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ラゴスの文化や生活様式でも紹介するつもりが、毎度、トラブルレポートばかりですみません。 そのうち、美味しい料理や、エンターテイメントなどもたっぷり紹介したいと思ってますが、まずはこの話を聞いてくださいよ。 話は、先週の金曜日、7月30日に遡ります。 こちらでは、唯一運転手のみ、私は雇用していまして、同じアパート内の、従業員部屋に住んでもらってます。 (私の部屋のすぐ隣です。) 普通であれば、このHPでも彼の紹介をすべきところでしたが、どうも彼とはトラブルが多く、例のカローラ水没事件をはじめとして口論が絶えません。
だから、いつ解雇してもおかしくなかったので、あえて紹介は控えていました。 さて、この晩はフライデーナイト、1週間の疲れを癒すため、ビールを飲みながら、映画を見てくつろいでいたところ、ドアのノック音が突然響きました。 すでに時は23時を回っているので、簡単にドアを開ける訳にもいきません。覗き窓からチェックしても誰も見えず、声をかけても応答がありません。 用心しながら、恐る恐るドアをちょっとだけ開けたところ、あまりにびっくりしたので大声を上げてしまいました。 何と、床に運転手が倒れているじゃありませんか。 あわててどうしたのか聞くと、ストマックが痛いので薬をくれと言います。 ストマックなら胃かな?でも腹部という意味もあるし、どこが痛いのか教えろと言ってもストマックだ、ストマックだよとその一点張り。胃の当たりをさすっているので、これは胃痛だろうと考え、先日会社の方からいただいた貴重な胃薬を一包あげましたが、ここでふと疑問が生じました。 この彼、ここ2週間ほど、なぜか金曜日の夜になると体調が悪くなり、土曜日の仕事を2回もキャンセルしてます。 だから、またかといった感じで、それほどこちらも深刻には考えていませんでした。 さて、映画もクライマックスを迎えた24時近くに、またノック音が。 ドアを開けると、運転手がまた倒れています。
聞くと、医者に行きたいから車を使わせてくれとのこと。ついでに金もないので、給料を1日前にくれとのこと。 これはまた嘘かなあと大いに迷いましたが、万が一のことがあってもまずいので、渋々車の利用を許可して、残業代以外の基本給を手渡しました。 本当に具合が悪いのか、まだ疑ってもいたので、こっそり窓から駐車場を見ていたら、運転手はすたすた歩きながら、車に乗って出て行きました。 またやられた!病院が見つからず、家まで帰ったなどと言い訳するのかなあ、俺もまだまだ甘いなと思いつつ、映画も肝心な部分を見逃しちゃったので、もう車のこともあきらめて寝ることにしました。 さて、眠りについてしばらくした午前1時過ぎ、携帯電話が鳴りました。 電話の主は運転手、寝ぼけながら出たところ、ドクターと話してくれと言います。 眠くて仕方ないのに、何だよと思いつつ待っていると、ドクターから症状の説明がありました。 どうやら、盲腸らしくて、このまま放っておくと危ないとのこと。 だったらすぐに手術してくれよと頼んだら、手術代はものすごく高くて、とてもこの彼は支払えそうもないので、雇い主が代金を支払うという約束をしない限り、手術はできないとのこと。 一気に目が覚めました。
彼の返済能力を考えると、私が立て替えた場合にお金が返ってくる見込みはほとんどないし、そもそも彼とは文書で、一切借金は受け付けないと約束を交わしていましたが、人命にかかわることでは仕方ありません。 金は払うからすぐに処置してくれと頼んだところ、取り急ぎ注射をうって、様子を見た上で、手術は翌朝すぐに行うとドクターは言います。 では、それまでに金は届けるということを約束して、とりあえず電話は終わりました。 盲腸の単語くらいは覚えておいて助かりました。 (知らない人は覚えておいた方がいいですよ。) さて、眠ろうと思っても、もしものことを考えると、なかなか寝付けません。 だいたい、病院の場所も、住所はわかるものの、実際にどれくらい遠いのか見当もつきません。 おまけに、移動の足もないので、どうすりゃいいのか。 