グリニッジ天文台が募集する「美しい天体写真」のコンテストより。
まずはコチラの写真を見ていただこう・・
わぉ! 何て美しい。
これは、フィンランドで迎えた極地の夜、幻想的な雲の写真。
さらに次の写真・・何だかお分かりになるだろうか?
これは、左下の部分が月面の巨大クレーター「ティコ」で、そこから放射状に広がる地質の色を強調して撮影したもの。
赤味がかかっているのが酸化鉄で、青がチタンの土壌なのだ。月の歴史を探る上で非常に貴重な地質学の情報を得るために撮影された。
これらの写真は、グリニッジ天文台が毎年募集している「年間最優秀天体写真コンテスト」における受賞作品の一部。
一口に天体写真と言っても、宇宙や星ばかりでなく地球上の天体現象まで幅広い部門で募集されており、各部門の最優秀賞(グランプリ)には賞金1万ポンドが授与される。
今回はこのコンテストのうち、2020年と2021年の優秀作品からご紹介したい。
ということで、2020年「太陽部門」のグランプリ作品。
こんな状態の太陽の写真は初めてご覧になるのではないか。
太陽の表面が、まるで接写(笑)したかのように緻密に画像化された。現在は太陽黒点が減少し活動の極少期にあたるが、その表面では活発な活動が続いているようだ。
次は、南仏バロンソルで撮影された写真。
天の川に照らされた蒼いラベンダー畑が魅惑的だ。
一本の樹を中央に置いた構図がまた素晴らしい。
そして次は??
奇妙な風景だが、パリ中心部にある写真家のアパートの屋上で星の軌跡を写し込んだ写真。中央の太いラインは月の軌跡だ。
それにしても・・
この少女、一晩中、立っているのはさぞ辛かったろう。←(違っ!)
さて、これは何だろう?
中央は、通信読者で宇宙協会員でもあるDreamさんの"二つ並んだ星"の記事でも有名な、二重星アルビレオ。だが、この縦線は・・・?
・・・・・・?
実はコレ、沢山の人工衛星の軌跡なのだ。
もしかすると、これからどんどん増える人工衛星は、天体写真の”最大の敵”になって行くのかもしれない。
次は、2019年から2020年まで燃え続けたオーストラリアの大森林火災・・
・・をモチーフにして撮影されたという星雲写真。(笑)
背景の星の姿を取り去って星雲部分だけをクローズアップした。
残念ながら元記事には星雲名が書かれていないが、岸波通信another world.の「天空のイリュージョン」を参照してみると、馬頭星雲か薔薇星雲の一部ではないかと。
次もまた奇跡の一枚。
アイスランドの凍てついた河口に天空のオーロラが反射している。
これを見て感動した写真家は、その情景を急ぎ撮影し、後から河口に立つ自分の姿を撮影して合成したと言う。
次も偶然が生み出した奇跡。
日中、非常に細い姿となった月を撮影しようとしていたら、その細い線の上を国際宇宙ステーションが横切ろうとする瞬間の写真。
月は38万キロの彼方にあるのに、まるで宇宙ステーションが月の上空を周回しているかのような絵が撮れた。
距離感に関するものでもう一枚・・
これは手前が月。そして彼方に見えるのが木星だ。
この両者の間は、何と7億キロという途方もない距離で隔てられている。
木衛を周回する衛星三つも写り込んでいるとのことだが、残念ながらそこまでは判別できなかった。
次はヨルダンの砂漠にて。
赤い砂丘の上に立ち上がる天の川。まるで魔法の世界の風景だ。
JUNの「海外駐在員便り」では、まだヨルダン勤務時代の詳報(思い出編)が語られていないが、彼もこんな風景を観たのだろうか?
次は・・あれあれ?
これは上海で撮影されたもので、同じ視点から4回露光した太陽が昇る様子。
だがしかし・・
岸波通信another world.では、これを「年間」でやったもっと凄い写真を紹介している。それがコチラ・・
岸波通信another world.episode45「太陽のアナレンマ」>>
ギリシャ/デルポイ神殿のアナレンマ
うん、ちょっと残念だったね(笑)
そして次の写真ですが、何が凄いかお判りでしょうか?
横たわる天の川が美しい・・いえいえ、ソコではないのです。
実はこの写真、インド洋に沈みかけている月と一緒に金星、水星、木星、土星、さそり座の赤い星「アンタレス」まで一枚の中に収められているのです。(ええ~)
いえいえいえ、凄いのはそれだけじゃなく、これを撮影して投稿した人物というのが、何と11歳の少年。(ええええ~!) ・・才能ありますね。てか、持ってる?
そろそろ終盤。とびっきり美しい写真を!
こちらは写真家がノルウェーを旅する途中で出会った奇跡のオーロラ。
夜空全体が緑、青、ピンク色に染まり、その様子は「まるで緑色の衣服をまとった女性」のようだったと。
ほんとだなぁ・・天使が空に昇っていくように見えますね。
ということで、今回、最後の一枚はコレ。
天の川銀河に最も近いお隣の銀河「アンドロメダ大銀河」です。
普通、銀河の写真はそこだけに焦点を合せるので、手前の星々は消えてしまいます。
しかしこの写真では、250万光年先の銀河を手前の星々と一緒に写り込ませ、まるでミニチュア模型のようにさえ見えます。
これが、2020年度の銀河部門の最優秀賞、総合グランプリを獲得した作品。
でも・・・
another world.にも書いたように、このアンドロメダ銀河、秒速120Kmの猛スピードで天の川銀河に迫って来ているのです。
その先には”銀河衝突”・・人類はどこに逃げたらいいのでしょう? う~むぅ。
《配信:2023.8.23》
「Insight Astronomy Photographer of the Year 2020」のサイトなどから。 |