こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
お前の頭へ侵入する。
夏休みの期間に入ったので、久々に福島で映画館に足を運びました。
向かった先は、レオナルド・ディカプリオと渡辺謙が実写にこだわって挑んだという次世代アクション・エンターテインメント大作「インセプション」!
演出は「ダークナイト」で世界を震撼させたあのクリストファー・ノーラン監督、その最新作でございます。
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インセプション
(C)2010 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved |
ディカプリオは、共演の渡辺謙について・・・
「彼は日本で国宝になるべきだよ。
信じられないほど素晴らしい役者で、エモーショナルにとても深いものを持っているだけでなく、キャラクターの具体的なところをものすごく一生懸命演じ、仕事に対して、かなり深くいろいろと考える人なんだ。」
~と最上級のほめ言葉を与えたほど。
うーむ、期待はいやが上にも高まってまいります。
さて、映画の内容は・・・?
ディカプリオが演じる産業スパイのドム・コブは、他人の夢の中に入り込んで潜在意識から情報を盗むという特殊能力を持った産業スパイ。
しかし一方では、自殺した妻モルの殺害の嫌疑をかけれているお尋ね者で、会うことが叶わなくなった二人の子供たちに、いつか相まみえることを渇望している。
そんなコブがとある浜辺に打ち上げられ、怪しい男たちに連行された先に待っていたのが日本の大企業幹部であるサイトー(渡辺謙)。
(その傍らには黒幕と思しき老人もいるが、その正体はラストシーンまで明かされることはない。)
サイトーの申し出は・・・
「ライバル会社の社長の息子ロバートの夢に入り込み、会社を破たんさせる「考え」を植え付け(インセプション)て欲しい。
それができれば犯罪の嫌疑データを抹消して、故国の子供たちと一緒に暮らせるようにしてやろう。」というもの。
コブは、夢の世界を構築する「設計士」のアドリアネら4人のスペシャリストを糾合し、自身とオブザーバーのサイトーを加えた6人のチームで作戦を決行。
ところが、ターゲットのロバートは潜在意識を防衛する訓練を受けていたため、夢の中で強力な防御部隊からの反撃を受けることに。
さらには、コブのトラウマが夢の中で妻モルの姿をとって現れ、様々な妨害を仕掛けてくる。
迫りくるタイムリミットの中で、予想もしない展開を始めた夢の中の作戦は果たして成功するのでありましょうか・・?
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この「インセプション」のキャンペーンでは、ディカプリオと渡辺謙ばかりが目立ちますが、実は共演陣に実力者がズラリ。
「夢の設計士」の特殊能力を持つ女子大生、アドリアネを演じたエレン・ペイジは、2007年の「ジュノ」で16歳で妊娠をしてしまった女子高生を好演し、史上4番目の若さでアカデミー主演女優賞にノミネートされました。
また、自殺した妻を演じたマリオン・コティヤールは、同じ2007年公開の「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」で第80回アカデミー賞主演女優賞を受賞。
つまり二人は同じ年度でアカデミー賞を争った実力派ライバル同士であったのです。
そんな二人が、この「インセプション」では、コブの元妻とコブにほのかな想いを寄せる相棒という役柄で、互いに火花を散らしあうのも見どころの一つでしょう。
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この映画、いわゆる”夢オチ”ではないのですが、そもそもが夢の中が舞台になる話。
しかも、ターゲットの深層心理まで潜り込んで「インセプション」するために、夢の中の夢、そのまた夢の中へと潜っていくストーリー。
多重構造の夢の中で、それぞれの場面が同時進行するという複雑な見せ方をしています。
いえ、「同時進行」というのは正確でなく、夢の中での時間とそのまた夢の中での時間の経過はズレていくという”ルール”を導入しています。
このため、夢の中で防御部隊から襲撃されて車を橋から落され、それが水面に着地する間の10数秒が経過する間に、「その中の夢」に潜ったメンバーは数十分活動することができるという具合です。
しかし、夢の中で「蹴っ飛ばし(物理的ショックを受ける)」されると夢から覚め、現実世界に戻されてしまうというルールも。
つまり、第3階層、第4階層と深くなるにつれて時間の経過はゆっくりになるけれども、第1階層で水面に激突すれば、すべての階層の夢はいっきに終わりになるのです。
そんなワケで、かなり複雑な映画の進行になっているので、頭を整理しながらご覧になることをお勧めします。あはははは!