万が一、お金を届けるのが遅れて手術が手遅れになり、もしものことがあったら、これはもう大変なことです。 あれこれ対策を考えましたが、暗い時間に出歩くと、今度はこちらが強盗被害にあってしまう恐れもあるので、うっすら明るくなる午前6時半を目処に、バイクタクシーを捕まえようということに決めました。 (最悪の場合は走ることにしました。) さて少しでも寝なければと思ったその時、重大な事実に気が付きました。 翌日というか、すでに当日になっていましたが、この日は最終土曜日、こちらでは毎月最終土曜日は、Environmental Dayと決められていて、市民は地域の環境浄化活動に午前10時まで専念しなければいけないことになっています。 これをさぼると罰金、ふらふら道路を出歩いていると警察につかまってしまうのです。 外人は免除されているのですが、そもそもタクシーは皆無だろうし、もし歩いて出かけたとしても、間の悪いことに身分証明書はオフィスに忘れて来てしまったので、警察に捕まったら、そのまま留置されてしまうかもしれません。
まったく悪いことは重なるもので、しかし人の命もかかっているので、どうにかしなければと気持ちはあせるばかり。 結局、朝までいろいろ考えましたが、妙案もないので、電話で泣き落としに入ることに決めました。 電話がやっとつながったのが、早朝5時半。 Environmental Dayなのでタクシーがつかまらない、10時にアパートを出て、金はすぐ届けるから、手術はその前にやってくれと必死でお願いしました。 相手も寝ぼけているのが電話でもはっきりわかったので、さらに不安になりましたが、とりあえず了解はしてくれたので、後は祈るしかありません。 手術代金を取り急ぎ用意して、病院の場所を少しでも特定しようと、ネットで調べてみることとしました。 しかしながら、天下のグーグルマップでも、場所を特定できません。 仕方ないので、とりあえず、エステートの名称はわかるので、まずは出かけてみて、後は誰かに聞こうということにしました。 外出解禁時間を5分ほどフライングして、タクシー探しを始めましたが、そんなに早く、タクシーが活動を始める訳もありません。 これは走るしかないかと、ジョギングを始めたところ、白いレクサスが横を通り過ぎて、道端に止まりました。 どこかで見た車だと思ったら、同じアパートの1階に住んでいる人の車です。 日本人が血相変えて走っているので何事だと思ったらしく、事情を話したら、病院まで乗せていってやるとのこと。これは天の助けです。
この彼は、この前の停電(火災)騒ぎの時に会話を交わしただけなのですが、てっきりナイジェリア人だと思っていたら、米国のLAから来ている建設会社の社員ということでした。 どうりてわかりやすい英語だと思ったのですが、しかしこの親切には頭が下がります。わざわざ病院まで送ってくれるとは。 さて病院についたら、どうやら手術は早朝に行われて無事終了した模様。 運転手は麻酔で眠っていたので、午後に出なおすことにしました。 医者の話では、もう少し手術が遅かったら危なかったとのこと。だったら、もっと早くやってくれればいいじゃない、と思いつつ約束の手術代を払いました。 よりによって、公立ではなく私立の病院に行ったものだから、手術代だけでなく入院費も驚くほど高かったですが、もう手術も終わっちゃったので仕方ない。 その後、運転手とは何度も協議して、毎月の給与から少しずつ返済するということで話がまとまりましたが、どうなることやら。 とりあえずの対応としてレンタカーを借りなければいけないので、さらに出費がかさみます。 どうやら退院後、2週間は働けないようなので、この期間レンタカーを借りたらこっちが本当に破産してしまうので、短期雇用で代わりの運転手も探さなければいけません。
病気だから仕方ないとはいえ、このままじゃこっちも病気になっちゃいますよ。 ということで、長編レポートお付き合いいただきましてありがとうございました。 その後、彼は自宅療養中で、8月中旬以降に復帰予定。代わりの運転手(短期雇用)も見つかり、どうにか車通勤もできています。
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