いつもならロビーの片隅で始まる飲み会🍻
 言い出しっぺはいつもArupだ

 その日は地元の親友が遊びに来ていて
 いつになく暑い夜だった
 外へ出ようとなり、
 屋上の私の部屋の前での宴会となった

 見た事もない酒肴が紙の上に広げられ
 みるみるビールの空缶が山となっていった
 何を話していたのかわからない
 ただただ楽しく、気持ち良く酔いが回っていた

 

 その暑い夜
 暑さで一つの事を思い出していた

 初めてJaisalmerを訪れた時
 扇風機が暑さを掻き回すだけの部屋で何もする気が起きない中
 宿の親父に「何処にプールでもないのか❓」
 期待もせずに聞いたら 「……あるよ❗️」

 

 簡単な地図を描いてくれ、自転車を貸してくれた
 即、砂漠の中の一本道を走った
 延々と続く砂漠、人影も家もない
 暑さでフラフラになりながらも、目指すはプール

 この地図間違えてるかもと思い始めた頃
 崩れかけた遺跡が見えてきた
 その遺跡の片隅に壊れた井戸があって
 そこから溢れた水が池みたいになっていた ……プールや

 この辺境の地で、見慣れたプールをイメージしていたのが馬鹿だった
 親父の「……」に気付くべきだった
 砂漠の地でも さすがに湧き水は冷たく
 5分も泳がない内に身体は冷え切ってしまった

 それでも冷えた身体に満足して
 また砂漠の中を走って帰ったが
 宿に着く頃には汗💦でビッショリだった

 

 そんな話も楽しい酒肴になるようで
 暑い空の下、皆して笑った
 いろんな「ひとり旅」読んでいて
 また一つ思い出の引き出しを開ける事が出来た

 次の引き出しからは何が出てくるのだうか
 沢山の引き出しを思いながら
 また新たな引き出しを作ろうとしている

 

 そうだ、まだ旅の途中だった…
 そんな引き出しを引き出させるきっかけを作った
 本屋の片隅で飲む美味しい珈琲
 午後の暖かい陽射しを浴びながら 口の中に
 砂漠の中で、チベットの山の中で、
 夜汽車の中で飲んだチャイの味を思い出す

 

 ちなみにIndiaで飲む珈琲は美味しくない、と思う

大和伸一【2025.5.8掲載】

 Photo by 大和伸一
 MP3 by 甘茶の音楽工房「ブナの森に舞う雪」
 Essay by 大和伸一
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