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悲惨なレポートをお読みください。 7月7日、七夕かなどど朝目が覚めた時にぼんやり考えていたら、屋根を打ち破るのではないかと思うくらいの雨が突然降り出しました。 まあ、大雨は何度も経験しているし、毎年最大雨量となる6月も終わったので、比較的落ち着いて朝食の準備などしていましたが、雨の勢いは一向に弱まりません。
大雨が降ると、すぐに道路冠水するのは何度もご紹介させていただいたとおりなので、仕事関係でもそのような場合は、水が引くまで自宅で待機することにしましょう、という約束事項までできていたのですが、この日はあいにく、どうしてもこの日の内に終わらせなければいけない仕事が山積み、前日夜から、仕事をこなす順番や段取りまでしっかり決めて、さて行くぞと思ったら、この状況。 これには困りました。 早速、運転手と協議。二人とも深く考えるタイプではないので、とりあえずこれ以上雨が降ったら、道路冠水個所の水がもっと深くなって、完全に通行不能となるだろうということで、一か八かの賭けで、とりあえずトライしてみようということで、アパートを出発しました。 これを見ていた、同じアパートの住人(女性)に途中まで乗せて行ってくれと頼まれて、気前よくOKしてしまいました。 思えばこのあたりから悲劇は始まっていたのです。 すでにアパートも駐車場も、川のような水の流れが出来ています。 いつもは大雨でも冠水しない、アパート前の道路も、すでに5cm程度の水がたまっています。 これは明らかに、いつもの大雨とはレベルが違うなということはすぐにわかったのですが、私も運転手もかなり無茶をする性格のようで、二人ともなかなか引き返す決心がつきません。
とりあえず車を進めると、いつもの冠水個所に行きつく前に、その500m以上手前からすでに道路は池のようになっています。 周りを見ると、走っているのはパジェロやランクルなどの4輪駆動車のみ。 カローラのようなセダンでうろうろしているのは、どうやら我々だけのようです。 のろのろ進んでいる内に、いよいよ難所までたどり着きました。 ちょっと見たところ、パジェロのライトまで水没しています。 これはさすがに、運転手も私も無理だと判断したのですが、他の小型4輪駆動車は、迂回路のほうへ進んでいきます。 この迂回路は、たびたびジョギングでもチェックしていたのですが、確かに水深は浅いかもしれないなどと考えたのが、大きな間違いでした。 迂回路へ進むと、道が細いのでもうUターンはできません。 後ろからは4輪駆動車がぴったりはりついて、早く行けと、ブーブークラクションを鳴らしています。
水深はいよいよ深くなり、もう窓までもあとわずかというところで、ついに車内に水が流れ込んできました。 日本人会の皆さんからも、たびたび車内に水が入って困るというお話は耳にしていましたので、これまではどんなに深場を通っても水が入ってこないのを自慢にしていましたが、あっけなくその自信はぶち壊されました。 いったん水が入り込むと、後はあっという間です。 足元まで水が来たとおもったら、すでに後部座席の上まで水没。 これだけ水が入れば車も動かないだろうと思った途端に、プスンとエンジンが止まりました。 本当に、プスンという音がしました。 後ろには4輪駆動車、どうするんだと、運転手とぎゃあぎゃあわめきあいましたが、今さら責任の擦り付け合いをしても仕方ありません。 それよりもかわいそうなのは、助手席に乗せた女性。 すでに、助手席によじ登り、何とか被害を最小限に止めようと必死です。 私もこうなると人のことなど構っていられません。
手元には、パソコンと重要書類が入ったバッグが2つ、濡れたらアウトなので、必死に担ぎあげて、さてどうしたものかと考えました。 散々運転手に怒鳴り散らしたので、意外に冷静になれたのかもしれませんが、水の流れはますます激しくなり、すでに車内上部数十センチの空間を残して、すべて水没。エンジンはまったく動く気配なし。 これは車を放置して逃げるしかないかと、みんなで車外へ逃げようと提案しました。 しかし逃げるといっても、外は腰までの水、どうしようかなかなか決心がつきかねていたところ、救いの船が来ました。 前方から4輪駆動車の荷台付き(ピックアップバン)が水をかき分けながら走ってきます。 運転手が交渉したところ、乗せてやるとのこと、どうにか窓から抜け出して、荷台に乗せてもらい、水の浅いところまで避難できました。 哀れなのは、カローラと運転手。 その後、1時間ほど川のような中に浸かっていた後、何と、助っ人2人とともに、水の中を押しながらバックしてきます。 どうにか100mほど押しながらバックさせてきて、さらに助っ人も増えて、歩道の上まで押し上げてくれました。
この日感じたのですが、この国の人は、このようにいざ困った時には、本当に人情深いです。 みんなで協力し合ってて、窮地を乗り切るのです。 だから水の中に入るのも厭わずに、必死でカローラを救出してくれました。 雨に濡れてる私を見て、傘を貸してくれた人もいまして、結局、傘は私にくれるということで、お言葉に甘えてしまいました。 車の対応はとりあえず運転手に任せて、私は、どうしても片付けなければいけない用事がありましたので、電話でレンタカーの手配をしましたが、レンタカーは到着してもセダンタイプなので、私のいる場所までは来れません。 これはまた助けてもらうしかないかと思ったところ、ケーキ屋の巨大なワンボックスが通りかかったので、頼みこんで、レンタカーが待機しているところまで乗せてもらいました。 このワンボックスも車内まで浸水してものすごいことになりましたが、エンジンは止まらずに、洪水の中を通過できました。
明らかに私が乗ったので、浸水する量は増えたはずですが、いやな顔一つ見せず、送ってくれました。 私が逆の立場なら、絶対に乗せないと思います。 というこで、長くなりましたが、悲惨なレポートをお届けさせていただきました。 車はこの日の内に、修理工場へレッカー移動。電気系統の中枢となるボックスに浸水したため、部品交換。 こちらの弱みにも付け込まれものすごく高い修理代を請求されましたが、仕方ありません。 あらかじめお知らせしてしまいますと、どうにか数日で車は動くようになりました。 それでも、車内は臭うし、エンジンの吹けも悪いです。
しばらくはだましだまし乗って行こうと思いますが、今度から大雨の際は、もうちょっと慎重な対応を取ろうと心に決めました。 しかし、一生の内で、洪水の中で車が止まる経験もなかなかできないでしょうねえ。 こんなことで苦労するとは夢にも思いませんでしたが、これが現実です。 長くなりましたが、悲惨なレポートにお付き合いいただきましてありがとうございました。
大雨の被害は車だけではありませんでした。 部屋の雨漏り個所が4か所に増えたのもショックでしたが、それ以上にショックだったのが停電。 こちらでは停電は日常茶飯事なので、別に驚くほどのことではないのですが、今回は、我がアパートの3部屋のみが、完全に電気が遮断されてしまいました。
さらに悪いことには、復旧の目処も立たないとのこと。 冷蔵庫にある食糧は、もちろんすべてゴミに。 おまけにテレビも見れなきゃ、エアコンも使えず、それより何より、トイレに行くのも一苦労。 ということで、ロウソクを急遽運転手に買ってきてもらって、使ってみました。 貧しい食事も、高級レストランのよう? 開き直って、キャンプだと思えば、まあ意外に快適な環境だったりして。
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