朝から暗く
窓を開けたら予報通りの雨降り
山は厚い雲に覆われている
「雨の1日」
何の迷いなく今日のテーマは決まった
熱い珈琲飲みながら
峠へと旧道を走る
霧の中へ入ると
霧の濃淡で森の色が変わる
路面は落葉で覆われ
風が吹く度に枯葉が舞っている
人気の無い沼が
霧の中に現れて消えていく

風が止むと静寂の中で
音も無く枯葉が舞い落ち
自分の息遣いが森に溶け込んでいく様だ
この夏の暑さの中で
生を謳歌していた木々が
深まる秋の中で身支度を整えている

いつの間にか雨は上がり
峠を越えたら眩しいばかりの太陽が
私を忘れないでヨとばかりに待っていた
湖へと向かう道すがら
左手にはたわわに実った稲が
右手には真っ白な蕎麦畑が
秋の陽射しの中で光っている

不思議な夏の様な秋
この暑さでは
綺麗な紅葉は望むべくもないか…
側に置いたカメラのスイッチを切った
大和伸一【2025.9.11掲載】
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