー」との噂もあることですし。
こりゃ、後編も必見だな!
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See
you again !
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岸本の全裸降臨シーン
~新聞より~
(GANTZ) |
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be continued⇒ “cinemaアラカルト123” coming
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