国立(くにたち)市の宇(う)フォーラムというイベントスペースへ「丸山芳子 地の脈 精神の脈」というアート展を見に行った(10月16日金曜日)。
JR国立駅からは南口でバスに乗って5分ほど。第三小学校という停留所で降りてそこからに歩いて5分とあるがちょっと迷った。
宇フォーラムは、建築家の平松朝彦・啓子夫妻が、両親であるアーティストの平松輝子・二紀和太留の作品や現代の表現を紹介するために運営する国立の住宅地にある個人の美術館だ。

丸山芳子(筆者撮影、以下の写真も筆者)
今回の展示は現代美術作家の丸山芳子によるインスタレーション2点とアクリル絵の具による絵画が数点。
丸山芳子は福島県生まれで現在東京都板橋区在住。私の友人であるネットマガジン「岸波通信」の管理人である葉羽こと岸波靖彦の知人だ。
彼が会津若松市の福島県立博物館の副館長をしていた時に丸山の作品を展示して以来の知人だという。丸山は「岸波通信」に時々手記を書いているが、今回の展覧会もその手記で知った。
毎週のようにコンサートやオペラに出掛けている私だが、アートには造詣もないが、自宅から遠くもないし覗いてみた。
下は「雨粒の視点より」:宇宙から落ちて来た雨粒が見た地表を表現。背景の暗い色調の数枚の板は宇宙空間を表現していると丸山。
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| 雨粒の視点より |
次に「地の脈 精神の脈」。
針金で作ったブルーの海面の上に、作者にゆかりのある国や地域を模して針金で作ったオブジェが載っている。

そして「葉の脈 水の脈」。アクリル絵の具と転写による絵画。

一般に芸術にはルサンチマン(怨恨)型と調和型があるのではないだろうか。ディオニソス型とアポロ型という分類も可能かもしれない。丸山の作品に底流する優しさは明らかに後者だろう。
今回のパンフレットに書かれた丸山による文章を引用すると「この世界には、人間と共に、動植物、鉱物、気象、さらには死者や自然神などが他者として含まれる。対立や災害で傷ついた惑星において、それらを多層的人結び直す可能性を、インスタレーションと絵画によって探求する」とある。
丸山にとって、故郷の福島を襲った2011年3月11日の東日本大震災の衝撃がたいへん大きかったようだ。
「再生」「北へ」というキーワード、キーカラーとしての「青」、連帯そして共感の象徴である「ネット(網)」、「脈」が丸山の創造の中核になっているようだ。
受付の平松啓子氏によると庭に置いてあるテーブルも丸山芳子の作品ということだった。これはちょっと実用性もある丸山としては異色の作品だった。

丸山の実家は造り酒屋だ。この酒造会社は商品名を切り抜いた白い木製の看板をよく見える山の中腹などに設置するという独特の宣伝を行っていた。
私は幼いころ福島の田舎(現伊達郡国見町大字藤田)に住んでいたことがある。その家から向こうの山の中腹にその看板の白い文字が見えた。
その意味すら分からない2、3歳の子供心にこれは一体誰がどうやって置いたのだろう?神様が密かに深夜置いて行ったのだろうか?そんなことをぼんやり思った記憶がある。
そのことを丸山に話すと、「私の祖父が、ゲートルを巻いて『さあ、店の看板を山に置いてくるぞ』と張り切って出掛けて行ったのを覚えています」とのこと。
帰りに酒屋でその酒でも買って帰って、今晩は飲むことにするか。