ちょっと前…イヤ、だいぶ前
駅近くで火事があった
遠くサイレンの音が聞こえる
野次馬根性丸出しの嫁と
二人して部屋を飛び出した
現場は近くのスーパー駐車場の側だった
まだパトカーの姿は無く
消防車が駆けつけたばかり
カメラ手にしながらウロウロしていたら
消防士から 「危険だから立ち入らないで!️」
咄嗟に 「プレスです!」
即座に 「ご苦労様です!️」
遅れて来た警官が規制線張りながら
同じく注意されたが
「プレスです」の一声で
「ご苦労様です」と敬礼された
やはり遅れて来た記者が
新米らしく オロオロしているので、
丁寧にも撮影ポイントを指導してあげた
此方はプレスの腕章等無いのに
「ハイ、ハイ」と素直に頷く新米記者がいじらしい
それを後ろから嫁さんが笑いながら見ている
やがて雨が降り出したので引き上げたが
部屋に帰ってきてから
私の顔を見て嫁さんが笑っている
鏡の中には
煙を通して振ってきた雨が
顔中小さな黒い点々となって付いていた
思わず吹き出したが
その嫁さんの顔も同じで、
顔どころか全身二人して黒い点々だらけだった
暫く二人腹抱えて笑っていたが
その後には高いクリーニング代が待っていた
雨が降ると時々懐かしく思い出す
その写真どうしたかって?
何処か他のデータと一緒に眠っています
大和伸一【2025.5.22掲載】
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