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さて、主演のディカプリオから「国宝になるべき」と絶賛された渡辺謙の演技はどうであったか?
いや、確かに彼は存在感のある演技派ですから、もちろん素晴らしい演技でしたとも。
しかあしっ!
第一階層でいきなり敵に撃たれて重傷を負った彼は、どの階層まで潜っても必ず同じ傷が現れるということで、ひたすら「瀕死の役」なのですよ。
国宝になるべき瀕死の演技・・・いや、そういうことはないと思いますが、ともかくも他に演技のしようがないワケで、役者として、結構キツイ役回りではなかったのかと思うのですorz
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そしてもう一つ・・・”次世代アクション・エンターテインメント大作”という映画の惹句について。
この”次世代アクション”というのは、「マトリックス」の超スローモーション映像や「アバター」の3D映像を意識したものでしょう。
実際、どんな凄いアクション映像を見せてくれるのか楽しみでした。
しかし、この表現に当てはまるシーンと言えば、第1階層で橋から空中に飛び出したために、第2階層のビルの中のシーンがいきなり無重力になったところくらい。
後は、カーチェイスや銃撃戦などごく普通のアクションシーンで、「まあ、ちょっと大げさかな」という感じであります。
でも、このシーン自体はそりゃあ凄かったですよ。
ホテルの中で敵と戦っていたら、突然上下左右がぐるぐる回り始めるのですから。(それでも戦いをやめない)
いったいどういう特殊撮影だろうといぶかっておりましたら・・・
あれってCGじゃないんだって。
ええー! じゃ、どうやって撮ったの!?
ケイコの情報によりますと「実際に無重力にした」ということらしく、二度ビックリ!
どうやら、飛行機の中にホテルの内装のセットを造って、その飛行機を自由落下・・つまり墜落させながら命がけの撮影をした成果のようであります。
確かにそれを聞けば、このシーンの鬼気迫る感じは「次世代アクション」の名にふさわしいものに思えてまいります。
←(そりゃあ命がけだものね・・。)daddy
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インセプション
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では、「インセプション」の映画全体としてはどうであったか?
アイディアの着想は秀逸、演技の質も最高、目覚ましいアクション、手に汗握る展開、作戦の最大のカギを握る「トラウマ」元妻モルとの確執・・・ここは何も言うことはありません。
でも、「無理やりな辻褄合わせ」というか、ご都合主義のストーリーに「なんだかなー」という想いでした。
「夢の中で死ぬと現実世界に生還できない」とルール設定したのに、自らを巻き添えに敵基地を爆破しようとしたり、あげくは実際に死んでしまったのに「もう一回夢に潜れば間に合うかも」という話になったり、「いったいこの世界は誰の夢だよ」・「いつそんな手配をしたんだよ」と突っ込みたくなったりする箇所が満載です。
もし日本映画でこれをやったら監督も脚本家もタコ殴りにあいそうですが、アメリカ映画の場合、SF作品なら説明不足でもかまわないという考え方があるように思います。
ともあれ、公開2日間で強敵「借りぐらしのアリエッティ」、「トイ・ストーリー3」、「踊る大捜査線
THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」を抑えて堂々の1位。
また土日2日間の興行成績でも、3億9,428万6,800円を記録し、映画『タイタニック』の3億8,400万円を超えて、ディカプリオが主演した映画の中では国内興収歴代トップを記録したそうであります。
ま、大人のデート・ムービーには最適だと思いますよ!
/// end of the “cinemaアラカルト110「インセプション」”///
(追伸)
岸波
結局のところ、作戦や元妻のトラウマとの確執はある形で終息を迎えるワケですが、その出来事全ては、飛行機の1フライトの間で(夢の中で)おこった出来事。
空港に降り立ったコブ(ディカプリオ)は、何事もなく入国審査を通過して離れ離れになった子供達の待つ家へ向かうのであります。
さて・・・これはいったい現実の出来事だったのでしょうか?
ところで、コレを見た後のケイコ・・・
この映画って、きっと・・・
ん?なに?
飛行機でエコノミークラス症候群になりそうだった人が作ったのよ。
ええー!(飛行中の悪夢かよ・・)
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !
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ジャパン・プレミアム試写会で
(渡辺謙&ディカプリオ) |
eメールはこちらへ または habane8@ybb.ne.jp まで!
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